2008年10月2日木曜日

理数系教養科目に必要なエデュテインメント

(サイエンスポータル 2008年9月30日)

大学の理数系教養科目を教えるには、
「エデュテインメント」という考え方が必要、
鎌田浩毅・京都大学大学院教授が「科学」10月号に書いている。

エデュテインメントというのは、教育(education)と
楽しみ(entertainment)を併せた鎌田氏の造語。
理科4科目のすべてを履修する高校生は、ほとんど皆無。
地学の履修者は7%という現実の中で、
大学の1、2年生に教養科目としての理科を教えるには、
「エデュテインメント」に徹することが必要だ、と実体験を基に説いている。

教科書について、「最後までストーリーを興味深く追いかけられることを最優先課題に。
事実関係のきちんとした裏付けを、細々と書くのは逆効果。
専門家が陥りやすい点だが、教科書はすべてを網羅しなければならない、
という考え方を捨てることが肝要」。

「火山体にかかる応力」の説明を例に。
「応力というのは、ゴムボールを押したときに、もとに戻ろうとする力をいう」
から始まり、「ある物体に対して外から加わったとき、
その力とつり合う分だけ、内部から対抗するように…」
という物理学の定義が続く。

その後に続く説明は、専門家にはなかなか思いつかないかもしれない。
応力の英語がストレスであることを指摘し、精神的ストレスという日常用語に触れ、
「心理学のストレスは、物理学の応力を借りてきた用語である」と続ける。
専門的な話に終始しないで、身近な例と対比させる。
時折、ズームバックして視野を広げてみせる。

こうした工夫は、大学の先生だけでなく、ジャーナリスト、
サイエンスコミュニケーターにも必要なことでは?

http://www.scienceportal.jp/news/review/0809/0809301.html

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