2008年8月29日金曜日

岩手大、中国へ技術移転 県内企業進出に光

(岩手日報 8月27日)

岩手大は、同大工学部が開発した高強度鋳鉄製造技術を、
中国・大連市の鋳造メーカー大連四達鋳造有限公司に
「技術移転」する方向で、同社と大筋合意。

日本では、既に企業で取り入れられ、自動車用エンジン部品製造に
使われている技術だが、同社は建設用工作機械製造などに応用する。

中国との経済交流は、国情の違いもあって、
地方企業が中国企業とビジネス契約を結ぶのは難しく、
同大が懸け橋となり、県内企業のビジネスチャンスを広げる。

日本の大学が、中国の企業に技術移転するのは先駆的な試み。
技術移転を進めているのは、岩手大工学部の堀江皓客員教授が開発した
高強度、軽量化の鋳鉄製造技術。

岩手大は今年3月、大連理工大、大連四達鋳造有限公司と
技術移転に向けた協定書を締結。
8月上旬、堀江教授らが訪中した際、同社が製品化に向け技術を
買い受ける方向で合意。金額については調整中。

今回の技術移転が正式決定し、中国で実用化に成功すれば、
「岩手発」の技術に信用が高まり、本県の鋳物企業などが
中国進出する可能性も高まる。
堀江教授は、「協定締結後、第1号の大きな成果だ」。

岩手大は2003年、大学と大学、地域と地域が産学官連携を深め、
国境を越えたビジネスチャンスを創出する「UURRプロジェクト」を開始。
05年に、大連理工大と学術交流協定を締結。
今年3月の協定締結は、同理工大が橋渡し役。

岩手大の国際連携・技術移転室長の小野寺純治教授は、
「大学間の交流から企業を巻き込み、技術移転で海外企業の信頼を
得ることで、県内企業の中国展開、地域産業振興にもつながる。
双方にとってメリットは大きい」と意義を強調。

◆高強度鋳鉄製造技術

鋳鉄のうち、振動吸収や切削、熱伝導、耐摩耗などに優れている
片状黒鉛鋳鉄の高強度化、軽量化を図る技術。
岩手大の堀江皓教授が開発、このノウハウを今回、中国の企業に移転。

片状黒鉛鋳鉄は、国内で年間300万トン程度生産され、
自動車エンジンのシリンダーブロックやピストンリング、ブレーキディスク、
工作機械などに使われている。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080827_3

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