(岩手日報 8月27日)
岩手大は、同大工学部が開発した高強度鋳鉄製造技術を、
中国・大連市の鋳造メーカー大連四達鋳造有限公司に
「技術移転」する方向で、同社と大筋合意。
日本では、既に企業で取り入れられ、自動車用エンジン部品製造に
使われている技術だが、同社は建設用工作機械製造などに応用する。
中国との経済交流は、国情の違いもあって、
地方企業が中国企業とビジネス契約を結ぶのは難しく、
同大が懸け橋となり、県内企業のビジネスチャンスを広げる。
日本の大学が、中国の企業に技術移転するのは先駆的な試み。
技術移転を進めているのは、岩手大工学部の堀江皓客員教授が開発した
高強度、軽量化の鋳鉄製造技術。
岩手大は今年3月、大連理工大、大連四達鋳造有限公司と
技術移転に向けた協定書を締結。
8月上旬、堀江教授らが訪中した際、同社が製品化に向け技術を
買い受ける方向で合意。金額については調整中。
今回の技術移転が正式決定し、中国で実用化に成功すれば、
「岩手発」の技術に信用が高まり、本県の鋳物企業などが
中国進出する可能性も高まる。
堀江教授は、「協定締結後、第1号の大きな成果だ」。
岩手大は2003年、大学と大学、地域と地域が産学官連携を深め、
国境を越えたビジネスチャンスを創出する「UURRプロジェクト」を開始。
05年に、大連理工大と学術交流協定を締結。
今年3月の協定締結は、同理工大が橋渡し役。
岩手大の国際連携・技術移転室長の小野寺純治教授は、
「大学間の交流から企業を巻き込み、技術移転で海外企業の信頼を
得ることで、県内企業の中国展開、地域産業振興にもつながる。
双方にとってメリットは大きい」と意義を強調。
◆高強度鋳鉄製造技術
鋳鉄のうち、振動吸収や切削、熱伝導、耐摩耗などに優れている
片状黒鉛鋳鉄の高強度化、軽量化を図る技術。
岩手大の堀江皓教授が開発、このノウハウを今回、中国の企業に移転。
片状黒鉛鋳鉄は、国内で年間300万トン程度生産され、
自動車エンジンのシリンダーブロックやピストンリング、ブレーキディスク、
工作機械などに使われている。
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080827_3
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