2008年3月22日土曜日

アルツハイマー病:老人斑なくても発症 大阪市大発見、治療法開発も

(毎日 3月16日)

アルツハイマー病の確定診断の指標の一つで、
患者の脳に必ず見られる老人斑(アミロイド斑)がなくても、
発病する場合があることを大阪市立大などの研究チームが発見。
知られていなかった遺伝子の変異が見つかり、
発症メカニズム解明や治療法開発につながる可能性。

老人斑は、アミロイドβというたんぱく質が数珠状につながってできる。
脳に蓄積すると、神経細胞が死んでしまい、記憶障害など
アルツハイマー病の症状が出る。

富山貴美・大阪市立大准教授(脳神経科学)らが、
若年性アルツハイマー病患者の遺伝子を調べたところ、
アミロイドβを作る遺伝子の一部が欠損している例を発見。
患者の脳に老人斑は見つからず、
アミロイドβ分子が数個結合した重合体だけ。

研究チームの森啓・同大教授によると、
多くのアルツハイマー病患者の脳には、老人斑とともに
アミロイドβの重合体が見られる。
ラットを使った研究では、この重合体が神経細胞同士の情報伝達を阻害し、
認知症のような症状を起こす例が報告。

森教授は、「アルツハイマー病は、アミロイドβの重合体があるだけで
発症する可能性がある。老人斑にターゲットを絞った現在の診断や
治療法を見直す必要性があるかもしれない」

http://mainichi.jp/select/science/news/20080316ddm003040047000c.html

スポーツ21世紀:新しい波/263 陸上・実業団選手登録/7止

(毎日 3月14日)

選手を取り巻く環境の変化に応じて、登録の規則を見直した競技団体も。
卓球では原則として、高校生・大学生は学校の選手として登録。
日本卓球協会は、ナショナル(日本代表)チームとジュニアナショナルチームに
入った選手に限り、高・大生にも契約企業名での登録を認めた。
早大の福原愛は、スポンサーであるANAの所属として大会に出場。

木村興治専務理事は、「選手や卓球の発展を支えてくれる
企業の立場を認めるのは当然」。
世界レベルで戦う選手は多額の経費がかかり、
スポンサーが不可欠な現状を反映。
対象を代表レベルに限ることで、学校の立場も尊重。

全国高等学校体育連盟は、企業との契約などで金銭を得る
プロ的な高校生選手も、高体連の事前承認を条件に、
高校総体に出場できる規定を設けた。

サッカーやテニスなどプロ登録がある競技では、
プロ選手の高体連登録自体を認めていない。

しかし、卓球やスケートなどプロとアマの区別がない競技に関しては、
規則では競技により金品を得ることを禁じていたが、
厳格に適用するとトップ選手が出場できず、扱いが議論。
福原が青森山田高に在学中は総体出場を認めたが、特例扱い。
このケースが、今後は正式に受け入れられる。

梅村和伸専務理事は、「トップの子供たちにダメとは言えない。
各競技でプロの定義を明確にしてほしいが、それができない競技の選手に
不利益が生じないよう実態を考慮した」。

日本陸上競技連盟では、中高生について、
学校とクラブの両方で登録することを認めた。
学校での登録が原則だったが、指導教諭や陸上部そのものがなく、
地域のクラブチームで活動する選手が増えている実情に配慮。
環境の変化は、競技の底辺でも起きている。

選手登録の制度は、競技の根底を支えるもの。
見直すにしても、全体の秩序や将来の競技のあり方も見通し、
慎重になされる必要がある。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

2008年3月21日金曜日

理系白書2008:番外編 政治と科学、相互理解目指す--英国

(毎日 3月16日)

食の安全や地球温暖化、先端医療など、
科学技術が政策に影響する事例は増えている。
しかし、政治家と科学者の連携不足のため政策を誤ることも少なくない。
英国では、政治家と科学者がペアを組んで、
相互理解を深めていく取り組みが、学術団体主導で進められている。

