2008年1月16日水曜日

16年五輪招致が本格化、東京の売りは「五輪パーク」

(読売 1月15日)

2016年夏季五輪招致に名乗りを上げている東京、シカゴなど7都市が、
国際オリンピック委員会(IOC)に申請ファイルを提出。
本格的な招致レースの幕が開いた。
IOCは、競技会場配置、財政、交通など25の質問項目に分かれた
申請ファイルの内容を吟味、6月の理事会(アテネ)で、
五輪開催能力に基づく第1次選考を行い、数都市に絞る。

「いよいよスタート、という感じ」。
2016年東京五輪招致委の河野一郎事務総長は、
IOCに提出した申請ファイルを公表。
「改善点はあるだろうが、現段階としては十分な準備ができた。
五輪を招致するに値する力を(東京は)持っていると思う」。

東京の計画の最大の特徴は、「大都市の真ん中で行う五輪」。
東京の都心全体を「オリンピック・パーク」と名付け、
都市活動と五輪体験との共存をうたう。
都市に五輪を浸透させ、一体的な雰囲気を作り出すと同時に、
「環境など大都市の課題を先取りした、(先進的な)モデルも示す」。

競技会場は、1964年東京五輪の「遺産ゾーン」と、
臨海地区に新設する「東京ベイゾーン」、
その間に位置する五輪スタジアムなどの「結びクラスター(会場群)」に大別。
遺産ゾーンは代々木と皇居周辺、
東京ベイゾーンは夢の島と海の森周辺に分かれるため、
全部で五つの会場群を持つ。

「パーク」は、既存施設の利用で分散しがちとなる会場群を、
逆手に取った発想。
発想自体は目を引くが、実態を伴わないとの印象を与えないためには、
斬新なプロジェクトや継続的な活動で、
五輪体験が「息づいている」ことをアピールする必要。

現時点での招致レースは、最右翼のシカゴを東京とマドリードが追う展開。
競技会場配置を軸にした各都市の招致計画の比較では、
二つの会場群に集約したマドリードのコンパクトさと、
ミシガン湖岸に沿って展開するシカゴの簡潔さが、
分散型の東京をやや上回る。
交通、警備面も含め、分散配置では計画が複雑になりがち。

シカゴは、IOCの財源を握る米国の、20年ぶりとなる夏季五輪開催をアピール。
マドリードは、連続の欧州開催という逆風を受けるが、
前回招致で培った人脈や評価を生かせる強み。
東京も、投票が北京五輪の翌年となるため、
「なぜまたアジアか」の問いに、明快な回答の準備が必要。

リオデジャネイロやドーハは昨年のパンアメリカン大会、
一昨年のアジア大会で使用した施設の再利用が核で、分散配置型。
計画や社会インフラの質では、前出の3都市とは開きがある。
ただ、リオは南米初、ドーハはイスラム圏初の五輪開催という
政治的意義を前面に出せる強みがある。
同じアジア圏のドーハが1次選考を突破すれば、東京には厳しい展開。
プラハとバクー(アゼルバイジャン)は、開催能力面で圏外。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20080115iew7.htm

特集:MOTTAINAI アイデアいっぱい 大きく広がる(その1)

(毎日 1月5日)

今年、MOTTAINAIキャンペーンは3周年を迎える。
05年にノーベル平和賞受賞者でケニアの副環境相だった
ワンガリ・マータイさん(67)は、「もったいない」の日本語に共鳴し、
翌3月、キャンペーン名誉会長となって始まった。

地球温暖化の危機の中で、多くの人のライフスタイルに変化を生み出し、
国連とのタイアップにも広がっている。

割り箸の使い捨てをやめて、自分の箸を持ち歩く「マイ箸運動」を広める
全国行脚の旅を続けている名古屋市出身の神谷芝保さん(24)。

神谷さんは、05年6月に知人のマイ箸を見て衝撃を受けた。
「その人が見せびらかしていたお箸はすごくかっこよくて、
まさに『シャキーン』という感じでした」

割り箸の大半が中国から輸入され、いろいろな国の木材を使っていることや
工場で防腐剤が使われていることなどが分かってきた。
日本人1人が1年間に使う割り箸は、約200ぜん。
国内で約260億ぜん分の割り箸が年間に消費。

割り箸を使わないことが資源の浪費を防ぐためにも
健康のためにもいいと思い、マイ箸運動を広めようと決意。

神谷さんは、全国行脚のことを「マイ箸かけ箸の旅」と名づけた。
全国各地の環境問題に関心のある人々と交流し、
マイ箸の普及の運動の輪を広げるのが狙い。
マイ箸を持つことが、いかに森林資源を守ることになるかを説明する
自作の紙芝居と、市民団体「HAPPYまるけ
(「まるけ」は、名古屋弁で「だらけ」の意味)などで作った
マイ箸セット約200ぜん分を携え、自転車で名古屋を旅立った。

5月中旬に東京に到着し、知人のお寺で紙芝居。
6月23、24日に青森県六ケ所村で開かれたアースデーに参加。
札幌市のカフェで紙芝居をし、旭川市や帯広市をめぐって8月に青森へ。
秋田県で手足がぴりぴりしてきて「おかしいな」と思ったら熱中症に。
「東北で熱中症にかかるなんて、やっぱり地球温暖化の影響?」

10月、塗り箸の生産量で日本一の産地、福井県小浜市に到着し、
村上利夫市長や市幹部を前に紙芝居を披露。
京都府や山陽地方を抜けて11月に福岡、12月に鹿児島入り。

「いろんな人と知り合えて、マイ箸の大切さを訴えることができた。
いつも使っているお箸が自分に届くまでの過程を知れば、
無駄遣いも減るはず。みんながマイ箸を通じてつながり、
ハッピーになればいいですね」。
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国連広報センター(東京)所長の幸田シャーミンさんは
「今、地球温暖化防止は国連にとって最重要課題。
日本からマータイさんと一緒に発信しているMOTTAINAI精神を大切にしたい」。

国連総会議長のスルジャン・ケリムさん(マケドニア)は
親日家で昨夏来日し、日本語「もったいない」に関心を持った。
幸田さんは、「ありがたいという感謝の気持ちを込めた言葉」と説明。

幸田さんは、シンポジウムを通じてマータイさんの包容力、行動力に魅了。
リデュース(ゴミ減量)、リユース(再使用)、リサイクル(再資源化)と
リスペクト(感謝の心)を込めたMOTTAINAIが存在感を主張し、
改めて多くの人たちに感銘を与えている。

「私自身、生活全体で環境に負荷をかけないよう心がけている。
自宅はソーラー発電、窓はペアガラスなど高断熱で
エネルギー消費の節減と節水、移動はできるだけ公共交通機関を使う。
自分にとってのムダを省きたい」。
幸田さんは、マニキュアをしていない。

今、焦眉の急は地球温暖化問題。
7月には、環境を主要テーマとする北海道洞爺湖サミットがある。
「ケリム議長、潘基文(バンギムン)事務総長らが全力で取り組んでいる。
安全保障理事会でもテーマとなり、世界の安全保障の問題に」。

昨年のノーベル平和賞をアル・ゴア前米国副大統領とともに受賞した
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)議長、パチャウリさんは
「事務総長から温暖化防止の熱意がひしひしと感じる」。
それだけに、国連広報の日本担当者として責任は重い。

一方でMOTTAINAIキャンペーンは、昨春からキャッチフレーズ
MOTTAINAIが地球温暖化を止める」を強く打ち出した。

来月、国連シンポジウム「地球が危ない!人間が危ない!
ストップ・ザ・地球温暖化」が行われる。
「政府、市民、マスメディア、研究者、企業らがグローバルな視点で
取り組んでいかなければならない。
日本は、環境関連技術が先進的なので、それを世界に役立てていけるし、
MOTTAINAIでキャンペーンを展開することはとても有用だ」。
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風の音や虫の声、水のせせらぎなど暮らしの中から姿を消しつつある
懐かしい「音」を集めて紹介する新コーナー
MOTTAINAI SOUND」が、
MOTTAINAIオフィシャルウェブサイト(http://mottainai.info/)に登場。

このコーナーは、ミュージシャンの守時タツミさんが
「100年後になくなってしまうかもしれない地球上の音を残しておこう」と発案。
さまざまな場所で収録した自然の音や画像に、
守時さん自身のピアノの演奏を加えて表現。

第1弾として、観音崎海岸の波の音と上賀茂神社のセミの声をアップ。
ピアノの演奏で引き立つ自然の音を楽しむことができる。

守時さんは、音と日本古来の童話を組み合わせた絵本を発表する予定。
「普段の暮らしでなかなか接することができない自然の音を楽しんでほしい」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080105ddm010040150000c.html

ドライアイ:自動診断装置を開発 愛媛大の研究グループ

(毎日 1月5日)

愛媛大大学院医学系研究科視機能外科学(眼科)の大橋裕一教授(57)、
山口昌彦助教(43)らのグループが、目が乾いて不快感を生じる
「ドライアイ」の自動診断装置(TSAS)を国内で初めて開発。

診断が出るまで5分以上かかった従来の方法に比べ、
時間も10秒以内に短縮。
現在は約8割の精度で診断でき、
山口助教は「精度を上げて時間も短縮したい」。

従来の診断法は、ろ紙を目に挟むなど患者の苦痛を伴ったり、
目に触れない場合でも医師の主観が入るなどの課題。

グループは、角膜の形を測定する既存の装置に新開発のソフトウエアを導入。
角膜上に広がる涙の層が薄くなって拡散する様子を測定することで、
ドライアイかどうかを判定できるようにした。
自動式のため、医師以外の検査員でも扱える。

装置は、名古屋市の医療機器メーカー「トーメーコーポレーション」と
共同開発し、同社が昨年11月から販売。

京都府立医科大大学院の横井則彦准教授=視覚機能再生外科学=は、
「ドライアイの患者は、全国で推定800万~1000万人。
実際に使ってみたが、改良が進めば確固たる診断法になりそう」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080105k0000m040115000c.html

2008年1月15日火曜日

ドイツ:ベルリンなど3都市に「環境ゾーン」設置

(毎日 1月5日)

ドイツのベルリンなど3都市に、有害物質を排出する
旧式ディーゼル車などを締め出す「環境ゾーン」が設置。
東京などの排ガス規制とほぼ同レベルの基準が設けられ、
環境ゾーンへの乗り入れには車のフロントガラスに適合シールを張る必要がある。

連邦環境庁によると、第1弾となるベルリン、ハノーバー、ケルンの3都市の他、
国内17都市が12年までの環境ゾーン導入を決めている。

適合シールは、96年の欧州新車排ガス基準(EURO2)
満たすディーゼル車か、排ガス対策装置のあるガソリン車だけに発行。
違反者には、40ユーロ(約6400円)の罰金。

http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20080106k0000m030048000c.html

JISS-仙台大・スポーツ情報戦略連携の可能性

(JISS in Action 2007年12月19日) 和久貴洋(スポーツ情報研究部)

平成19年11月、仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所設立
準備会議が、仙台大(学長;向井正剛)にて開催、
研究所構想のフレームワーク(目標とミッション、事業、運営など)が話し合われた。

国立スポーツ科学センターが設置されて以降、
我が国そして世界のスポーツは大きく変化。
平成18年、遠藤前文部科学副大臣は「スポーツ振興に関する懇談会」を設置、
翌年「『スポーツ立国』ニッポン~国家戦略としてのトップスポーツ~」と題した、
我が国のトップスポーツの育成・強化を国策とする価値があるとの報告書を発表。

自民党内に「スポーツ立国調査会」が設置され、スポーツ立国に向けて、
「通常国会におけるスポーツ立国宣言」、「新スポーツ振興法の制定」、
「スポーツ省(庁)の設置」、「スポーツ担当大臣の配置」について検討。
この動きが、2016年オリンピック招致にも深く関連。

一方で、世界のスポーツも進展。
IOCは、グアテマラで開催された第119回IOC総会において、
14~18歳を対象としたユースオリンピックの2010年創設を決定
(冬季ユースオリンピックは2012年)。

IOCジャック・ロゲ会長は、「次世代、次々世代の若者のスポーツ離れ、
体力問題、スクリーン病などの課題解決、スポーツやオリンピックの価値を
深めるための若者への投資」。

さらに、スポーツ界に蔓延するドーピング問題に関しても、
その取締りと防止強化は世界の政府レベルで進められている。
ドーピング防止対策は、オリンピックや世界選手権大会等の
国際大会の招致においても、その位置付けが高い。

体育系大学は、これまで体育学の発展と、体育・スポーツに関わる
人材育成に重要な役割を担ってきた。
スポーツ振興基本計画においても、JISS運営体制の充実の面で
体育系大学との連携が重要。

近年の大学改革等の社会情勢の変化の中で、
体育系大学にも新たな役割が求められている。
研究拠点化(COE)をはじめ、研究機能の向上やFD制度の導入に見られる
教育機能の充実、地域・社会貢献など。

JISSは、我が国の国際競技力向上を、スポーツ医・科学・情報の側面から
支援することを目的として、2001年に設置。
(1)トップアスリートへの情報・医・科学支援、
(2)国際競技力向上のための実践的研究の推進体制の構築、
(3)国際競技力向上のスポーツ情報戦略機能の構築
が、主な役割(スポーツ振興基本計画)。

しかし、行政改革等の社会情勢の変化、またNTC設置、
2016年オリンピック招致、国策化、といった国内スポーツ界の動きの中、
JISSに新たな役割も求められてくる。
時代の流れや動きの中で、自己のポジションや立ち位置を見定め、
それに応じた価値観や存在意義、役割を見出していくことが重要。

平成19年10月、JISSはスポーツ情報戦略研究の推進において、
スポーツ情報マスメディア学科を新設した仙台大学と相互協力協定を締結し、
仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所設立に向けた検討がスタート。

仙台大学とJISSの内部環境の分析結果に基づけば、
スポーツ情報戦略に携わる人材育成と研究・教育充実の場の創出が、
我が国のスポーツ情報戦略分野の研究の発展のカギ。

仙台大
(強み)
・スポーツ情報マスメディア学科 
・次世代、次々世代の人材
・教員
・教育プログラム
・研究活動
・組織の柔軟性
(弱み)
・国際スポーツ社会との関係
・国際的視点からの戦略
・ビジネス機会の範囲と頻度
・実践教育の場と機会

JISS
(強み)
・国立の機関としての位置付け
・情報戦略事業(ビジネス)
・国内外の情報コンテンツ
・地域、体育系大学、JOC、競技団体、学会、世界等とのネットワーク
・研究活動
・行政的裏付け(プロフェッショナル/職業)
(弱み)
・タイトなマンパワー
・キャリアパスの保障
・スタッフの時限性
・人材育成の機会

人材交流による研究・教育の充実、研究・教育協力、
業務分担による効率的ビジネス展開、実践教育の機会創出等が戦略に。
しかし、人事体制や業務体制の整備、研究課題の価値、
地域貢献・社会貢献の面では課題が。

課題解決の方策として、教育研究機関としての仙台大学と
政策執行機関としてのJISSの間のハブ拠点としての研究所設立。

仙台大学スポーツ情報マスメディア研究所のねらいと戦略。
1 学内センターをハブとした人材の還流・育成=研究・教育充実の
刺激研究所という柔軟な人事体制が可能なハブを設立、
仙台大-JISS間の人材の還流・育成が活性化し、
研究・教育・ビジネスを充実させる刺激を生む。

2 学内センターでのビジネス展開による実践教育の場と機会の創出、
教育機会の充実、
人材育成研究所は、JISSや地域などの外部機関との窓口となり、
大学の教育の枠組みの中で対応しにくいビジネスを展開、
実践教育の場や機会を創出し、教育機会の充実と人材育成を図る。
このことはビジネスの効率的展開を生む。

3 人材の還流による研究発想力の強化・拡大
社会のニーズに即した実践研究研究所を通した人材還流の活性化と、
研究所ビジネスを通した地域やスポーツ界のニーズの把握は、
社会のニーズに即した実践研究を促進し、研究発想力の強化や拡大を促す。

4 社会からの情報・人材のエントランス
開かれた大学、地域貢献、社会貢献研究所が社会からの情報や
人材のエントランスとして機能することは、開かれた大学、地域貢献、
社会貢献という体育系大学に求められる役割を果たす。

第1回設立準備会議を実施したことで、
JISS-仙台大連携による研究所構想の実現の第1歩を踏み出した。
今後も、設立準備会議を継続し、研究所の目的、ミッション、事業内容、
運営体制、リソースなどのビジネスフレームについての検討が
具体的に進められていく。

研究所設立が、JISSと大学が効果的に連携する象徴の一つとなってほしい。
研究所構想の実現に向けて、両者が有する資源を出し合う仕組みと過程が、
異組織間連携のキーファクター。
互いの資源を活用し合う過程に連携が生まれる。

Partnership is not a posture, but a process. John F. Kennedy

ミカンを救うのはあなた次第

(毎日 12月21日)

冬になるとおいしいミカン。あたたかい部屋で食べるミカンは格別な味。
しかしこのミカン、実は栽培が低迷している果物のひとつ。

神奈川県小田原市は、日本でも有数のミカン産地であった。
現在、耕作を放棄された農地が約234ヘクタール、その大半がミカン畑

原因は、他の農業でも同じ後継者不足と、農産物の貿易自由化。
ジュースや缶詰製品の輸入が増え、生果としてのミカン消費量が減少。
市場に出るものは、見た目のきれいな、糖度の高いミカンを要求。
ミカン農家の廃業はあとを絶たず、放置されたミカンの木があちこち。
放っておけば、つる草がからみつき、木はだんだん弱り、
5年もすれば死んでしまう。せっかくつけた実も落ちて腐っていく。

このミカンをなんとか甦らせることはできないかと、
2005年から"持続可能な社会"をテーマとして掲げる
NPO法人・ビーグッドカフェが、
オレンジ・プロジェクト」と称し、ミカン農園の再生活動。

小田原市では、「都市農業成長特区」が認められ、
市内の農地を企業やNPO法人に貸し出すことができる。

ビーグッドカフェでは、「アグロフォレストリーコミュニティーガーデンづくり
として、このミカン農園復活を考えている。
アグロフォレストリーとは、畑で作物を育てつつ樹木を植え森にしていくこと。

ここでは、作業を通して土に親しみ、同時に緑も増やしていく。
ミカン畑を、コミュニケーションや憩いの場として活用、
参加する人が気持ちよく作業できるようにとの意図も。

月に一度集まっては雑草やつる草を取り除き、ハーブの種まき、
ミカン摘み、作業場や雨水ダンクをつくるなどやることはいっぱい。
畑作業のあと、オーガニックランチをみんなで食べてくつろぐ、というお楽しみも。

個人向けに活動を呼びかけてきたが、今年から法人向けのプロジェクトも。
日本経済新聞社と(株)都市デザインシステムと合同で、
これからの環境・CSR活動のあり方を考える研究会」発足。
放置農園の支援を企業に呼びかけ、CSR活動として考えてもらうとの趣旨。
毎回、多分野の講師をゲストに話を聞き、その後は畑仕事を行う。

オレンジ・プロジェクトでは、二つの農園を借りている。
その一つを一般向けに、一つを法人向けに、と分けて作業を進めている。
ゆくゆくはいろいろな人や企業に参加してほしい、
救えるミカン畑が増えることを目指すが、
まずはこの二つの農園を生き返らせようと奮闘中。

ミカンの木の再生と一口にいっても、そう簡単なことではない。
放って置かれた木は、長年の肥料のやりすぎや農薬による影響で弱っている。
今年は、実を全部とって木を休ませるようにした。
農薬をやめ、肥料も抑える。
まずは、一度薬漬けになった体をリニューアルさせる。

こうして出来たミカンは、ほんのり甘酸っぱい味がする。
ミカン栽培の低迷は、消費者の好みにより甘酸っぱいミカンが
売れなくなったことも要因のひとつ。
これまでのミカンは甘さを追求し、
ホルモン剤や肥料をたくさん与える農法が主流。
薬をたくさん使っても甘い味がいいのか?
それとも健康に自然のまま育ったミカンの味がいいのか?

