2008年9月5日金曜日

産学研究ナマコ養殖 大船渡の北里大と県内2社

(岩手日報 8月29日)

中国で、高級食材として人気のナマコの養殖技術を確立しようと、
大船渡市の北里大海洋生命科学部と民間企業2社が共同研究に着手。

種苗生産で、課題となっている有害プランクトンの除去装置の
開発が目的で、成功すれば安定生産につながる。
県北・沿岸振興の柱として、ナマコ輸出は漁業関係者の期待も
大きいだけに、関係者は「ぜひ成功させたい」と意気込んでいる。

共同研究を行うのは、同学部の高橋明義教授(海洋分子生物学)と
奥村誠一准教授(水産遺伝育種学)、ナマコの種苗生産に取り組む
養殖業の北日本水産(大船渡市、古川季宏社長)、
水処理技術を持つKM環境技研(一関市、村上圭佑社長)。

2カ年の研究期間で財団法人さんりく基金から本年度、120万円の助成。
種苗生産は、養殖場に海水をくみ上げて行うが、
ろ過してもプランクトンなどの微生物が混入する。

エビなどの甲殻類に属する「コペポーダ」(体長1ミリ、卵径0・08ミリ前後)は、
生後1カ月程度で数ミリに成長する稚ナマコを食べるなどして
大量死を引き起こす。
いったん増殖すると、水槽のナマコが全滅するケースも。
養殖の盛んな中国では薬品で駆除しているが、日本では使用が不可能。

研究では、KM環境技研のステンレス製フィルターを活用。
網目が0・1ミリから0・03ミリという4段階のフィルターを取り付けた
除去装置の試作機を、北日本水産の給水施設に設置。
目の細かいフィルターで、コペポーダを取り除く。

同学部は、フィルターの除去効率のデータを分析し、
試作機の性能を評価。
稚ナマコの生存率を調べて、有効性を確認する。

日本の昨年の乾燥ナマコ輸出額は、3年前の約3倍の166億円に拡大。
北海道や青森県などが主産地。
本県は、今年からナマコ種苗の放流試験を始めたが、出遅れ気味。

奥村准教授は、「岩手の地場産業として、根付かせる大きなチャンス。
民間企業と連携した研究を通じて、地域産業に貢献できれば」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080829_16

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