(共同通信社 2008年1月22日)
感染すると致死率が50-90%と高く、ワクチンも治療薬もない
エボラ出血熱の原因であるエボラウイルスを
遺伝子操作で無毒化し、実験用の特殊な人工細胞の中でしか
増えないようにすることに、東京大医科学研究所の河岡義裕教授、
海老原秀喜・助教らが世界で初めて成功。
ウイルスの危険性が研究のネックだったが、
この無毒化ウイルスを使えば、治療薬探しなどの研究が進むと期待。
このウイルスを、ワクチンとして使う道も考えられる。
チームは、遺伝子からウイルスを合成する「リバースジェネティクス」
という手法を使い、エボラウイルスが持つ8個の遺伝子のうち、
増殖に欠かせない「VP30」という遺伝子だけを取り除いたウイルスを作製。
できたウイルスは、通常の細胞の中では増えず、毒性を発揮しないが、
VP30遺伝子を組み込んだサルの細胞の中でだけ増殖。
それ以外の見た目や性質は、本物のエボラウイルスと変わらず、
治療薬探しなどの実験に使えることを確認。
エボラウイルスを使った研究は、感染事故を防止するため、
宇宙服のような防護服を着用するなど、厳重な封じ込め措置が取られた
「P4」と呼ばれる研究施設でしかできない。
河岡教授は、「無毒化ウイルスは、通常の実験室でも扱えるため、
エボラウイルスの解明が大きく進むと期待できる」。
▽エボラ出血熱
エボラウイルスが原因の急性感染症。
重症化すると吐血、鼻出血などを伴う。
ワクチンや治療法はなく、感染者の致死率は50-90%。
1976年のザイール(現コンゴ)での集団発生が初の記録。
動物のウイルスが人の世界で広がった新興感染症の代表例、
保有動物は特定されていない。
ウイルスが、生物兵器テロに利用される恐れも指摘。
http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=66188
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