これは私たちに問われている宿題でもある。
小田原のミカンの木は、山の斜面に立っていることも多い。
木が弱れば、それだけ地場も弱くなり、
土砂崩れなどの災害を引き起こす危険も。

地元の農家の人たちからも、こうしたプロジェクトに期待。
小田原で有機農業を25年間手がけてきた石綿畝久さんは、
「ミカン畑が全滅するかどうか、いま瀬戸際の状態。
ミカンの木が生き残るかどうかは、関わってくださるみなさん次第です」。

始まったばかりだが、いろいろな人、企業の人に関わってもらいたい。
実際にミカンの木にふれてみることで、土地の大切さや、
口に入る食べ物のことを知るようになる。
まずは、"きっかけ"なのである。

http://mainichi.jp/life/ecology/mottshiritai/news/20071221org00m040003000c.html

2008年1月14日月曜日

対談:IPCCパチャウリ議長×小宮山宏・東大学長 温暖化防止には分野超えた連携を

(毎日 12月24日)

国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)
ラジェンドラ・パチャウリ議長=インド・エネルギー資源研究所長=と
小宮山宏・東京大学長が、東京大で対談。

パチャウリ議長は、「日本は世界の温暖化防止の重要な役割を果たしている」
と、学界や経済界などと議論するために来日。
両氏は、地球温暖化防止や持続可能な社会の実現には、
学問や文化など既存の枠を超えた取り組みが重要。
その実現に向けて、人材育成と交流を活発化させていくことなどを語り合った。

小宮山 IPCCは、温暖化問題の重要性と重大さを、説得力をもって伝えた。
20世紀後半の気温上昇について、90~95%の確率で
人間活動だと結論づけた意味は大きい。

パチャウリ 100年間に地球の平均気温は0・74度上昇
原因は、人間が排出した温室効果ガスの効果と自然変動の両方。
観測網が充実し、気候変動を再現するコンピューターシミュレーションの
進歩で両者を区別でき、専門家が議論して90%以上と判断。
地球温暖化防止バリ会議でも、IPCC報告書を尊重した議論を展開。

小宮山 大気中の温室効果ガス濃度の上昇を止めることができても、
海面上昇などの温暖化影響はその後も続く。

パチャウリ 海面の上昇は、モルディブなどの島国だけの問題ではない。
東京やニューヨークなど大都市の活動にも大きな支障をもたらす。
バングラデシュは、洪水や暴風雨に見舞われる一方、干ばつも深刻化。
水は、生命活動を支えるのに必須。
安全な水を確保できないことは、貧困や健康、紛争の火種に。

小宮山 地球規模の問題解決には、各地の文化の多様性を考慮。
東大は、持続可能な社会へのビジョンを示すため、国内11大学でつくる
サステイナビリティ学連携研究機構という研究教育ネットワークを発足。
国や地域の枠を超えて、個々の学問のネットワークを構築。
科学的知識を再構築する「知の構造化」が必要

パチャウリ ノーベル賞受賞で、IPCCには約90万ドルが贈られた。
アフリカなど温暖化に対する知識が普及していない地域で、
大学などに財政支援し、研究活動とともに人材育成を図りたい。
温暖化研究や対策で、日本はアジアの代表。
東大などと連携を強化していきたい。

小宮山 来年、北海道洞爺湖サミットが開催。
G8各国に、中国やインド、ブラジルと大学サミットの開催準備を進めている。
大学間ネットワークをさらに進めたい。

パチャウリ 温暖化問題の解決には、自然科学、社会科学、人文科学と
分野を超えた連携が重要。G8から、重要な知見が出されるのを期待。

小宮山 私の自宅では、太陽光発電を利用。
できることから率先して取り組みたい。

パチャウリ 国際会議参加のため、頻繁に航空機を利用することが私の課題。
たくさん植樹して、排出した二酸化炭素を吸収させたい。
必要な物しか買わない質素な生活を心がけている。

http://mainichi.jp/life/ecology/news/20071224ddm016040006000c.html

地域医療確保に追われた政府・与党_医師不足解消の転換点になるか

(じほう 2007年12月28日)

産科や小児科に代表される地域医療の勤務医不足問題で、
医療界が大揺れに揺れた1年だった。
「医療崩壊」の危機が叫ばれ、政府も医師確保対策の充実を最重視した。

「医療崩壊」(小松秀樹著)の出版は、2006年5月。
07年は、氏の警鐘が現実のものとなり、
内科などの基本診療科でも休止・撤退が相次いだ。

福島県立大野病院の産婦人科医師が、業務上過失致死と医師法違反に
問われた大野病院事件の初公判も07年1月にあった。
若手医師をはじめ、産科医不足を決定付けたこの事件の公判手続きは、
来年5月に終了する見通し。
地域医療崩壊を防ぐことは、政府も喫緊の課題と位置付け。

5月の「緊急医師確保対策」は、
<1>国レベルの臨時医師派遣システム構築
<2>勤務医の過重労働の解消
<3>女性医師らの職場環境の整備
<4>臨床研修病院の定員見直し
<5>医療リスクに対する支援
<6>医師不足地域に勤務する医師の養成
という短期や中長期的な6項目の施策を明記。その後の方向を決定付ける。

08年度の政府予算編成では、次期診療報酬改定で技術料に相当する
本体部分を8年ぶりに引き上げることが決まった。
「決して十分とはいえないが、勤務医の疲弊、産科・小児科・救急医療の危機が
少しでも救われることを期待したい」(日医会長の唐澤祥人氏)。

厚生労働省の08年度予算案も、医師不足対策予算として
倍増に近い約161億円を確保。
財務省の回答が、要求を3000万円上回る異例の予算編成。

一方、県立大野病院事件は司法が医療の現場に過剰に介入しがちな
現状を改善すべきという議論を喚起する契機に。
4月に「診療行為に係る死因究明等の在り方に関する検討会」が設置、
10月に政府(厚労省の第2次試案)、12月に与党(自民党検討会の報告)が、
死因究明を行う新制度の骨格を提示。

死因究明と再発防止を医療者自らが行う新制度の創設を、
「医療従事者が委縮することなく医療を行える環境を整えることは、
医師不足対策の一環としても重要かつ喫緊の課題」(自民党検討会)。

厚労省は08年度、医師不足対策予算の柱に掲げた主要項目
(医師派遣システムの構築21億円、病院勤務医の勤務環境整備等53億円、
女性医師等の働きやすい職場環境の整備21億円など)を推進。

医師不足問題解消に向けたターニングポイントとなった年。
07年が後にそう評価されるよう期待したい。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=65266

2008年1月13日日曜日

学校教育における『環境』と『地学』の位置は?

(サイエンスポータル 2007年12月19日)

環境問題に関心の深い研究者、教育関係者などが参加する
公開シンポジウム「環境教育 明日への提言」が開催。
日本学術会議の環境学委員会環境思想・環境教育分科会が主催。

「学校教育に教科として『環境』を位置付け、専門教員を養成」を柱とし、
「幼児、小、中学生に自然体験を徹底させるべきである」という提言案が
合意を得るまでには至らなかったが、現状認識については多くが同意。

大人(先生)も子ども(生徒)も、自然体験が恐ろしく希薄、
という事実に対してである。

環境という科目をつくるべきか否か、という議論が交わされている一方、
既存の科目が存亡を問われかねない状況にあることが、
「地質ニュース」(産業技術総合研究所・地質調査総合センター編)。

開発などによって、「危機にある地形」や「保存すべき地形」をまとめた
「日本の地形レッドデータブック」(古今書院)の編者でもある
小泉武栄・東京学芸大学教授によると、地球環境問題に加え、
地震をはじめとする大規模自然災害への対策を考えても、
政治や経済に加え、地学や自然地理学の研究の進展が大きな役割。

にもかかわらず、地学研究者の層はますます薄く、
野外で調査にあたる地質学者や地形学者は、
後継者を育てることすら難しい、と警鐘。

研究者の不足以上に、大きな問題として小泉氏が挙げているのが
学校教育における地学関連の教育の不振」。

経済の高度成長は、安価な原料を海外から大量に輸入する傾向を強め、
国内での鉱産物生産の必要性は小さく、学校教育における地学の軽視、
小中学校の教科書における地学、自然地理関係の内容の著しい減少に。

地学教育の地盤沈下に比べ、環境教育の方がよほど重視されている。
「環境教育は、学校教育におけるすべての教科で、
機会をとらえて実施することになっている」。

しかし環境教育の結果、「子供たちは 地球環境の問題点ばかりを、
繰り返し学習することになってしまった」。
小泉氏は、「小学校や中学では、地球環境問題の学習より先に、
地球や自然のすばらしさを学習すべきである」と主張。

地球環境問題についての勉強は、
「地球のすばらしさを発見させ、子供たちは地球に生まれてきたことの
幸せを感じることができ」た後に行った方がよい。
地学を教えられる機会が激減していることの影響、対応策を考える場合、
「環境」を独立の科目にすべきという議論とのすりあわせ、
協働といったものは考えられないものだろうか?

「大人(先生)も子ども(生徒)も、自然体験が恐ろしく希薄になっている」
という危機意識は、両者に共通すると思われる。

http://scienceportal.jp/news/review/0712/0712191.html

次期診療報酬改定は本体0.38%引き上げ 実に8年ぶりの本体プラス

(じほう 2007年12月28日)

次期診療報酬改定は、8年ぶりの本体0.38%引き上げ。
年明けから中医協で、診療報酬点数の配分論議が始まる。
病院勤務医の過酷な勤務実態などに照らし、
特に小児、産科、救急医療などを手厚く評価する予定。
諮問とパブコメを経て、2月中旬以降に改正案を厚生労働相に答申。

次期診療報酬改定をめぐっては、中医協が11月21日の総会で
「本体部分に関しては、マイナス改定を行う状況にない」
とした意見具申を了承し、舛添要一厚労相に提出。

12月4日には、自民党の社会保障制度調査会医療委員会と
厚生労働部会が「プラス改定を図り、必要な医療費財源を確保する」との
決議文を採択するなど、診療報酬本体引き上げへの気運が高まり。

2008年度予算案の編成作業では、
社会保障費の自然増圧縮分2200億円の財源確保が焦点。
その結果、まず政管健保の国庫負担肩代わりとして
健保組合から750億円、共済組合から250億円の協力を取り付け。
薬価・材料の引き下げで960億円、後発医薬品の使用促進で220億円など、
2504億円を確保、2200億円を上回る304億円を診療報酬本体の引き上げに。

本体の引き上げは、実に8年ぶり。
ただ、薬価・材料が1.2%引き下げられるため、全体では0.82%の引き下げ。
本体の配分は、医科・歯科・調剤が1:1:0.4。

年明けからの点数配分をめぐる中医協での議論では、
医師不足問題や勤務医の負担軽減、
地域医療の要である小児・産科・救急医療への重点配分が検討される見通し。

中医協の今後のスケジュールは、
1月16日に厚労相より改正案作成の諮問を受けた後、
1月下旬にかけて国民から広く意見を募るパブコメを実施。
その結果を踏まえ、中医協の中で個別点数ごとの議論を行い、
2月中下旬に改正案を答申する運び。
3月上旬には新点数が告示され、4月1日から実施。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=65265

郵便局利用し遠隔健康診断 2月に旭川医大が実験へ

(共同通信社 2007年12月28日)

旭川医科大(吉田晃敏学長)は、
郵便局の高速通信網や局内のスペースを利用した、
遠隔地での健康診断「一坪健康センター」(仮称)の実証実験を、
来年2月に道内で始めると発表。
増田寛也総務相の了解も既に得ており、全国初の試み。
同大は、将来的には診察にも応用したい考え。

郵便局内に健康診断用の機器を設置。
検診者が体重や体脂肪率などを量ると、郵便局の高速通信の
ネットワークを通じて大学側にデータが届く仕組み。

北海道では、通信インフラの整備の立ち遅れが問題となっているが、
同大は郵便局の高速通信網に注目。
現金自動預払機(ATM)と同じ回線をもう1回線敷設し、
専用回線として利用する。

郵便局会社が、道内の約1000の郵便局の中から、
実験に協力できる10局を来年2月に決定。

吉田学長は、「郵便局を利用する人は相当数いる。
郵便局に立ち寄ったついでに利用してもらえるはずだ」と
実験、実用化の意義を強調。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=65240

2008年1月12日土曜日

地球温暖化防止:提言グループ設立 サッカー日本代表監督・岡ちゃん、環境アシスト

(毎日 1月12日)

太陽光や風力、地熱など「再生可能エネルギー」を
もっと生かして地球温暖化を食い止めようと、
サッカー日本代表の岡田武史監督や女優の竹下景子さんらが、
政策提言グループ「地球環境イニシアティブ(GEIN)」を設立。

岡田監督を代表に、作家の倉本聡さんやシンガー・ソングライターのイルカさん、
ヤクルトスワローズ前監督の古田敦也さんら12人が発起人。
代表は、NPO「富士山を世界遺産にする国民会議」運営委員長の小田全宏さん。

約2%にとどまっている再生可能エネルギー導入率を、2050年に50%に高め、
化石燃料や原子力発電依存からの脱却を呼びかけるのが狙い。

岡田監督は、「僕らは子供たちに何を残していけるのか。
今(電気を)使うため、1万年もなくならない放射性廃棄物を
残すのは違うんじゃないか」と設立の目的を説明。

発足大会を3月23日、東京・日比谷公会堂で開き、
具体的な政策提言を発表して賛同者を募るという。

http://mainichi.jp/life/ecology/news/20080112ddm041040008000c.html

マクロファージでのToll様受容体シグナル伝達は自食作用経路を貪食作用に関連させる

(nature 2007年12月20日号Vol.450 No7173 / P. 1253-1257)

細胞外微生物の除去にかかわる貪食作用と、
細胞質内に侵入した微生物の破壊にかかわる自食作用は、
2つとも古くから高度に保存された過程。

自食作用では、細胞内の新陳代謝と微生物除去のどちらにおいても、
自食胞(オートファゴソーム)と呼ばれる二重膜構造が形成され、
次いで自食胞とリソソームとの融合による内容物の分解が行われる。
後者の過程は、食胞(ファゴソーム)の成熟と類似。

Toll様受容体(TLR)にリガンドが結合すると、食胞の成熟促進など、
食細胞内のさまざまな防御機構が活性化され、自食作用も誘導される。

我々は、TLRシグナル伝達は、これらの過程を関連させて
従来の食胞機能を高めている可能性があると考えた。
本論文では、マウスのマクロファージ上のTLRに結合する粒子は、
貪食されると、自食胞マーカーLC3を、自食経路のタンパク質である
ATG5とATG7に依存的に急速に食胞に移動させる引き金となることを示す。

この過程より先に、ベクリン1の食胞への移動と
ホスホイノシチド-3-OHキナーゼの活性化が起こる。
ベクリン1とLC3の食胞への移動では、従来の自食胞の特徴である
二重膜構造は認められなかったが、
食胞とリソソームとの融合に関連しており、
これによって急速な酸性化が誘導され、
取り込まれた微生物に対するキラー活性が高まった。

[原文]
Toll-like receptor signalling in macrophages links the autophagy pathway to phagocytosis

Miguel A. Sanjuan1, Christopher P. Dillon1, Stephen W. G. Tait1, Simon Moshiach2, Frank Dorsey3, Samuel Connell1, Masaaki Komatsu4, Keiji Tanaka4, John L. Cleveland5, Sebo Withoff1 & Douglas R. Green1
1. Department of Immunology,2. Department of Tumor Cell Biology, and,3. Department of Biochemistry, St Jude Children's Research Institute, Memphis, Tennessee 38105, USA 4. Laboratory of Frontier Science, Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science, Bunkyo-ku, Tokyo 113-8613, Japan 5. Department of Cancer Biology, The Scripps Research Institute, Jupiter, Florida 33458, USA

Phagocytosis and autophagy are two ancient, highly conserved processes involved, respectively, in the removal of extracellular organisms and the destruction of organisms in the cytosol1, 2, 3. Autophagy, for either metabolic regulation or defence, involves the formation of a double membrane called the autophagosome, which then fuses with lysosomes to degrade the contents4, a process that has similarities with phagosome maturation. Toll-like-receptor (TLR) engagement activates a variety of defence mechanisms within phagocytes5, including facilitation of phagosome maturation6, and also engages autophagy7. Therefore we speculated that TLR signalling might link these processes to enhance the function of conventional phagosomes. Here we show that a particle that engages TLRs on a murine macrophage while it is phagocytosed triggers the autophagosome marker LC3 to be rapidly recruited to the phagosome in a manner that depends on the autophagy pathway proteins ATG5 and ATG7; this process is preceded by recruitment of beclin 1 and phosphoinositide-3-OH kinase activity. Translocation of beclin 1 and LC3 to the phagosome was not associated with observable double-membrane structures characteristic of conventional autophagosomes, but was associated with phagosome fusion with lysosomes, leading to rapid acidification and enhanced killing of the ingested organism.

