2008年9月1日月曜日

都心でポンポコ…東京23区にタヌキ1000匹

(読売 8月27日)

この夏、都心のタヌキに注目が集まっている。
都会のタヌキを10年間、調査してきた研究家によると、
23区内には約1000匹のタヌキがいるらしい。

今年6月には、天皇陛下が「皇居のタヌキ」の生態について
研究者らと共同執筆された論文も発表され、論文を基にした企画展も好評。

研究家は、NPO「都市動物研究会」の宮本拓海さん(41)。
編集者をしていた10年前、都市に住む野生動物の取材で
タヌキを目撃したのがきっかけで、生態調査を始めた。
その成果を、「タヌキたちのびっくり東京生活」(技術評論社)にまとめ、出版。

宮本さんがインターネットで目撃情報を募ったところ、
出没地は23区で191地点に上った。
タヌキがよく目撃されるのは、豊島区目白、新宿御苑など緑の多いスポット。
井の頭線や西武池袋線では、人が近づきにくい線路脇の茂みによく姿を現す。
天敵の野犬が少ないのも、都会でタヌキが生き残る理由。

宮本さんは、現地に足を運んで観察を続け、目撃地点のうち
約100か所が「定住エリア」と結論付けた。
各地点に、10匹前後が生息していると推定して、
23区内のタヌキは約1000匹と目星をつけている。

近年は、都心の緑が急激に減り、タヌキの数も少なくなってきた。
1981年に計約2400ヘクタールあった農用地、森林、原野は年々減少。
昨年は、約半分の約1300ヘクタール減。
再開発に次ぐ再開発のためで、
「タヌキはいまこの時も、街を追い出されようとしている」(宮本さん)。

都心のど真ん中には、とっておきの「楽園」が残されている。
千代田区の皇居。その広さ約115ヘクタール。
東京ドームの25倍に相当する広大な敷地の周辺では、
「タヌキを見かけた」との目撃情報が以前から相次いでいた。

天皇陛下と研究者が調査したところ、タヌキがふんをする「ためふん場」が
30か所もあることが判明。
論文では、これを基に皇居に生息するタヌキは最大14匹と推定。

上野の国立科学博物館では、論文を基にした企画展
「皇居のタヌキ その生態」を開催。
研究内容の説明やタヌキのはく製の展示のほか、お堀の中州に取り残された
子ダヌキを救出する様子を撮ったビデオも上映。

宮本さんは、「タヌキは里山の象徴。タヌキが住めるような自然を
都心に残していくことにつながれば」。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20080827-OYT1T00445.htm

0 件のコメント: