2007年12月24日月曜日

科学者として「研究の誠実性」の教育は重要

(nature ASia-Pacific)

著者資格としての不適切性からデータ偽造に至るまで、
科学における不正行為の事例は驚くほど日常的に発生。
新進の研究者に対し、何が許され何が許されないことであるのかを
確実に理解させるために手を尽くすべき。

ポスドクは、まだ指導下にありながら同時に指導するという
職業的立場にあることから、このような教育が特に重要。

特に、米国ポスドク協会(NPA)が指摘するように、
ポスドクは所属機関において、たいてい正式な地位にないため、
例えば誰が論文の筆頭著者になるべきであるとか、
いつどのように共同研究を行うべきであるとか、
自分が研究室を離れた場合のデータの扱い方のような問題を考える際に、
過労状態の(期待に応えてくれない、信頼できない)指導者に
頼らざるを得ない場合がある。

このような話題を切りだすのはおかしいと思われるかもしれないので、
多くのポスドクは日々の研究活動を優先させ、避けて通っている。

しかし、これらは研究の誠実性を損ないうる問題。
この問題に取り組むため、
NPAは、責任ある研究行為についての認識を向上させ、
教育を推進するためのプログラムに着手。

本プログラムにおける最初のシード助成金を発表。
12の大学およびポスドク協会に、研究の誠実性を狙いとした
率先的活動の支援を目的として、1,000ドルが支給。

例として、ボストンのマサチューセッツ総合病院ポスドク協会は、
指導者とポスドクの間で行われるランチ討論会の支援に、この資金を利用。

ペンシルベニア州のピッツバーグ大学は、この助成金を
「責任ある行為」に関する様々な問題についての協議を促す一助に。

このような議論は、問題に対してほとんどうわべだけの対処となり、
新たな実用的な勧告を生み出さないという危険性を常に孕んでいる。
しかし、あってはならない状況になっても、重要な成果は得られる。
それは、問題含みの領域に関する話題を人々に提供すること

この問題に取り組み始めなければ、
著者の決定や共同研究の計画といった問題が、
科学そのものと同じくらい複雑で困難なものになりうるため、
極めて大事なことかもしれない。

Nature Vol. 450, P. 129, 31 October 2007

http://www.natureasia.com/japan/tokushu/detail.php?id=59

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