2008年1月5日土曜日

1位は男性長野、女性沖縄 05年の平均寿命 全都道府県で延びる

(共同通信社 2007年12月18日)

平均寿命が最も長い都道府県は、
男性は長野で79.84歳、女性は沖縄で86.88歳
(厚生労働省「2005年都道府県別生命表」)。

都道府県別生命表は、1965年から5年ごとに作成され、今回が9回目。
長野の男性は90年から4回連続、沖縄の女性は75年から7回連続のトップ。
最下位は、男女とも青森(男性76.27歳、女性84.80歳)。
2000年の前回と比べ、すべての都道府県で平均寿命は延びた。

男性の2位は滋賀(79.60歳)で、以下神奈川、福井、東京。
女性の2位は島根(86.57歳)で、熊本、岡山、長野。
長野は、女性も5位で男女とも長寿ぶりが目立った。
女性でトップの沖縄は、男性が25位に。

青森の男性は7回連続、女性は2回連続の最下位。
男性は秋田、岩手、高知、鹿児島、女性は栃木、秋田、大阪、茨城の順。

2000年からの5年間で、平均寿命の延びが最も大きかったのは、
男性は滋賀と岡山で1.41歳、女性は大分と鳥取の1.36歳。

男性で前回15位だった東京は、今回5位と大幅に上昇。
順位が大きく変わったのは、男性の佐賀(前回44位から32位)、
岡山(同21位から11位)、女性の大分(同25位から15位)。

生命表は、出生や死亡に関する統計データを基に「平均余命」を算出。
ゼロ歳児の平均余命が平均寿命を意味する。
厚労省は毎年、日本人全体の「簡易生命表」を公表。
06年の寿命は、女性が85.81歳と世界1位、男性は79.00歳で同2位。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=64614

年末年始の体重増加に打ち勝つ方法

(WebMD 12月28日)

食べ物がそこらじゅうに溢れる年末年始。
まるで私たちを太らせようとするかのように、ご馳走続きに。
年末年始のご馳走で、減量計画をだめにしない方法がある。

どのようなきっかけで食べ過ぎてしまうのか、自覚することが一番いい方法。

食べ物と感情:年末年始の体重を増加に導く二重の要因

過食はシーズンによらず、食べ物の刺激というよりは感情に影響される。
ブラウン大学ウォーレン・アルパート・メディカルスクールの研究者
Heather Niemeierらは、ほとんどの過食の原因には心理的因子があり、
感情によって過食に走る人々は、減量および減量後の体重維持に
苦労する傾向にある。

「減量の成功は、感情と思考が環境的要因より大きな役割。
人間は、感情に反応して食べるのである。
年末年始は、いい感情も悪い感情も、すべて呼び起こされやすい」。
過去の年末年始の思い出に浸っている人、
延々と続く家族間の争いに直面しなければならない人、
あるいは1人で過ごす人、
そんな多くの人たちにとって、この時期は寂しい季節に。

モンテフィオーリ医療センターKatherine Mullerは、
「ある感情に対して食べるという行動で反応した場合、
その反応は再び繰り返される。
この反応関係は、長い間に何度も繰り返され強化されていくので、
一度出来上がったらなかなか壊れない」。

この時期は食べ物自体が感情の引き金になり、
もっと激しい感情の放出につながりやすいことを示した研究も。

ニューヨーク大学医療センター臨床心理学者Warren Hubermanは、
「音楽で記憶が呼び起こされるように、特定の食べ物も記憶を呼び起こす。
臭覚は、脳に直接つながる経路である。
特定の料理の匂いをかいだだけで、ある感情が誘発される」。

料理が自分の全記憶の中でどんな役割を果たしているか考えるようにすると、
その食べ物の誘惑に勝つことができるという。

Muller博士は、「その感情を持っていること、記憶を考えることはよい。
だが、楽しいとかつらいといった感情に結びついた食べ物を口にし、
当時を思い出したり、ごまかしたりしてはいけない」。

年末年始の体重増加を防ぐ計画を立てよう

なぜ食べてしまうのかを理解することはある程度の抑止策になるが、
誘惑にいかに対処するか、計画してご馳走に臨むことも重要。
食べないようにするだけで食欲を抑制しよう減量すると、
過食に対応策を自ら身につけた人に比べて過食のリスクが大きい。

