(サイエンスポータル 2008年7月3日)
女性の学歴は、トップグループにあるにもかかわらず就業率は低い。
経済開発協力機構(OECD)が発表した2008年版「雇用アウトルック」で、
日本の男女雇用平等が、先進国中でまだまだ遅れた状態にあることが
あらためて明らかになった。
女性の就業率の低さについて、OECDは
「貴重な人材を著しく無駄にしていることになり、特に人口高齢化の進展という
現状を考えると、早急に対策を講じる必要がある」。
OECDの発表によると、25-54歳の日本女性の学歴は男性と変わらず、
OECDの中でトップグループ。
2005年の高等教育履修率は、OECD平均が28.5%に対し、日本女性は42.5%。
日本より上はフィンランド、カナダの2カ国。
しかし、この年齢層の女性の就業率を見ると、67.4%にとどまっており、
スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランドなど
OECDのトップグループを約15ポイントも下回っている。
日本の男性の就業率は約93%に上り、OECDの中でアイスランドとメキシコに
次いで第3位だから、男女格差が余計目立つ。
女性就業率が低い理由についてOECDは、
育児支援の不足、若年層の母親が働く財政上のインセンティブ不足、
労働市場における差別が大きく影響。
「日本では法律上、差別を立証する責任は原告にあるが、
証拠はすべて被告である雇用主が押さえているのが普通。
オーストラリア、カナダ、米国など多くのOECD諸国は、
平等推進機関に強力な調査権限が付与されている」
原告による差別の証拠集めを支援する策の不備など、
男女差別を禁止する法整備の遅れを指摘。
日本の男女雇用平等は、特に科学技術分野で大きな課題。
2006年にスタートした第3期科学技術基本計画でも、
「女性研究者支援」は重点施策にあげられ、
文部科学省がモデル大学を選び予算をつけるなど、
研究者支援が少しずつ進みつつある。
OECD東京センター
http://www.oecdtokyo2.org/pdf/theme_pdf/employment_pdf/20080701employment_japan.pdf
http://scienceportal.jp/news/daily/0807/0807031.html
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