◇王立協会が01年から

この取り組みは、「社会の中の科学」をスローガンの一つに掲げる
学術団体「英王立協会」が、科学者出身の国会議員の支援を受けた。
政府や同協会の研究費を支給されている若手科学者と、
彼らの地元選出の国会議員とを組み合わせる。

初年度は6組のペアで試行し、現在は25組。延べ約140組が参加。
科学者、政治家とも関心は高い。
科学者側は07年、25人の枠に100人が志願、
議員側のアンケートでは回答者の3割が「やってみたい」と答えた。

科学者が国会を訪ねる5日間の研修後、
議員が科学者の大学や研究機関を訪ねるという仕組みで、
相手の生活をかいま見、理解を深めることが目的。

◇議員のイメージ変わる

生物学者のジョナサン・ブラントさん(エクセター大学、38)は、
鳥類の繁殖行動を進化と栄養学の視点から研究。
組んだ相手は、コーンワル地方選出の国会議員、
ジュリア・ゴールドワージーさん(29)。
野党の自由民主党で、人口減少に悩む同地方の振興に取り組んでいる。

国会での研修。
ブラントさんは科学技術政策の立案過程に関するセミナーに参加、
議員に密着する「シャドーイング」を経験
党の打ち合わせ、委員会、首相へのクエスチョンタイムなど
分刻みの予定に加えて、地元や秘書からひっきりなしに連絡が入る。
食事の時間も惜しんで、迷路のような国会内を小走りで移動する
ゴールドワージー議員を、ブラントさんが追いかける。

「僕たちも忙しいが、議員も忙しいですね」とブラントさん。
国会に対するイメージも変わった。
今回の研修で、議員同士が議論を重ね、合意点を探っている様子を
間近に見ることができた。
「これからは地球温暖化のように、政治家と科学者が連携して取り組む
問題が増える。政策立案の仕組みを知っていることはとても重要」

◇科学の手続き体験

ゴールドワージー議員がブラントさんの研究室を訪れた。
研究室では、議員に研究内容を説明、大学の裏手にある森へも案内。
鳥を観察するため、巣箱とエサ場の管理が不可欠。
こうした地道な作業が研究を支えていることも説明。

学長を交えてのティータイムでは、学長がキャンパス拡充の計画を説明。
「当初の資金計画がそのまま実現するかどうか不安」との学長に、
議員は「コーンワル地方の全党派議員の会合で問題提起します」と約束。

大学の発展は、地域経済の活性化ともかかわる。
議員は、「科学がどういう手続きを踏むのか体験でき、有益だった。
議員として協力できることも分かった。
私たちのペアだけで終わらせず、他の議員にも広げたい」。

この取り組みは、欧州議会にも広がっている。
王立協会会長のマーティン・リーズ博士は、
「科学者は、研究の外の世界から自分を閉ざしがち。
参加者の中から、政治家との連携や社会への働きかけに
積極的な次の世代の科学者が育つだろう」。
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◇日本も取り組みを

昨年のノーベル平和賞は、地球温暖化への取り組みを呼びかけた
政治家のアル・ゴア前米副大統領と、温暖化問題に取り組む
科学者組織「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が共同受賞。
科学と政治の連携が重要視される時代に。

政策研究大学院大学の角南篤准教授(科学技術政策)は、
「日本では、経済・科学技術イノベーション戦略から環境、薬害問題まで、
科学者の専門知識が政治に生かされているとは言えない。
結果として、行政への信頼が問われている。
英国の取り組みは、政治と科学をつなげる一歩として機能している。
日本でもこうした取り組みを検討してはどうか」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080316ddm016040129000c.html

「影響力ある論文」阪大・審良教授が4年連続ベストテン

(朝日 2008年03月19日)

米学術情報サービス会社トムソンサイエンティフィックは、
引用回数が多く影響力があった科学論文ランキング(06~07年度)を発表。
大阪大の審良静男教授(免疫学)が、4年連続でベストテン入り。