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/nature/200712/nature/7173/02.html?Mg=a73604122dc63deaeab2f8015c4bed51&Eml=12b55b931cb52b4152963c77864c5aec&F=h&portalId=mailmag

パーソナルトレーナー:目的に合わせ指導 一対一で効率よく、肩こりや腰痛の悩み改善

(毎日 12月27日)

スポーツクラブなどで、「パーソナルトレーナー」とは?
トレーニングを一対一で指導してくれるスペシャリストのことだが、
まだ敷居が高いイメージも。

フィットネス関連の専門誌「NEXT」編集長、岩井智子さん(40)によると、
パーソナルトレーナーは、体力づくりや減量、シェイプアップなど、
各人の目的に合った運動メニューを作成し、運動方法の指導や補助。
米国では20年以上前から始まった。
当初は、映画スターなど特別な人のためだったが、今ではごく普通に利用。
日本ではなかなか普及が進まなかったが、2~3年前から
大手スポーツクラブがトレーナーを置き、利用する人が増えてきた。
トレーナーの中から、目的や希望の時間帯など選べるシステムが多い。

国家資格はないが、米国の日本支部や国内の団体が認定制度を持つ。
NPO法人や専門学校が養成コースを開設、
社内認定制度を持つスポーツクラブも。
「知っているクラブのスタッフが、認定制度でパーソナルトレーナーになり、
気軽に依頼できるようになったことも、広がってきた理由の一つ」。

パーソナルトレーナーにつくメリットは、
自分の目的に合った効率的なトレーニングができること。

「やみくもにトレーニングしても効果は上がりにくい。
トレーニングマシンを使う時、自分はこれくらいの負荷がよいと思っても、
もっと重いほうが適していることもある」。
マシンの持ち方を少し変えるだけで、効果が違う。

パーソナルトレーナーを選ぶ際は、「技術の高さや知識量より、
楽しくトレーニングできる人が大事。話をよく聞いてくれ、
体の状態などをきちんとチェックしてくれる人がお勧め」。

慢性的な肩こり、腰痛に悩まされている記者。
何とか、トレーニングで改善できないだろうか?
20年の経験を持つパーソナルトレーナーで、養成学校も経営する
尾関紀輝さん(40)に指導してもらった。

まず、立った時の姿勢をチェック。
足首の角度が直角になっておらず、体のバランスがやや後ろに傾く。
骨盤も後ろに傾き、横から見ると本来はゆるやかなS字カーブを
描かなければいけない背骨が、まっすぐに近い状態。
それを調節するため、首や肩が前の方に湾曲し、猫背に。
肩こりや腰痛の原因の、「体のゆがみ」を改善するため、
3種類のトレーニングを指導。

(1)前に湾曲した肩を矯正し、肩の可動域を広げる
腰の下に少し空気を抜いたボールを置き、あおむけに寝る。
両手にダンベルを持ち、腕を体と直角になるように広げ、
ダンベルを左右同時に上下に、また左右を上下逆方向に動かす。
脇を締め、ダンベルを持った手を左右に開くように動かす。

(2)骨盤の傾きを矯正し、背骨のS字カーブを適切な状態にする
うつぶせに寝て脚を少し広げ、ひざにベルトを巻く。
脚を広げる方向に力を入れながら手を前方に伸ばし、
肩甲骨を寄せるようにして体の脇に引く。

(3)鈍角になっている足首の角度を直す
片脚を伸ばして座り、トレーナーが足の甲を持って前に伸ばす方向に力を入れる。
それに逆らって、すねの方に戻す方向に力を入れる。

この日のトレーニング時間は約30分。
「いいよ。上手」など声かけで集中力を高め、やる気を出させてくれる。
肩甲骨を寄せる時も、場所を指で触れて示してくれたので分かりやすい。
立ち上がると、後方に傾いていた体のバランスが前に移り、
歩く時に足が出しやすくなっているのを実感。
==============
★コナミスポーツクラブ

健康運動指導士や国際的な認定団体の運動指導者のライセンス保持者を
対象に面接と筆記試験で採用。現在、全国約80施設に計約200人。
料金はトレーナーによって異なり、30分2100~5250円。
メンバーのみ利用可。電話0120・919・573

★セントラルスポーツ
独自の認定団体がパーソナルトレーナー、ペアストレッチトレーナーを認定。
ペアストレッチが15分1575円、腰痛、機能改善ストレッチが30分3150円~、
パーソナルトレーニングは60分6300円~。基本的にメンバー対象だが、
ビジター料金や体験利用料を払えば利用可。電話0120・355・669

★ゴールドジム
12年前から導入。アメリカのゴールドジム本部が認定する資格を持ち、
試験、面接に合格した人。ビジターも利用可能。
料金はトレーナーによって違い、60分4000~6000円程度。
電話03・5766・3131

http://mainichi.jp/life/health/news/20071227ddm013100042000c.html

2008年1月11日金曜日

口粘膜 角膜再生 特殊培養皿で実現

(東京新聞 2007年12月4日)

口の粘膜から角膜をつくり、目に移植して視力を取り戻す。
そんな再生医療の実用化が始まっている。
細胞を薄いシート状に培養できる特殊な培養皿が、大きな役割。
応用が進めば、皮膚の下に肝臓もつくり出せる。

東北大医学部の西田幸二教授らは、細胞培養で角膜の表面を覆う
「角膜上皮」をつくる再生医療の方法を開発
これまで約20人が治療を受けた。
角膜は「上皮」「実質」「内皮」の三層構造で、上皮は代謝して生まれかわる。
だが、病気や事故で新しい上皮をつくる幹細胞が死ぬと代謝が止まり、
角膜が白濁して視力が極端に落ちる場合が。

治療では、どちらかの目に幹細胞が残っていれば、2ミリほど切り取って
直径約2センチの培養皿に載せ、細胞をシート状に増殖。
このシートを損なわれた角膜表面に移植すると、新しい上皮として働く。
自分の細胞なので、拒絶反応もない。
両眼を損傷した場合でも、口内の粘膜細胞から“角膜上皮”をつくれる。
粘膜を取って培養すれば、上皮そっくりのシートができて移植すると働く。

これまで実用が広がらなかったのは、
シートが培養皿からはがせなくなる問題があった。
培養した細胞は、「のり」の役目をするタンパク質を出して皿に張り付く。
無理にはがすと破れ、酵素でのりを溶かすとシートも損なわれる。

西田教授は東京女子医大と共同で、角膜上皮用の特殊な培養皿を開発。
この皿は「温度応答性培養皿」の技術を使い、
温度を少し下げると表面の性質が変わってシートが浮くので簡単にはがせる。

「上皮の組織が比較的簡単な構造で移植しやすいこと、
皮膚の培養技術を使えたことに加え、
培養皿ができたことで再生医療が実現できた」。

治療法は、西田教授が2年前まで在籍した大阪大で開発。
東北大でも体制を整えて来年に治療開始する予定。
「治療を始めて5年。移植した幹細胞が、長期間働き続けるか研究が必要。
実質や内皮の再生の研究も進み、将来は角膜全体の再生医療も可能に」。

●培養皿、食道再生などに応用

角膜表皮の再生医療を実現した「温度応答性培養皿」は、
東京女子医大の岡野光夫教授が1980年代後半に提案。
大和雅之准教授は、「培養皿の底には、温度で性質が変わる高分子を、
ちょうど20ナノメートルの厚みで皿に付けてあります」。

この高分子は、細胞培養に適した32度以上の温度では、
クシャクシャと縮んで細胞の「のり」が付きやすいが、
それ以上温度を下げると伸びて「のり」をはがす。

細胞をシート状に培養できるようになったことで、
角膜以外の再生医療にも応用。
「来年2月には食道の再生も予定」。
内視鏡手術で食道がんを取ると、手術後に食道が縮んで閉じる場合が。
患者の口の粘膜細胞をシート状に培養して傷口に張れば、閉塞を防げる。

「SFみたいに聞こえるが、シート状に培養した肝臓組織を
皮下に移植すれば血友病などが治療できる」。
特定のタンパク質がつくれない血友病は、肝臓の数%が正常に働けば治る。
正常な肝細胞を培養して数%分をつくり、
移植の簡単な腹部などの皮下に埋める方法。
最初に数グラムの細胞があればよく、提供者の負担が非常に軽くなる。

大橋一夫特任准教授は、「技術的な面で障壁はない」。
肺や心臓の治療への応用研究も進んでいる。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/technology/science/CK2007120402069600.html

「家庭でも分煙を」厚労省研究班 夫の喫煙、妻の肺腺がん危険2倍に

(毎日新聞社 2007年12月12日)

夫が喫煙者だと、非喫煙者の妻が肺腺がんになる危険が2倍になることが、
厚生労働省研究班(津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の
大規模疫学調査で分かった。

夫の喫煙本数が多いほど妻が肺腺がんになりやすく、
「家庭や職場で分煙を工夫すべきだ」。
肺腺がんは、主に肺の奥にできるがんで、女性の肺がんでは最も多い。

妻(40-69歳)がたばこを吸わない夫婦約2万8000組を対象に、
平均13年間追跡調査。
追跡調査期間中に肺がんと診断された妻は109人で、
うち82人が肺腺がん。

夫が喫煙者の場合に妻が肺腺がんになる危険は、
夫が非喫煙者の場合の2倍、夫がかつて喫煙者だった場合も同1・5倍。

夫の喫煙本数別でみると、
1日に20本未満の場合は吸わない場合に比べ1・7倍、
20本以上は同2・2倍と、本数が多いほど妻が肺腺がんになる危険が高い。
82人の約4割は、夫からの受動喫煙が原因と推定。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=64219

重い米袋も楽々、農作業ロボットスーツ開発…東京農工大

(読売 1月9日)

重い米袋も中腰のまま楽に持てる「ロボットスーツ」を、
東京農工大の遠山茂樹教授らが開発。

農作業のとき、服の上から体に装着する。
ひじや腰、ひざなど計8か所の超音波駆動モーターで人間の動きを補助し、
体にかかる負担を大幅に軽くする。
作業内容によって力の入れ具合を切り替えられるようになっており、
例えば大根の収穫では、引き抜く際に大きな力が必要な
ひざと腰を重点的に補助。

果樹の枝切りでは、腕を上げた状態で固定する。
このスーツを装着すれば、20キロ・グラムの米袋を抱えたまま中腰になっても、
何も持たずにイスに座っている感じ。
ロボットスーツは介護向けなどに開発されているが、
農作業に特化したタイプは世界初という。

4年後の商品化を目指しており、遠山教授は
「今後は、果樹の熟度を測ったり天気を予測したりするシステムを組み込んで、
農作業全体を補助するスーツを実現したい」。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080109i411.htm

2008年1月10日木曜日

東南アジアで自立支援 視覚障害者のため筑波技大

(共同通信社 2008年1月9日)

就学や就業の機会が少ない東南アジアの目の不自由な人たちの
自立を支援しようと、視覚障害者のための国立大学「筑波技術大」は、
現地に医療マッサージ師を派遣、講習会を開いている。

東南アジア諸国では、目の不自由な人たちへの支援が立ち遅れている。
カンボジアでは、視覚障害者約14万人のほとんどが
正規の学校教育を受けられず、定職に就けるのは1%未満。

日本では、約3万人の視覚障害者が医療マッサージ師として働いている。
定職を持つ目の不自由な人の3割を占め、職域を確立。

大学側は、医療マッサージ師を2007年からアジアの国々に短期で派遣。
同年12月にも、カンボジアで3日間の講習会を開いたばかり。
講師自身が受講者のマッサージを受けながら技術を指導、
座学で医学的知識を伝えた。

今後、ラオスやベトナム、バングラデシュに活動を広げ、
講習会がなくてもマッサージの技術や知識を習得できるように
英語や現地語の点字教材も用意。
現地で指導者を育てていく考え。

筑波技術大の形井秀一教授(鍼灸学)は、
「指の感覚でできるマッサージは能力を発揮しやすい。
アジアの目の不自由な人たちの助けになりたい」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=65550

遺伝子配列の順序を入れ換える、新たなRNA加工様式を発見!

(nature Asia-Pacific)

立教大学理学部生命理学科関根靖彦 准教授

「DNAの遺伝情報を転写し、タンパク質の合成過程で仲介役を果たすだけ」。
長い間そう考えられてきたRNAだが、最近になって、
「驚くべき新たな機能」が相次いで発見。

マウスゲノムで70%以上もの領域が、いったんRNAに写し取られ、
その半分以上が「タンパク質をコードしない非コード RNA(ncRNA)」として、
遺伝子発現の調節機能などを果たしている。

立教大学理学部生命理学科の関根靖彦准教授は、
DNAの情報がRNAに写し取られて利用される際に、
配列の前半と後半の順序が入れ換わる「新たなRNA加工様式」がある。

RNAには、DNAの情報を写し取る伝令RNA(mRNA)、
mRNAの情報(コドン)に対応するアミノ酸を運ぶ転移RNA(t RNA) 、
タンパク質を合成する際にはたらくリボソームRNA(rRNA)など。

関根准教授らが用いたのは、「シゾン」という原始的な微生物(原始紅藻)。
「tRNAを作り出すための遺伝子が30種しかなく、極端に少ないため、
何かからくりがあるに違いないと直感して研究をはじめた」。
ヒトでは、48種のアンチコドンをもつtRNA遺伝子が知られ、
450コピーものtRNA遺伝子が存在。

シゾンの全ゲノムは、立教大学の黒岩常祥教授らによって完全解読。
「シゾンゲノムを、既存のtRNA遺伝子探索プログラムに照合しても
発見できないことから、tRNA遺伝子がどこかで分断されているのでは?」。
分断されたtRNAを想定して、シゾンゲノムの配列をみなおす作業。
その結果、実際のtRNAの塩基配列の前半と後半の順序が
入れ換わった遺伝子がみつかった。

入れ換わりのメカニズム」は、
1. DNA上の遺伝子の配列がそのままRNAに写し取られる。
2.RNAの先端と末端が結合して、環状のRNA(環状化RNA)になる。
3.環状化RNAの結合部位とは異なる部位に切れ目が入る。
4.ひも状になったRNAをもとに、特定の立体構造をもつtRNAが作られる。

「DNAには『ろちょうもんし』と書かれているところを、
RNAを作る際に文字を入れ換えて、『もんしろちょう』と
意味のある言葉にするようなものだ」と説明。

「もんしらかろちょう」から「らか」を削除して「もんしろちょう」にする、
「もんし」と「ろちょう」を連結することで「もんしろちょう」にする、
といったやり方でtRNAを合成する例は知られていたが、
今回のような入れ換えはまったく知られていなかった。

「同じような入れ換えの加工様式は、他の生物でみつかっていない。
この加工様式にどのようなメリットがあるのかは、まだ不明」。

今回の研究成果は、生物が予想以上にゲノム情報を柔軟に
加工・編集していることを物語っている。
「ゲノム配列には、生体システムを理解するうえで
重要なメカニズムがまだ多くあるはずだ」。
次なる「お宝」を掘り当てるための研究が続く。

http://www.natureasia.com/japan/tokushu/detail.php?id=66

心臓発作による死亡率は年末年始に上昇 専門家らが警鐘

(CNN 12月8日)

心臓発作など循環器系の病気による死亡率は例年、
クリスマス前後の12月から1月にかけて上昇する傾向があるとされ、
専門家らが注意を呼び掛けている。
胸の痛みなどの症状が現れても、パーティーや旅行の最中は
受診を後回しにするケースが多く、そのために手遅れになる恐れ。

ワシントン・ホスピタル・センターでは、循環器科医師のチームが
常駐する救急医療室を訪れる患者が、すでに急増の兆し。
11月末の感謝祭を前にした週末には、重体患者が次々に運び込まれ、
人工心肺装置が足りなくなるほど。
患者の多くは、「忙しくて自覚症状を無視していた」。

この時期は、
(1)通常の服薬を忘れがち、
(2)高脂肪の食事や塩分、アルコールの取り過ぎで、心臓に負担がかかる、
(3)気温が下がり日が短くなるため、運動不足になる
、といった要因が重なる。
雪かきなどの急な運動やインフルエンザなども、
心臓発作の引き金となることがあるという。

またクリスマス休暇中は、病院側の受け入れ態勢も手薄になりがち。
ただ、米心臓学会元会長のアリス・ジェーコブズ博士によると、
米国内の病院では、心臓発作への対応を迅速化するための改革が、
積極的に進められている。

詰まってしまった血管を、風船付きのカテーテルで押し広げる
血管形成術」などの治療を、患者の搬送後90分以内に行うことを目標に、
全米900カ所以上の病院が24時間態勢の整備に取り組んでいる。

しかし、早期治療のカギを患者自身が握っていることに変わりはない。
ジェーコブズ博士は、「どんな場所にいる時でも、
症状が起きたら無視せず、受診してほしい」。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200712080001.html

2008年1月9日水曜日

エビさんの食べるスポーツ:生きるのは面倒か=海老久美子

(毎日 12月10日)

意外に思うだろうか、それとも納得するだろうか?
アスリートには、食事に対して面倒くさがり屋が少なくない。
もちろん、意識の高い選手もまた少なくないが。

私が経験してきたアスリートの面倒くさがりぶりは、こんな感じだ。
手巻き寿司、鍋、果物の皮、セルフサンドイッチ、パンのトースト、
お湯を沸かす、缶切り、大皿盛り、スープをよそうこと、
骨付きの魚や肉、自分で調味、硬いもの・ぼそぼそするもの……。

なんでこんなことがと思うが、彼らには彼らなりの理屈があったりする。
もっとも、そのほとんどは言い訳だが。

傾向を見ると、ちょっとした「ひと手間」が、
イコール、面倒くさいになっているようだ。
手巻き寿司や鍋、サンドイッチは、自分の好きなものを好きな風に
組み合わせるから楽しいしおいしいのだし、
湯沸かしや缶切りに至っては、それをしなければもはや手に入らない。

アスリートが面倒くさがるひと手間は、摂れる栄養素を増やしたり、
食事にゆったりしたリズムを作って消化を助けるという役割も担っている。
すべて整えられたものを与えられているだけでは、小さな子供と同じ。
強く生き抜こうという意志が感じられない。

食べることは、生きていくうえでもっとも基本的なことのひとつ。
競技力というのは、生活力があってこそ養える。
アスリートは、自分の可能性を切り拓いていく強い意志を持っている。
体を作ってくれる食べ物への能動的なひと手間なんて、
きっと簡単なことのはずだ。

海老久美子・管理栄養士、博士(栄養学)、国立スポーツ科学センター

http://mainichi.jp/life/health/chie/news/20071210ddf035050007000c.html

北米全体で成長中のリサーチパークにも欠点?

