2008年1月14日月曜日

地域医療確保に追われた政府・与党_医師不足解消の転換点になるか

(じほう 2007年12月28日)

産科や小児科に代表される地域医療の勤務医不足問題で、
医療界が大揺れに揺れた1年だった。
「医療崩壊」の危機が叫ばれ、政府も医師確保対策の充実を最重視した。

「医療崩壊」(小松秀樹著)の出版は、2006年5月。
07年は、氏の警鐘が現実のものとなり、
内科などの基本診療科でも休止・撤退が相次いだ。

福島県立大野病院の産婦人科医師が、業務上過失致死と医師法違反に
問われた大野病院事件の初公判も07年1月にあった。
若手医師をはじめ、産科医不足を決定付けたこの事件の公判手続きは、
来年5月に終了する見通し。
地域医療崩壊を防ぐことは、政府も喫緊の課題と位置付け。

5月の「緊急医師確保対策」は、
<1>国レベルの臨時医師派遣システム構築
<2>勤務医の過重労働の解消
<3>女性医師らの職場環境の整備
<4>臨床研修病院の定員見直し
<5>医療リスクに対する支援
<6>医師不足地域に勤務する医師の養成
という短期や中長期的な6項目の施策を明記。その後の方向を決定付ける。

08年度の政府予算編成では、次期診療報酬改定で技術料に相当する
本体部分を8年ぶりに引き上げることが決まった。
「決して十分とはいえないが、勤務医の疲弊、産科・小児科・救急医療の危機が
少しでも救われることを期待したい」(日医会長の唐澤祥人氏)。

厚生労働省の08年度予算案も、医師不足対策予算として
倍増に近い約161億円を確保。
財務省の回答が、要求を3000万円上回る異例の予算編成。

一方、県立大野病院事件は司法が医療の現場に過剰に介入しがちな
現状を改善すべきという議論を喚起する契機に。
4月に「診療行為に係る死因究明等の在り方に関する検討会」が設置、
10月に政府(厚労省の第2次試案)、12月に与党(自民党検討会の報告)が、
死因究明を行う新制度の骨格を提示。

死因究明と再発防止を医療者自らが行う新制度の創設を、
「医療従事者が委縮することなく医療を行える環境を整えることは、
医師不足対策の一環としても重要かつ喫緊の課題」(自民党検討会)。

厚労省は08年度、医師不足対策予算の柱に掲げた主要項目
(医師派遣システムの構築21億円、病院勤務医の勤務環境整備等53億円、
女性医師等の働きやすい職場環境の整備21億円など)を推進。

医師不足問題解消に向けたターニングポイントとなった年。
07年が後にそう評価されるよう期待したい。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=65266

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