05年11月からの2年間に出した論文が、07年9月からの2カ月で
他の論文に引用された回数を分野ごとに分析。
審良教授は上位0.1%に入った論文が11本。
1位は米、インド、オランダの高エネルギー物理学研究チームの3人で12本。

審良教授は自然免疫研究の第一人者で、昨年と一昨年は1位。

http://www.asahi.com/science/update/0319/TKY200803190184.html

2008年3月20日木曜日

室伏広治:博士の学位記授与される「五輪に向けて頑張る」

(毎日 3月19日)

陸上男子ハンマー投げのアテネ五輪金メダリスト、
室伏広治(33)=ミズノ=が中京大の卒業式に出席し、
博士(体育学)の学位記を授与。

室伏は、中京大卒業後ミズノに入社し、
同社の国内留学制度で大学院に進学。
昨年9月、博士の学位を取得。

学位論文は「ハンマー頭部の加速についてのバイオメカニクス的考察」。
今後も研究生として大学に残り、将来は指導者を目指す。

会見した室伏は、「周りのサポートもあり、一生懸命やったことが実になった。
北京五輪に向けて一層頑張りたい」。

五輪代表に内定している室伏は4月に渡米して練習を続け、
5月の国際グランプリ大阪大会に出場する予定。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20080320k0000m050013000c.html

乳がん転移助長のたんぱく質特定 「悪玉ボス」の役割

(毎日新聞 2008年3月13日)

乳がん細胞の中で、がんの増殖転移能力を制御するたんぱく質を、
米カリフォルニア大の厚井重松輝美
ローレンス・バークレー国立研究所研究部長らが突き止めた。
転移を助ける遺伝子群を活性化し、抑制する遺伝子群を抑えるといった、
がん増殖転移の「悪玉ボス」の役割。

がんは、隣接する細胞に侵入し正常な細胞を壊したり、
離れた細胞に浸出してがん細胞を増やし腫瘍を作るなど、
さまざまな過程を経て転移するが、がん細胞の転移能力を
制御する仕組みはほとんど分かっていなかった。

厚井重松部長らは、リンパ球の一種T細胞の分化や活性化に
不可欠なたんぱく質「SATB1」が、他にも多くの遺伝子の働きを
制御していることに着目。

1318人の乳がん細胞を調べ、SATB1発現が多い人ほど死亡率が高い。
悪性度の高いヒトの乳がん細胞をマウスの尾から血管内に移植すると、
9週間後に肺に転移し増殖。
しかし、遺伝子レベルでSATB1を発現しないようにすると、
増殖転移が抑えられた。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&articleId=69360

2008年3月19日水曜日

超高齢社会を生きる/シリーズ4 後期高齢者医療

(毎日 3月16日)

老人がニコニコしている国が、きっと幸福な国。
若者も、将来への不安を抱くことなく、毎日の生活を送ることができる。
わが国は、平均寿命が長足の伸びを示し、超高齢社会を迎える。
老人は、本当に幸せそうな顔つきをしているのだろうか?

◇74歳までは元気を維持

日本人の平均寿命は、男性79・00歳、女性85・81歳(06年)。
65歳以上の高齢者の割合は、20・6%に達し、
2055年には40・5%を超えると予測。
高齢者は、74歳までが前期高齢者、75歳以上が後期高齢者。
近年の前期高齢者は、心身ともに若々しく壮年とさほど変わらない
元気さを維持している人が目立つ。
年齢別の日常生活活動度(ADL)では、この10年でADLは10年若返った。

京都大学の松林公蔵教授の研究によって、
00年に75歳以上のADLは、92年には65歳以上と同じ。
杏林大学医学部高齢医学教授の鳥羽研二さんは、
「平均寿命を超えた人を、高齢者と考えたらよい」と提案。
尿失禁、難聴、認知症など老年症候群を2、3持つと、
生活の依存度は3~6倍高くなる。