(nature Asia-Pacific)

大学リサーチパークは、
特に米国とカナダで科学的活動のモデルとして、人気が高まっている。
目的志向の環境が企業と学界との連携を育んでいるが、
これは雇用の創生、知的財産の創出、企業および学界における
仕事に向けた研究者の育成を目的としたもの。
このコンセプトは、成功しているように見える。

米国Association of University Research Parks(AURP)の調査で、
リサーチパークは、企業および地域経済の活性化に寄与している
http://www.aurp.net/)。
リサーチパークは、北米全体で計12万5千人ほどの研究開発に従事する
科学者を擁しており、約5分の1が医薬品および診断部門で活動。
ビジネスも活気づき、過去5年間のうち、59のリサーチパークで750社設立。

しかし、良い知らせばかりではない。
AURPは、リサーチパークが依然重要な課題に直面、
特に商品化技術、参加企業の多様化、利潤性における課題である。
実際、当初の750社のうち、その後13%が脱落。

リサーチパークが大学に及ぼす影響は、さらに懸念される。
カナダのトロント大学商学部教授のRichard Florida氏は、
大学は、製品や地域の成長のための新しいアイデアを繰り出す
エンジンに過ぎない、という考え方を助長している点で、
リサーチパークを非難している。

リサーチパークに欠かせない産学連携の類は、
他のプロジェクトを犠牲にして、応用科学のプロジェクト数を増加させ、
大学研究に影響を及ぼしうる。

大学は、知識の創生、才能の育成への役割がはるかに重要である、と。
参加する科学者は、リサーチパーク興隆の
好影響ならびに悪影響について認識すべきである。
大学は、関係するリサーチパークがどんなに大規模化しても、
確実に基礎研究を最優先事項とすることに注意を払う必要がある。

Nature Vol. 450, P. 451, 14 November 2007

http://www.natureasia.com/japan/tokushu/detail.php?id=63

7月開催海フェスタ 気仙ならではの魅力発信へ

(東海新報 1月1日)

平成20年(2008年)の年が明けた。
気仙三市町、釜石市、大槌町の計五市町が会場となり、
「海フェスタいわて~海の祭典2008三陸~」が
7月19日(土)から9日間開催。

沿岸各市町が産業、生活の基盤としている海・川への関心を喚起し、
地震・津波などに対する地域防災意識の高揚と海洋環境への理解を深め、
港湾利用を図りながら、三陸沿岸地域振興の起爆剤としての役割が期待。

地方港湾での開催という前例のないケースでもあり、
各地域で親しまれてきたイベントを活用して、沿岸らしさをPRしたい。
港湾利用、環境、観光充実など、気仙地域が抱える課題解決の方向性が
見出せるか、祭典成功に向けた取り組みの波及効果も注目。
開催期間は、7月19日~27日(日)。

「海フェスタ」は、前身である「海の祭典」から数え、昭和61年から開催。
海の恩恵に感謝し、海洋国日本の繁栄を願う『海の日』の意義を再確認し、
海に対する関心を喚起することを目的に、主要港湾都市で毎年開催。
海フェスタとしては、6回目の開催。
県内沿岸五市町が会場となり、宮古市、久慈市が協力する形。
基本理念は、
▽港湾や海・川への関心の喚起、利用促進
▽地震、津波など防災意識の高揚
▽海洋環境への理解
▽海洋スポーツや海・川とのふれあい体験による青少年の健全育成
▽三陸沿岸地域の特色を全国に発信

注目は、中心会場である大船渡市が地方港であること。
岩手県開催は初で、東北では7年ぶり。
これまで東京や横浜など、大都市や県庁所在地での開催が多かった。
5市町の人口約13万人に、宮古市、久慈市を合わせても30万人未満。
富山県で開催した際、射水市や富山市など港湾所在各市が会場となり、
富山市だけで人口は、40万人超。
大船渡市の人口の10倍の規模。

富山県での開催内容は、大船渡市関係者がモデルケースとして参考。
全体事業費は1億円超、62事業を企画。
国や航海訓練所に所属する大型船や帆船、客船の寄港も10隻超、
来場者数は35万人を記録。
海フェスタ実行委員会(会長・甘竹勝郎大船渡市長)総会の場で、
実施事業の骨子が固まった。
5市町での事業数は、約60事業、動員も30万人規模。
事業構成は、記念式典や展示会、地震・津波等防災などのセミナー、
船舶の一般公開、マリン・ビーチスポーツ、海洋環境保全、
港・海・川のフェスティバルなど。
記念式典といった主要行事のほとんどは、大船渡市内での開催。

甘竹会長は、「これまである事業を期間中に集約させる形で開催。
当地区らしく、お金をかけずに成功させたい」。
事業費は、富山県開催よりも抑え、
夏場に行われた海・川にちなんだイベントを集約させて、
地方の魅力をアピール。
象徴的なのが、大船渡市の夏の恒例イベントで、東北最大級の海の祭典として
約20万人を動員する「三陸・大船渡夏まつり」。
毎年8月上旬に開催しているが、今年は海フェスタの協賛事業として、
期間中の7月下旬に催される。
陸前高田市でも、チャオチャオ道中踊りの期間内開催を予定。
市民の手で伝統を積み重ねた事業を、海フェスタを機会に見つめ直し、
広く沿岸らしさを発信したい。
住民の防災意識の高揚と地域防災力の向上を図るため、
高い確率で発生が予想される宮城県沖地震の最新情報を提供するなど、
防災に関するシンポジウムを大船渡市、陸前高田市、大槌町で開催予定。
大船渡市立博物館では、津波の歴史文献、写真展が開かれる。

2008年1月8日火曜日

15歳の応用力はなぜ低下しているのか

(サイエンスポータル 2007年12月5日)

15歳を対象に実施した経済協力開発機構(OECD)の
国際的な学力調査(PISA)結果から、
日本の高校生の学力、特に応用力低下があらためて問題に。
調査結果は、新聞各紙朝刊でも多く報じられた。
しかし、どれほどの国民がこの結果に衝撃を受けているだろう。

科学の『心』は論理的思考能力だが、日本ではその弱点が露呈
数学でも、方程式の解き方といった技術を教えることにとどまっていないか。
科学をいかに発展させるか、新しい分野を開拓しようという
マインドの西欧の教育とは違いが。
日本社会で起きている様々な問題も、論理的思考力の欠如が原因で
起きているように見える」
ノーベル物理学賞受賞者、江崎玲於奈・横浜薬科大学長の談話。

有馬朗人氏(元文部科学相、元理化学研究所理事長、元東京大学総長)も、
日本の教育、研究開発に投じる金の少なさを指摘し、
科学技術軽視の日本社会の仕組みや国民意識に警鐘。

政治家にも高級官僚にも大企業の役員にも、
理系出身者が非常に少ないといった例を並べ、
文系出身が圧倒的に優位な日本の社会構造をやり玉に。
こうした現実に手を付けず、さらに教育、科学技術にかける費用も抑えて、
どうして理数系の勉強や研究が大事だと子どもたちや若者に言えるか、と。

今回の調査結果で、学力以前の科学に対する関心、意欲の問題。
「科学について学ぶことに興味がある」という生徒は半数にとどまり、
「30歳で、科学に関連した職についていることを期待」という生徒は、8%
OECD加盟国平均の25%と比べると、相当な差。

日本は、文系出身者が優遇される国だから理数系に力を入れてもしようがない、
高校1年生の大半が、そこまで気を回して自分の将来を考えるだろうか?

科学的リテラシーや数学的リテラシー、
つまり江崎氏がいう論理的思考の重要性といったものに、
両親をはじめ身近な大人の大半があまりに無関心
そう見切ってしまっている子どもや若者が、
科学に対するプラスイメージを持てなくなっている、ということはないのか。

http://scienceportal.jp/news/review/0712/0712051.html

非常勤教授の急増は米国の学界の将来にとって有益か

(nature ASia-Pacific)


米国における終身雇用は様変わりした。
1975年以来、米国の大学・学部のポストの数は倍増したが、
終身ポストおよび終身コースにあるポストの割合は低下。


米国大学教授連合 (AAUP) が行った米国教育省データの解析によれば、
フルタイムとパートタイムを含めた一時的なポストである
「非常勤 (adjunct)」教授は、かつて大学では少数派であったが、
現在では大半を占めている。
1975年に、非常勤教授は米国の学部の43%を占めていたが、
2005年には教授ポストのうちのほぼ70%

AAUP の女性広報官Gwendolyn Bradley 氏は、
短期契約に基づくパートタイム労働力へのこのようなシフトにより、
米国の高等教育の質が低下し、
学問的な職業の選択から人々が遠のくことになりうる、と。

非常勤スタッフは、終身スタッフおよび終身コースにいるスタッフより
給料がずっと少なく、通常給付金を受けられず、
また事務所スペースや事務的な支援にもありつけない場合が。

「質の高い高等教育の維持に関わる転換点に。
それは、パートタイムスタッフの適格性の問題ではなく、
彼らが支援を受けられないため」。
公立大学向けの州予算の減少が、状況をさらに悪化。

しかし、この動向は見過ごされている訳ではない。
17万人の学部メンバーを代表する米国教員連盟
(American Federation of Teachers)は11の州にて、
この不均衡を是正するための法案を起草。

学部課程の75%を終身職員および終身コースにある職員に担当させること、
フルタイム教員の給料に比例した給料を支払うこと(給付金も含め)、
非常勤スタッフにフルタイムのポストへの道を開くこと。
既にこれらを認識している大学もある。

アナーバーのミシガン大学は、非常勤スタッフの給料と給付金を増額。
ニュージャージー州のラトガース大学は、この夏の労働争議を受けて
終身コースのスタッフを100名雇用すると公約。


しかし、教育の質、魅力ある仕事の選択肢として、競争力を維持するために、
米国の大学にはより広範な制度全体に及ぶ変革が必要。

Nature Vol. 450, P. 755, 28 November 2007


http://www.natureasia.com/japan/tokushu/detail.php?id=65

太陽観測衛星:米サイエンス誌が「ひので」を特集

(毎日 12月7日)

7日発行の米科学誌「サイエンス」が、
昨年9月に打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」の最新成果を特集。
日本や欧州、米国の研究者による論文9本がまとめて掲載。
太陽風の吹き出し口を初めてとらえたり、太陽表面と上空の大気(コロナ)の
極端な温度差の理由に迫るなどの成果を報告。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の坂尾太郎准教授(太陽物理学)らの論文は、
太陽風の吹き出し口を初めて発見。

太陽から大量に放射されている、超音速の電離した
陽子・電子(プラズマ)の流れが太陽風。
地球の磁場に影響を与えたり、人工衛星通信の信号を乱すほか、
オーロラの原因にもなっているが、
太陽のどの部分から放出されているかは分かっていなかった。

坂尾准教授らは、「ひので」のX線望遠鏡で、
黒点など磁場の強い場所の上空に明るく輝く「活動領域」を観測。
領域の端から放射状に上空に伸びた磁力線に沿って、
X線を放射する100万度のプラズマが秒速140キロ前後で常に流出。
太陽風として宇宙空間に放出される粒子の質量は、毎秒約100万トン。
観測したプラズマの量はその4分の1に達する。

今後も、複数の専門誌が「ひので」特集号を予定。
ひので科学プロジェクト長の常田佐久・国立天文台教授は、
「ひのでの成果が、太陽物理学の教科書を
何カ所も書き換えることは間違いない」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20071207k0000m040176000c.html

2008年1月7日月曜日

血漿シグナル伝達タンパク質に基づくアルツハイマー病臨床診断の分類と予測

(nature medicine 11月号Vol.13 No.11 / P. 1359 - 1362)

最も頻度の高い骨疾患である骨粗鬆症において、
機能が障害される骨リモデリングは、基質を産生する骨芽細胞による
骨形成と破骨細胞による骨吸収の2つの側面からなる。

食欲抑制ホルモンのレプチンが、視床下部を介して骨形成を
阻害することが明らかになったことから、
視床下部でエネルギー代謝に関わる他の分子も
骨量を調節する可能性が示唆。

ニューロメジンU(NMU)は、食欲抑制性の神経ペプチドの1つで、
レプチンとは独立に作用するが、その作用機序はよくわかっていない。
今回、Nmu欠損マウス(Nmu­⁄­)の骨量が骨形成の促進により増加すること、
これは雌のマウスに比べて雄のマウスでより顕著であることを示す。

生理学的および細胞生物学的解析から、
NMUは直接骨細胞に作用するのではなく、中枢神経系で作用して、
骨リモデリングを制御する。
レプチンあるいは交感神経系による骨形成の阻害は、
Nmu­⁄­マウスでは消失しており、これはレプチンによる骨形成抑制作用を
仲介する分子時計遺伝子の骨における発現が変化している。

さらに、野生型マウスにNMU受容体の天然アゴニストを投与すると、
骨量が減少した。
NMUは、レプチン依存性骨量調節の初めて同定された
重要なメディエーターであると考えられる。

NMU作用の阻害薬と活性化薬が存在することから、
これらの結果は骨粗鬆症などの低骨量を示す疾患の治療に
影響をもたらす可能性がある。

[原文]Classification and prediction of clinical Alzheimer's diagnosis based on plasma signaling proteins

Sandip Ray1,16, Markus Britschgi2,16, Charles Herbert1, Yoshiko Takeda-Uchimura2, Adam Boxer3, Kaj Blennow4, Leah F Friedman5, Douglas R Galasko6, Marek Jutel7, Anna Karydas3, Jeffrey A Kaye8, Jerzy Leszek9, Bruce L Miller3, Lennart Minthon10, Joseph F Quinn8, Gil D Rabinovici3, William H Robinson11, Marwan N Sabbagh12, Yuen T So2, D Larry Sparks12, Massimo Tabaton13, Jared Tinklenberg5, Jerome A Yesavage5, Robert Tibshirani14 & Tony Wyss-Coray2,15

1 Satoris, Inc., 2686 Middlefield Road, Suite E, Redwood City, California 94063, USA.
2 Department of Neurology and Neurological Sciences, Stanford University School of Medicine,300 Pasteur Drive, Stanford, California 94305-5235, USA.
3 Department of Neurology, Memory and Aging Center, 350 Parnassus Avenue, Suite 706, San Francisco, California 94117, USA.
4 Institute of Clinical Neuroscience, Department of Experimental Neuroscience, Sahlgrenska University Hospital, University of Goteborg, Bla straket 15, 431 80 Molndal, Sweden.
5 Department of Psychiatry and Behavioral Sciences, Stanford University School of Medicine, 300 Pasteur Drive, Stanford, California 94305-5550, USA.
6 Department of Neurosciences, University of California, San Diego, 9500 Gilman Drive #9127, La Jolla, California 92093-9127, USA.
7 Department of Internal Medicine and Allergology, Wroclaw Medical University, Traugutta 57, 50-417 Wroclaw, Poland.
8 Layton Aging & Alzheimer's Disease Center, Oregon Health Sciences University, 3181 Southwest Sam Jackson Park Road, CR131, Portland, Oregon 97201-3098, USA.
9 Department of Psychiatry, Wroclaw Medical University, Pasteura 10, 51-622 Wroclaw, Poland.
10 Clinical Memory Research Unit, Department of Clinical Sciences Malmo, Lund University, Universitetssjukhuset MAS, Ingang 56 plan 7, SE-205 02 Malmo, Sweden.
11 Division of Immunology and Rheumatology, Stanford University School of Medicine, 300 Pasteur Drive, Stanford, California 94305-5166, USA.
12 Sun Health Research Institute, 10515 West Santa Fe Drive, Sun City, Arizona 85351, USA.
13 Department of Neurosciences, Ophthalmology, and Genetics, University of Genoa, Via A. De Toni 5, 16132 Genoa, Italy.
14 Department of Health Research and Policy, Stanford University School of Medicine, Stanford, 300 Pasteur Drive, California 94305-5405, USA.
15 Geriatric Research, Education and Clinical Center, Veterans Affairs Palo Alto Health Care System, 3801 Miranda Avenue, Palo Alto, California 94304, USA.
16 These authors contributed equally to this work.

A molecular test for Alzheimer's disease could lead to better treatment and therapies. We found 18 signaling proteins in blood plasma that can be used to classify blinded samples from Alzheimer's and control subjects with close to 90% accuracy and to identify patients who had mild cognitive impairment that progressed to Alzheimer's disease 2-6 years later. Biological analysis of the 18 proteins points to systemic dysregulation of hematopoiesis, immune responses, apoptosis and neuronal support in presymptomatic Alzheimer's disease.

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/nature/200711/nature_medicine/09.html

休み明け、快適始動のコツ

(毎日 2008年1月4日)

年末年始の休みが終わり、仕事や学校が始まる時期を迎えた。
体調を整え、快適に新年をスタートさせるコツを、
池谷医院(あきる野市)の池谷敏郎医師(内科・循環器科)と、
精神科医で作家の奥田弘美さんに聞いた。

年末年始はアルコール、糖分、油、炭水化物をとる機会が多く、
内臓脂肪がたまりがち。
池谷医師が勧めるのは、「朝だけダイエット」。
朝食を野菜ジュースと果物のみにし、昼食と夕食は普通に食べる方法。
数日間でも摂取カロリーを少なくすると、
短期間にたまった内臓脂肪はすぐに落ちる。
運動も大切で、ウオーキングが最適
だが、「家事を一生懸命やるだけでも運動になる」。

久々に人込みに出ると、風邪のウイルスにさらされる心配。
予防には、マスクがよい。
のどの湿度を上げて、ウイルスを増殖しにくくする。
うがいと手洗いも大切。
うがいは、上を向いて舌を出すようにして、
のどの奧で15秒ほどがらがらし、3回ほど繰り返すとよい。

冬は寒さで血圧が上昇し、血管にもストレスがかかるため、
脳卒中を招きやすい。
脳卒中の患者は約140万人、年に約13万人が脳卒中で死亡。
体がなまった休み明けは要注意。

脳卒中には、くも膜下出血と脳出血、脳梗塞などがあり、
発症には血圧の上昇が大きくかかわる。
この時期に大切なのは、寒暖の差をなくして血圧の急上昇を防ぐこと
風呂に入るときは脱衣所を暖めておいたり、家から外に出るときには
セーターを着込んだりする。
急に激しい運動をすることも避ける方が良い。

魚を積極的に食べるとよい。
暴飲暴食や運動不足で血中の中性脂肪が増え、
善玉コレステロールが減ると、脳卒中の原因となる動脈硬化を生じる。
魚に多く含まれているドコサヘキサエン酸(DHA)
エイコサペンタエン酸(EPA)は、脂肪のバランスを整え、予防に効果的。

奥田さんは、「ストレスのもとは、体や心に起こる変化。
年末年始は帰省して人と会ったり、気づかないうちに心も疲れている。
心の健康を保つには、人間関係や仕事、プライベート、健康、
お金のバランスが大事」。

まず実行したいのが、早起き。
休み最後の2日間は、夜更かしをした後でも、通常の出勤時間に起きる。
2日間はアルコールを控え、肉、魚、豆腐などのたんぱく質と野菜を摂る。
「思考パターンを作るのは、脳内の神経伝達物質。
心を前向きにするには、睡眠と食事を整えるのが基本」。

心に新年の景気づけをするのも効果的。
例えば、財布や文具など普段使うものを新しくする。
1年の目標を決めると、エネルギーが出てくる。
ストイックな目標より、「旅行に行く」、「英会話を習う」など、楽しい項目。

「休みの最後の日までフルに活動して仕事に向かう場合、
仕事の初日は、『ならしの日』と割り切って」と奥田さん。
▽間に合うことは翌週に回す
▽残業をせず定時に帰る
▽新年会は慎むなど、張り切りすぎないように意識する。
……………………………………………………………………………
■奥田弘美さんが勧める心の健康回復法
・バランスのとれた食事
・散歩など軽い運動
・1人の時間の確保
・早寝早起き
・ゆっくり入浴
・マッサージなどのリラクセーション
・日用品を新調する
・楽しい目標をたてる

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=65317

乳酸菌:アレルギーの抑制力解明 東大など、症状緩和に可能性

(毎日 1月4日)

腸内に存在する乳酸菌の一種が、アレルギーの原因となる
免疫細胞を細胞死(アポトーシス)に導くことを
東京大などのグループがマウスの実験で突き止めた。

乳酸菌は、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状を
抑えることが報告されているが、メカニズムの一端が明らかに。

体内では、免疫細胞である「Th1」と「Th2」の均衡が保たれているが、
バランスが崩れてTh2が増えると、「IgE」という抗体が過剰に作られ、
アレルギー反応が起きる。
アレルギーの人は、Th2が過剰な傾向。

一方、アレルギー症状のある子どもは、乳酸菌のビフィズス菌や
ラクトバチルス菌が腸内に少ないという報告。

東大の八村敏志准教授らのグループが、
培養したマウスのTh2細胞にラクトバチルス菌を加えたところ、
何も加えない場合に比べて、Th2が1割程度多く細胞死を起こす。
マウスにこの菌を食べさせる実験でも、同様の結果を確認。

八村准教授は、「乳酸菌はTh1を増やす働きが知られていたが、
Th2の細胞死を促してアレルギーを抑える仕組みもある。
乳酸菌摂取が症状緩和につながる可能性がある」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080104dde041040035000c.html

2008年1月6日日曜日

TLR4はTGF-βシグナル伝達と肝繊維症を促進する

(nature medicine 11月号Vol.13 No11 / P. 1324 - 1332)

肝臓の損傷は、腸関門の不全と細菌産物への
肝臓の暴露度の上昇をともなう。

本論文では、肝臓の繊維化には腸内細菌叢と機能を持つ
Toll様受容体4(TLR4)が必要であるが、TLR2は必要でない。

Tlr4キメラマウスとin vivoでのリポ多糖類(LPS)投与により、
肝臓の筋繊維芽細胞の主要な前駆細胞である非活性型肝臓星細胞(HSC)が、
TLR4リガンドが繊維化を促進する際の主要な標的である。

非活性型HSCでは、TLR4の活性化はケモカインの分泌を増加し、
クッパー細胞の走化性を誘導するだけでなく、
トランスフォーミング増殖因子(TGF)-β偽受容体Bambiの発現を低減し、
HSCをTGF-β誘導性シグナル感受性にし、
クッパー細胞による制限のない活性化をもたらす。

LPSが誘導するBambi発現抑制とTGF-βに対する感作は、
Myd88-NF-κB依存性経路を介して起こる。
したがって、Myd88欠損マウスでは肝繊維症が減少する。

TLR4-Myd88-NF-κB軸によるTGF-βシグナル伝達の修飾は、
炎症惹起シグナルと繊維化惹起シグナルをつなぐ新規のメカニズム。

[原文]TLR4 enhances TGF-β signaling and hepatic fibrosis

Ekihiro Seki1,2, Samuele De Minicis1,2, Christoph H Osterreicher1,2, Johannes Kluwe1, Yosuke Osawa1, David A Brenner2 & Robert F Schwabe1
1 Department of Medicine, Columbia University, College of Physicians and Surgeons, New York, New York 10032, USA.
2 Department of Medicine, University of California, San Diego, School of Medicine, La Jolla, California 92093, USA.

