2008年2月11日月曜日

血清中ビタミンE濃度低値は高齢者の体力低下につながる

(Medscape 1月22日)

地域社会に居住する高齢者において、
栄養不良の指標である血清中ビタミンE濃度低値は、
その後の体力低下に関連することを示す研究結果が報告。

コーネル大学のBenedetta Bartaliらは、
「高齢者の自立を維持することは公衆衛生の優先事項であり、
機能障害プロセスを予防、遅延には、
身体機能低下に関与する因子の特定が必要。
栄養不良が、高齢者の身体機能低下に有害作用を及ぼすかは不明。
本研究の目的は、特定の微量栄養素の低濃度がその後の身体機能低下に
関連するかどうかを明らかにすること」。

トスカーナ州(イタリア)の住民登録(population registry)から
ランダムに選択した65歳以上の居住者698名の縦断的研究のデータを解析。
1998~2000年のベースライン評価を行い、
2001~2003年まで3年間の追跡評価を実施。

3年間における身体機能の低下は、Short Physical Performance Battery
(簡易身体能力バッテリー)スコアの1点以上の低下と定義。
対照群の各栄養素の4分位数の上位3階級に対する最低階級のオッズ比を計算。
結果の妥当性の確認には、2つの追加の補完的分析法が用いられた。
Short Physical Performance Batteryスコアの平均低下は、1.1点。

予想される交絡因子の補正したロジスティック回帰分析に基づけば、
ビタミンE濃度低値はその後の身体機能低下と有意に関連。
αトコフェロール4分位数の最低階級と身体機能スコアの1点以上の低下との
関連性に関するオッズ比は、1.62。

予想される交絡因子およびShort Physical Performance Batteryの
ベースラインスコアについて補正したところ、
連続尺度として解析したビタミンEを用いた一般線形モデルにおいては、
ビタミンEのベースライン濃度は追跡調査時点の
Short Physical Performance Batteryスコアと有意に関連。

身体機能低下の最も強力な予測因子は、
年齢81歳以上および(70-80歳の被験者では)ビタミンE。
身体機能低下の発生率は、それぞれ84%および60%。

「これらの結果から、地域社会に居住する高齢者において、
ビタミンEの血清濃度低値はその後の身体機能低下に関連することを
示す経験的エビデンスが得られた」。

研究の限界として、追跡不能によるバイアス、
イタリア人の一般集団に基づいた標本で一般化可能性が限られること、
ビタミンEは二変量分析では身体機能低下と関連したものの、
補正した分析では関連が認められなかったこと、
6種類の微量栄養素濃度を検討したため結果が偽陽性であった可能性、
多数の予想される交絡因子について補正が不十分であった可能性。

「疫学的研究で得られた知見では、因果関係は確立できないものの、
低ビタミンE濃度が身体機能低下に関与しているという根拠は得られた。
ビタミンE濃度の低い高齢者において、
ビタミンEの至適濃度が機能低下および機能障害の発生を抑制するかを
明らかにするためには、臨床試験を行う必要がある」。

JAMA. 2008;299:308-315.

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=66738

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