(読売 7月10日)
5月の胡錦濤・国家主席訪日の際、福原愛(ANA)とともに
卓球の相手を務めた彼女の名を、中国で知らない人はいない。
北京五輪で、中国女子で初の3大会五輪出場を果たす王楠(29)。
19歳の郭躍、26歳の張怡寧に次ぐ3人目の代表に滑り込んだ。
だが、ソウル五輪以来、シングルスの金メダルを独占してきた
「女子エースの系譜」を伝える者として、
「一姐(イージエ)」(一番上のお姉さん)と呼ばれる。
中国選手では珍しく、すでに夫がいる。
山東省で不動産業を営む郭斌さん(37)で、派手なパフォーマンスで
卓球女王の心を射止め、2005年10月に結婚。
アテネ五輪の事前合宿中の王楠を、BMW約10台を仕立てて激励。
世界選手権で王楠がベスト16で敗退すると、
その夜のうちにバラ10001本を贈った。
バラの本数には、「1万人の中で一人だけ」という意味。
そんな華やかな夫妻は、「王楠ブランド」スポーツウエアの起業を計画中。
北京五輪後の引退を表明し、王楠は富豪夫人兼企業家の座が待っている。
中国にとって、卓球は特別なスポーツ。
1950年代から強化が進められ、中国選手は世界選手権、五輪を
席巻してきた。
国民的スポーツとしても定着、国家体育総局によると、
ほとんどの小中学校に卓球台が配備。
世界選手権や五輪などで活躍した卓球選手たちには、
地位と名誉が与えられる。
草創期に、世界選手権3連覇を果たした荘則棟さんは、
33歳で国家体育運動委員会(現・国家体育総局)主任(大臣に相当)。
王楠も、昨年の中国共産党大会に党員代表の一人として参加。
市場経済化が進む中国スポーツ界で、選手が手にすることが
出来るのは、名誉にとどまらない。
米経済誌フォーブスの08年中国版有名人長者番付で、
米プロバスケットボール協会(NBA)の姚明、
07年世界陸上大阪大会男子百十メートル障害王者の劉翔が、
芸能人を抑えて1、2位を占める時代。
バルセロナ、アトランタ両五輪で女子シングルスを連覇した
トウ亜萍さんの故郷、河南省鄭州。
40台の卓球台が並んだ体育学校で、9歳の貝貝が、
年上の子とボールを打ち合っていた。
河南省チームのコーチの娘で、“金の卵”だ。
「私も、トウ亜萍や王楠になりたい」という貝貝も、
将来、巨万の富を手にするのだろうか。
http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080710.htm
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