Hepatic injury is associated with a defective intestinal barrier and increased hepatic exposure to bacterial products. Here we report that the intestinal bacterial microflora and a functional Toll-like receptor 4 (TLR4), but not TLR2, are required for hepatic fibrogenesis. Using Tlr4-chimeric mice and in vivo lipopolysaccharide (LPS) challenge, we demonstrate that quiescent hepatic stellate cells (HSCs), the main precursors for myofibroblasts in the liver, are the predominant target through which TLR4 ligands promote fibrogenesis. In quiescent HSCs, TLR4 activation not only upregulates chemokine secretion and induces chemotaxis of Kupffer cells, but also downregulates the transforming growth factor (TGF)-β pseudoreceptor Bambi to sensitize HSCs toTGF-β -induced signals and allow for unrestricted activation by Kupffer cells. LPS-induced Bambi downregulation and sensitization to TGF-β is mediated by a Myd88-NF-κB-dependent pathway. Accordingly, Myd88-deficient mice have decreased hepatic fibrosis. Thus, modulation of TGF-β signaling by a Myd88-NF-κB axis provides a novel link between proinflammatory and profibrogenic signals.

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/nature/200711/nature_medicine/05.html?Mg=e480715361192da2cde850f7d290ace7&Eml=12b55b931cb52b4152963c77864c5aec&F=h&portalId=mailmag

「血管年齢」を知ることが、患者に脂質目標値を達成させ、医学的アドバイスに順守させるのに有用

(Medscape 11月28日)


患者に、自分の循環器系リスクを教えるという簡単な手法が、
患者に医学的アドバイスを順守させ、脂質目標値を達成させるのに
有効であることが最新研究[1]で示された。

循環器系疾患(CVD)発現のリスクが高く、症状がまだ出ていない患者には、
「血管年齢」という分りやすい概念が心に響く。

Dr Steven A Grover(マギル大学)は、
「我々は、マギル循環器系健康向上プログラムを長年取り組んできた。
患者自身のリスクの内容と、減量・運動・脂質降下薬服薬によって、
どれほど変化するのかを患者本人に示してきた。
なんらかの治療を、特に血圧やコレステロールといった症状の出ない
病態に対して始める必要がある。
この手法は、治療の進捗状況を患者に説明するのに有用」。

Grover博士らは、3053例を対象にした
「不均一な患者群のコンプライアンスと知識向上のための循環器系健康評価
(Cardiovascular Health Evaluation to Improve Compliance and Knowledge Among Uninformed Patients: CHECK-UP)」の結果を発表。

3000例以上の患者のうち、12カ月後でも試験に残っていた者は2687例。
循環器系疾患を発現する確率を、コンピューターで出力。
CVDを有している被験者の確率は、循環器系余命モデルを用いて算出。
CVDを有していない被験者の確率は、フラミンガムのリスク推測値を用いて
今後8年間でCVD発現のリスク割合、循環器系余命として表現。

2つ目の手法は、患者のリスクを、冠動脈疾患および脳卒中リスクを勘案して
算出した患者の余命と、同年齢・同性の平均余命との差を、
患者の年齢から引いて算出する「血管年齢」で表現。
被験者を、従来型の治療群と、患者のリスク像を記した
コンピューター出力紙を見せる群とに分けた。
12カ月間は、脂質と血圧を測定し、3カ月毎に担当医師の下に来させた。

12カ月後の患者の低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールと
総コレステロール/高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール比の低下の幅は、
両群間で差はなかったが、試験開始時の脂質濃度で調整すると、
試験期間を通じてリスク像を見せられていた患者群の方が有意に大きい。

常日ごろから自分のリスク像の変化を見せられていた患者は、
脂質目標値に達する傾向も強い。
このことは、試験開始時の脂質像がもっとも悪かった層で特に顕著。

血管年齢は、脂質目標値の達成の最も強い予測因子の一つであり、
フラミンガムリスクよりも強力。
最も強く作用したのは、年齢差
血管年齢が実年齢からどのくらい離れているか、だ。
年齢差が大きいほど、リスク像への影響が大きかった。
フラミンガムリスクが高・中・低の場合を調べても、影響は小さかった。
実際に患者のモチベーションになったのは、血管年齢の一行だけ」

CHECK-UP試験に関連する2つの解説記事が、
循環器系リスクについてのコミュニケーションに伴う微妙な問題について考察。

Dr Rod Jacksonと Sue Wells(オークランド大学、ニュージーランド)[2]は、
リスク因子ではなく、リスクを管理するという考え方が
医師にあまり理解されていない。

「医師のほとんどは、高血圧と高脂血症の診断と治療のやり方を
教わっているが、リスクに基づいた手法では、診断しない。
また、治療法のほとんどは個々のリスク因子を標的にしたもので、
血圧や血中脂質濃度の測定・治療を中心にしないというのは難しい。」

しかし、大きな障害は時間。
CHECK-UP試験で、定期的に循環器系リスクを計算し、
患者に伝える時間は、多忙な医師には捻出できない。
リスク計算と患者の診療記録とを結びつけるコンピューターシステムの
ようなものがあれば、その作業を手早く済ませられる。

ニュージーランドでは、PREDICTというコンピューターシステムが
すでに45,000例の患者を対象にこれを実現。

Grover博士らの血管年齢の考え方は、
「予測された循環器系リスクを、患者と医師にとって意味のあるものに
移し替える基準として正しいことが証明される」


2つ目の解説記事[3]では、Dr Charles B Eaton(ブラウン大学)が、
CHECK-UP試験は定期的な外来診療の意義を間接的に検証。
2つの試験群での試験主要評価項目の差が、
著者らが報告した値よりも大きくならなかったのは、
非介入群の患者でも医師と定期的に会うことで
治療目標の達成が促進されることが理由。


しかしEaton博士は、「循環器系リスクが高い患者のうち、
1年後の脂質目標に達した者が45%から66%しかいなかった。
大きな治療のギャップがまだ存在している」

Grover博士は、今回の試験は正しい方向性に向けた一歩に過ぎない。
一番重要なのは、患者も取り込んだ新しいやり方を発見すること。
「臨床試験ではよく効く薬でも、実生活の中では同じように作用しない。
長期治療の状況では、患者自身が専門家に。
無症状の病態について、患者はどういう行動なら脂質のコントロールができ、
どういう行動なら脂質をコントロールできなくなるかを知っている。
患者を引き込むことができれば、
知識はとても強力な道具になりうることを利用できる」

血管年齢の考え方は、医師をも深く共鳴させるとGrover博士は考えている。
過去10年、カナダ循環器学会の展示場で血管年齢測定を行っている。
「医療専門家が、自分の数値がどのように変化したかを確認しに
再度やって来る。それには驚いた。彼らは、測定が目的で列を作るのだ」


1. Grover SA, Lowensteyn I, Joseph L, et al.
Patient knowledge of coronary risk profile improves the effectiveness of dyslipidemia therapy: the CHECK-UP study: A randomized controlled trial.
Arch Intern Med. 2007;167:2296-2303.

2. Eaton CB.
Using cardiovascular age equivalent to close the treatment gap for dyslipidemia.
Arch Intern Med. 2007;167:2288.

3. Jackson R, Wells S.
Prediction is difficult, particularly about the future.
Arch Intern Med. 2007;167:2286-2287.

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=63553

地域医療崩壊に揺れた07年 行き過ぎた改革のダメージ色濃く

(じほう 2007年12月28日)

2007年は、病院勤務医を中心とした医師の偏在・不足に、
史上最大の下げ幅となった06年度診療報酬マイナス改定のダメージが加わり、
各地で地域医療崩壊が叫ばれる年となった。

政府・与党も、08年度政府予算編成、診療報酬改定論議を通じて
医師不足対策を最優先するなど、
“行き過ぎた改革”による危機回避に舵を切った格好。
次期診療報酬改定では本体部分が0.38%のプラスとなったが、
改定財源は限られ、医療再生につながるのか楽観視はできない。

今年1月の中央社会保険医療協議会総会は、
06年度診療報酬改定から1年もたたずに、
「7対1入院基本料に対する建議」を柳澤伯夫厚生労働相(当時)に提出。
一部の大病院が新卒看護師を大量に確保するなど、
「地域医療に深刻な影響を与えることが懸念」が理由。

医師、看護師の不足も絡み、経営環境の悪化は医療機関の倒産に。
1-6月だけで31件と、前年実績を半年で上回るペースで伸び、
状況を看過できないと地域医療の確保に向けた施策を打ち出した。

政府が5月に示した6項目の「緊急医師確保対策」を受け、
8月には厚生労働、文部科学、総務の3省による地域医療に関する
関係省庁連絡会議が、北海道、岩手など5道県6病院を対象に
緊急に医師を派遣するシステムの第1弾を決定。

病院勤務医の労働環境改善、女性医師が働きやすい環境整備、
医師不足地域での大学医学部定員枠の拡大-といった対策を固めた。
医師不足対策は、08年度の厚労省予算案の筆頭に掲げられ、
大幅増となる約161億円を確保。

次期診療報酬改定は、本体部分を8年ぶりに304億円、
0.38%引き上げるプラス改定。
医療現場からは、「この水準では医療崩壊を防げない」という声が。
11年度までに、社会保障費の国庫負担を1兆1000億円削減する
歳出改革路線に対し、新たな財源確保が不可避との声。

12月には自民党・社会保障制度調査会長の鈴木俊一氏が、
年2200億円を削減する方針に、「来年以降はもう無理」と限界感。
来年1月には、「社会保障に関する国民会議」(仮称)の初会合も予定。
有識者のほか、福田康夫首相や舛添要一厚労相らも加わり、
社会保障の内容や給付と負担のバランス、
消費税を含む財源確保などについて議論。

現行の「中福祉・低負担」から、「中福祉・中負担」への政策転換は図れるか?
来年に控える衆院選が判断する最初の機会に。
自民・民主両党が、国民にどのような選択肢を示すのか、
医療の将来を占う意味でも注目。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=65264

2008年1月5日土曜日

1位は男性長野、女性沖縄 05年の平均寿命 全都道府県で延びる

(共同通信社 2007年12月18日)

平均寿命が最も長い都道府県は、
男性は長野で79.84歳、女性は沖縄で86.88歳
(厚生労働省「2005年都道府県別生命表」)。

都道府県別生命表は、1965年から5年ごとに作成され、今回が9回目。
長野の男性は90年から4回連続、沖縄の女性は75年から7回連続のトップ。
最下位は、男女とも青森(男性76.27歳、女性84.80歳)。
2000年の前回と比べ、すべての都道府県で平均寿命は延びた。

男性の2位は滋賀(79.60歳)で、以下神奈川、福井、東京。
女性の2位は島根(86.57歳)で、熊本、岡山、長野。
長野は、女性も5位で男女とも長寿ぶりが目立った。
女性でトップの沖縄は、男性が25位に。

青森の男性は7回連続、女性は2回連続の最下位。
男性は秋田、岩手、高知、鹿児島、女性は栃木、秋田、大阪、茨城の順。

2000年からの5年間で、平均寿命の延びが最も大きかったのは、
男性は滋賀と岡山で1.41歳、女性は大分と鳥取の1.36歳。

男性で前回15位だった東京は、今回5位と大幅に上昇。
順位が大きく変わったのは、男性の佐賀(前回44位から32位)、
岡山(同21位から11位)、女性の大分(同25位から15位)。

生命表は、出生や死亡に関する統計データを基に「平均余命」を算出。
ゼロ歳児の平均余命が平均寿命を意味する。
厚労省は毎年、日本人全体の「簡易生命表」を公表。
06年の寿命は、女性が85.81歳と世界1位、男性は79.00歳で同2位。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=64614

年末年始の体重増加に打ち勝つ方法

(WebMD 12月28日)

食べ物がそこらじゅうに溢れる年末年始。
まるで私たちを太らせようとするかのように、ご馳走続きに。
年末年始のご馳走で、減量計画をだめにしない方法がある。

どのようなきっかけで食べ過ぎてしまうのか、自覚することが一番いい方法。

食べ物と感情:年末年始の体重を増加に導く二重の要因

過食はシーズンによらず、食べ物の刺激というよりは感情に影響される。
ブラウン大学ウォーレン・アルパート・メディカルスクールの研究者
Heather Niemeierらは、ほとんどの過食の原因には心理的因子があり、
感情によって過食に走る人々は、減量および減量後の体重維持に
苦労する傾向にある。

「減量の成功は、感情と思考が環境的要因より大きな役割。
人間は、感情に反応して食べるのである。
年末年始は、いい感情も悪い感情も、すべて呼び起こされやすい」。
過去の年末年始の思い出に浸っている人、
延々と続く家族間の争いに直面しなければならない人、
あるいは1人で過ごす人、
そんな多くの人たちにとって、この時期は寂しい季節に。

モンテフィオーリ医療センターKatherine Mullerは、
「ある感情に対して食べるという行動で反応した場合、
その反応は再び繰り返される。
この反応関係は、長い間に何度も繰り返され強化されていくので、
一度出来上がったらなかなか壊れない」。

この時期は食べ物自体が感情の引き金になり、
もっと激しい感情の放出につながりやすいことを示した研究も。

ニューヨーク大学医療センター臨床心理学者Warren Hubermanは、
「音楽で記憶が呼び起こされるように、特定の食べ物も記憶を呼び起こす。
臭覚は、脳に直接つながる経路である。
特定の料理の匂いをかいだだけで、ある感情が誘発される」。

料理が自分の全記憶の中でどんな役割を果たしているか考えるようにすると、
その食べ物の誘惑に勝つことができるという。

Muller博士は、「その感情を持っていること、記憶を考えることはよい。
だが、楽しいとかつらいといった感情に結びついた食べ物を口にし、
当時を思い出したり、ごまかしたりしてはいけない」。

年末年始の体重増加を防ぐ計画を立てよう

なぜ食べてしまうのかを理解することはある程度の抑止策になるが、
誘惑にいかに対処するか、計画してご馳走に臨むことも重要。
食べないようにするだけで食欲を抑制しよう減量すると、
過食に対応策を自ら身につけた人に比べて過食のリスクが大きい。

ペンシルベニア大学臨床心理学准教授Judith Beckによると、
有効な対応策は、食欲の「フラッシュカード」を使ったポジティブな独り言。
Beck Solutionのひとつは、やせたいと思うもっともな理由を
すべてリストアップして、毎朝自分自身に読み聞かせる方法。
計画にないものを食べたくなった時、それを読み返せば、
食べ物をあきらめる行為が価値のあることだと常に思い出せる。
自らコンディションを整え、自分にとっての食事の意味について
考え方を変える必要がある」。

Muller博士は、この方法は「思考タイプの人」には効果があるだろう。
もっと衝動的な「見たらすぐ食べてしまう」タイプの人には、
「マインドフル・イーティング」という方法が一番よい。
「原始的な感情がある場所と過食はつながっているので、
無意識に食べ始めてしまう。
対応策のひとつは、注意深さを磨くこと。
その場で常に自分を振り返り、自分の手にあるもの、
お皿に載っているものに注意を向け、食べているものを意識するとよい」。

Huberman博士は、パーティーにはいくつ行ってもいいが、
それぞれ計画を立てていくことが大事。
「何皿食べるか制限してもいいし、各コースで食べる量を制限してもいい。
大好きな食べ物3つだけ食べる、と決める手もある。
重要なのは、食べる量に条件をつけ、その計画を必ず遂行すること」。

「食べ物を無理強いする人」に負けるな

太りやすいご馳走を勧めて否とは言わせない友人、家族、同僚。
「どんな理由であれ、こういう人たちは自分が勧めた食べ物を
人が食べるまで休日のお祝いは終わらないと信じている」。

一番簡単な解決方法は、ただ一言「けっこうです」と何度も何度も言うこと。
Huberman博士は、「これを“壊れたレコード法”と呼んでいる。
丁寧に断り続ければ、最終的には押し付けをやめるだろう。
無礼にする必要はないが、断固とした態度をとらなければならない」。

Beck博士は、自分自身のためになることを当然していいと思うべき。
「アレルギーや宗教的理由で食べ物を断っているのなら、
“けっこうです”と断るのをためらう必要はないので、それを貫き通すべき。
“要りません”と断るときは、そのような権利の感覚を持つこと。
なぜなら、自分の健康を守っているのだから」。

食べたくない理由の多くを説明する必要はない。
「ダイエット」という言葉を出す必要すらない。
「皿の上あるいは手の中にあるからといって、食べなければいけない義務はない」。

Warren Huberman, PhD, psychologist, surgical weight loss program, NYU Medical Center, New York City. Heather Niemeier, PhD, Weight Control & Diabetes Research Center, Miriam Hospital; the Warren Alpert Medical School, Brown University. Katherine Muller, PsyD, director, Cognitive Behavior Therapy Program, Montefiore Medical Center, New York. Judith Beck, clinical associate professor of psychology, University of Pennsylvania; director, Beck Institute for Cognitive Therapy, Philadelphia; author, The Beck Diet Solution. Niemeier, H., Obesity, October 2007; vol 15, no 10.
Lee, J., Behaviour Research and Therapy, October 2007; vol 45, Issue 10: pp 2334-2348.Reviewed on December 18, 2007

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=65239

最強の教員を求めて

(nature Asia-Pacific)

良い教員の資質とは?
Naturejobsでは、この複雑な問題がよく取り上げられる。
本号p. 791に、昨年度のNature奨学金獲得のために、
自分の師を推薦した教え子達の推薦状を基に作成した、
教員と学生のための詳細な手引きが紹介。

報告書的なものだが、その観察と経験からは、
駆け出しの研究者と彼らを指導する学者のための多くの教訓を得られる。

最高の教員とは、生涯にわたる良き師であり、
常に学生に対し門戸を開いており、
実際の指導者である場合も、そうでない場合もある。

惜しみなく自分の時間を割き、研究課題に関する指導を行うばかりでなく、
キャリアパスの可能性についても思慮深い助言を与える。
彼らは、同じ技術と法則を提示するための最新の方法を見いだす。
教え子にふさわしい研究課題を巧みに探しだし、
一方で、なぜ学生に研究に対する意欲が欠けているかについて考える。

優れた教員は、共感をもって話を聞いてくれる。
学生が、家庭と研究を両立させるときに起こり得る問題を認識し、
落胆した学生の励まし方も心得ている。

教員は、利己的であってはならず、自分のアイデアを惜しみなく分け与え、
何の見返りも期待していないため、
学生は教員が本当の共同研究者であるように感じる。

教員は、学生を指導すべきだが、学生が自分の説を考え出す
自主性を認めなければならない。
また、昼食やバーベキュー、卒業式のカクテルパーティーで成功を祝う。

最高の教員は、発表された研究をどう評価するか、
専門誌の論文をどのように執筆し、添削するか、
また研究上の疑問点を精査している研究者仲間に
どのように質問をするかを指導する。

