(東海新報 7月1日)
気仙地域の実践的まちづくり講座「ケセンきらめき大学」(田村満学長)
の公開講座が、東海新報社で開かれた。
講師の大山由美子・丹青研究所部長は、全国の先進事例を紹介、
エコミュージアムの理念を解説。
地元資源を発掘する「住民の記憶の収集」を出発点に、
自然保護と人の生活が両立する“気仙まるごと博物館”の新たな展開を提唱。
講座には、同大学生ら二十人余りが出席。
午前中は講義、午後は地元資源を掘り起こし、
誘客ストーリーまで考えるワークショップ。
鈴木迪雄・全国生涯学習まちづくり協会コーディネーターは、
「気仙には、世界に発信できる素材がたくさん眠っている」と、
地域資源の活用を強調。
大山氏は、1979年名城大理工学部卒。
89年に丹青研究所に入社、現在は文化空間企画開発研究部長。
15年前、旧三陸町で展開された“まるごと博物館”を主唱した経緯もあり、
講座ではエコミュージアムの理念と実践例、気仙での展開まで話を進めた。
エコミュージアム発祥は、1960年代のフランス。
パリへの文化一局集中を反省し、地方の文化遺産を
地方の自然の中で見る運動が始まり、
それが地方の観光振興と活性化にも貢献したことから世界に広まった。
エコはエコロジー(生態学)、ミュージアムは博物館の意味で、
日本では20年前から各省庁がこの考えを導入。
現在、全国では100カ所ほどの地域で活動。
四国のあさん(阿波・讃岐)ライブミュージアムでは、
吉野川流域の3町で「広域青空博物館」を構想。
藍染め体験やサトウキビ利用の和三盆糖生産、
山仕事の人たちが集団で食べていた「たらいうどん」の特産化などで集客。
三重県鳥羽市では、水族館中心の観光を反省。
「青都とば生活・環境博物館」として、黒潮や真珠、海女、昔の水軍、
小説の舞台などを掘り起こした活動を展開。
兵庫県豊岡市では、「コウノトリ翔る地域まるごと博物館」として活動。
コウノトリが暮らせる無農薬農業でのエサ確保、営巣ができる松の木保全、
電線地中化などで生態系を再構築。
子どもを運んでくるトリにあやかった神社のお札にも人気。
大山氏は、「自然保護だけでは人は生活できず、
鳥も人も生活もの視点が大切。
生態系を守ると、安心・安全な産物として収入にもつながる。
気仙にも多彩な資源があり、住民の記憶の収集を出発点に
連携、発信、郷土愛創造へと進んでほしい」、
気仙全体での“まるごと博物館”展開を期待。
齊藤俊明大船渡市観光物産協会長は、
「気仙の将来は、大変な事態が想定されている。
個々に取り組んでいるまちづくり活動を、一本化する時期と実感」。
http://www.tohkaishimpo.com/
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