2008年2月14日木曜日

岩手なるか「五輪選手」育成 競技底上げへスーパーキッズ発掘

(産経新聞 2007.12.8)

岩手県では近年、オリンピック出場選手を輩出していない。
子供たちにとって、あこがれの存在が身近にいるかいないかは、
スポーツをする気持ちに大きく影響。
事態を深刻にとらえた県は、世界大会のメダリストを育てようと、
「スーパーキッズ発掘・育成事業」に。

最近の岩手県のスポーツ事情をみると、
2000年からのオリンピックに、出場した県出身選手が1人もいない。
国民体育大会でも30位後半~40位代を推移し、ここ9年間は東北でも最下位。
このままでは、県内スポーツの地盤沈下は避けられない。

危機感を強めていた県教委は、福岡県がタレント発掘事業を始めたと聞きつけ、
「本県でもやってみよう」とスーパーキッズ事業を発案。
似たような事業は、岡山県、和歌山県、北海道美深町でも始まり、
東北でも宮城、山形、福島各県で動きがある。

岩手県では、平成28年に国体が開かれる。
これまで、自治体の選手育成は国体をにらんでのものが多く、
国体が終わると、競技力が低下するのが常。
スーパーキッズ事業には、タレント発掘のシステムを確立することで、
国体終了後の選手育成も継続できるとの狙い。

事業は、県体育協会が県の委託を受け実施。
プログラムは、作山正美岩手医科大学共通教育センター体育学科教授を
委員長とするプロジェクトチームが作成。
作山教授は、「夢のある企画。ジュニアの育成はスポーツ少年団中心で、
小さいうちから1つの競技に偏る傾向。
他種目の可能性も探りながら、知的能力を開発するとともに、
けがをしない体の作り方、動き方を教えていきたい」。

募集に、1180人が応募。
平藤淳県体協業務課長は、「告知に手間取った割には多かった」。
応募者のうち、1114人がチャレンジ2に挑戦。
チャレンジ3には、218人が臨んだ。
(1)優れた運動能力、(2)育成事業参加の確約
を基準に80人程度に絞り込まれる。
スーパーキッズに選ばれた5年生は今後16カ月間、6年生は4カ月間、
原則毎月1回開かれるスペシャルスクールに参加。

この事業は、選考に漏れた子供たちにも公開。
プログラムは、指導者も見ることができる。
県体協では、地域に戻って指導に役立ててもらえば、
競技力の全体的な底上げに。

1992年アルベールビル冬季五輪のノルディック複合団体金メダリストで、
県体協のスポーツ特別指導員を務めている三ケ田礼一氏(40)も関与。
「第1の目的はトップ選手をつくることだが、そこまでいけない子供でも、
挑戦する気持ちが培われれば、スポーツ以外でも、
自分に合った何かに出合えるチャンスが生まれる」。

地域では、指導者の高齢化などで、
望ましいスポーツ環境を与えることができない状況も。
種目によっては、何校かが一緒になってチームを作り、
中学校大会に出るという事態も。
だれでも、どこでも、均質な指導を受けさせることはできないか。
スーパーキッズ事業は、その環境をつくっていく事業でもある。
県教委では、事業を少なくとも10年間は継続したい。
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■いわてスーパーキッズ発掘・育成事業

県内小学校で行われている「新体力テスト」で、
総合評価A・B段階の5~6年生が申し込み
チャレンジ1
▽20メートル走・反復横跳び・立ち幅跳び・垂直跳び・両手大型ボール投げ(前・後)
チャンレンジ2
▽立ち三段跳び・ジグザグ走・4方向ステップ、保護者を加えての面談
チャレンジ3をへて発掘したスーパーキッズと保護者に対し、
プロジェクトチームが作成した能力開発プログラムを実施。

http://sankei.jp.msn.com/region/tohoku/iwate/071208/iwt0712080242000-n1.htm

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