(読売 9月9日)
森林減少を食い止める仕組み作りをテーマに、ガーナ・アクラでの
国連気候変動枠組み条約下の特別作業部会(アクラ会議)で、
活発な議論が交わされた。ガーナ国内の森林地帯から報告。
世界の森林減少に歯止めがかからない。
日本の国土の2割に当たる730万ヘクタールの森が、
農地転換や違法伐採などにより毎年消え、森林破壊により、
世界の全排出量の2割に当たる温室効果ガスが大気中に放出。
ガーナでも、50年前に820万ヘクタールあった森林面積は今、5分の1以下。
ヒョロリと伸びるヤシの木が点在する草原が、
第2の都市・クマシから北西に延びる道路沿いに広がる。
火災に強い種が残って大きくなったヤシは、かつての森の名残。
北のサバンナ地帯と南の熱帯雨林地帯の間のここ「移行帯」でも、
森は急減している。
ブロン・アバフォ州スンヤニから北に60キロ・メートルの小さな村、アフラス。
チーク林から成る森林保全区の前の土地で、
村人たちがオレンジとパイナップルの苗木の手入れをしていた。
水源保護と産業林を兼ねた保全区を管理する森林局の協力で、
その外周の緩衝地帯(幅40メートル)に、村人が苗木を植えて1年余。
「以前は、森林局の職員の姿を見ると、走って逃げた。
森林保全区の近くにいただけで、問答無用で逮捕されかねなかった」。
こう振り返ったノア・アブグリさん(51)は、
「住民と森林局は今や、森林を守り、生活向上を目指すパートナーだ」。
「下草はきれいに刈られているから、火災防止の役目は果たせる。
住民がローテーションを組んで、畑をパトロールするので、
狩猟者の火の不始末や違法伐採などから森を守れる」。
住民担当の森林局スタッフ、プリンス・ヘネさん(33)は説明。
アブバ・カリ・エンバ村長(73)は、
「約400人の村人の99%は、森林がなくなり、
土地がやせた北部からの移民で、食べていくのがやっと」
アブグリさんも8年前、460キロ北の村から移住。
3アールの畑を持ち、年に300セディ(1セディは約1ドル)の現金収入で
妻と5人の子供で暮らす。
緩衝地帯での耕作は、日本の国際協力機構(JICA)が、
森林保全区での違法伐採や農地の“侵入”に頭を痛めるガーナ政府に
協力して、4年前から進めるパイロットプロジェクトの中心。
住民の生計アップを森林局が手助けし、住民が森を守る、
という「住民参加型森林管理」の実現を目指す。
緩衝地帯には、果樹に加え、大豆やナッツも植える予定。
「うまくいけば、年500セディが入り、トウモロコシなどの
改良されたタネが買える」。アブグリさんは目を輝かせた。
http://www.yomiuri.co.jp/eco/kankyo/20080909-OYT8T00471.htm
0 件のコメント:
コメントを投稿