「上に参ります。次の階は宇宙でございます」――
長さ約10万キロのケーブルをよじ登って、ロケットを使わず、
そのまま宇宙へと飛び出す「宇宙エレベーター」の研究団体が日本で結成。
海外の研究者を招き、11月に第1回国際会議を東京で開催。
従来は、SFの世界の乗り物とみなされてきたが、
ナノテク新素材の開発によって実現の可能性が見えてきた。
宇宙エレベーターとは、赤道の上空、高度約3万6千キロに浮かぶ
静止衛星から地上に向けてケーブルを垂らし、それをガイドとして利用、
宇宙との間を昇降するエレベーター型宇宙船のこと。
宇宙との間を昇降するエレベーター型宇宙船のこと。
バランスが取れるように、静止衛星から地球と反対方向の宇宙にも向けて
ケーブルを伸ばすため、その総延長は月までの距離の約4分の1に。
ケーブルは、静止衛星と共に宙に浮いた状態となるので、
よじ登っても落ちてこない。
地球の重力を脱出する燃料がいらないので、宇宙旅行のコストが
約100分の1になると見込み。総建設費は、約1兆円の予定。
SF作家の故アーサー・C・クラークが、小説「楽園の泉」で紹介して
有名になったが、実現は不可能に近いと考えられてきた。
どんな素材でもその重さに耐えきれず、ケーブルが途中で切れてしまうから。
計算上は、鋼鉄の約180倍もの強度が必要。
日本宇宙エレベーター協会会長で、IT会社社長の大野修一さん(40)は、
軽くて強いカーボンナノチューブが開発され、
必要強度の約4分の1の強さの繊維がすでに造られている。
米国では、米航空宇宙局(NASA)が賞金を出すコンテストも開かれている。
大野さんは、「海外旅行感覚で、誰でも宇宙にいけるようになる。
放射性廃棄物の太陽への投棄や、太陽光発電衛星の設置など
いろいろな利用案も出されている」。
約50人の会員の中には、大学教授や宇宙関連産業の技術者も。
来年には、ケーブルを昇る模型の速さを競う国内大会を開催する計画。
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