ペンシルベニア大学臨床心理学准教授Judith Beckによると、
有効な対応策は、食欲の「フラッシュカード」を使ったポジティブな独り言。
Beck Solutionのひとつは、やせたいと思うもっともな理由を
すべてリストアップして、毎朝自分自身に読み聞かせる方法。
計画にないものを食べたくなった時、それを読み返せば、
食べ物をあきらめる行為が価値のあることだと常に思い出せる。
自らコンディションを整え、自分にとっての食事の意味について
考え方を変える必要がある」。

Muller博士は、この方法は「思考タイプの人」には効果があるだろう。
もっと衝動的な「見たらすぐ食べてしまう」タイプの人には、
「マインドフル・イーティング」という方法が一番よい。
「原始的な感情がある場所と過食はつながっているので、
無意識に食べ始めてしまう。
対応策のひとつは、注意深さを磨くこと。
その場で常に自分を振り返り、自分の手にあるもの、
お皿に載っているものに注意を向け、食べているものを意識するとよい」。

Huberman博士は、パーティーにはいくつ行ってもいいが、
それぞれ計画を立てていくことが大事。
「何皿食べるか制限してもいいし、各コースで食べる量を制限してもいい。
大好きな食べ物3つだけ食べる、と決める手もある。
重要なのは、食べる量に条件をつけ、その計画を必ず遂行すること」。

「食べ物を無理強いする人」に負けるな

太りやすいご馳走を勧めて否とは言わせない友人、家族、同僚。
「どんな理由であれ、こういう人たちは自分が勧めた食べ物を
人が食べるまで休日のお祝いは終わらないと信じている」。

一番簡単な解決方法は、ただ一言「けっこうです」と何度も何度も言うこと。
Huberman博士は、「これを“壊れたレコード法”と呼んでいる。
丁寧に断り続ければ、最終的には押し付けをやめるだろう。
無礼にする必要はないが、断固とした態度をとらなければならない」。

Beck博士は、自分自身のためになることを当然していいと思うべき。
「アレルギーや宗教的理由で食べ物を断っているのなら、
“けっこうです”と断るのをためらう必要はないので、それを貫き通すべき。
“要りません”と断るときは、そのような権利の感覚を持つこと。
なぜなら、自分の健康を守っているのだから」。

食べたくない理由の多くを説明する必要はない。
「ダイエット」という言葉を出す必要すらない。
「皿の上あるいは手の中にあるからといって、食べなければいけない義務はない」。

Warren Huberman, PhD, psychologist, surgical weight loss program, NYU Medical Center, New York City. Heather Niemeier, PhD, Weight Control & Diabetes Research Center, Miriam Hospital; the Warren Alpert Medical School, Brown University. Katherine Muller, PsyD, director, Cognitive Behavior Therapy Program, Montefiore Medical Center, New York. Judith Beck, clinical associate professor of psychology, University of Pennsylvania; director, Beck Institute for Cognitive Therapy, Philadelphia; author, The Beck Diet Solution. Niemeier, H., Obesity, October 2007; vol 15, no 10.
Lee, J., Behaviour Research and Therapy, October 2007; vol 45, Issue 10: pp 2334-2348.Reviewed on December 18, 2007

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=65239

最強の教員を求めて

(nature Asia-Pacific)

良い教員の資質とは?
Naturejobsでは、この複雑な問題がよく取り上げられる。
本号p. 791に、昨年度のNature奨学金獲得のために、
自分の師を推薦した教え子達の推薦状を基に作成した、
教員と学生のための詳細な手引きが紹介。

報告書的なものだが、その観察と経験からは、
駆け出しの研究者と彼らを指導する学者のための多くの教訓を得られる。

最高の教員とは、生涯にわたる良き師であり、
常に学生に対し門戸を開いており、
実際の指導者である場合も、そうでない場合もある。

惜しみなく自分の時間を割き、研究課題に関する指導を行うばかりでなく、
キャリアパスの可能性についても思慮深い助言を与える。
彼らは、同じ技術と法則を提示するための最新の方法を見いだす。
教え子にふさわしい研究課題を巧みに探しだし、
一方で、なぜ学生に研究に対する意欲が欠けているかについて考える。

優れた教員は、共感をもって話を聞いてくれる。
学生が、家庭と研究を両立させるときに起こり得る問題を認識し、
落胆した学生の励まし方も心得ている。

教員は、利己的であってはならず、自分のアイデアを惜しみなく分け与え、
何の見返りも期待していないため、
学生は教員が本当の共同研究者であるように感じる。

教員は、学生を指導すべきだが、学生が自分の説を考え出す
自主性を認めなければならない。
また、昼食やバーベキュー、卒業式のカクテルパーティーで成功を祝う。

最高の教員は、発表された研究をどう評価するか、
専門誌の論文をどのように執筆し、添削するか、
また研究上の疑問点を精査している研究者仲間に
どのように質問をするかを指導する。