ネットワーク作りに取り組み、学生のキャリアパスに眼識のある
一流の研究者を紹介してくれる。

総合すると、このような資質などまったく無理な注文である。
優れた教師と人生の師と非凡なネットワーカーの要素を併せ持った、
このような無私無欲の「最強の教員」が世の中にいるだろうか?
もしいたとしたら、それは間違いなくエリート集団である。

しかし、仮に科学的結果の良し悪しが
それを生み出す研究者によって決まるのであれば、
最強の教員になることは、癌を治療し、生態系を理解し、
宇宙を作り上げている成分を特定することと同様、
価値のある志である

Nature Vol. 447, P.881 June 2007

http://www.natureasia.com/japan/tokushu/detail.php?id=25

2008年1月4日金曜日

緑茶が前立腺がん抑制か 5杯超で進行のリスク半減

(共同通信社 2007年12月19日)

緑茶を1日平均5杯以上飲む男性は、1杯未満の人に比べ、
進行性の前立腺がんになるリスクが約半分になるとの疫学調査結果を、
厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)
が発表。1杯は、約150cc。

がんが前立腺内にとどまる「限局がん」については、
緑茶飲用との関連はみられなかった。
進行がんだけに影響した理由は不明だが、緑茶に含まれるカテキンに、
がんが広がるのに関係する物質を抑える効果があることも関係。

調査は、岩手、大阪など全国9府県の40-69歳の男性約5万人が対象。
平均12年の追跡期間中に404人が前立腺がんになり、
うち114人が前立腺を超えて広がる進行性がん。

進行性前立腺がんになるリスクは、緑茶を飲む量が多い人ほど小さく、
1日平均1杯未満の人のリスクを1とすると、5杯以上の人は0.52。

このほか、男女約13万人を対象に実施した、
胆石と胆道がんに関する疫学調査結果も発表。
胆石を患ったことがある人はない人と比べ、
胆道がんになる危険度が2.5倍高く、特に女性では3.2倍に。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=64759

T細胞の強力な活性化の結果生じるリンパ管外のウイルス避難場所

(nature medicine 11月号Vol.13 No.11 / P.1316 - 1323)

ヘルパーT細胞は、マウスリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、
サイトメガロウイルス、C型肝炎ウイルス、HIVなどの
持続感染性ウイルスに対処するCD8+T細胞の働きを助ける。
これらのウイルスは完全な排除がむずかしいことが多く、
腎臓やその他のリンパ管外臓器のような
避難場所(sanctuary site)に検出可能な量が残留する。
この持続感染の原因となる機序はよく解明されていない。

今回我々は、ウイルス特異的な強力なT細胞応答を示すマウスでは、
中和抗体の量が減少しており、中和抗体産生が遅延することを示す。
こうしたマウスはリンパ管外の上皮からLCMVを除去できない。

ウイルス特異的なB細胞を移入すると、持続的感染部位からウイルスが
一掃されたが、ウイルス特異的なT細胞移入では排除できなかった。
腎臓からのウイルスの排除は、腎臓に浸潤するB細胞によって
生成されると考えられるIgGの間質部分への蓄積と関連。

ウイルスが除去されなかったマウス腎臓のCD8+T細胞は、
活性化されたが疲弊が認められた。

以上より、この感染モデルでは、ウイルス特異的な中和抗体の減少を
伴う強力な免疫活性化が生じた結果、
部位特異的なウイルス残存が起こると結論。

今回の結果から、ウイルス避難場所の形成は、
臓器の解剖学的形態と、どのような適応免疫エフェクター機構が誘導されるか
の両方に左右されると考えられる。
T細胞応答を増強するだけでは、ウイルス残存は解消できないだろう。

[原文]Extralymphatic virus sanctuaries as a consequence of potent T-cell activation

Mike Recher1,10, Karl S Lang1,10, Alexander Navarini1,10, Lukas Hunziker1,2,10, Philipp A Lang1, Katja Fink1, Stefan Freigang1, Panco Georgiev3, Lars Hangartner1, Raphael Zellweger1, Andreas Bergthaler1, Ahmed N Hegazy1,4, Bruno Eschli1, Alexandre Theocharides5, Lukas T Jeker6, Doron Merkler1,7, Bernhard Odermatt8, Martin Hersberger9, Hans Hengartner1 & Rolf M Zinkernagel1
1 Institute for Experimental Immunology, University Hospital Zurich, Schmelzbergstrasse 12, CH-8091 Zurich, Switzerland.
2 Department for Internal Medicine, University Hospital Basel, 4031 Basel, Switzerland.
3 Department of Visceral and Transplantation Surgery, University Hospital Zurich, Ramistrasse 100, 8091 Zurich, Switzerland.
4 German Rheumatology Research Center, Charite Platz 1, D-10117 Berlin, Germany.
5 Experimental Hematology, Department of Research, Basel University Hospital, 4031 Basel, Switzerland.
6 Pediatric Immunology, Center for Biomedicine, University of Basel and University Children's Hospital of Basel, Mattenstrasse 28, 4058 Basel, Switzerland and Transplantation Immunology and Nephrology, University Hospital Basel, 4031 Basel, Switzerland.
7 Department of Neuropathology, Georg August University, Goettingen, Germany.
8 Department of Pathology, University Hospital, Schmelzbergstrasse 12, CH-8091 Zurich, Switzerland.
9 Institute of Clinical Chemistry, University Hospital Zurich, Ramistrasse 100, CH-8091 Zurich, Switzerland.
10 These authors contributed equally to this work.

T helper cells can support the functions of CD8+ T cells against persistently infecting viruses such as murine lymphocytic choriomeningitis virus (LCMV), cytomegalovirus, hepatitis C virus and HIV. These viruses often resist complete elimination and remain detectable at sanctuary sites, such as the kidneys and other extralymphatic organs. The mechanisms underlying this persistence are not well understood. Here we show that mice with potent virus-specific T-cell responses have reduced levels and delayed formation of neutralizing antibodies, and these mice fail to clear LCMV from extralymphatic epithelia. Transfer of virus-specific B cells but not virus-specific T cells augmented virus clearance from persistent sites. Virus elimination from the kidneys was associated with the formation of IgG deposits in the interstitial space, presumably from kidney-infiltrating B cells. CD8+ T cells in the kidneys of mice that did not clear virus from this site were activated but showed evidence of exhaustion. Thus, we conclude that in this model of infection, site-specific virus persistence develops as a consequence of potent immune activation coupled with reductions in virus-specific neutralizing antibodies. Our results suggest that sanctuary-site formation depends both on organ anatomy and on the induction of different adaptive immune effector mechanisms. Boosting T-cell responses alone may not reduce virus persistence.

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/nature/200711/nature_medicine/04.html

新しい波/256 スポーツ立国/下 予算掌握の必然

(毎日 12月29日)

スポーツ界に不祥事が相次いだ今年、
競技団体の監督官庁である文部科学省が、
問題解決に積極的な関与をしようとする姿勢も目立った。

高校野球の特待生問題、時津風部屋の力士急死、
Jリーグにドーピング違反を問われた我那覇和樹(川崎)の処分、
日本バスケットボール協会の内紛……。
ことあるごとに、同省は競技団体を呼んで事情を聴いた。

予算と許認可を握る監督官庁の持つ影響力は小さくない。
我那覇の問題では、「一事不再理」と主張して違反の決定を再考しようとしなかった
Jリーグと日本サッカー協会が、文科省に2度の事情聴取後、
スポーツ仲裁裁判所(CAS)に判断を仰ぐ柔軟姿勢に転じた。
同省の田中敏審議官は、「これで大きく前進した」。

同省の関与について、ある競技団体幹部は、
「toto(スポーツ振興くじ)の不振でスポーツ界に影響力が落ちたので必死だった」。

自民党にスポーツ立国調査会(麻生太郎会長)が発足し、
スポーツ庁の設置と予算拡大に動き出した。
スポーツ界の悲願でもあり、国際競争力の強化や振興には追い風。
ただ、予算を握れば政、官ともに関与を強めるのは間違いない。

政治との急接近は、スポーツ界の自主性、独立性が過剰な圧力に
脅かされる危険性もはらむ。
政府の介入で80年モスクワ五輪ボイコットを決めさせられた痛みは、
スポーツ界に残る。

スポーツ振興の国策化に積極的な日本オリンピック委員会(JOC)の
福田富昭選手強化本部長は、
「政治がスポーツに関与しないとの考え方は過去のこと。
今はかかわらないと成り立たない」と現状を肯定。
そのうえで、政・官と向き合うために
「競技成績を上げることと、スポーツ界がまとまることが必要」。

来年は、初めて国が整備したナショナルトレーニングセンターの利用が開始。
事実上の「国策化」元年。
政・官の力にのみ込まれぬよう、スポーツ界は自らの姿勢を
厳しく省みることも必要だ。
まだ運営手法が旧態依然とした競技団体も多い。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

2007年12月29日土曜日

<漢字林>稽 書経に始まる『稽古』 阿辻 哲次

(東京新聞 2007年12月26日)

一昔前のお稽古ごとといえば、書道やお茶・お花、ピアノ、料理などが
中心だったが、最近はずいぶんバラエティーにとんでいて、
知り合いの女性の中にはフラダンスやヨガ、
セクシーなベリーダンスにはまっている初老の女性も。
お稽古ごとも、時代とともに大きくさまがわりしつつある。

「稽古」ということばは、成立が非常に古く、
出典は儒学の経典、「四書五経」の一つに数えられる『書経』にある。
『書経』とは、古代中国のすぐれた帝王たちが重要な機会ごとに
発言したことばや行動を記録した書物で、
そこには聖人の教えが数多く記録されているとされるが、
この書物の出だしに、「曰若(えつじゃく)稽古」という四文字があって、
伝統的な解釈では、
「曰(ここ)に若(したが)いて古(いにし)えを稽(かんが)えるに」と訓読。
おそらく昔の物語を語る時の出だしの文句、
「今はむかし」に当たる表現だと考えられるが、
これがほかでもなく現在の日本語で使われる「稽古」の出典。
「稽」には、「考える」という意味があり、
だから「稽古」とは、古代の書物を読んで、
そこから聖人の教えなどを学びとることを意味することば。

しかし現実には、人はなにかの利益が手に入らなければ
なかなか「稽古」をしない。
現代の日本だけでなく、昔の中国でも同様。
神聖な教えを学ぶ儒学の世界でも、学問に向かう動機として
現実的な利益の追求があるのは珍しくなかった。
後漢の儒学者であった桓栄は、
皇太子の家庭教師に任命時、自分の学生たちを呼び集め、
皇帝から頂戴したたくさんの車や馬などを並べて、
「わしが陛下からいただいたさまざまなものは、
すべて『稽古』のおかげ。
だからお前たちもしっかり勉強するように」と訓示。
「稽古」とご褒美は、昔から不即不離の関係に。
お稽古ごととして学ぶ勉強も、それが長続きするかどうかは、
ひとえにゲットできるご褒美の大きさしだいなのかもしれない。

アレルギー反応を制御する重要分子「STIM1」を発見

(理化学研究所 12月3日)

鼻がむずむずして、くしゃみが止まらない。
体中がかゆくて、ついつい引っかいてしまう。
花粉症やアレルギー喘息、食物アレルギーなどと、
日本人の約3割もの人々が、この症状に悩まされ、
アレルギーはいまや国民的病気に

アレルギーには、のど、鼻、腸管等の粘液表面にいる肥満細胞が関与。
アレルギーを引き起こす原因物質の抗原が最初に体内に入り込むと、
この抗原に特異的に反応する抗体IgEが作られ、
肥満細胞のIgE受容体と結合した状態になります(感作)。
そして、再び抗原が侵入すると肥満細胞表面のIgEは抗原と結合し、
肥満細胞を活性化させて化学物質を大量に含んだ顆粒を放出したり、
炎症性サイトカインを生み出したりします。

これらの化学物質が、発疹、かゆみなどのアレルギー反応を引き起こします。
肥満細胞からの顆粒放出には、細胞質内のカルシウム濃度が関係すると
されていましたが、そのメカニスムは不明。

理研免疫・アレルギー科学総合研究センター分化制御研究グループは、
この顆粒放出には、細胞外から細胞質内にカルシウムを流入させる
働きをもつタンパク質「STIM1」が必須であることを明らかに。

実際、STIM1の発現を低下させたマウスでは、アレルギー反応が抑制。
STIM1が関与する新たなアレルギー発症の分子メカニズムが
発見されたことで、STIM1をターゲットとするこれまでにない
治療法が開発できると期待。

http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2007/071203/

最前線:購入者の反応楽しみ--セガ・宮崎浩幸執行役員

(毎日 12月3日)

家庭用ゲーム機市場に人気ソフトを提供し続けているセガ
ゲーム機の特性を引き出す開発力は、業界で高く評価。
毎日新聞などと新作ソフトを製作したセガの宮崎浩幸執行役員に、
市場の最新事情や戦略を聞いた。

--家庭用ゲーム機市場の現状は。

◆任天堂の「Wii(ウィー)」など据え置き型ゲーム機に、
かつてのソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の
「プレイステーション(PS)2」のような勢いがない。
一方、携帯型ゲーム機は任天堂の「ニンテンドーDS」が、
異例の早さで国内販売台数2000万台を突破。
DSは開発費が安いため、ソフト開発メーカーが参入しやすい。
結果的に手軽に遊べるソフトが多数そろい、ゲーム初心者を引き寄せた。
ソフト開発メーカーの主戦場は、既にDSに移った。

--任天堂をパートナーとして初めての共同製作を行いましたね。

◆任天堂の「マリオ」とセガの「ソニック」という両社を代表するキャラクターが
競演するスポーツゲーム「マリオ&ソニック AT 北京オリンピック」を発売。
WiiとDSの2機種に対応し、国内外から予想以上の反響がある。
面白い研究をしている研究機関やブランド力のある企業と組む機会は増えていく。

--毎日新聞と共同製作したDS用ソフト「毎日新聞 1000大ニュース」も
11月29日に発売されました。

◆毎日新聞の創刊から今年までの135年間に掲載されたニュースをクイズにした。
政治や事件、スポーツなどあらゆる分野の知識を問われる。
過去をさかのぼっていく「タイムスリップモード」や、
間違いを探す「添削クイズ」など、初心者が楽しめる仕掛けが満載。
9月に第1回試験が行われた「ニュース時事能力検定」に対応し、
模擬試験として使うこともできる。

--ゲームソフトはこれからどう変わっていくのでしょう。

◆かつて、一番面白いのは家庭用ゲーム機という時代があった。
その後、携帯電話やパソコンなどが登場し、状況は大きく変わった。
今は、ゲームが携帯電話などと時間を奪い合っている。
クリアまでに数十時間かかる大作より、
ちょっとした空き時間に遊べるソフトが人気を集めている。
この流れは加速していくだろう。

--ゲームソフト作りの魅力は何ですか。

◆購入者の反応を予想しながら作るのが楽しい。
ただ、過去に売れたソフトが今後も売れるとは限らない。
毎回ゼロからのスタートになるから大変だ。
だが、成功体験が続かないからこそ、
売上本数など結果が出た時はうれしい。
==============
■人物略歴

東大文学部卒。93年にセガ・エンタープライゼス(現セガ)入社。
海外営業部長、マーケティング統括局長などを経て、
05年から現職。福岡県出身。45歳。

http://mainichi.jp/select/biz/news/20071203ddm008020135000c.html

新しい波/255 スポーツ立国/中 政界と急速に接近

(毎日 12月22日)

「五輪のときだけ『勝て勝て』と言われても、ふだんは満足に補助をしてもらえない。
スポーツ振興は国策でやってほしい」。
日本オリンピック委員会(JOC)選手強化本部の福田富昭本部長は、
現場の立場でスポーツの国策化を声高に訴えてきた一人。
今年度、文部科学省のスポーツ関係予算は186億1100万円
文化庁の1016億5500万円(今年度)と比べて、著しく少ない。
福田本部長は、「スポーツは国民の生活に浸透しているのに、この差は何か」。

来年1月末には、東京都北区に初の国営施設となる
ナショナルトレーニングセンターが開設
だが、施設利用料ばかりか、海外遠征など選手強化費も
3分の1を競技団体が負担。
財政基盤の弱い競技団体では、負担に耐えられず、
海外遠征などを返上する例も。
欧米などのスポーツ先進国では、国が全額負担するのが常識。
日本では、北京五輪を目前に控えても強化の現場は危うい。

戦後、日本のスポーツ強化は長く企業に支えられてきた。
しかし、90年代後半以降撤退が相次ぎ、次に切り札として期待されたのが
01年から販売が開始されたスポーツ振興くじ(toto)。
今年度はBIG(ビッグ)効果で、初年度の643億円に次ぐ
486億円(8日現在)に売り上げを伸ばしたが、
昨年度末時点で264億円ある累積赤字が重くのしかかる。
当面は、借金返済に傾斜せざるをえない。
そこで「国にお願いしたい」(福田本部長)との結論に。

福田本部長は、昨年春に国策論をうたったリポートを作成。
その理論を補強したのが、
16年東京オリンピック招致委の河野一郎事務総長(JOC理事)、
JOC情報・医科学専門委員会の勝田隆副委員長ら。
顔ぶれは、自民党の遠藤利明衆院議員の私的懇談会のメンバーと重なる。
その懇談会が8月にまとめた「スポーツ立国ニッポン」は、
自民党スポーツ立国調査会(麻生太郎会長)の議論のたたき台に。
スポーツ界は急速に政治と結びつき、
悲願の強化資金確保に向け歩みを進めている。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20071222ddm035050088000c.html

2007年12月28日金曜日

<漢字林>孟 三遷の故事で知られ 阿辻 哲次

(東京新聞 2007年12月19日)

いまではほとんど使われないことばになったが、
正月のことをまた「孟春」ともいう。
この場合の「」は、「はじめ」という意味であり、
二月を「仲春」、三月を「季春」という(「季」は「すえ」の意)。
「孟春」とか「孟夏」に使われる「孟」という漢字を見て、
まず思いつくのは儒学の聖人とされる孟子。

書物としての『孟子』を読んだことがない人でも、
「孟母三遷」の故事は耳にしたことはあるだろう。

知人が引っ越しをして、住所の案内をくれた。
新居は某有名大学の近くなので、子供が勉強するのにいい環境であると
家内がよろこんでいる、と書かれているのを見て、
「孟母三遷」の現代版かと苦笑。
「教育ママ」ということばが使われるようになったのは、
いったいいつごろからなのだろう。
少なくとも私が高校生だった昭和四十年代前半には、
まだそんなことばはなかったような気がする
(私が知らないだけかもしれないが)。
教育ママの元祖は、孟子のお母さん。
孟子の一家は、はじめ墓地のそばに住んでいた。
墓地では頻繁に葬式がおこなわれるので、
孟子少年は葬式のまねばかりして遊んでいた。
それを困ったことだと考えた孟子のお母さんは、
次に市場のそばに引っ越した。
すると、孟子は商人のまねをして遊びはじめた。
商人のまねをしていったいどこが悪いのかと思うが、
孟子のお母さんにとっては、それはやはり困ったことだったらしい。
今度は学校のそばに転居した。

