(読売 8月15日)
志望者やその保護者に、ありのままの姿を見せようとする大学がある。
「うちの大学は忙しい。実験や実習が多くて、夏休みは1、2週間しかないが、
その分将来への不安はない」
「おしゃれしてブランド品を持って、というような女子大のイメージは全くない」
埼玉県坂戸市で、女子栄養大学のオープンキャンパスが行われ、
オレンジ色のTシャツを着た学生2人がマイクを握った。
3年の高瀬麻梨香さん(20)と2年の秋山加奈さん(20)。
教室には、志望者の保護者ばかり約200人が集まった。
司会役の染谷忠彦常任理事(65)が、
「駄目なところを言っていいんだよ」と促すと、
2人とも「学費が高いところですね」と苦笑い。
保護者からは、「1週間の時間割は?」、「生活費はどうしているか」
といった質問が飛んだ。
保護者対象の説明会で、学生が大学生活について話す取り組みは
昨年から始まった。
「キャンパスに来て、保護者は何を見て真実と感じるか。
学生にありのままに話させるのが一番いい。
業者が入る形態が増えているが、それは着飾った姿。
手作りでそのまま見せればいい」と染谷さん。
2人とは、話す中身について事前に打ち合わせもしなかった。
2007年の管理栄養士の国家試験合格者は、223人で全国トップ、
臨床検査技師も52人が合格。
養護教諭や家庭科教諭の採用試験対策を実施するなど、
様々な資格が取得できるカリキュラムを備え、学生の目的意識は高い。
入学定員約600人の小さな大学のオープンキャンパスに、
昨年度は8日間で計約5500人が訪れた。
今年は9日間に増やしたが、取得できる資格の説明や、
職員や教授、学生による個別相談が中心で、派手な催しはない。
料理と皿のコーディネートなど、体験セミナーはごくわずか。
予算は、学生へのアルバイト代、配布資料代など約500万円だけ。
7月26日には授業も行われ、教室が数百人の学生で埋め尽くされていた。
ありのままを見せると同時に、大学側が重視するのが保護者へのアドバイス。
保護者説明会では、染谷常任理事が
「過保護になりすぎないで。
少子化時代の今は、学校の先生でなくて、最後は親の助言が重要。
過去の経験にプラスして今の大学がどうなっているかを知り、
子供に助言して下さい」と語りかけ、
オープンキャンパスを親子別々で見ることや、
普段の大学の様子を見学することを勧めた。
訪れた親子に好評だったのが、大学が独自に運営し、
健康管理を重視する食堂でのランチ。
もちろんメニューは普段と変わらない。
この日の人気メニューは、サバのから揚げサルサソース、
きんぴらごぼう、胚芽米ごはん。
素朴なオープンキャンパスの裏に、大学側の自信がうかがえた。
◆管理栄養士
大学・短大の学科や専攻など、厚生労働相指定の養成施設を卒業すると、
都道府県知事から免許が交付される栄養士に対し、
管理栄養士は国家試験に合格する必要。
病院の献立作りは栄養士も出来るが、保険診療での栄養食事指導は、
管理栄養士が行う。
養成施設は、中村学園大(福岡)、武庫川女子大(兵庫)など112校。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080815-OYT8T00201.htm
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