ADLが損なわれた状態こそが高齢者であり、平均寿命を超えたころが顕著。
65歳を過ぎると、脱水、骨関節変形、視力低下、発熱などがあらわれ、
80歳を超えるとADL低下、骨粗しょう症、嚥下困難などを訴える。

◇大きな病気、老化を促進

高齢者の健康度には個人差が大きく、
カレンダー年齢をもとにした対策だけでは限界。
老化は、大きな病気、緊急入院によって、一気に加速される。
2回目の入院をすると拍車がかかり、筋萎縮、関節拘縮、褥瘡(床ずれ)、
骨粗しょう症、便秘・尿失禁などの廃用症候群があらわれる人が多い。

病気が生活レベルを低下させ、次の病気の火種となる悪循環に。
肺炎でも高熱が下がれば、起きて、体を動かすことが重要。
寝たきりが続くと、筋肉の萎縮が進行、退院後のADLは極端に悪い」。
健康力の高まりに合わせ、高齢の入院患者であっても、
元気に在宅復帰を目指す医療が行われる。

加齢とともに患う病気が多く、飲まなければならない薬も増えるが、
高齢者は、腎臓の機能も衰え、薬の排せつ力が落ち、
服薬数が増えれば増えるほど、副作用の発生頻度が高くなる。

漢方からのアプローチは、複数の症状からなるある状態に対して処方され、
薬が少なくてすむというメリット。
また認知症、徘徊、幻覚、睡眠障害などに抑肝散が有効。
抑肝散は、赤ちゃんの夜泣きの治療に用い、
幻覚や興奮を穏やかにする働きがあり、認知症治療に応用。
超高齢社会の医療のあり方が、治療の現場でも、模索。

◇死見据えた初の仕組み

後期高齢者医療制度がスタートし、医療は超高齢時代へと大きくシフト
ホームケアクリニック川越院長の川越厚さんは、
死を見据えた初めての医療システムと高く評価。
「着陸態勢に入った高齢者の生活を理解、最良の医療を提供する時代」。

川越さんは、実地医家として在宅ホスピス活動を、
看護師、ボランティアの人たちとチームを組む。
病院で亡くなる人が80%超だが、在宅で終末期を送りたいという
患者・家族の願いには、十分に応えられるだけの態勢。
ヘルパーに支援を頼むことは、特別なことではない。

痛みを管理するためのモルヒネ、高カロリー輸液による栄養補給、
呼吸困難に対する在宅酸素療法の利用など、
家庭でも病院と同じ条件での医療提供が可能。

家族だけの力で患者をみていた時を100とすれば、
40~50の力を出せば、在宅での医療ができる。
介護のために仕事をやめてしまう人が多かったが、
ヘルパーを頼むことで仕事を続けることができる。
1人住まいの高齢者であっても、充実した在宅医療を受けることが可能。

終末期の在宅医療をスムーズに行うため、
医療者側と患者側が情報を正しく共有することが不可欠。
患者側が望んでいることを、わだかまりなく、はっきりと伝えること。
医療者側にまかせっきりで、トラブルに一方的に医療者側を非難するだけでは、
満足できる終末期医療を望むすべはない。
「どのような終末期を送りたいかを明確にし、方法を探り、
希望を医療者側に伝える。患者側も主体性を持つこと」。

将来自分が受ける医療に希望を伝える「事前指示書」の必要性があり、
自分自身の問題として、終末期医療のあり方を考えなければならない。
==============
◇「生涯現役」を超えて--東京大学教授(老年学)・秋山弘子さん

日本は人口の3分の1を高齢者が占める時代が、目前に。
80歳代後半から、90歳代、100歳代の超高齢者が急増。

生涯現役を目標とするsuccessful agingの考え方が広く受けいれられ、
高齢になっても、健康で自立し、生産活動に従事して、社会に貢献。
高齢者が、生き生きとして働ける社会こそが理想。
背景には、キリスト教プロテスタントの教理の影響。

個人差はあるが、75歳くらいまでは、
医学の進歩や食生活の改善などが、それを可能に。
超高齢期を迎えると、完全なる自立を維持することは難しく、
老いを受け入れなければならない。

successful agingにとって、自立し、生産的でないことは、落伍を意味。
自立がイデオロギー化してしまった欧米先進国では、
人に支援を頼む、依存をすることを避け、結果的に高齢者を孤立させる。
画一的なsuccessful agingの理念が、高齢者を不幸にしていると指摘。

現在、老いを自然の摂理とする仏教に代表される東洋の死生観や、
人とのつながりを重視する共同体の視点からとらえ直す動き。

超高齢者研究はスタートしたばかりだが、
超高齢社会に対応する社会システムを作るための学際的な研究が、
今、強く待ち望まれている。
長寿社会のトップを走る日本から、積極的に発言をしていく時代が来た。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/03/16/20080316ddm010100155000c.html

2008年3月17日月曜日

シンガポールがニュージーランドと糖尿病・肥満研究で提携

(JSTデイリーウォッチャー 3月7日)

シンガポール臨床科学研究所
(Singapore Institute for Clinical Science; SICS)は、
ニュージーランドのオークランド大学との間で覚書を締結し、
同大学のリギンズ研究所(Liggins Institute)と糖尿病や肥満などの
代謝性疾患研究で提携。

リギンズ研究所は、この分野で世界的な研究機関であり、
特に代謝性疾患につながる後生的(エピジェネティック)要因及び
発育上の要因の役割について取り組んでいる。
リギンズ研究所との提携で、SICSはシンガポールで
「成長・発育・代謝(GDM)」研究プログラムを立ち上げる。

このプログラムでは、動物とヒトのモデルの両方を使って、
胎児や幼児の発育環境が青年・成人期の2型糖尿病や肥満の発症に
どのような影響を与えるか調べる。

シンガポールでは、糖尿病や肥満が人の健康に影響を与え、
医療費増加につながることが危惧。
研究は、主に白人系グループに対して行われているものの、
代謝性疾患の診断・予防・治療法が白人系とアジア系では異なり、
アジア内の様々な人種間でも異なることがわかってきている。

GDMプログラムのプログラム・ディレクターには、
リギンズ研究所所長でSICS非常勤研究員のグラックマン教授が任命。

http://crds.jst.go.jp/watcher/data/377-005.html

難病ALSの進行を抑制 東北大がラットで確認 来春にも臨床試験

(共同通信社 2008年3月13日)

運動神経が死んで全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病、
筋委縮性側索硬化症(ALS)になったラットの脊髄に、
神経細胞を増やす働きがある物質を投与し病気の進行を抑える実験に、
青木正志・東北大講師(神経内科)らの研究チームが成功。

サルの実験でも同様の効果が出始め、効果と安全性が確認されれば、
少数の患者を対象にした臨床試験を来春にも始める計画。

青木講師らは、ALSを発症するよう遺伝子操作したラットの脊髄で、
病気の進行に伴って神経のもとになる「前駆細胞」が増加。
前駆細胞が神経になるのを助けてやれば、
ALSの症状の改善につながる可能性があると考え、
ALSラットの脊髄に、神経を含む多様な細胞を増やす働きがある
肝細胞増殖因子(HGF)を、約1カ月投与。

発症から死ぬまでの日数は平均28日で、
生理食塩水を投与したラットの同17日に比べ、約1.6倍長い。
脊髄内の神経細胞数も、食塩水ラットの倍以上多く残っていた。

HGFの働きで、脊髄の細胞死を抑制したり、
前駆細胞が神経に成長するのを促進したりした結果。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&articleId=69381

IOC会長、北京五輪ボイコット案を拒否

(CNN 2008.03.16)

