2008年8月13日水曜日

日本に根付く?南国生まれの新バイオ燃料

(読売 8月1日)

中南米生まれの「ジャトロファ」という木が、
新参のバイオ燃料として世界から注目。
聞き慣れない名だが、日本人との付き合いは案外古い。
国内でも栽培する人が現れた。将来性はどうなのか?

「地元でできた油で、漁船を動かせれば」と夢見るのは、
石油などに代わる燃料の開発に取り組む特定非営利活動法人
「なでしこふぁみりー」(東京)理事長の薗部みどりさん(58)。

漁船のディーゼルエンジンに使おうと、
漁業が盛んな東京・伊豆諸島の八丈島に昨年、地元の人らと
ジャトロファの苗約800本を空き地などに植えた。

台風と寒波に見舞われながら一部が花を咲かせ、秋には実もできそう。
これまでに全国約30か所に種を送り、試験栽培の輪を広げている。

水道工事会社経営の傍らバイオ燃料事業に取り組む
東京都日野市の加藤信雄さん(59)は、
「減反などで、各地に広がった休耕地を利用できる」。

どの地域でよく育つのかを見ようと、今春から熊本、香川、栃木県の
知人に種を送り、プランターなどで栽培。

ジャトロファは、東南アジアやアフリカなどに育つ高さ3メートル以上の
落葉樹で、和名はナンヨウアブラギリ。
梅の実ほどの大きさの実を付け、中の黒褐色の種を搾ると、
3~4キロ当たり約1リットルの油が取れる。

実に毒があり、食用にならないため、需要が増えても、
トウモロコシなどのように穀物価格の上昇につながらない。
荒れ地や乾燥地でも育つので、森林を破壊してまで植えなくていい。

燃料不足に苦しんだ旧日本軍も、目を付けていたらしい。
インドネシアの英字紙「ジャカルタ・ポスト」は2年前、
バイオ燃料に関する記事で、旧日本軍が戦車や飛行機に使おうと、
同国で栽培を奨励していたと紹介。
八丈島では、「零戦用に、近縁のトウゴマを栽培しようとしていた」。

バイオ燃料に詳しい東京大大学院の芋生憲司准教授(生物機械工学)は、
国内での栽培は、「冬の寒さが厳しくない所なら十分可能」、
大々的な事業展開は「人件費が高い国内では難しい」。
「エネルギーの地産地消や地域活性化策として、
小規模にならやっていけるのでは」。

農林水産省も、「食糧生産と競合せず、農地が活用できる」、
資源の少ない日本を少しは助けてくれそうだ。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20080801-OYT1T00350.htm

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