(日経ヘルス 6月9日)
一酸化窒素(NO)が血管内皮細胞で生産され、血管の平滑筋組織に
働きかけて血管拡張に作用することを発見、
1998年にノーベル賞生理学賞を受賞したルイス・イグナロ博士が来日。
イグナロ博士は、米国や欧州、日本などで肥満や糖尿病予備軍が
増え続けていること、米国ではここ15年で心疾患で死亡する人間が
倍増したことを指摘。
「NOは、血流を促すだけでなく、動脈硬化や高血圧の予防、
脳の記憶中枢にも働きかける。
特に生活習慣病の疑いがある人は、NOの重要性を知ってほしい」
現代人は、精神的なストレスのほか、身体的ストレスもためこんでいる。
不規則な生活スタイルや乱れた食生活で、体にストレス負荷がかかると、
体内でフリーラジカル(活性酸素)が生まれる。
フリーラジカルが、脂肪酸を攻撃して過酸化脂質に姿を変えると、
細胞や体内に入りこんでダメージを与える。
NOは、フリーラジカルを相殺するが、NO本来の働きが打ち消され、
結果、血流が滞ってしまう。
この状態が続くと、内臓脂肪の蓄積や血圧の上昇などの症状が重なり、
生活習慣病のリスクが高まる「メタボリックシンドローム」に結びつく。
ガンや心疾患、脳梗塞などの病気にもつながる。
こういう事態を避けるため、イグナロ博士は、
「体内でNO産生がスムーズに行われることが重要。
それには、次の三つ生活習慣に気をつけて欲しい」。
一つがバランスのとれた食生活、二つめは心拍数を上げる運動、
最後がサプリメントによる成分補給。
体内でのNO産生に重要なカギを握っている抗酸化物質は、
本来ならば食事から摂取すべきだが、
「現代人の生活では、食物だけで十分な抗酸化物質を摂取するのは難しい。
いざ摂取しようとすれば、食べ過ぎのリスクも。
それを避けるために、足りない分はサプリメントで補給するといい」。
推奨される抗酸化成分は、ベータカロチン、リコピン、ビタミンE、CoQ10など。
「NOの原料となるアミノ酸、Lアルギニンと、腎臓のサイクルで
アルギニンに変化するLシトルリンを摂るのもいい。
シトルリンを摂るときは、アルギニンと一緒に摂取するのがベスト」。
イグナロ博士は、現代女性の生活スタイルにも触れ、
「15年前に比べて、女性を取り巻く社会環境は大きく変化した。
男性と同様にパワフルに働くようになった結果、睡眠不足、タバコを吸う、
食べ過ぎるといった状況に陥りがち。
意識して、生活スタイルを改善することを心がけてほしい」。
http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20080604/101888/
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