国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長は、
チベット仏教僧らの抗議行動を中国政府が鎮圧した事態を受けて
出された北京五輪ボイコット案を受け入れない構えを示した。

ロゲ会長は、五輪ボイコットが問題を解決せず、
無実の選手らを傷つけるうえ、組織的行動の価値がある事柄が
なおざりになる恐れがある。
チベット騒乱の犠牲者に哀悼の意を表明し、
早急な事態沈静化を希望する考えを明らかにした。

「IOCは、五輪ボイコットの提案に対して常に抵抗してきた」。
ただ、今後も騒乱が続き、死者が増加した場合に
対応を変更する可能性には言及しなかった。

スイス五輪委員会も、五輪ボイコット拒否の姿勢を示したが、
IOCがチベット問題で中国に介入するべきだとの見解を表明。
バッハIOC副会長は、人権問題で中国と対話する意向を示し、
五輪ボイコットは「意思疎通のラインが切れてしまうので誤り」。

五輪史上ボイコットは少なくとも4回起き、
大半は選手に不本意な対応を強いる結果に。
1968年のメキシコ五輪開幕前には、平和的な抗議行動に参加していた
何百人もの人々が弾圧され死亡したものの、大会は開催。
IOCが、北京五輪ボイコットを支持する可能性は低い。

http://www.cnn.co.jp/sports/CNN200803160008.html

2008年3月16日日曜日

博士号取得で謝礼受け取る 横浜市大医学部長の研究室 教授10人以上も受領か

(共同通信 2008年3月12日)

横浜市立大医学部の医学部長(64)の研究室が、
医学博士の学位を取得した大学院生らから、謝礼として現金などを
受け取っていた疑いがあることが分かった。

長年の慣例で行われていたとみられ、横浜市大は、医学部長側が
受け取ったとされる現金の趣旨や総額、使途などを詳しく調べている。
ほかにも医学部の10人以上の教授の研究室が博士号の取得に絡み、
謝礼を受け取っていたとの情報もあり、同大は確認を急いでいる。

医学部長が所属する「消化器病態外科」(旧第2外科)では毎年、
数人の大学院生が医学博士号を取得。
謝礼として、現金30万円程度を、学位取得後に医学部長側に渡していた。

横浜市大によると、昨年11月、学内の「コンプライアンス推進委員会」に
通報があり、医学部長や元大学院生らから事情を聴くなど調査。
横浜市大は、受け取ったとされる現金の趣旨などに関する
医学部長側の説明については「調査結果が出るまで一切明らかにできない」。

医学部長は1992年、第2外科教授に就任。
2005年から医学部長を務め、大学院生らに
学位論文の作成の指導なども行っている。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=69288

売り込め気仙黄金の国 平泉の世界遺産登録に向け受け皿づくり急務

(東海新報 3月14日)

7月に見込まれる「平泉の文化遺産」の世界遺産登録で、
観光客などの増加が予想される中、
平泉と気仙を結びつける広域観光ルートの設定や物産開発など、
受け入れ態勢づくりが急務。

平泉黄金文化を支えた産金地をアピールしたテーマ性のある
観光資源の活用や観光ホームページ機能の充実強化など、
観光客にどう強い印象を与えるかがポイント。

首都圏の旅行会社やJRでは、平泉とその周辺地域に
足を延ばしてもらおうと、平泉ツアーや大型観光キャンペーンを企画
気仙二市一町の観光、商工関係機関、団体で構成する
三陸けせん観光協議会(会長・齊藤俊明大船渡市観光物産協会長)は、
「登録は県全体の魅力を発信するチャンス」として、
関連団体と連携した広域観光ルートの設定や商品開発など検討。

最大の課題は、交通アクセス。
三陸沿岸までいかに誘客するか、平泉と気仙を結びつける観光コースの
設定とあわせ、内陸部からの二次交通手段をどうするかがネック。

陸前高田市では、気仙沼市の行政、観光団体などと連携して
三金山協議会を設立
金山をテーマとした講演会などを開くが、
金山ツアーや黄金伝説にちなんだ商品開発など、具体的な動きはまだ。