ネットワーク作りに取り組み、学生のキャリアパスに眼識のある
一流の研究者を紹介してくれる。

総合すると、このような資質などまったく無理な注文である。
優れた教師と人生の師と非凡なネットワーカーの要素を併せ持った、
このような無私無欲の「最強の教員」が世の中にいるだろうか?
もしいたとしたら、それは間違いなくエリート集団である。

しかし、仮に科学的結果の良し悪しが
それを生み出す研究者によって決まるのであれば、
最強の教員になることは、癌を治療し、生態系を理解し、
宇宙を作り上げている成分を特定することと同様、
価値のある志である

Nature Vol. 447, P.881 June 2007

http://www.natureasia.com/japan/tokushu/detail.php?id=25

2008年1月4日金曜日

緑茶が前立腺がん抑制か 5杯超で進行のリスク半減

(共同通信社 2007年12月19日)

緑茶を1日平均5杯以上飲む男性は、1杯未満の人に比べ、
進行性の前立腺がんになるリスクが約半分になるとの疫学調査結果を、
厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)
が発表。1杯は、約150cc。

がんが前立腺内にとどまる「限局がん」については、
緑茶飲用との関連はみられなかった。
進行がんだけに影響した理由は不明だが、緑茶に含まれるカテキンに、
がんが広がるのに関係する物質を抑える効果があることも関係。

調査は、岩手、大阪など全国9府県の40-69歳の男性約5万人が対象。
平均12年の追跡期間中に404人が前立腺がんになり、
うち114人が前立腺を超えて広がる進行性がん。

進行性前立腺がんになるリスクは、緑茶を飲む量が多い人ほど小さく、
1日平均1杯未満の人のリスクを1とすると、5杯以上の人は0.52。

このほか、男女約13万人を対象に実施した、
胆石と胆道がんに関する疫学調査結果も発表。
胆石を患ったことがある人はない人と比べ、
胆道がんになる危険度が2.5倍高く、特に女性では3.2倍に。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=64759

T細胞の強力な活性化の結果生じるリンパ管外のウイルス避難場所

(nature medicine 11月号Vol.13 No.11 / P.1316 - 1323)

ヘルパーT細胞は、マウスリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、
サイトメガロウイルス、C型肝炎ウイルス、HIVなどの
持続感染性ウイルスに対処するCD8+T細胞の働きを助ける。
これらのウイルスは完全な排除がむずかしいことが多く、
腎臓やその他のリンパ管外臓器のような
避難場所(sanctuary site)に検出可能な量が残留する。
この持続感染の原因となる機序はよく解明されていない。

今回我々は、ウイルス特異的な強力なT細胞応答を示すマウスでは、
中和抗体の量が減少しており、中和抗体産生が遅延することを示す。
こうしたマウスはリンパ管外の上皮からLCMVを除去できない。

ウイルス特異的なB細胞を移入すると、持続的感染部位からウイルスが
一掃されたが、ウイルス特異的なT細胞移入では排除できなかった。
腎臓からのウイルスの排除は、腎臓に浸潤するB細胞によって
生成されると考えられるIgGの間質部分への蓄積と関連。

ウイルスが除去されなかったマウス腎臓のCD8+T細胞は、
活性化されたが疲弊が認められた。

以上より、この感染モデルでは、ウイルス特異的な中和抗体の減少を
伴う強力な免疫活性化が生じた結果、
部位特異的なウイルス残存が起こると結論。

今回の結果から、ウイルス避難場所の形成は、
臓器の解剖学的形態と、どのような適応免疫エフェクター機構が誘導されるか
の両方に左右されると考えられる。
T細胞応答を増強するだけでは、ウイルス残存は解消できないだろう。

[原文]Extralymphatic virus sanctuaries as a consequence of potent T-cell activation

