(読売 8月16日)
オープンキャンパスの業者委託が、在校生を刺激した。
初日、午前9時の気温が30度超。
中央大学には、最高の来場者数となる約7400人が詰めかけた。
その熱気の中で、法学部4年の飯島綾佳さん(22)が
「キャンパス、広いでしょ。勉強と遊びの両方を楽しめますよ」と
明るい声で大学自慢を始めた。
中大のオープンキャンパスは、前から学生が主役。
大学職員と一緒に計画を立て、サークル紹介までしている。
今年は、3日間で140人の学生が参加。
飯島さんは、2年続けて学生リーダーを務めるベテラン。
高校生が、「学生のガイドは親近感があり、わかりやすかった」。
飯島さんは、「こんなに大勢の来場者に感激」と笑顔でこたえる。
その表情に、昨年の屈託はなかった。
中大がオープンキャンパスの原型となる進学相談会を始めたのは、1984年。
広報担当の職員と学生数人だけで、切り盛りするこぢんまりした会。
担当職員も卒業生が多く、部屋は自然と学生のたまり場に。
そのうち、「自分たちで大学を紹介しよう」と話が盛り上がり、
高校生の申し込みを受けて学内を案内する「ツアーコンダクター」が始まった。
相談会も、キャンパス全体を使った大がかりな催しへと模様替え。
来場者の急増で、大学側は安全対策に頭を悩ませ、
昨年から誘導などをイベント業者に委託。
他大学では、企画から運営まで一括して請け負った実績を持つ業者だが、
中大では限定的な委託にとどめた。
しかし、学生スタッフには寝耳に水。
当日、受付係の学生と業者が、立つ場所を巡って険悪なやりとりをする場面も。
夜の反省会では、学生から「オープンキャンパスはだれのもの?」、
「何で私たちが企業に使われるの」と不満が噴き出した。
同時に、学生たちは思い知らされていた。
食堂でいつもの混乱がなかったのは、イベント業者が混雑状況や売店の場所を
的確に把握して放送したため。
特設案内所を、目立つ場所に置いたのも好評。
道に迷う来場者にいち早く声をかけていたのは、学生ではなく業者。
「主役は、来てくれる高校生。学べるところは学んで、協力していこうよ」。
飯島さんの一言で、ようやく学生たちに笑顔が戻った。
今年は、事前研修が3回開かれ、業者も同席。
席上、大学の広報担当者が「みんなで力を合わせなければ、うまくいかない」。
「『大学生になったらこんな人になりたい、ここで学生生活を過ごしたい』と
高校生に夢を持ってもらえる1日にしたい」と飯島さんは意欲を燃やす。
夏の大イベントは、学生の成長を促す場ともなっている。
◆進路選択まず「何を学ぶか」
全国高等学校進路指導協議会では、
〈1〉得意教科や将来の仕事などから志望校を検討
〈2〉情報を集めて比較
〈3〉入試制度を整理
〈4〉費用や保護者との話し合いなど、進学条件の整理
の4段階を踏まえた進学先選びを勧める。
オープンキャンパスは情報収集の機会だが、
同協議会の千葉吉裕事務局長は、「何を学びたいか、どんな夢を持っているか、
自分自身を把握していることが大切」と助言。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080816-OYT8T00197.htm
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