(朝日 2008年7月24日)
一度でも禁止薬物に手を出したら、五輪選手としては「死刑」になるのか?
英国五輪委員会(BOA)は、北京五輪陸上代表選考会の
男子100メートルで、10秒00で1位になったドウェイン・チェンバーズ(30)
を代表に選ばなかった。
03年に、筋肉増強剤テトラハイドロゲストリノン(THG)に陽性反応を示し、
2年間の出場停止。
違反歴のある選手を、五輪に派遣しないというBOAの内規に抵触。
チェンバーズは、BOAの判断取り消しを求めて英高等法院に提訴、
18日に訴えは退けられていた。
ドーピングに関しては、世界反ドーピング機関(WADA)が定める
「統一コード」が各国の政府、五輪委、国際競技団体が承認する世界基準。
禁止薬物の種類などにより、出場停止期間が分けられている。
チェンバーズの場合、WADAの規定に基づく2年間の出場停止を経て復帰。
米国をはじめ、他国ではドーピング歴のある選手が五輪代表として
出場する例は珍しくない。
悔い改めた選手に、再起の道を開くべきではないか。
ごく少数ながら、英国内にもチェンバーズ擁護論はあった。
国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長は、厳しい姿勢を鮮明。
6月の理事会で、「6カ月以上の出場停止処分を受けた選手は、
次の五輪の参加資格を与えない」という新たな指針。
チェンバーズは、北京五輪の夢が絶たれた19日、英民放局ITVで、
故郷で開かれる12年ロンドン五輪の出場をめざし、
現役を続行する考えを明らかにした。
「私は、競技に参加したいだけ。
クリーンなアスリートとしての力を証明したい」
BOAは、「我々は、ドーピング歴のある選手には
英国代表のユニホームを着させない強いメッセージを今後も送り続ける」。
自国開催の五輪でも、薬物汚染の過去を持つスプリンターを
復帰させる可能性は極めて低そう。
http://www2.asahi.com/olympic2008/news/TKY200807240207.html
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