(毎日新聞社 2008年7月22日)
倒れている人を見たら、手当てより先にすることがある。
関西医大付属滝井病院高度救命救急センターの津田雅庸医師は、
「自分の安全を確保する。それから、近づき話しかける」。
6月の東京・秋葉原の17人殺傷事件では、
はねられた男性を介抱していた警察官が刺された。
交通事故の現場など、道路なら車にも注意が必要。
手当てする場合は、患者をその場から動かさないのが原則。
しかし道路上なら、安全な場所まで移動させる。
この際、頸椎の保護が大切。
ぐらぐらしないよう頭を支え、何人かで持ち上げたい。
安全に手当てができる状態になったら、まず声をかけ、
意識があるか確かめる。
呼びかけに反応しない場合、119番通報とAED(自動体外式除細動器)の
手配をし、あおむけにしてあごを持ち上げ、頭を後ろにそらせて気道を確保。
呼吸を確かめ、していなければ、心臓マッサージと人工呼吸(心肺蘇生)。
人工呼吸は省略もできるが、心臓マッサージは欠かせない。
脳の最大の弱点は、酸素不足。酸素は、血流で供給される。
心臓マッサージをすると、心臓が動き出すまでもある程度血流を保てる。
「病院に運ばれる救急患者でも、居合わせた人が心肺蘇生をしていると
回復が全く違う。一人の命を助けることにつながると思い、
勇気を持って積極的に」。
けがをしている場合は、止血のため患部にガーゼやタオル、
ハンカチを当て、手で強く圧迫。
刃物が刺さっている場合、抜くと大量出血する可能性があるので抜かない。
傷口より心臓に近い部位を縛る止血法もあるが、
正しい方法を学んでいないと、患部を壊死させる。
夏には、プールや海でおぼれる事故も増える。
助ける側までおぼれないよう注意し、砂浜や陸地に引き上げる。
体を横向きにして、口にたまった水などを出し、
人工呼吸や心臓マッサージをする。
熱中症も、要注意。
暑さで体温が上がり、体内の水分や塩分のバランスが崩れて起きる。
重い場合は、けいれんや意識障害に陥る。
子どもは、体重の割に体の表面積が広く、汗をかく量が相対的に多い。
湿度が高い日は汗が蒸発せず、皮膚を流れるだけで体は冷えない。
こうなると、水分を失うばかりで、熱中症になりやすい。
予防には、こまめに水分を取るのがよい。
それでも立ちくらみやめまい、けいれん、頭痛や吐き気が起きたら、
日陰など涼しい場所に移して水分を飲ませる。
吐き出すなど水分をとれないようなら、病院を受診した方がいい。
ハチなどに刺されるのも侮れない。
アナフィラキシーショックと呼ばれる激しいアレルギー反応が起き、
呼吸困難などで死亡することがある。
最初に刺されると、体内に抗体ができる。
この抗体が原因で、2回目に刺された時にアナフィラキシーが起きる。
「刺された部分だけでなく、全身が真っ赤になったり、息苦しくなったら
すぐに病院へ」と津田医師は警告。
http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=77514
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