2008年7月22日火曜日

地球と暮らす:/52 環境リレーションズ研究所 森林再生をプレゼント

(毎日 7月8日)

「秋は新潟県佐渡島で木を植え、トキの復活を支えたい」。
NPO「環境リレーションズ研究所」の鈴木敦子理事長(38)は、
4年目に入った独創的な植林事業「プレゼント・ツリー」の進化を目指す。

この事業は、市民が植林を代行してもらう代金を払い込むと、
指定した贈り先に同研究所から「植林証明書」が送られるサービス。

05年から今年3月末まで、インドネシア・カリマンタン島や
北海道幌加内町など国内外4カ所で計1万6134本を植え、
延べ2万858人が植林の証明書をプレゼントする形で事業に参加。

木の本数や参加者を詳細に把握できるのは、樹木を1本ずつ、
識別番号で管理している。
植林後はそれぞれの木を10年以上、維持管理していく方針で、
枯れてしまったら同じころに植えた元気な木と交換。

「自分の樹木」に愛着を感じてもらい、長期間にわたる森林再生活動を
共に支える仕組みを作り上げた。
「関係者にそこまで厳密にやるのかといわれ、大変だった」。
鈴木さんは、事業を始めたころの苦労を振り返る。

しかし、市民の大切なお金を使い、行政や企業と協力して事業をするには、
妥協するわけにはいかなかった。
地道な努力は評判を呼び、今では「自分たちの地域にも木を植えてほしい」と
声がかかるまでに。
活動を続ける中で、日本人の環境意識、感度の高さをしばしば感じている。

一方、その感度を環境保護に役立つ行動に結びつけるにはどうしたらいいのか、
考え続ける日々。
団体名の「リレーションズ」には、そんな「感度」と「行動」をつなぐ思いも込めた。
「プレゼント・ツリー」事業はその一つの結果。

鈴木さんは、環境NPOが直面する「誤解」を解かなければ、と思う。
「収益事業をやってはいけない」と勘違いされていること。
NPOだからこそ、事業を手間ひまかけて実施し、信用を得ないといけない。
労働力も、コストもかかる。対価を受け取ることは、当然の権利だ。
だから「持続可能な環境活動は、ビジネスとして成り立つ側面も大切だ」。

今後も、市民の「感度」と「行動」を結び、経済的にも自立できる
環境活動に全力投球する。
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◇環境リレーションズ研究所

NPO法人化は03年で、事務所は東京都千代田区。
「プレゼント・ツリー」のほか、市場調査やセミナー、ワークショップなど
さまざまな事業を手がける。
http://www.env-r.com/index.php

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/07/08/20080708ddm016040105000c.html

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