すると、孟子は「学校ごっこ」をしはじめたので、
孟子の母はたいへん喜んだという。
当時の学校では、国語や算数のような教科を教えていたわけではなく、
実際にはさまざまな儀式のやりかたを教えるところだったので、
孟子はお祭りに使う道具(らしきもの)を並べ、
見よう見まねでお祭りや宴会の時の作法をまねて遊んでいた。
孟子の母はそれで満足したようだが、
現代の教育ママはそんな状況に満足せず、
きっとまた別のところに引っ越しを考えたにちがいない。

新しい波/254 スポーツ立国/上 振興策「欧米並みに」

(毎日 12月15日)

政治が、スポーツ振興に踏み込んできた。
10月30日に、自民党のスポーツ立国調査会が発足
会長に就任した麻生太郎・前幹事長は、
「スポーツは、健全な人間の育成と国民に感動を与えるもので、
もはや関係者に任せておく時代ではない」と
国の責任でスポーツ振興に取り組む姿勢を明確にした。

調査会は、党政務調査会内にあり、国の政策にも大きな影響力を持つ。
ここにスポーツ振興が掲げられたのは、党内でも初めて。
スポーツ界出身議員だけでなく、最高顧問に日本体育協会会長でもある
森喜朗・元首相ら有力者が顔をそろえた。

導火線となったのは、前副文部科学相の遠藤利明衆院議員(自民)の
私的懇談会が8月に発表した、「『スポーツ立国』ニッポン」と題した報告書。
ラグビー選手だった遠藤氏は、昨年のトリノ五輪の厳しい結果を受け、
欧米並みに国を挙げてスポーツ振興に取り組む必要性を痛感。

06年末に東京オリンピック招致委の河野一郎事務総長
日本オリンピック委員会(JOC)情報・医科学専門委員会の勝田隆副委員長
選手強化の現場にいる人々を中心に懇談会を設置。

オーストラリアの現地視察などを経て作成された報告書では、
国が責任を持って取り組む課題として、
(1)スポーツ庁の設置など組織整備
(2)スポーツ振興法(1961年制定)の見直し
(3)財政基盤の確立
(4)国際競技力の向上のためのプログラム--など。

遠藤氏が報告書を手に理解を求めると、森氏、麻生氏が快諾し、
石原伸晃政調会長(当時)も調査会への格上げを了承。

事務局長に就任した遠藤氏は、
「予想以上に関心が高かった。マグマが噴出して一気に広がっていった感じ」。
スポーツ振興は、政治的な対立が生まれにくい。
前向きなイメージも好感された。

調査会は、報告書をたたき台に月2回のペースで、
スポーツ関係者からヒアリング。
09年度のスポーツ庁設置という明快な目標に向け、
来年6月に中間報告をまとめる。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20071215ddm035050086000c.html

21世紀COEプログラム:文科省「目的達成」 初年度事後評価、最低ランクなし

(毎日 11月29日)

世界的な研究・教育拠点の形成を目指した文部科学省の
21世紀COE(卓越した研究拠点)プログラム」で、
初年度(02年度)に採択された国公私立大50校113件について
初の事後評価結果を公表。

評価は4段階で、最低ランクの「目的は十分には達成されなかった」と
判断された拠点はなく、文科省は「COEの目的はおおむね達成された」。
評価は、同プログラム委員会
(委員長=江崎玲於奈・茨城県科学技術振興財団理事長)が実施。
計画全体の目的達成度のほか、論文数や学会での発表数などで審査。

第3ランクの「目的はある程度達成された」と評価された拠点は14件(12・4%)、
大半は「十分達成され、期待以上の成果があった」、
「おおむね達成され、期待どおりの成果があった」と評価。

04年に公表された中間評価で、計画の大幅縮小を求められた
九州大と法政大の拠点も最低ランクの評価は免れた。

5分類の分野別では、人文科学の5件(25・0%)が3番目の評価となり、
自然科学系などの0~14・2%よりも厳しい評価に。
初年度の113件には、5年間で総額714億6200万円が投入。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2007/11/29/20071129ddm012040068000c.html

特集:超高齢社会を生きる/シリーズ1 地域で認知症患者を支える

(毎日 12月2日)

世界一の長寿国であるわが国は、高齢者(65歳以上)が総人口の
21%以上を占める超高齢社会を迎えている。
現在、年間死亡者は100万人を超え、85歳になれば4人に1人、
120歳まで生きれば全員が罹患するといわれる認知症患者は160万人に。
2025年には、死亡者は160万人、認知症患者は300万人に。

介護保険制度はスタートしたが、こと認知症に関しては、
さらなる支援システムの構築が求められている。

新田國夫さんは1990年、国立市に「地域に根ざした医療」を
実践したいと開業。大学病院時代に消化器がんを専門、
末期がん患者の在宅医療を目指した。
しかし、認知症高齢者の家族からの往診依頼が多く、
認知症患者の在宅医療を行わなければならなかった。

住民の高齢化が、この傾向に拍車をかけた。
国立市の場合、要介護度2の認知症患者の84%、5でも50%が在宅、
どうしても家に引きこもりがちに。

新田さんは、積極的に外出する場を提供することが重要と、
宅老所やデイケア施設を開設したところ、たちまち交流の場となり、
利用者の療養意欲を高めることができた。
「寝たきりだった人の表情が、日に日に豊かになり、動作も活発になる。
認知症による行動障害も見られなくなった」。

現在では、新田さんは自ら“高齢者を診る総合診療医”と名乗り、
認知症を中心に在宅で過ごしている約50人の要介護者、要療養者の治療、
通院可能な認知症患者の電話での対応などに24時間体制。
「高齢者医療は、生活の中で診ることが大切。
在宅医療の成否は、基本的に生活を支える介護力にかかっている」。

この10年、認知症ケアの進展には目を見張る。
自然や地域とのふれあいが大切にされるようになった。
自分らしく暮らし続けることを支援するグループホームは、
介護保険のスタート時、全国で300に満たないが、現在は6000超。
新田クリニックが例にあげられるが、診療所を核に通所施設などが用意され、
患者、家族が交流する機会も増えている。
それを支えるための街づくりが、各地で進められつつある。

東京都は7月、認知症対策推進会議を発足。
東京都は、住民の流動化が激しく、高齢者の独居、
夫婦のみ世帯も急増し共助・自助の低下が著しい。
しかし、退職する団塊の世代を含めて人的資源には恵まれている。
地域社会に根ざしたNPOも多数ある。
商店街、交通機関、金融機関など日常生活を支える社会資源も身近に存在。

モデル地区として練馬区と多摩市を選定、
認知症になっても安心して暮らせる街のあり方を探る。
介護サービス事業者の地域支援へのかかわり方を探るモデル事業をスタート。

村田由佳・都高齢社会対策部在宅支援課長は、
「認知症を隠さなくてもすむ社会を目標に、地域の中で、
患者と家族を面で支えていく方法を考えたい」。

認知症・身体症状の双方の症状に応じ、
初期(軽度)の混乱期から終末期(みとり)まで、
QOL(生活の質)を維持する医療のあり方を検討。

新田さんは、「意思表示ができない認知症患者の身体の異常を
正しく診断することが、何よりも大切」。
例えば身体症状が、脱水症状や感染症によって引き起こされていることを
見落としてしまうと、回復の機会を逸するばかりか、
そのまま終末期に入ってしまう危険がある。

上川病院理事長の吉岡充さんは、
「高齢者のみとりには安らぎが求められるので、ユニット型医療施設が不可欠」。
ユニット型医療施設は個室が原則で、プライベート空間が確保。
看病に来た家族も泊まることができる。
医療スタッフも十分に配置され、10人程度の少人数単位の患者をケアし、
患者とスタッフの親密な交流も維持。
「終末期にはベッドからおりようとしたり、衣服を脱いで裸になるなどの
行動障害に対する適切な治療とケアが求められる。
食事・排せつのケア、清潔さを保ち抑制しないケアも必要。
両方に対応でき、最期まで患者のQOLの維持ができるのがユニット型医療施設」。

認知症300万人時代に備え、介護力を高めるための第一歩が踏み出され、
認知症の医療も新しい時代を迎えようとしている。
==============
◇「介護家族へも支援を」

アルツハイマー病と診断されてから8年、鈴木孝子さん(仮名)は娘と孫娘が介護。
過去には療養型の病院、介護老人保健施設を利用したこともあったが、
環境の変化からか暴れ、ベッドや車椅子に拘束されてしまい、
結局、娘宅に落ち着いた。

娘宅には、毎日午前、ヘルパーが訪れる。
週1回訪問診療を受け、週2回入浴サービスとデイケアを利用。
しかし介護度が5のため、孫娘は仕事をやめた。
鈴木家では、長期介護の経験から、家族介護に対する経済的支援や、
光熱費などを介護保険でカバーしてほしいと考えるようになった。
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◇人間性は、変わらない--記録映画『終りよければすべてよし』演出、記録映画作家・羽田澄子さん

『終りよければすべてよし』には、「人間らしく生きたい」という願いが集約。
オーストラリア、スウェーデンのケアと対比し、
今の日本に欠けているものが何かを教えてくれる。

演出の羽田澄子さんは、1986年作品の『痴呆性老人の世界』以来、
「高齢者が安心して暮らせる社会」をテーマに。
「認知症になって、たとえ知能が破壊されても、情緒は破壊されない。
だから、人間性は変わらない」。

ワンカットに含まれるメッセージ量は膨大で、
文章では表現できないことを伝えてくれる。

岐阜県にあるサンビレッジ国際医療福祉専門学校では、
羽田さんの『安心して老いるために』を教材に、介護のあり方を教えている。
「死は敗北ではないこと、人は死ぬということを理解して、
初めて人を救うことができる」。
羽田さんは、医学部の学生に、特に作品を見てほしい。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2007/12/02/20071202ddm010100064000c.html

医学博士号謝礼 国公立大、65%は調査・注意せず

(毎日新聞 2007年12月25日)

名古屋市立大大学院元教授の汚職事件を機に、
医学博士の学位申請者からの審査担当教授らへの謝礼が問題。
医学系大学院を持つ全国の国公立大学法人にアンケートを実施、
65%にあたる30校が、謝礼について実態調査も注意喚起も
行ったことがないと回答。

各大学OBの複数の医師は、謝礼の慣習を認めており、
大学院側の問題意識の低さが浮かんだ。

調査は、全50校の医学系研究科長らに
謝礼の慣習の有無、実態調査や注意喚起の有無などを択一式で尋ね、
46校から回答を得た。

謝礼の慣習について、「ない」と答えたのは39校。
和歌山県立医大だけが「ある、または聞いたことがある」を選んだが、
開始時期や内容は「分からない」。
九州大は「お菓子程度の謝礼はある」、
名市大は「謝礼があると聞いたことがある」と答えたが、
いずれも慣習としての謝礼は否定。
「未把握」、「調査中」も計4校。

実態調査を実施したのはいずれも事件後で、
名市大、名古屋大、岐阜大の3校にとどまった。
教授らに謝礼を受け取らないよう注意喚起を行っているのは12校で、
うち4校は事件後に実施。
調査も注意もしていない大学院は30校で、
うち29校が謝礼の慣習を「ない」と言い切った。

大阪大で博士号を取得した30代医師は、
審査の主査に10万円を払ったことを認め、
「全国の医学系大学院の慣習で、払うのは当たり前だ」。
東北大で博士号を取得した40代医師は、
担当教授に数万円の謝礼を払い、食事の接待もしたといい
「100万円を学位取得者の頭割りで払う教室もあった」。

◇明治以来の慣習--医事評論家の水野肇さんの話

学位への謝礼は、「税金のかからない収入」として明治以来の慣習で、
全国で続いているのが実情。
大学医局は、一国一城のあるじとして教授一人に権力が集中しており、
外からチェックできない特殊な世界だ。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=65056

2007年12月27日木曜日

ヒューマンファクター 失敗は創造の源?

(東京新聞 2007年12月11日)

スイッチの切り忘れ、弁の操作ミス、排水ホースのつなぎ間違い…。
厳密な運転や保守管理が求められる原子力発電所で、
人のミスがなくならない。
重大事故につながる“芽”だけに、電力事業者は対策に懸命だ。

「ヒューマンファクター(人的要因)」をテーマに、
福井県で開かれた国際シンポジウムでは、
個人のミスに目を向けるだけでなく、組織全体の取り組みや
安全文化を育てることの大切さが強調された。

「発生件数、発生率(放射線管理区域内一万時間あたり)ともに
減る傾向にあるんですが、なかなかゼロというわけには」。
東京電力原子力品質・安全部の福良昌敏部長は、
人的ミスをなくすことの難しさを明かす。

東電は、柏崎刈羽と福島第1、第2の3つの原子力発電所(17基)を持つ。
2004年からとりはじめたデータによると、全体的には減少しているが、
今年に入ってやや増加傾向。

最近でも、機器洗浄装置の排水ホースをつなぐ場所を間違えたり、
ポンプのスイッチ操作を誤ったりして放射能を含む水が漏れるなど、
作業員のミスが起きている。

原因をみると、最も多いのがコミュニケーション不足

指示を徹底しなかったため別の作業をしてしまう。
リスク予測不足も目立つ。
作業をやる前にこれをやればどういう影響が出るか、
という危機予知が不十分なケース。
この二つで、人的ミスの半分くらいを占めるという。

その背景には、「手順書の不備や人手不足、研修不十分など、
個人では対応できない要因がある」と福良さんは説明。
「人的ミスが発生しても、重大事故につながらない仕組みづくりが必要」。

これまで、ヒューマンエラー(人的ミス)は、
個人の資質や能力に起因するとみられがち。

しかし、最近では組織の問題や企業の安全文化にまで踏み込み、
ヒューマンファクターとして分析や対策に取り組むようになっている。

福井県美浜町にある原子力安全システム研究所で開かれた
国際シンポジウムでは、ヒューマンファクターについて
内外のさまざまな分野の専門家が報告や意見交換。

パリ鉱山大のエリック・ホルナゲル教授は、
安全性との関係でヒューマンファクターを見る場合、
「人間はマイナス要因」との見方から、
「有用な要因」という見方に変化してきた、と説明。

人のパフォーマンスには、効率性がいいときも悪いときも(変動性)あるが、
「失敗の原因となるだけでなく、工夫や創造性につながる成功の源でもある」。
「変動性をおさえ込むのでなく、組織として受け入れることが大切」と、
組織に柔軟さを求める。

吉田道雄熊本大教授(集団力学)は、
「安全の実現は、知識だけではできない。
意識が必要で、さらにそれが行動になって初めて可能になる。
ちょっとおかしいと現場の人間が感じたときにものを言える職場環境や
人間関係があることが重要」。

フランス原子力庁長官付顧問のジャック・ブシャール氏は、
ヒューマンファクターへの対応として「安全文化を醸成する」、
「経験をフィードバックして生かす」、
「小さなミスもきちんと分析して対策をたてる」、
「現場から管理者までそれぞれ責任を持って仕事をする」。

そして、「原子力の安全性は、社会的に極めて高い受容性が求められる」
として「最も重要なのは(企業の)透明性」と強調。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/technology/science/CK2007121102071251.html

大学院で医学専門家育成へ 札幌医大が"非医師"課程

(共同通信社 2007年12月20日)

札幌医大は、2008年4月から、医師以外の医学・医療の専門家を
育成する修士課程を大学院医学研究科に新設。

修了後の進路に、製薬会社の研究職や介護施設のスタッフ、
医療ジャーナリストなどを想定。
医療系単科大学の大学院でのこうした課程の開設は珍しい。

同大は、「医師以外にも多くの分野で医学的知識が必要とされている。
それらの分野で働こうとする人を教育することで、
医療全体の底上げを目指す」。

新課程は、2年間の医科学専攻修士課程で募集人数は10人。
出身学部に制限を設けず、医療系大学出身者以外も対象。

1年目の前期は、医学を社会的視点から考察する社会医学などの講義が中心。
その後、大学院各講座で医療薬学や
ゲノム(全遺伝情報)医科学などの研究を行う。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=64799

あしたのかたち/82 強い関大/6止

(毎日 6月23日)

「関大北陽高」の誕生は、兄貴分となる関大一高にも刺激に。
豊島光男校長は、「ともに伸びていきたい。
野球やサッカーは全国でも実績があり、ノウハウを教えてもらえれば」。
「大学も、能力の一つとして運動を評価するので、それに対応したい」。

これまで野球とサッカーで、毎年10人程度が監督推薦などで入学、
来年度以降は枠を2倍程度に増やす予定。

関大北陽高の募集定員は、280人。
既存の男子の総合進学コース(80人)、スポーツコース(40人)、
新たに男女共学の「関大連携コース1類、2類」(各80人)が設けられ、
関大やその他の難関私大、国公立大学への進学を目指す。

月に2回開かれる関大と北陽高の合併推進協議会では、
北陽高の学力レベルをいかに引き上げるかという教育面に議論が集中。
「北陽に入って、関大に進学することが一番大事」と
合併推進協議会事務局の北田伸治・総合企画室長。

河田悌一学長も、「(関大)一高と並ぶような学生を養成する。
それは短期戦でなければならない」。
関大一高は大阪府下屈指の難関校だけに、課題は多い。

合併に当たって、北陽高の鈴木清士校長は、
昨年新設したばかりのスポーツコースの廃止を関大側に打診。
だが、関大側からは維持を要請。
「(スポーツは)北陽の存在感でしょうと言われた。本当にありがたかった」。
北陽のスポーツに対する、関大側の期待感が垣間見える。

ただし、学力の基準を上げるという条件はついた。
北田室長は、「差が開きすぎると、教育システムそのものが難しくなる。
将来、関大で能力を発揮したいのなら、当然、生徒の確保の方法も変わる」。

現段階では、関大進学を希望するスポーツコースの生徒は
スポーツフロンティア入試などを受験することに。

北陽ブランドを生かしながら、いかに文武両道を充実させていくか?
新1期生が卒業する11年春に、一つの答えが出る。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/archive/news/2007/20070623ddn035070023000c.html

2007年12月26日水曜日

最前線:夢ある商品売り出す--第一フロンティア生命保険・高野茂徳社長

(毎日 11月26日

12月22日に全面解禁を控えた保険の銀行窓口販売。
巨大販売チャンネルの登場を前に、大手各社が「次の一手」を模索するなか、
業界第2位の第一生命保険の窓販専門会社として
10月1日に営業開始したのが第一フロンティア生命保険

国内の生保会社が全額出資の生保子会社を新設するのは史上初。
戦略を、高野茂徳社長に聞いた。

--窓販専門会社設立の背景を教えてください。

◆第一生命の主力商品は、死亡保障性商品。
これを営業職員で売るという伝統的スタイル。
しかし、窓販となるとチャンネル(販路)が違う上に売る商品も変わる。
全面解禁後も、しばらくは変額年金が売れ筋。
リスクの面でも、死亡保障性商品は文字通り死亡リスクに対し、
変額年金は投資リスク。
売れている年代層も変額年金は50代以上がほとんど、
と全く違うことに気付いた。

--窓販専門子会社の強みはなんですか。

◆変額年金のライバルは、投資信託や株などの金融商品。
金融商品の「賞味期限」は短い。
市場の変動に応じ、商品を発売できるよう機動性を高める。
とりわけ、変額年金の販売では機動性がキーになる。

--元本保障型変額年金以外の商品発売も考えているのですか。

◆単純に、第一生命と同じものを出す気は全くない。
ただ、お年寄りの関心事の一つに老後の健康というのがどうしてもある。
だから、変額年金の付加価値として(医療保険など)
第3分野商品が必要なら、そういうものも視野に入れていく。

--販路に関する今後の戦略は。

◆販売してもらえるのなら、どこの銀行でも歓迎。
第一段階として考えているのは、第一生命の代理店を
そっくり引き継ぐことだが、(系列外の金融機関であっても)誰でも歓迎。

