(毎日新聞社 2008年9月17日)
北京五輪でスポーツに魅了された夏が過ぎ、
秋には子どもの運動会や地域のスポーツ大会が催される。
普段は仕事で忙しい大人にも、出番が回る機会が増えそう。
学生時代にスポーツに打ち込んだ体力自慢であっても、過信は禁物。
思わぬけがに注意したい。
福岡県古賀市の会社員、吉田英治さん(56)は、
約15年前の親子サッカー大会で苦い経験をした。
ゴールを守る吉田さんに、相手の子どもが正面からシュート。
手で防ぐか、足でクリアするか?「どう動くか、判断に迷ってしまった」。
迷いは不安定な動きにつながり、地面で足をひねった。
右足首を骨折する3-4カ月の大けが。
学生時代はバスケットボールや柔道に励み、社会人になっても
地元ソフトボールクラブに所属し、自信はあった。
「出張から帰った翌日だったし、サッカーにも慣れていなかった」。
厚生労働省の国民健康・栄養調査(06年)によれば、
「日常生活で習慣的に体を動かしていない」という人は20-50代男性、
20-40代女性で4割超。
働き盛りで運動できる時間が限られる中、久しぶりの運動となれば、
相応の心構えが求められる。
人間の体力・筋力は、35-40歳をピークに、1年に1%ずつ低下。
名古屋市立大大学院の竹島伸生教授(運動生理学)は、
「体力の客観的評価がなく、若い時に動けたという主観的イメージとの
ギャップから、けがをすることが考えられる」。
ジョギングや何らかの運動をしていても、
加齢による体力低下は少なからずあり、過信しない方がいい。
競技当日の心がけは、まず早めに起きること。
朝は、副交感神経の働きで体がリラックスした状態にある。
午前中から動く場合、ウオーキングなどで体を目覚めさせておくと良い。
競技前の運動は、ストレッチだけでは不十分。
「準備運動は筋肉、神経、循環器系の動きを良くするのが目的。
走る種目なら、事前に軽く走り、心臓を動かして」。
運動中の頑張りすぎも禁物。
隣の人と話ができ、「少しきついな」と感じるぐらいの余裕を持っておこう。
こまめな水分補給も心がけたい。
のどが渇いたと感じる前の摂取が肝心で、竹島教授は
「脱水症状の回復には、冷えた飲み物の方が有効」。
力勝負の種目では、息を止めないこと。
「一過性の循環障害を起こし、脳や心臓の重大な事故につながる」
綱引きなら、「いち、に」と意識的にかけ声を出すと、呼吸しやすい。
秋のスポーツ経験を、継続的な習慣につなげたいもの。
竹島教授は、「技術や能力が必ずしも高くなくても、
健康維持の筋トレやウオーキングも含め、
生活を楽しむように運動を取り入れてほしい」
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◇運動する際の注意点
▽ひざや腰を痛めないよう、かかとが厚めでクッション性のある運動靴を選ぶ。
▽運動前後に、5-10分程度の準備・整理運動を。
▽体調急変に備え、水分補給の缶ジュース代120円と携帯電話
(または公衆電話代の10円)は必携。
▽寒い日や悪天候など運動環境が整わない日は、運動を休む勇気を。
▽運動する間は息をこらえず、意識的に息を吐いて呼吸を続ける。
▽安全で適切な運動強度は、「ちょっときついな」と感じる程度。
有酸素運動の場合、運動直後に手首で心拍数を計り、
10秒間に15-20回が目安。
▽犬の散歩を兼ねた運動は、犬のペースに合わせると、
運動強度が高くなることもあるので気を付ける。
http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=79977
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