(Medscape 1月3日)
身体活動度が高いと卵巣老化に伴うストレス、不安、うつが軽くなるが、
血管運動症状は軽くならない、という研究結果が明らかに。
テンプル大学(ペンシルバニア州フィラデルフィア)のDeborah B. Nelsonは、
「身体活動は、閉経に関連する血管運動症状、不安やうつなどの
精神症状の予防緩和によいと言われてきたが、
身体活動の効果に関する根拠が多様化してきた。
身体活動の血管運動症状の予防緩和効果を検討した研究は様々あるが、
うつ、ストレス、不安に対する身体活動の役割を評価した研究は少ない」。
Penn Study of Ovarian Aging studyは、
1週間に消費したカロリー(kcal/週)を目安とする身体活動度が
閉経症状のリスク低下に関連するかどうかを、
アフリカ系アメリカ人および白人女性で調べた研究。
ほてり、うつ、不安、ストレス、血管運動症状、生理的症状、身体症状などの
閉経症状と身体活動度について、8年間で女性401人を評価。
身体活動度で女性を3群に分割した場合、週当たりの消費カロリーは
上位群1450 kcal以上、中間群644潤オ1450 kcal、下位群644 kcal未満。
共変量およびホルモン濃度で補正した回帰モデルにより、
精神症状および血管運動症状に対する身体活動の独立効果を推定。
結果は閉経状態、人種、喫煙状況により層別化。
全体的解析では、自覚ストレスのみが身体活動度と関連。
活動度下位群の女性と比べて、中間および上位群の女性は
ストレスの平均レベルが低かった。
閉経段階による解析では、活動的でない閉経女性に比べて
活動的な閉経女性は不安、ストレス、うつ症状の平均レベルが持続的に低い。
ホルモン変化のばらつきについての補正後、身体活動度とほてりに
明らかな関連性はみられなかった。
「8年間追跡した結果、地域住民女性コホートにおいて、
身体活動度の高さと、ストレスの低さは関連があった。
同じ閉経女性群でも、あまり動かない女性と比べて、
体をよく動かす女性は不安、ストレス、うつが最も軽度」。
同研究の限界は、現在うつ症状がある女性の率が低いこと。
サブグループにおける閉経症状と身体活動との関係の検出力が十分でない。
8年間の追跡期間で、身体活動の評価は約2年毎に実施。
身体活動とほてりの報告が患者の自己申告であった、
1週間に消費したカロリーを推計する身体活動の質問数が限られていた、
身体活動と閉経症状の評価が横断的であった、
現在の身体活動のほてり重症度に対する影響を評価できなかった、
神経症傾向や対処行動の型など性格に関するデータが不足していた、
他の補完代替療法の利用について補正できなかった、などの限界。
「この結果は、閉経移行期および閉経後に体を動かし続ける、
または活動量を増やすことが、不安、ストレス、うつなど
様々な精神症状の軽減の一助となる可能性を示唆。
血管運動症状に及ぼす身体活動の影響に関して、
文献の研究結果が異なっているのは、
定期的運動によって変動する内因性生殖ホルモンの差が原因。
この仮説を検討するには、最終月経の前後に幅広い強度の身体活動を
行うことで、血管運動性閉経症状にどのような影響があるか、
生殖ホルモン測定などで研究する必要がある」。
Med Sci Sports Exerc. 2008;00:000-000.
http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=65526
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