(共同通信社 2008年7月25日)
女性の体に劇的変化をもたらす妊娠と出産。
最近、この命がけの一大事を乗り越えて、
世界のトップに返り咲く選手が目立つ。
「ママでも金」に挑む柔道の谷亮子選手はもちろん、
海外に目を向ければ、マラソンのポーラ・ラドクリフ選手(英国)や
ハードルのジャナ・ローリンソン選手(オーストラリア)など。
「復帰の鍵は、いかに基礎体力や技術レベルを落とさずに
妊娠期間を過ごすか。彼女たちは、必ず戻るという強い意志で、
妊娠中も運動を継続していたはずだ」と、
妊婦スポーツに詳しい日本医大の中井章人教授(産婦人科学)は指摘。
妊娠期間は40週。
さらに出産後、体がほぼ元通りになるまで6週間かかる。
完全に休めば復帰は難しいが、中井さんは
「異常がなければ、妊娠中も普段の60-70%の運動ができる。
産む直前まで続けて構わない。
出産後は徐々にペースを上げ、6週間後は100%も可能」。
ただし、胎児のために有酸素の全身運動に限り、
腹部の圧迫や転倒を防ぐなどの十分な安全管理は不可欠。
大きいのは、精神面への影響。
「忍耐強くなった」、「幸福感が後押しになった」。
復帰したトップ選手の多くが、競技へのプラス作用を口にする。
陸上選手として、出産後も走り続けた女子美大の
石田良恵名誉教授(運動生理学)は、
「競技より出産の方がつらい。
乗り越えれば自信がつき、一段と強くなる。
子どものために頑張る母の強さは、動物の本能」。
昼夜問わずの授乳や家事の負担。復帰後の道のりも険しい。
だが石田さんは期待を込めて言う。
「今は練習でも育児でも、周囲のサポート態勢が整ってきた。
出産後の選手が強さを発揮できる可能性は増している」。
http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=77638
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