--販売後の顧客ケアも重要です。

◆入ってもらった後のフォローは最も大事。
他社が我々をまねできないのはそこ。
人数をできるだけ減らし、コストを落とす。
一方で、例えば苦情を受け付けるコールセンターだけは自前でやる。
顧客の声を聞き、内容を分析してサービス向上に役立てたい。

--今後の目標は。

◆5年で預かり総資産1兆円。
親会社の第一生命には資産規模では追い付けないが、
夢のある商品を売り出すことでは負けないようにしたい。
例えば、近い将来、外貨建て年金を売り出すとして、
為替変動リスクを回避するために1年に1度、
夫婦で海外に行ってもらうようにするとか。
いずれは、第一フロンティアがグループの両輪の一方を担いたい。
==============
■人物略歴

東北大法学部卒。72年第一生命保険入社。
06年11月、同社専務執行役員を退任、12月第一フロンティア社長、
07年8月第一フロンティア生命保険社長。57歳。

http://mainichi.jp/select/biz/news/20071126ddm008020121000c.html

あしたのかたち/81 強い関大/5

(毎日 6月16日)

来春、「関大北陽高」が誕生。
関大は、北陽高(大阪市)を経営する学校法人福武学園との合併を発表。
関大一高に次ぐ2番目の併設校。

近年、私立大学が従来の付属校とは別に、
中学、高校を提携・系列化する動きが顕著に。
少子化が進む中、早くから学生を確保しようというのが狙い。
高校側にとっても、大学のブランドを利用して生徒を集めやすくなるメリット。

関西では、立命大が宇治高(京都)、守山女子高(滋賀)と合併、
関学大も三田学園(兵庫)など中高3校と提携関係を締結、
龍大は来春、平安中・高(京都)を付属校化。

「ゆがんだ受験のシステムがあるから、学問とスポーツが両立しない。
系列中学、高校ならばスポーツも楽しみ、勉強もできるというシステムは可能」。

「関西大学スポーツサミット」で、早大学事顧問の奥島孝康氏は、
スポーツ強化における一貫教育の重要性を説いた。

現在、早大には高校5校、中学2校の付属・系属校がある。
代表的なのが、硬式野球部が昨夏の甲子園で優勝した早実。
エースの斎藤佑樹は、早大でも主力となり、春季リーグ優勝に貢献。
高校の強化が、大学の成績に直結した典型例。

奥島氏は、「大学クラブの正選手の半分は、付属校出身者で賄うのが目標」、
佐賀県に中高一貫校を新設する構想。

合併発表の記者会見で、関大の森本靖一郎理事長は
「知名度のある北陽高を併設校とすることで、さらに強い関大を作りたい」。

定員割れの続く北陽側からの申し入れを受け入れる形だが、
北陽高は野球で春夏通算14回の甲子園出場、
サッカーは2度の全国制覇などを誇るスポーツの強豪校。
スポーツ推進を掲げる関大にとって、そのブランドは魅力。
理事でもある小坂道一・体育OB会長は、
「サッカー、野球はより強固になる」。

現在、両者の代表者による合併推進協議会(永田眞三郎座長)が
月2回のペースで開かれ、高大連携の骨格作りが進められている。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/archive/news/2007/20070616ddn035070037000c.html

9・11後ビザ規制の影響から米国の大学院教育は復活したが、国際競争でどれほどの才能が流出したか?

(nature Asia-Pacific)

2001年9月11日のテロ攻撃の余波で、米国はビザ規制を強化。
この厳重な警戒体制のために、米国の専門大学・総合大学に応募し
入学が許可された海外からの大学院生の数が減少。

実際に米国大学院審議会(CGS)の調査によると、
2003~2004年の間に海外からの留学希望者は28%減少し、
入学許可者数は18%減少。

米国大学院プログラムの活力源とみなされる、海外からの才能を失うことは
教育機関および就職に悪影響を及ぼすと危惧した人は多い。

新たな手続き方法が整備され、ビザ発給遅延の多くには対応が施され、
海外からの応募学生数は増加し始めた。

しかし、海外からの応募を阻んでいるのはビザ問題だけだろうか?
国際的な競争が高まる中、関心が薄らいでしまったためだろうか?
これらの要因が共に働き、ビザ問題によって才能の流出が加速した。
CGSの最新の数字に、その答えに対するヒントがある。

米国の大学院が留学希望者に与えた入学許可の件数は、
2006~2007年までに全ての分野で8%増加。

昨年の12%の増加からは減少したものの、3年連続の増加。
生命科学分野の応募は18%増加し、入学許可は11%増加、
物理科学分野の応募は12%増加し、入学許可は8%増加。
ある程度まで大学は立ち直ったように思われ、
つまりビザ規制は確かに有能な人材の流れを阻んでいた。

米国の大学と国際大学との間の合同プログラムおよび
二重専攻(dual degree)プログラムに関するCGSの報告では、
実に30%もの大学院がこのプログラムに取り組んでいる。

競争は、大学院教育の国際化にある。

現時点では、米国の大学院教育の制度はその魅力を失っていない。
だがCGSの結果においては、海外からの学生は学位取得後、
母国へ戻る可能性が高いという事実は考慮されていない。
入学希望者だけではなく、仕事を求める修士やPhDの修了者にとっても
国際競争は高まっているのである。

Nature Vol. 449, P. 109, September 2007

http://www.natureasia.com/japaz/tokushu/detail.php?id=46

2007年12月25日火曜日

万能細胞研究は2位に 米科学誌が今年の10大成果

(共同通信社 2007年12月21日)

米科学誌サイエンスは、2007年に達成された科学の10大成果を発表、
第2位に山中伸弥京都大教授らがヒトやマウスの皮膚からつくった
万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を選んだ。

受精卵(胚)を壊してつくる胚性幹細胞(ES細胞)とは異なり、
倫理面での問題が少なく、同誌は
「科学的にも政策的にもブレークスルー(大きな進展)だ」と評価。

第1位は、個人によって全遺伝情報(ゲノム)の塩基配列が
わずかに異なる「ヒトの遺伝的多様性」の研究。

病気に関連する遺伝子の研究を大きく進めた点が評価されたが、
選考責任者は「(iPS細胞と)どちらを第1位に選ぶか迷った」。


http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=64855

あしたのかたち/80 強い関大/4

(毎日 6月9日)

200字を書くのに苦労している学生がいるかと思えば、
400字詰めの原稿用紙を催促する学生もいた。
スポーツフロンティア(SF)入試で入学してきた学生を対象に、
関大が実施した「文書作成能力向上講習会」のひとコマ。

課外教育として計6回開かれ、1、2年生の希望者延べ100人が受講。
テーマは、サッカーW杯や五輪など。
指導した文学部の吉田永宏教授(今春定年退職)は、
「体力不足」を感じたという。

「文章を書くことが習慣になっていない。
まず、何を考え、何を認識しているかを身につけさせることが大事。
文章表現は次の段階」。

学業との両立に向けた支援策の一つで、河田悌一学長が提案。
プロ野球選手がインタビューで、「頑張りました」、
「応援、よろしくお願いします」などと繰り返すのを見て、
河田学長には思うところがあった。

品格のあるスポーツ選手になってほしい
スポーツだけで卒業していく学生では困る。
社会に出ても通用する人材を育てたい。
文章が書ければ、人前できちっとあいさつできるようになる」

スポーツクラブに所属している学生には、ジレンマがある。
技術が上がれば上がるほど、レギュラーとして試合に出る機会が増え、
講義に出席したくても、大会出場や遠征のために欠席せざるを得ない。
学力不足というより、単位取得が困難な状況に陥りがち。

今年は内容、回数とも拡充される予定で、
一人でも多くの学生が出席できるよう各クラブの部長、監督にも協力要請。
文章力の低下は、一般学生にも当てはまる。

吉田さんは、「今年はカリキュラムを作って指導したい。
答案やリポートを書けるようになることが当座の狙いだが、
論理を発展させて主張するためにも、文章力は大事。
ゆくゆくは単位認定してもらえるように」。

SF入試組を、河田学長は期待を込め、「学生文化のフロントランナー」と。
文武両道に加え、判断力や決断力をも兼ね備えたアスリート。
彼らこそが真の意味での「フロントランナー」に。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/archive/news/2007/20070609ddn035070034000c.html

研究室恋愛の別れと出会い:読者の反応

(nature Asia-Pacific)


全ての人と同じように科学者にとっても、
真の愛が順調な経過を辿ることはめったにない。

しかし、経歴重視の研究者がロマンチックな恋愛を追い求める時に
直面する困難について議論した後で(Nature 446, 463; 2007)、
恋愛と研究室を両立することがいかに困難かを強調する手紙が殺到。
幸い、その全てが失恋話という訳ではなかった。

夫婦共々専門家への大志を持っているにもかかわらず、
結婚生活が続いている内容の手紙もあった。
その夫婦が、恋愛の賭けに踏み切るまでには10年かかった。


仕事と同時進行の恋愛となると、状況が極めて厄介になると案じていた。
やはり結婚してみると、状況は大変厄介になった。
勤務地は遠く離れ、別々に暮らし、会うために頻繁に飛行機を使うことになり、
彼らの銀行預金はみるみる空になっていった。

研究室恋愛(lab relationship)に関するデータを求めて、
別の読者は52名の科学者に対して非公式調査を行った。
14名が同じもしくは違う研究室の科学者と結婚、ほぼ同数が独身、
約7名が科学者と交際中、2~3名が離婚、という結果。

別の話では、研究室生活がいかに煩わしいものであるかが見て取れた。
ある上司が崩壊してしまった家庭生活を嘆きつつも、
最高の科学は午後5時から真夜中の間に生まれると主張。

旅行し、人生を愛する大学院生らは成功する科学者にはならない、
と書いている人もいた。

ある読者は、成功の秘訣を示してくれた。
彼とその妻は、応用物理と機械工学のPhD候補生で、1歳の子供がいる。
彼は、自分達の成功の理由を、
期限付き契約で仕事をしていること(これが先の計画を立てやすくする)、
人間的・仕事的に支えあっていること、
仕事と家庭生活が手に負えないと思われる時には
自分の恵まれている点を数えるのを忘れないこと。

恋愛に対する仕事関係の障害は、もちろん科学に限ったことではない。
しかし、とりわけ仕事に打ち込む専門家の間では、
恋愛を求めることはあらゆる点で自らが解き明かそうとする
自然の神秘と同じくらい厄介なものであり得るということを認識しておくとよい。

Nature Vol. 448, P. 723, August 2007

http://www.natureasia.com/japan/tokushu/detail.php?id=41

2007年12月24日月曜日

最前線:生活の変化に柔軟対応--エステー・小林寛三社長

(毎日 11月5日)

芳香剤や防虫剤のトップメーカーのエステーは、
「エステー化学」の社名から8月1日に「化学」を外して再スタート。
昨年、創業60周年を迎え、化学以外に事業を展開していく姿勢。
創業家以外から初めて経営トップに就任した小林寛三社長に、
新生エステーの経営戦略を聞いた。

--新社名の狙いは、「化学にとらわれない」ということですか?

◆社名に「化学」がつき、試験管を振って開発した商品でなければいけない
雰囲気が社内にありました。
生活環境の変化は早く、新築マンションにはウオークイン・クローゼットが
ついているのに、洋服ダンス用の防虫剤しかなかった。
家庭の消費者を理解するのに、「化学」はなくてもいい。
柔軟に自由に発想し、いろいろな事業にチャレンジしたい。

--社名変更後に発売した商品には、どんなものがありますか。

◆温水洗浄便座のノズルを泡で洗う「パワーズ ノズルウォッシュ」も、
生活の変化に対応した新商品。
トイレの消臭芳香剤では、コンパクトなキューブ(立方体)型を出しました。
いかにもトイレの消臭剤といったものでなく、デザイン性を高めました。
すねやふくらはぎを引き締め、スリムに見せる女性用の立体着圧ソックスは、
これからの方向性を占うものです。
「化学」が取れて、美容と健康をサポートする幅広い商品が出しやすい。

--これまでの商品はどう強化しますか?

◆防虫剤で創業し、においのしない「ムシューダ」をヒットさせ、
除湿剤「ドライペット」を日本で初めて作りました。
消臭芳香剤「消臭力」シリーズは、年間4000万個以上を売るメガヒット商品。
使って楽しいとか、癒やされるとか、情緒に訴える商品を出していきたい。
付加価値の高い商品でないと、後発品に追いつかれ単価も下がります。
品種を削減して強い商品を育てます。

--海外展開はどうですか。

◆昨年から米ウォルマートの約3200店舗で、除湿剤や脱臭炭を販売。
水がたまったり、炭が減ったりして効果が見て分かりやすいので、
米国でも受け入れられました。
韓国では、今春に家庭用品第2位のメーカーと合弁会社を設立し、
消臭芳香剤などを販売。

--どのように商品開発をしていますか。

◆全社員から意見募集するイベント「アイディアのたまご」を8月に行いました。
555件の応募があり、生活に密着した商品のアイデアが集まっています。
==============
■人物略歴

80年中央大商学部卒、エステー化学工業(現エステー)入社。
専務執行役製造部門担当兼R&D部門担当などを経て、
07年4月から現職。東京都出身。50歳。

http://mainichi.jp/select/biz/news/20071105ddm008020057000c.html

科学者として「研究の誠実性」の教育は重要

(nature ASia-Pacific)

著者資格としての不適切性からデータ偽造に至るまで、
科学における不正行為の事例は驚くほど日常的に発生。
新進の研究者に対し、何が許され何が許されないことであるのかを
確実に理解させるために手を尽くすべき。

ポスドクは、まだ指導下にありながら同時に指導するという
職業的立場にあることから、このような教育が特に重要。

特に、米国ポスドク協会(NPA)が指摘するように、
ポスドクは所属機関において、たいてい正式な地位にないため、
例えば誰が論文の筆頭著者になるべきであるとか、
いつどのように共同研究を行うべきであるとか、
自分が研究室を離れた場合のデータの扱い方のような問題を考える際に、
過労状態の(期待に応えてくれない、信頼できない)指導者に
頼らざるを得ない場合がある。

このような話題を切りだすのはおかしいと思われるかもしれないので、
多くのポスドクは日々の研究活動を優先させ、避けて通っている。

しかし、これらは研究の誠実性を損ないうる問題。
この問題に取り組むため、
NPAは、責任ある研究行為についての認識を向上させ、
教育を推進するためのプログラムに着手。

本プログラムにおける最初のシード助成金を発表。
12の大学およびポスドク協会に、研究の誠実性を狙いとした
率先的活動の支援を目的として、1,000ドルが支給。

例として、ボストンのマサチューセッツ総合病院ポスドク協会は、
指導者とポスドクの間で行われるランチ討論会の支援に、この資金を利用。

ペンシルベニア州のピッツバーグ大学は、この助成金を
「責任ある行為」に関する様々な問題についての協議を促す一助に。

このような議論は、問題に対してほとんどうわべだけの対処となり、
新たな実用的な勧告を生み出さないという危険性を常に孕んでいる。
しかし、あってはならない状況になっても、重要な成果は得られる。
それは、問題含みの領域に関する話題を人々に提供すること

この問題に取り組み始めなければ、
著者の決定や共同研究の計画といった問題が、
科学そのものと同じくらい複雑で困難なものになりうるため、
極めて大事なことかもしれない。

Nature Vol. 450, P. 129, 31 October 2007

http://www.natureasia.com/japan/tokushu/detail.php?id=59

あしたのかたち/79 強い関大/3

(毎日 6月2日)

「千里凱風寮」は、阪急千里山駅から徒歩数分の住宅街に。
スポーツフロンティア(SF)入試で入学した学生用に、04年に完成。
入寮期間は原則1年間で、約50人が暮らす。
食堂はなく、夜になると、コイン式ガスコンロの前に学生が並ぶ。
柔道部の河津一也さん(2年)は、
「練習で疲れて帰ってきてから食事を作るのは、少しつらい」。

寮は、栄養を管理して、戦う体を作る場。
「食事がなくては意味がない」と野球部の土佐秀夫監督。
森本靖一郎理事長は、「(業者と)提携するような形でやっていきたい」
しかし、改善のめどは立っていない。
1室12平方メートルと手狭のうえ、浴室もないなど課題は山積み。

スポーツの強化、振興について、森本理事長は三つの柱を挙げる。
素質のある学生の獲得が第一。二番目はいい指導者、三番目はいい施設」。

だが、数十億円を投じてアイスアリーナ、柔道場や射撃場などが入る
「養心館」など専用の施設が次々と建設される一方で、
人工芝グラウンドはサッカー、アメリカンフットボール、ラグビーなどの共用。
体育の授業でも使用されるため、利用時間は午後2時半以降となり、
早朝練習で補っているクラブも。

昨夏から人気スポーツの野球、サッカー、アメフットに、
大学の特色を生かした競技としてアイススケート、アイスホッケー、陸上を
加えた6クラブが重点強化指定され、
学長任命制の指導者も常勤職員や嘱託という形で雇用して
フルタイム指導ができる体制を整えた。
今後は、準重点強化クラブも導入する予定。

それでも、現場からは不備を指摘する声が出る。
部員が100人を超えるサッカー部の場合、
常時指導できるのは島岡健太コーチだけ。
レベルに応じて4班に分けることで対応しているものの、
限界があり、一般入試組の入部受け入れを保留せざるを得ない。

「SF組が、トップ選手であり続ける保証はない。
いい素材をきちんと育成する環境を整えなければ、好成績は維持できない」。

SF入試導入から5年。
現場の要望は、受け入れ側の充実にシフトし始めている。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/archive/news/2007/20070602ddn035070060000c.html

2007年12月23日日曜日

大豆:毎日食べれば脳・心筋梗塞の死亡率低下 女性で顕著

(毎日 12月3日)

大豆をほぼ毎日食べる女性は、あまり食べない女性に比べ、
脳梗塞や心筋梗塞など循環器病の死亡率が約7割も低下。

厚生労働省の研究班(津金昌一郎・国立がんセンター予防部長)
による大規模な疫学調査で分かった。

大豆に含まれるイソフラボンの摂取量が多いほど、
特に閉経後の女性で脳梗塞や心筋梗塞の発症率や死亡率が下がった。
研究成果は、11月27日付の米専門雑誌「サーキュレーション」に掲載。

調査は、岩手、秋田、長野、沖縄の4県に住み、調査開始当初、
心臓病やがんになっていなかった40~59歳の男女約4万人が対象。
90~02年まで、13年間にわたって追跡調査。

その結果、大豆を週5日以上の頻度で食べる女性は、
2日以下に比べ、脳梗塞や心筋梗塞による死亡率が0.31倍と低い。
イソフラボンの摂取量で比較すると、一番多い女性グループは、
一番少ないグループに比べ、発症率が0.39倍。

また、閉経後の女性の場合、摂取量が一番多いグループは、
一番少ないグループに比べ、発症率が0.25倍と特に低い。
一番多いグループの一日当たりの摂取量は、
豆腐3分の1丁か納豆小パック(約50グラム)1個程度。
一方、男性には同様の傾向は見られなかった。

小久保喜弘・国立循環器病センター予防検診部医長(循環器疫学)は
「イソフラボンを含む大豆を無理なく食べ続ければ、
女性は脳梗塞や心筋梗塞を予防できる可能性がある。
ただ大豆にはイソフラボン以外の成分もあるので、
イソフラボンだけ取っても予防できるかは分からない」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20071203k0000e040013000c.html