(読売 8月28日)
小学校独自の英語活動を追求する教師がいる。
夏休み中の浜松市立北浜小学校に、小中学校の教師、
児童英語教室の主催者ら14人が、静岡県内各地から集まった。
鳴門教育大教職大学院で、小学校の英語教育について学ぶ
池田勝久教諭(44)が、4年前から主宰する学習会。
年5、6回、小学校の英語活動をテーマに情報交換をしてきた。
まもなく必修化される小学校高学年の英語活動のカリキュラム作りを、
誰が担うかが話題に上った。
「たまたま英語の免許を持っていた臨時採用の教員が1人でやっている」、
「学校全体で取り組む雰囲気がない」などと、打ち明ける教師が相次いだ。
過去には、「Thank you」を、嫌みっぽく言ったり、
心をこめて言ったりすることで、表現の大切さを話し合ったことも。
国語の教科書にある、「すがたをかえる大豆」をテーマにした英語活動も紹介。
大豆がきなこや煮豆、納豆などに変化することを、
どういうジェスチャーで表現すれば良いかを考えさせる。
言葉を使わないコミュニケーションの重要性に気づかせる。
池田教諭が目指すのは、伝えようとする気持ちの大切さを教える授業だ。
6年前までは中学校の英語教師だった。
「文法を説明し、単語を調べ、教科書を読んで訳す」という
昔ながらの中学校の授業を変えるには、
生徒の意識を変えることが重要だと思い、小学校に転じた。
すでに小学校での英語活動のノウハウが求められていた時期だけに、
大歓迎を受けた。
まず6年生を受け持ち、絵カードを用意して、
様々な単語やフレーズを練習させた。
中学の内容をかみ砕いた楽しい授業にしたつもりだったが、
子供の反応はいま一つ。
中学校の英語を前倒しして持ち込んでは、
英語嫌いを低年齢化させるだけだと気づいた。
「では、何を教えればいいのか」と悩んだ。
転機は、校内ではしゃぐ低学年を見た瞬間。
「しゃべっているのは、まるで宇宙語。
不可解な言葉で通じ合う子供たちにショックを受けた」。
担任は、“宇宙人”たち相手にどうやって授業しているのか。
むくむくと興味がわき、空き時間に授業を見に行くようになった。
ジェスチャーや声のトーン、声色で意図を伝える算数や国語の授業に、
小学校の英語活動が目指すべき姿を見た思いがした。
たどり着いたのが、話すことを強制せず、文字を教えないスタイル。
ほかの教科にも通じる力をはぐくもうと、授業を組み立てた。
北浜小の卒業生を受け持った経験のある中学校教諭は、
「特別に英語の知識があるわけではないが、
話を聞こう、伝えようとする力に優れ、ぐんぐんのびる」と評価。
大学院では、こうした授業の効果を検証し、
小学校教員に向けた英語活動の研修プログラムの開発を目指す。
自身の苦い経験が、研究の原動力だ。
◆小学校の英語活動
1998年告示の学習指導要領で、小学校の総合的な学習の時間の
活動の一つに、国際理解教育が例示され、
これを機に英語活動が広がった。
今年3月に告示され、2011年度から実施される新指導要領は、
小学校5、6年で各35コマの「外国語活動」が必修化。
コミュニケーション能力の素地を養うことが、目標として明示。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080828-OYT8T00192.htm
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