(読売 9月12日)
かじた・えいいち 大阪大教授、京都大教授、京都ノートルダム女子大学長を歴任。67歳。
教職大学院の青写真の描き手は、課題をどう考えるか?
「働き盛りの現職教員が進学するには、大変な覚悟がいる。
もっと制度を整えていかないと」
中央教育審議会の副会長・教員養成部会長として、
教職大学院の設置を進めてきた梶田叡一さんは、
教員を送り出す教育委員会、迎える大学院双方の努力が必要。
第一に、在学中の生活をどう支えるか?
今春開校した教職大学院19校に進んだ現職教員は、364人。
ほとんどは、教育委員会からの派遣命令を受け、
給与をもらって学んでいるが、スタートして実感したのは、
「先生たちを大学院に派遣するお金を、
教育委員会が出せなくなってきている」という現実。
「派遣教員の数が確保できない理由で、設立を断念した大学も少なくはない」
「進学を希望するが、派遣命令を受けられない教員が結構いる」。
現職教員が自主休業、無給で進学した場合の一助となるよう、
授業料免除、奨学金付与などの新たな対策を進める大学も。
4年前から学長を務める兵庫教育大でも、学内アルバイトのあっせんや、
学生寮・家族寮の利用、授業料免除という従来の制度に加え、
奨学金制度も新設。
「経済的な支えがなければ、学びたくても学べない。
再教育の場として作ったはずが、現職教員がほとんど来なくなる可能性が」
教育の質確保のため、大学院同士がチェックし、支える組織が必要。
教職大学院には現職教員と、ストレートマスターと呼ばれる学部を
卒業したばかりの学生が入っている。
双方一緒のカリキュラムで教育してよいのかという点。
別々だと大学院側の負担が増えるが、「授業研究など実践を含む部分は、
基本的に別々に指導した方がいい」。
教職大学院を出ても、給与面などで優遇される保証はなく、
進学の意義を見いだしにくいという声も。
「力のある修了生を輩出していけば、自然と責任あるポストを得て、
給与面でも優遇されるはず。職場を1年、2年空けてでも来てよかったと、
思わせる講義をしなければ、意味がない」。
教員養成学部を持つ全国立大と、熱意のある私立大を合わせて、
全国に教職大学院は70~80ぐらいできる。
「でも今は、数よりも中身」を意識。
社会人を教壇に立たせた方がいい授業ができるという意見。
「教え込みはよくない、子供の自主性に任せていればいいと、
教師たちがたるんでいた時代があったのは確か」
だが、「二次方程式を解ける社会人はいっぱいいても、
解けるようになるまで関心を持たせ、背後にある二次関数の考え方を分からせ、
応用問題まで解ける力を付けていこうというのは、プロの教師にしかできない」。
「日本の教師は、授業研究や教材研究で、昔からよく勉強していた。
プロだったんです。もう一度プロになってもらわなきゃいけない」
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080912-OYT8T00234.htm
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