(読売 6月28日)
地元の住民が、積極的に留学生と触れ合う活動も広がっている。
日本有数の米の産地、新潟県南魚沼市。
世界各国の国旗が描かれたガードレールのある道を走り抜けると、
国際大学の建物が見える。
元日本興業銀行頭取の中山素平氏が設立に尽力し、
財界の支援で1982年に設立された大学院だけの大学。
約50か国からの約250人が、国際関係や国際経営学などを学んでいる。
6月のある晴れた日、留学生15人は大学近くの農家を訪れ、
はだしになっておそるおそる水田に足を踏み入れると、
腰を曲げながら苗を植えていった。
留学生も農家の人も泥だらけになり、自然に笑みがこぼれる。
国際大の留学生と地域の懸け橋になろうという任意団体「夢っくす」が
企画した田植え体験ツアー。
留学生は、用意された山菜料理に舌鼓も打ち、
集落に伝わる踊りも一緒に踊った。
夢っくすは、地元の主婦や会社員ら、18歳から76歳までの約130人が会員。
2002年に設立、大学内の学生寮に併設された「夢っくすサロン」を拠点に活動。
会員は、いつでもこのサロンを借りることが出来、留学生向けの日本語教室や、
地元住民向けの英語や中国語の会話教室が開かれている。
設立に中心的な役割を果たした元同大職員、武田里子さん(52)は、
「普段の生活で日本語を使う機会が少ないと思っている留学生と、
英語を練習したがっている日本人で互いに教え合い、
交流の障害となっていた言葉の壁を逆に、交流のきっかけにしたいと思った」。
活動の核が、日本語チュータープログラム。
会員が授業で分からなかった日本語や、日本語試験の復習を手助けする。
現在会員40人に対し、50人の留学生が登録、
週1回1時間程度、留学生と「サロン」で落ち合う。
仲良くなった会員と留学生が、個人的に連絡を取り合った別の活動も。
サッカー観戦、着物の着付け教室、茶道教室、中国語会話教室など様々。
定期的につながりがあるからこそ、田植えや稲刈り、小旅行といった
季節ごとのイベントも盛り上がりを見せる。
留学生の妻の出産時に、会員が一緒に病院に行って通訳したことも。
会員に最も人気があるのは、留学生による英会話教室。
留学生には、謝礼も支払われる。
5月の教室には、近所の主婦ら8人が参加し、講師を務めるネパール人留学生の
アルナ・パンタさん(35)から英語の表現上の助言を受けた。
3年半この教室に通う今成透さん(76)は、
「楽しくて仕方ない。英語はぼけ防止には一番いいよ」と笑う。
「夢っくすがなければ、交流なんて出来なかった。
あっと言う間にさみしくなくなった」とアルナさん。
夢っくすの活動は、留学生と住民をどうつなぐかの一つの答えを示している。
◆日本語教育
大学入学前、国費留学生は国立大の留学生センターで、
私費留学生は大学付属の留学生別科で日本語教育を受けることが多い。
昨年の時点で、留学生別科は61大学、留学生センターは54大学。
民間の日本語教育機関は2006年12月現在、390あり、3万人余が在籍。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080628-OYT8T00321.htm
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