(毎日 12月22日)
「五輪のときだけ『勝て勝て』と言われても、ふだんは満足に補助をしてもらえない。
スポーツ振興は国策でやってほしい」。
日本オリンピック委員会(JOC)選手強化本部の福田富昭本部長は、
現場の立場でスポーツの国策化を声高に訴えてきた一人。
今年度、文部科学省のスポーツ関係予算は186億1100万円。
文化庁の1016億5500万円(今年度)と比べて、著しく少ない。
福田本部長は、「スポーツは国民の生活に浸透しているのに、この差は何か」。
来年1月末には、東京都北区に初の国営施設となる
ナショナルトレーニングセンターが開設。
だが、施設利用料ばかりか、海外遠征など選手強化費も
3分の1を競技団体が負担。
財政基盤の弱い競技団体では、負担に耐えられず、
海外遠征などを返上する例も。
欧米などのスポーツ先進国では、国が全額負担するのが常識。
日本では、北京五輪を目前に控えても強化の現場は危うい。
戦後、日本のスポーツ強化は長く企業に支えられてきた。
しかし、90年代後半以降撤退が相次ぎ、次に切り札として期待されたのが
01年から販売が開始されたスポーツ振興くじ(toto)。
今年度はBIG(ビッグ)効果で、初年度の643億円に次ぐ
486億円(8日現在)に売り上げを伸ばしたが、
昨年度末時点で264億円ある累積赤字が重くのしかかる。
当面は、借金返済に傾斜せざるをえない。
そこで「国にお願いしたい」(福田本部長)との結論に。
福田本部長は、昨年春に国策論をうたったリポートを作成。
その理論を補強したのが、
16年東京オリンピック招致委の河野一郎事務総長(JOC理事)、
JOC情報・医科学専門委員会の勝田隆副委員長ら。
顔ぶれは、自民党の遠藤利明衆院議員の私的懇談会のメンバーと重なる。
その懇談会が8月にまとめた「スポーツ立国ニッポン」は、
自民党スポーツ立国調査会(麻生太郎会長)の議論のたたき台に。
スポーツ界は急速に政治と結びつき、
悲願の強化資金確保に向け歩みを進めている。
http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20071222ddm035050088000c.html
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