(読売 8月13日)
1泊2日で、観光学の一端に触れる取り組みがある。
夏休みに入ったばかりの観光地・神戸ハーバーランドを、
高校生4人が、神戸夙川学院大学の学生や教員と歩いていた。
同大のオープンキャンパスの参加者たち。
17人が4グループに分かれ、それぞれ神戸の街に繰り出した。
各グループには課題が与えられていた。
ハーバーランド組の4人は、「神戸は外国人旅行者にとって歩きやすいか」。
「お店の案内が日本語だけって、不親切だよね」。
参加者の一人、相馬寿美さん(18)が案内板を指さすと、
傍らにいた友好崇暢君(18)が、大学から貸し出されたカメラで写真を撮る。
「日本語のほかに、何か国語ぐらい表示してあればいいと思う?」。
すかさず指導役の大学生が質問を投げかけた。
同大は、観光文化学部だけの単科大学として2007年に開学。
1、2年次では、観光都市・神戸の街の魅力と課題を見極め、
観光学的視点から提言をする「調査研究」が必修科目。
オープンキャンパスで授業を疑似体験させるこの企画は、
開学前年の06年から、1泊2日で行われている。
大学に戻ると、高校生らは引率教員の研究室で議論を深め、
翌日の発表のための資料を作る。
夕食を挟んで、さらに作業を続け、ホテルに着くのは午後9時過ぎ。
翌日も午前11時からの発表会に備えて、
朝から打ち合わせをするハードなスケジュール。
発表会には、教授陣のほか、学外から観光関係者も見学に訪れる。
指導役の大学生も高校生も、少しでも良い発表をしようと、
模造紙にイラストを描き込むなど、発表の手法にも工夫を凝らす。
友好君は、「小中高とは、勉強の仕方が全然違う」
入試広報担当の植松幹雄課長(38)は、
「学生にとっても、日ごろの勉強の意味を再認識できるし、
指導する側に回ることで、より理解が深められる」
1泊2日型オープンキャンパスの今年の参加希望者は、約120人。
7~9月の週末に計4回開催。
7月19、20日の初回は島根県から、8月2、3日の2回目には
福岡県や愛知県からの参加者も。
この2年間で、説明会や学内見学を組み合わせた通常のオープンキャンパス
参加者の出願率が5割未満なのに対し、
1泊2日のオープンキャンパス参加者の出願率は7割超。
入学後も、勉学意欲がかなり高い。
観光系に焦点を絞り、いくつかの大学のオープンキャンパスに
参加しているという相馬さんは、「良いところばかりを強調したり、
遊びのような内容だったりの大学にはがっかりしていた。
入学後の勉強がイメージできてよかった」
バラ色のキャンパスライフだけを見せていても、高校生の心はつかめない。
◆観光系の学部
4年制大学では、立教大が観光学科を1998年に観光学部に
改組したのが第1号。
政府が2003年に、日本を訪れる外国人旅行者を倍増させる方針を
打ち出したこともあり、城西国際大(06年)、和歌山大(08年)など、
観光学部を設ける大学が増加。
現在、観光関連の学部や学科を持つのは37大学。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080813-OYT8T00236.htm
0 件のコメント:
コメントを投稿