2008年9月12日金曜日

大分・西別府病院のスポーツ外来拡充 気づきにくい課題もケア

(毎日新聞社 2008年9月4日)

別府市鶴見の国立病院機構西別府病院が、
スポーツに関する外来診療を拡充。
02年、脳スポーツ外来とスポーツ心理学外来を開設、
今年7月にはスポーツ皮膚科も開設、8科体制に。

◆懸命なのに

女性スポーツ外来担当の松田貴雄・婦人科医長(45)は、
北京五輪で健闘したサッカー女子代表・なでしこジャパンのチームドクター。
「女子選手は、『小さな男性アスリート』ではないことを理解してほしい」。

高校生など成長期の女子選手には、貧血を持つ選手が多い。
貧血というと、細身で青白くあまり運動をしない子を思い浮かべがちだが、
「筋力トレーニングなどで筋肉がつく時に、鉄分を取られるので、
たくましい体の選手でも、鉄分欠乏症が多い」。

中学生まではすばしっこい動きだったのに、
高校生になってから動きが鈍くなる。
周囲からは、「さぼっているのでは」と見られがちだが、
その中には貧血の選手もいる。

◆無月経も危険

激しいトレーニングで体脂肪が減り、無月経になる場合も危険。
女性ホルモンの分泌量が減っているから。
「『まだ月経は止まっていないのか』と言う、古いタイプの指導者がまだいる」。
この状態はいわば、年齢を重ねて更年期を迎えた女性と同じ状態。
数年も続けば、骨粗しょう症の状態になり、疲労骨折が増える。

体重制限の厳しい競技で拒食症になる選手には、
ホルモン補充で劇的に症状が改善するケースもある。
「かつては女性ならではの苦労を乗り越えた選手だけがトップ選手になった。
ちょっとした悩みを解決するだけで、今まで埋もれていた選手が
トップ選手になる可能性も秘めている」。

◆イボも悩み?

スポーツ皮膚科を担当する村山淳子医師(32)は、
皮膚科の分野から選手をサポートしようと意欲を燃やしている。
例えば、足の裏にできるマメ。
多くの選手は削ってみるなど、自己治療で治そうとするが、
「中にはウイルス性のイボもあり、いじればいじるほど増える」。
体重がかかる場所にできたイボが治らないため、
「足を踏ん張れない。テニスができない」などの悩みを持つ。

定番の悩みとして、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性皮膚疾患も。
「汗をかくと、真っ赤になる選手も。それで、集中力が落ちる場合もある」。
皮膚トラブルを治療し、スポーツを楽しんでもらうのが村山医師の願い。
トップ級選手だけではなく、「今まで、皮膚トラブルを気にして
スポーツを避けていた人たちにも、楽しく健康づくりに取り組んでほしい」

◆各科の協力で

西別府病院のスポーツ外来は、スポーツ整形外科、スポーツ栄養、
障害者スポーツ、スポーツ歯科がある。
日本代表の担当医師は松田医長のほか、卓球2人、ラグビー(U18)1人。
日本卓球協会のチームドクターで、その他の各種競技でも
メンタルトレーニングなどに取り組む森照明院長(65)は、
「選手がベストパフォーマンスを出すためには、
精神的なトレーニングだけではなく、体の状態も大事だ」。

7月の皮膚科開設で、各科の医師が協力しながら、
スポーツがからむすべての相談に応じる体制がほぼ整った。
森院長は、「世界に通用する選手になる前に、
『経験と根性』に価値を求める指導で
つぶれてしまわないように役立ちたい

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=79522

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