2008年2月4日月曜日

解説:環境債務明示 企業価値明らかに 国際競争力に直結も

(毎日 1月21日)

環境債務開示を義務づける今回の基準は、
債務の「見える化(可視化)」で真の企業価値を明らかにする目的。
有害物質対策を進めれば債務は減り、財務体質は強化される。
地球温暖化対策など、環境規制の動向によっては
計上すべき環境債務の変化も予想される。
環境技術の高さを掲げる日本企業にとって、対応は国際競争力に直結しそう。

将来負担すべきコストを各会計年度に計上する例としては、
電力会社が将来の原発解体にかかる処理費用を計上する解体引当金がある。
しかし、環境債務の全体像を開示する考え方は、日本ではなじみがない。

米国では、土壌汚染問題をきっかけに、90年代から環境債務の計上が制度化。
欧州でも取り組みが進んでいる。
国際的な企業の合併・買収(M&A)の急増もあり、
先行する欧米諸国と同様の対応を迫られた形。

みずほ情報総研の光成美樹・環境・資源エネルギー部チーフコンサルタントは、
国内のアスベストや土壌汚染の処理費用は、10兆~20兆円に上る可能性。
光成さんは、「今回の基準では、合理的な見積もりができなければ、
債務を数値として計上しないこともできる。

この点を考慮し適切に計上しても、日本企業の環境債務は
少なくとも数千億円になるのでは」。
株価への影響も懸念されるが、藤井良広・上智大教授は、
「全体像を開示することが、投資家の信頼につながる」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080121ddm002040054000c.html

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