陸前高田市観光物産協会の井筒吉正事務局長は、
「平泉と気仙の結びつきは、金山が一つのテーマ。
ストーリー性というバックボーンがあり、観光ホームページの充実を図り、
エージェントを巻き込んで情報発信したい」。

大船渡市では、7月後半に開催される全国海フェスタと
世界遺産登録の決定時期が重なる。
市商工観光部の佐々木信介部長は、
海フェスタと連動した観光ルートの設定について平泉と協議したい」。

大船渡市観光物産協会の新沼信男事務局長は、
「昨年の夏まつりでPRするなど受け皿づくりを進めているが、
エージェントやJRとの連携がカギ。
タクシー組合などとコース設定も検討中で、
黄金の国にちなんだ弁当など商品開発にも広域で取り組みたい」。

三陸けせん観光協議会でも、
歴史や文化を生かしたメニューの提案がポイント」とし、
平泉と気仙をつなぐゴールデンロードの情報発信、
団塊世代や修学旅行などの顧客を意識した旅行商品の企画、
地域の食材や体験活動を生かした観光客の満足度の向上、
といった取り組みが誘客のカギ。

http://www.tohkaishimpo.com/index.html

アカデミーへの期待

(サイエンスポータル 2008年3月10日)

日本学術会議が、研究評価のありかたについて、多面的に検討。
「科学技術政策の推進のための司令塔」と称する総合科学技術会議を、
「第三者評価機関ではない」と位置付けるなど踏み込んだ内容を含む。

「日本学術会議自身はどういう役割を果たすべきだ、と考えているのか」
という問いかけに、「科学新聞」記事が日本学術会議の“代わり”に、
こたえてくれていたよう。

「今回の提言の背景には、日本学術会議が第三者評価を行う機関に
なろうという意図がある」
「米国のナショナル・アカデミーズは、第三者評価を行う組織として社会的に
位置づけられ、学術会議がその任を担おうとする意欲は理解できるが、
まだその機能を発揮できるまでに体制が整備されていない」

ナショナル・アカデミーズは、全米科学アカデミー、
National Research Council、全米工学アカデミー、
Institute of Medicine(全米医学アカデミー)の4団体を指す。
核は全米科学アカデミーで、南北戦争の最中、1863年に
リンカーン大統領が署名して設立された非政府機関。
現在、会員約2,100人、外国人会員約380人、
約200人がノーベル賞受賞者という組織。
他の3機関を併せて、ナショナル・アカデミーズと呼ばれる。

全米科学アカデミーのホームページによると、
全米科学アカデミーの創立以来、米国の指導者たちは
科学的、技術的なアドバイスをこれらナショナル・アカデミーズに求め、
政府の枠外からのアドバイスが、しばしば政策決定に活かされている。
National Research Councilは、要請に対応するための組織として作られた。

日本学術会議が、米国のナショナル・アカデミーズのような機能を
発揮できるまでにはなっていない、という科学新聞の根拠は何か。
「事務局機能に大きな差があり、本当に第三者評価機関として
活動できるかどうかには疑問が残る」
「日本学術会議自体が政府機関であり、NPOである
ナショナル・アカデミーズとは位置付けが異なる。
同じ政府組織で、第三者評価といえるのかどうかといった疑問も」

政府にとって大いに頼りになるシンクタンクであり、
国民にとっては、政策が真に大多数の国民の福利に役立つものかどうかを
客観的にチェックしてくれる機関。

こうした役割を担うアカデミーが、日本にもできないものだろうか。
結局は、そのような社会の方が健全と考える人々が
多数を占めるかどうかにかかっている、ということなのだろう。

日本学術会議がその気になり明確に意思を発信することが、
まずは必要に見えるが。

http://www.scienceportal.jp/news/review/0803/0803101.html