2008年7月24日木曜日

理科再興(5)生活を意識 天気予報

(読売 7月12日)

生活実感を意識した授業法の実践研究が進んでいる。
東京都千代田区立番町小学校の5年1組は、理科で学んできた
「天気と気温の変化」の単元の最終日を迎えた。

天気図や、インターネットで調べた雲の画像、学校で観測した
温度や湿度などの記録を基に、「明日の天気予報」を
グループごとに発表。
予報と合わせ、「校庭で遊べるか」、「長靴やかさは必要か」、
「トイレはいつ行けばよいのか」など、天気とかかわる身近な話題も。

「沖縄に近い雲が、東京に向かっています。
明日は雨で、洗濯物は部屋干しがよいでしょう」、
「今は晴れですが、湿度が高い日の翌日は雨が降ります。
寒くなる前の休み時間にトイレを済ませましょう」。
テレビとは、ひと味違った予報に。

番町小は2年前から、区教委や国立教育政策研究所の研究校として、
新学習指導要領の方向性を踏まえた授業法を探っている。
伊勢明子主幹(47)は、「理科の知識を、どうやって生活の中で
生かせる本物の知にするか。
過去2年間の授業研究で指導が弱いと感じた部分を、
今年度のテーマに設定した」。

5年生の研究単元に選ばれたのが、小学校で教えにくいとされる天気。
変化の要因が複雑で、法則性や科学性を理解させることが難しい。

現行の指導要領は5年で、天気が西から東へ変わる規則性、
気象データを使った変化の予想を学ぶことになっているが、
新指導要領では、雲の量や動きを観察し、雲と天気の変化の関係を
理解させることが加わった。
データだけでなく、天気の変化を生活で実感させる指導がポイント。

5月に指導案を作った。
「予報がゴールなら、天気の知識の習得を先にすべきだ」、
「単なる予報で終わらないよう、生活と関連したテーマを考えさせた方がいい」
担任の意見を取り入れ、12回の授業計画を練り上げた。
「教科書の内容を超えた天気の学習指導は初めて。
毎日の観測結果を授業で生かせるよう、構成を工夫した」
1組担任で学年主任の中井一雄教諭(37)。

授業では、「トイレ予想」などユニークな発表があった反面、
予報は雲の画像などから「西に雲があるので曇りか雨」といった、
画一的な結論が目立った。

授業後の研究会では、「雨雲が6時間でここまで動くから明日は雨、
といった論理的な分析が少ない」、「実際の空を見て、雲が東から西に
動くような疑問に子供が気づいてもいいはず」といった指摘。
中井教諭は、「自分の観測でわかったことや肌で感じたことを、
予報に生かす指導が難しかった」。

授業時間数は増えるが、知識の詰め込みに終わらない授業を、
どう作るのか。教師の奮闘が続いている。

◆小学校で増える学習内容

来年4月から前倒し実施となる新学習指導要領の理科では、
小学3年で「風やゴムの働き」、「物と重さ」、
4年で「人の体のつくりと運動」、6年で「電気の利用」などが加わる。
「電流の働き」は6年から5年に、「てこの規則性」は5年から6年に移行。
選択項目だった「振り子の運動」、「動物の誕生」は、5年で必修。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080712-OYT8T00223.htm

0 件のコメント: