(毎日 2月16日)
昨夏の世界陸上選手権大阪大会に、高校生でただ一人、
日本代表として出場した絹川愛=宮城・仙台育英高3年=が、
スポーツ用品メーカーのミズノに入社。
絹川は、「仕事として(陸上を)やっていく自覚を持たなければ」。
入社内定は1月。
これほど実績がある選手の進路決定が、年明けまでずれ込むのは珍しい。
一因は、昨春、豊田自動織機入社と同時に岡山大に入学した
小林祐梨子の実業団登録問題。
仙台育英高の渡辺高夫監督が、
「絹川の進路も、最優先は大学プラス実業団だった。
可能性を探るため、推移に注目していたのだが……。
進学は北京五輪後でも、競技生活が終わってからでも遅くないと
絹川本人には話している」
今春の定年退職後も引き続き絹川を指導する渡辺監督は、
登録問題について「それぞれ言い分があり、出口はない」。
ただ、日清食品の監督を務めた経験を踏まえ、こう指摘した。
「チームを持つ意味を社内の福利厚生に求めるなど、
企業の多くは視線が内に向いている。
駅伝だけでなく、選手を日本代表に送り込むことを
ビジネスとしてとらえることができないものか。
少し変わったことをしようとする選手や指導者を排除する体質も、
変えるべき時が来ているのでは」
進路や競技に取り組む価値を、金銭(年俸や給与)や待遇など
物質的な要素で判断する傾向に拍車をかけるとして、
ビジネスという考え方を疑問視する実業団関係者は多い。
小林や絹川は、高校時代から日の丸を背負った特例で、
従来の発想にとらわれない進路選択できるのも事実。
一方、注目度が高い選手の事例だからこそ、
他選手に与える影響が大きいという側面も。
「今は、彼女が道を開く形になっている。
しかし、未成年の小林自身が矢面に立つのはねえ。
五輪でメダル取得後、選手の権利を主張して戦った有森裕子とは立場が違う。
将来にプラスになるとは思えない」。
渡辺監督は、選択肢が広がる流れを支持しながらも、
小林が置かれた状況を憂慮する。
http://mainichi.jp/enta/sports/21century/
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