2008年9月27日土曜日

森を減らさない(上)生計助け 住民参加型管理

(読売 9月9日)

森林減少を食い止める仕組み作りをテーマに、ガーナ・アクラでの
国連気候変動枠組み条約下の特別作業部会(アクラ会議)で、
活発な議論が交わされた。ガーナ国内の森林地帯から報告。

世界の森林減少に歯止めがかからない。
日本の国土の2割に当たる730万ヘクタールの森が、
農地転換や違法伐採などにより毎年消え、森林破壊により、
世界の全排出量の2割に当たる温室効果ガスが大気中に放出。

ガーナでも、50年前に820万ヘクタールあった森林面積は今、5分の1以下。
ヒョロリと伸びるヤシの木が点在する草原が、
第2の都市・クマシから北西に延びる道路沿いに広がる。

火災に強い種が残って大きくなったヤシは、かつての森の名残。
北のサバンナ地帯と南の熱帯雨林地帯の間のここ「移行帯」でも、
森は急減している。

ブロン・アバフォ州スンヤニから北に60キロ・メートルの小さな村、アフラス。
チーク林から成る森林保全区の前の土地で、
村人たちがオレンジとパイナップルの苗木の手入れをしていた。

水源保護と産業林を兼ねた保全区を管理する森林局の協力で、
その外周の緩衝地帯(幅40メートル)に、村人が苗木を植えて1年余。

「以前は、森林局の職員の姿を見ると、走って逃げた。
森林保全区の近くにいただけで、問答無用で逮捕されかねなかった」。
こう振り返ったノア・アブグリさん(51)は、
「住民と森林局は今や、森林を守り、生活向上を目指すパートナーだ」。

「下草はきれいに刈られているから、火災防止の役目は果たせる。
住民がローテーションを組んで、畑をパトロールするので、
狩猟者の火の不始末や違法伐採などから森を守れる」。
住民担当の森林局スタッフ、プリンス・ヘネさん(33)は説明。

アブバ・カリ・エンバ村長(73)は、
「約400人の村人の99%は、森林がなくなり、
土地がやせた北部からの移民で、食べていくのがやっと」

アブグリさんも8年前、460キロ北の村から移住。
3アールの畑を持ち、年に300セディ(1セディは約1ドル)の現金収入で
妻と5人の子供で暮らす。

緩衝地帯での耕作は、日本の国際協力機構(JICA)が、
森林保全区での違法伐採や農地の“侵入”に頭を痛めるガーナ政府に
協力して、4年前から進めるパイロットプロジェクトの中心。

住民の生計アップを森林局が手助けし、住民が森を守る、
という「住民参加型森林管理」の実現を目指す。

緩衝地帯には、果樹に加え、大豆やナッツも植える予定。
「うまくいけば、年500セディが入り、トウモロコシなどの
改良されたタネが買える」。アブグリさんは目を輝かせた。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/kankyo/20080909-OYT8T00471.htm

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