2008年7月12日土曜日

当世留学生事情(9)交流の懸け橋 積極歓迎

(読売 6月27日)

留学生の受け入れに積極的にかかわる自治体がある。
五月晴れのさわやかな風が吹く中、別府市立大平山小学校で、
約500人が参加して運動会の全体練習が行われていた。
モンゴル人で小学5年のトゥムル・ブジンさんの横には、
別府大学に留学している、ツェグメド・ガンチメグさん(20)が寄り添った。

教員の指示は、ガンチメグさんによって通訳され、
ブジンさんは戸惑うことなく、ほかの児童と一緒になって走ったり、
応援したりと無邪気な笑顔を見せた。

ガンチメグさんは、別府市から相談員として派遣。
相談員は、通訳など、同市内に留学している学生の子供の支援をし、
安心して留学生活を送れるようにする。

ガンチメグさんは週2回、小学校に通い、授業中はブジンさんの机の横に
座って、教諭の説明を通訳していく。
ブジンさんは、「まだ分からないところがあるけど、メグさんのお陰で
だいぶ分かってきたし、友達も増えた」。

母親のゲレルマさん(34)は、同市内の立命館アジア太平洋大学(APU)
大学院で保健行政を学んでいる。
日本語も勉強中で、学校からの配布物を読むのもひと苦労だが、
ガンチメグさんがメールや電話で補足。
「学校での娘の様子も教えてくれて、本当に感謝している。
相談員がいてくれるから、全く心配がない」。

現在、同市内では、ガンチメグさんのほか韓国人留学生2人が、
相談員として留学生家族の支援。
2000年から始まった制度で、これまで65人の支援をしてきた実績。

別府市では、学生の約半分が留学生のAPUが誕生、
国際交流都市宣言。
アジアやアフリカ諸国の大使を招いたサミットを開くなど、
情報発信にも努めてきた。
留学生数は、同年の487人から08年には3333人と急増。
出身国・地域は83にも広がった。

別府市は03年、構造改革特区制度を活用して、
公営住宅の空き室を留学生に提供できる「留学生特区」の認定も受けた。
現在もこの仕組みを使うのは、別府市だけ。
13室21人の留学生が、市営住宅に住んでいる。

温泉街だけに、留学生のホテルや旅館でのアルバイトも増えた。
その波及効果もあるのか、外国人観光客も2000年の12万5844人から、
06年には22万6013人に急増。

別府市の後藤邦俊・文化国際課長は、
「受け入れ体制は、大学だけでは限界がある。
留学生に、本国でスポークスマンの役割を担ってもらうため、
第二のふるさとと思えるように、もてなさなければいけない」。

自治体には、留学生に交流の懸け橋になってもらい、
町の活性化につなげたいという期待。
留学生を増やすなら、その受け入れ体制は考えておく必要がある

◆大分県は人口比で2番目

都道府県別の留学生数は、東京が4万316人で圧倒的に多く、
大阪(1万203人)、福岡(6017人)、愛知(5774人)など大都市が続く。
大分は3587人で10番目だが、人口比で見ると東京に次いで多い。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080627-OYT8T00248.htm

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