Mike Recher1,10, Karl S Lang1,10, Alexander Navarini1,10, Lukas Hunziker1,2,10, Philipp A Lang1, Katja Fink1, Stefan Freigang1, Panco Georgiev3, Lars Hangartner1, Raphael Zellweger1, Andreas Bergthaler1, Ahmed N Hegazy1,4, Bruno Eschli1, Alexandre Theocharides5, Lukas T Jeker6, Doron Merkler1,7, Bernhard Odermatt8, Martin Hersberger9, Hans Hengartner1 & Rolf M Zinkernagel1
1 Institute for Experimental Immunology, University Hospital Zurich, Schmelzbergstrasse 12, CH-8091 Zurich, Switzerland.
2 Department for Internal Medicine, University Hospital Basel, 4031 Basel, Switzerland.
3 Department of Visceral and Transplantation Surgery, University Hospital Zurich, Ramistrasse 100, 8091 Zurich, Switzerland.
4 German Rheumatology Research Center, Charite Platz 1, D-10117 Berlin, Germany.
5 Experimental Hematology, Department of Research, Basel University Hospital, 4031 Basel, Switzerland.
6 Pediatric Immunology, Center for Biomedicine, University of Basel and University Children's Hospital of Basel, Mattenstrasse 28, 4058 Basel, Switzerland and Transplantation Immunology and Nephrology, University Hospital Basel, 4031 Basel, Switzerland.
7 Department of Neuropathology, Georg August University, Goettingen, Germany.
8 Department of Pathology, University Hospital, Schmelzbergstrasse 12, CH-8091 Zurich, Switzerland.
9 Institute of Clinical Chemistry, University Hospital Zurich, Ramistrasse 100, CH-8091 Zurich, Switzerland.
10 These authors contributed equally to this work.

T helper cells can support the functions of CD8+ T cells against persistently infecting viruses such as murine lymphocytic choriomeningitis virus (LCMV), cytomegalovirus, hepatitis C virus and HIV. These viruses often resist complete elimination and remain detectable at sanctuary sites, such as the kidneys and other extralymphatic organs. The mechanisms underlying this persistence are not well understood. Here we show that mice with potent virus-specific T-cell responses have reduced levels and delayed formation of neutralizing antibodies, and these mice fail to clear LCMV from extralymphatic epithelia. Transfer of virus-specific B cells but not virus-specific T cells augmented virus clearance from persistent sites. Virus elimination from the kidneys was associated with the formation of IgG deposits in the interstitial space, presumably from kidney-infiltrating B cells. CD8+ T cells in the kidneys of mice that did not clear virus from this site were activated but showed evidence of exhaustion. Thus, we conclude that in this model of infection, site-specific virus persistence develops as a consequence of potent immune activation coupled with reductions in virus-specific neutralizing antibodies. Our results suggest that sanctuary-site formation depends both on organ anatomy and on the induction of different adaptive immune effector mechanisms. Boosting T-cell responses alone may not reduce virus persistence.

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/nature/200711/nature_medicine/04.html

新しい波/256 スポーツ立国/下 予算掌握の必然

(毎日 12月29日)

スポーツ界に不祥事が相次いだ今年、
競技団体の監督官庁である文部科学省が、
問題解決に積極的な関与をしようとする姿勢も目立った。

高校野球の特待生問題、時津風部屋の力士急死、
Jリーグにドーピング違反を問われた我那覇和樹(川崎)の処分、
日本バスケットボール協会の内紛……。
ことあるごとに、同省は競技団体を呼んで事情を聴いた。

予算と許認可を握る監督官庁の持つ影響力は小さくない。
我那覇の問題では、「一事不再理」と主張して違反の決定を再考しようとしなかった
Jリーグと日本サッカー協会が、文科省に2度の事情聴取後、
スポーツ仲裁裁判所(CAS)に判断を仰ぐ柔軟姿勢に転じた。
同省の田中敏審議官は、「これで大きく前進した」。

同省の関与について、ある競技団体幹部は、
「toto(スポーツ振興くじ)の不振でスポーツ界に影響力が落ちたので必死だった」。

自民党にスポーツ立国調査会(麻生太郎会長)が発足し、
スポーツ庁の設置と予算拡大に動き出した。
スポーツ界の悲願でもあり、国際競争力の強化や振興には追い風。
ただ、予算を握れば政、官ともに関与を強めるのは間違いない。

政治との急接近は、スポーツ界の自主性、独立性が過剰な圧力に
脅かされる危険性もはらむ。
政府の介入で80年モスクワ五輪ボイコットを決めさせられた痛みは、
スポーツ界に残る。

スポーツ振興の国策化に積極的な日本オリンピック委員会(JOC)の
福田富昭選手強化本部長は、
「政治がスポーツに関与しないとの考え方は過去のこと。
今はかかわらないと成り立たない」と現状を肯定。
そのうえで、政・官と向き合うために
「競技成績を上げることと、スポーツ界がまとまることが必要」。

来年は、初めて国が整備したナショナルトレーニングセンターの利用が開始。
事実上の「国策化」元年。
政・官の力にのみ込まれぬよう、スポーツ界は自らの姿勢を
厳しく省みることも必要だ。
まだ運営手法が旧態依然とした競技団体も多い。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/