(毎日 1月19日)
陸上女子千五百メートル日本記録保持者の小林祐梨子(豊田自動織機)が
実業団選手登録を求めている問題は、
小林側と日本実業団陸上競技連合の考え方が平行線のままで
解決の糸口が見えない。
背景を探ると、競技団体のあり方や規程が合わなくなった現状も浮き彫りに。
小林は、昨春に神戸市の須磨学園高を卒業。
豊田自動織機入社と同時に、社内留学制度で岡山大理学部に入学。
「実業団で競技をしながら、教養も身につけたい」と望んだ小林の選択は、
実業団か大学の一方を選ぶという進路の慣例を破った。
想定外のケースに、実業団連合は昨年3月の理事会で議論。
小林を「勤務実態がなく、実質的に企業の管理下にもない」と判断、
登録を認めなかった。
根拠は、同連合の登録規程の2項目。
第2条「当該事務所に在籍して引き続き勤務の見込みのある者」と、
付則6「実業団に在籍する選手が進学する場合は
チームの了解・退部証明書を得なければならない」。
付則6は、70~80年代に増えた大学からの選手引き抜きを防ぐ規程。
だが、議論の中で適用の対象が再確認され、小林も抵触すると判断。
豊田織機の平林裕視監督は、
「雇用契約上、小林にとって陸上は勤務そのもの」と反論。
代理人の望月浩一郎弁護士は、小林が昨年4~12月の258日間に、
陸上に1223時間半、大学で360時間を費やしたことを示し、
「勤務後に夜間部に通う実業団選手と変わらない」。
多くのスポーツで、実業団選手が競技に専念する割合が増えている現状では、
小林だけが特殊ではないとの主張。
豊田織機の指導委託を受ける佐倉アスリート倶楽部の小出義雄代表も、
「優秀な選手を、実業団の高いレベルで競わせ育てることも大人の役目」。
実業団連合にも、時代に合わせて規程の見直しを進める動きがあるが、
友永義治理事長は、
「小林さん一人のために規程を変えたり、議論を急ぐことはできない」。
http://mainichi.jp/enta/sports/21century/
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