(毎日 1月5日)
今年、MOTTAINAIキャンペーンは3周年を迎える。
05年にノーベル平和賞受賞者でケニアの副環境相だった
ワンガリ・マータイさん(67)は、「もったいない」の日本語に共鳴し、
翌3月、キャンペーン名誉会長となって始まった。
地球温暖化の危機の中で、多くの人のライフスタイルに変化を生み出し、
国連とのタイアップにも広がっている。
割り箸の使い捨てをやめて、自分の箸を持ち歩く「マイ箸運動」を広める
全国行脚の旅を続けている名古屋市出身の神谷芝保さん(24)。
神谷さんは、05年6月に知人のマイ箸を見て衝撃を受けた。
「その人が見せびらかしていたお箸はすごくかっこよくて、
まさに『シャキーン』という感じでした」
割り箸の大半が中国から輸入され、いろいろな国の木材を使っていることや
工場で防腐剤が使われていることなどが分かってきた。
日本人1人が1年間に使う割り箸は、約200ぜん。
国内で約260億ぜん分の割り箸が年間に消費。
割り箸を使わないことが資源の浪費を防ぐためにも
健康のためにもいいと思い、マイ箸運動を広めようと決意。
神谷さんは、全国行脚のことを「マイ箸かけ箸の旅」と名づけた。
全国各地の環境問題に関心のある人々と交流し、
マイ箸の普及の運動の輪を広げるのが狙い。
マイ箸を持つことが、いかに森林資源を守ることになるかを説明する
自作の紙芝居と、市民団体「HAPPYまるけ」
(「まるけ」は、名古屋弁で「だらけ」の意味)などで作った
マイ箸セット約200ぜん分を携え、自転車で名古屋を旅立った。
5月中旬に東京に到着し、知人のお寺で紙芝居。
6月23、24日に青森県六ケ所村で開かれたアースデーに参加。
札幌市のカフェで紙芝居をし、旭川市や帯広市をめぐって8月に青森へ。
秋田県で手足がぴりぴりしてきて「おかしいな」と思ったら熱中症に。
「東北で熱中症にかかるなんて、やっぱり地球温暖化の影響?」
10月、塗り箸の生産量で日本一の産地、福井県小浜市に到着し、
村上利夫市長や市幹部を前に紙芝居を披露。
京都府や山陽地方を抜けて11月に福岡、12月に鹿児島入り。
「いろんな人と知り合えて、マイ箸の大切さを訴えることができた。
いつも使っているお箸が自分に届くまでの過程を知れば、
無駄遣いも減るはず。みんながマイ箸を通じてつながり、
ハッピーになればいいですね」。
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国連広報センター(東京)所長の幸田シャーミンさんは、
「今、地球温暖化防止は国連にとって最重要課題。
日本からマータイさんと一緒に発信しているMOTTAINAI精神を大切にしたい」。
国連総会議長のスルジャン・ケリムさん(マケドニア)は
親日家で昨夏来日し、日本語「もったいない」に関心を持った。
幸田さんは、「ありがたいという感謝の気持ちを込めた言葉」と説明。
幸田さんは、シンポジウムを通じてマータイさんの包容力、行動力に魅了。
リデュース(ゴミ減量)、リユース(再使用)、リサイクル(再資源化)と
リスペクト(感謝の心)を込めたMOTTAINAIが存在感を主張し、
改めて多くの人たちに感銘を与えている。
「私自身、生活全体で環境に負荷をかけないよう心がけている。
自宅はソーラー発電、窓はペアガラスなど高断熱で
エネルギー消費の節減と節水、移動はできるだけ公共交通機関を使う。
自分にとってのムダを省きたい」。
幸田さんは、マニキュアをしていない。
今、焦眉の急は地球温暖化問題。
7月には、環境を主要テーマとする北海道洞爺湖サミットがある。
「ケリム議長、潘基文(バンギムン)事務総長らが全力で取り組んでいる。
安全保障理事会でもテーマとなり、世界の安全保障の問題に」。
昨年のノーベル平和賞をアル・ゴア前米国副大統領とともに受賞した
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)議長、パチャウリさんは
「事務総長から温暖化防止の熱意がひしひしと感じる」。
それだけに、国連広報の日本担当者として責任は重い。
一方でMOTTAINAIキャンペーンは、昨春からキャッチフレーズ
「MOTTAINAIが地球温暖化を止める」を強く打ち出した。
来月、国連シンポジウム「地球が危ない!人間が危ない!
ストップ・ザ・地球温暖化」が行われる。
「政府、市民、マスメディア、研究者、企業らがグローバルな視点で
取り組んでいかなければならない。
日本は、環境関連技術が先進的なので、それを世界に役立てていけるし、
MOTTAINAIでキャンペーンを展開することはとても有用だ」。
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風の音や虫の声、水のせせらぎなど暮らしの中から姿を消しつつある
懐かしい「音」を集めて紹介する新コーナー
「MOTTAINAI SOUND」が、
MOTTAINAIオフィシャルウェブサイト(http://mottainai.info/)に登場。
このコーナーは、ミュージシャンの守時タツミさんが
「100年後になくなってしまうかもしれない地球上の音を残しておこう」と発案。
さまざまな場所で収録した自然の音や画像に、
守時さん自身のピアノの演奏を加えて表現。
第1弾として、観音崎海岸の波の音と上賀茂神社のセミの声をアップ。
ピアノの演奏で引き立つ自然の音を楽しむことができる。
守時さんは、音と日本古来の童話を組み合わせた絵本を発表する予定。
「普段の暮らしでなかなか接することができない自然の音を楽しんでほしい」。
http://mainichi.jp/select/science/news/20080105ddm010040150000c.html
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