(サイエンスポータル 2008年2月19日)
国立大学法人の運営費交付金、私立大学の経常費補助金など、
経常的資金は年々減っている。
少子化の影響で学生数が減り、入学金や授業料収入の増加も難しい。
財政状況が悪いのだから、国立大学法人も影響を受けるのは仕方ない。
将来、運営費交付金がどうなるかはっきりしないので、
中期計画や長いスパンの計画が立てられない。
こうした逆境に立ち向かう国立大学の有効な手立てはあるか?
方策の一つとして、外部資金を増やす算段。
科学研究費補助金をはじめ、競争的資金は毎年増え続け、
競争的資金の獲得が大学の生き残る道の一つ。
何度も科学研究費補助金を獲得した経験のある教員が
講師を務める勉強会を開いたり、申請書の学内チェックを行うなど、
さまざまな取り組みに力を入れている。
これまで外部資金に縁がない研究者にも、頑張ってもらう狙い。
努力をしている大学とそうでない大学とで違いが出るが、
外部資金を得やすい大学と、運営費交付金に
頼らざるを得ない大学との分極化は避けられそうもない。
科学技術政策研究所は、大学の努力を定量的に評価した
初めての報告書「国立大学法人の財務分析」を公表。
基盤的資金、競争的資金の実態を中心に、国立大学の財務に関する
基礎データを整理、分析し、将来像を考える検討材料に。
報告書では、87ある国立大学法人の財務諸表、業務報告書から、
運営費交付金収益、施設費収益、自己収入(授業料、入学金、病院収入)、
外部資金関係収入(寄付金、受託研究・事業収益、補助金)などの“収入”と、
業務費(教育・研究・診療経費)、人件費、一般管理費、財務費用などの
“支出”を抽出し、大学の役割である「教育」、「研究」、「社会貢献」面で
どのような収入と支出があったかを分析。
基盤的資金(運営費交付金、施設整備補助金)に対する外部資金
(外部資金、科学研究費補助金)の比率を算出している個所がある。
旧帝国大学など大規模大学や、理工系中心大学では、
競争的資金の拡充とあいまって、外部資金の比率が高い。
13の大学が、40%超。
18年度決算では、トップは東京大学(70%)、東京工業大学(63%)、
東京農工大学(61%)、京都大学(60%)、大阪大学(59%)、
東北大学(55%)、奈良先端大学院大学(52%)。
一方で、教育大学や文科系が中心の大学では外部資金比率は低い。
「外部資金割合が20%未満の場合、
何らかの機能に特化しなければ、経営は厳しくなりそう」
外部資金収入の比率が20%に満たない大学の数は48と、全体の55%に。
http://www.scienceportal.jp/news/review/0802/0802191.html
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