2009年2月21日土曜日

「省ビジネス」に商機あり

(日経 2009-02-09)

厳しい経済環境を受けて、最近売れているヒット商品には
何かを節約したり、省いたりする効果を持つものが増えている。
私は、これらを「省ビジネス」と呼び、今後さらに伸びる分野。
多くの商品は、節約と同時に、CO2排出量の削減にもつながる。

2008年の日経MJのヒット商品番付から、
私の判断で「省ビジネス」を拾ってみた。
厳密なものではないが目安として、その商品のCO2削減効果も概算。
健康、ダイエット関係は直接、CO2削減につながるわけではないが、
間接的な効果がある可能性を持つ。
ヒット商品番付を、過去10年さかのぼって省ビジネスに該当するものを
選び出すと、ここ数年明らかに増加。

最大の要因は、節約志向だろう。
昨年半ばまでの資源・食糧価格の高騰で、数多くの商品・サービスの
価格が上がった。
昨年後半、金融危機による深刻な不況となり、
どちらにしても企業も消費者も節約志向がますます強まっている。
健康・安全意識の強まりで、カロリー、油脂、砂糖などをそぎ落とす
商品・サービスへの需要も広がっている。

省ビジネスに私が注目するのは、
企業にとってCO2削減へ向けた良い手段となる。
中長期の具体的なCO2削減目標を設定する企業は増えているが、
CO2が減ることをいくらPRしても、それで商品が売れるわけではない。
省エネルギーによるコスト削減や安全、健康などへの利点を
アピールすることで商品が売れ、結果的にCO2も削減できる。

消費財だけでなく、BtoBにおいても同じ。
省エネルギー支援サービスは、無駄を省くことでコスト削減を実現し、
同時にCO2も減らす効果がある。

省ビジネスに該当しないような商品・サービスは今後、
場合によっては需要が急減する可能性も。
米国でずっと人気があり、日本の自動車メーカーも拡販に力をいれてきた
大型スポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)の需要は、落ち込みが激しい。

福島県の有紀という企業が特許を取得した、
電気を使わない自動ドアをご存じだろうか。
床の踏み板に足をのせると、10キログラム以上の加重でするりと開く。
踏み板が加重で2センチ下がると、つり下がっているドアが
振り子の原理で引っ張られる仕組み。
昨年6月に耐久テストを終え、まだ設置は、役所が1カ所、企業2カ所だが、
鉄道や大手銀行、ファミリーレストラン、外国企業などから引き合いがある。

風圧がかかる建物の外部には使えないものの、室内ならどこでも設置が可能。
電気系統がないため、メンテナンスが楽で耐久性があり、
挟まれる心配がなく安全性が高い。
同社の試算では、一般的な自動ドアは1日1000回動作すると
0.12キロワット時の電力を消費、年間200日稼動として
年間10キログラムのCO2削減。
初期投資額は、通常の自動ドアに比べ約4割高いが、
電気代の分などで約5年で回収できる。

CO2の削減量自体は決して多くはないが、
ゼロになることのインパクトは限りなく大きい。
エネルギー消費ゼロは究極の省ビジネスとも言え、
今後の競争力は高い。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/tanso/tan090204.html

大きな町の小さな五輪:バンクーバー冬季大会まで1年/2 「もったいない」徹底

(毎日 2月13日)

環境に配慮した大会を掲げるバンクーバー五輪。
アルペンスキーなどの舞台となるウィスラー市は、そのテーマの象徴的な場所。

ウィスラー、ブラッコム両山のすそ野にある人口約9500人の小さな街。
年間約220万人が訪れる北米最大のリゾート地として有名、
リサイクルが盛んなことでも知られる。
ゴミの分別は、缶を飲料と缶詰で分けるなど細かく、空き瓶の換金所も。
公設のリサイクルショップに、市民が不用品を持ち込む光景は日常的。

そんな「ウィスラーらしさ」が発揮された五輪施設が、
街の南部に市が建設中の選手村。
暖房システムにリサイクルの発想を取り入れた。
選手村内に、ウィスラー中の排水を集める浄水施設を造り、
浄化の際に発生する熱を利用して作った温水を、
建物全体に通したパイプに流して暖める仕組み。

他の暖房システムもあるが、室温を22度に設定した場合、
9割近くを「温水パイプ」でまかなうことが可能で、暖房コストは大幅に抑えられる。
ケン・メラメッド市長は、「エコロジーを考えた施設」
この選手村は、大会中は選手やコーチら約2800人が利用。
大会後に売却されるが、すでに220戸中160戸が成約済みで、
こちらの「リサイクル」も順調。

無駄を省く姿勢は、競技会場にも見られる。
アルペン会場は、既存のスキー場を使用。
新設されたジャンプ台やそり競技会場も、自然の地形の傾斜を生かした。
88年カルガリー五輪のジャンプ会場は、年間4億円以上の維持費がかかり、
市の財政を圧迫。
ウィスラーのジャンプ台は、大会後に取り壊される可能性もあるが、
自然の地形を利用したことで鋼材も少なく、
「すぐに元の地形に戻せる」(メラメッド市長)。

1月に行われたノルディック競技のテスト大会では、
大会事務局などはテント張りでトイレも仮設。
報道資料用の棚は段ボール。
五輪組織委員会の競技責任者、ティム・ゲイダさん(42)は、
「大会の前も後も、環境に悪影響を与えないことを第一に考えている」
五輪の前も後も、ウィスラーの風景は大きく変わらない--
それが関係者の理想。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/13/20090213ddm035050025000c.html

逆風の中で:第2部・企業とスポーツ/6 宮崎直樹・トヨタ自動車常務役員

(毎日 2月12日)

硬式野球、ラグビー、陸上長距離、男子バスケットを重点強化部、
女子バスケットを強化部に指定。
チームを所有する目的は何かと言えば、
人事労務施策、つまり一体感の向上に尽きる。

野球部が都市対抗に出場すると、東京ドームに2万人以上の
従業員とその家族が集まる。
ラグビーの日本選手権だと数千人。
男女のバスケット以外は、選手は従業員で、
基本的には午前中は職場で仕事をして、午後は練習。

一般の従業員は、同僚の選手が試合で活躍すると、すごく盛り上がる。
高まった意欲や活力は、職場のチームワークやコミュニケーションに役立つ。
いい循環になっている。

運動部の活動が、従業員の労働意欲にどんな影響を与えているのかを
検証するために、大阪大学の大竹文雄教授の指導を仰いでアンケートを実施。
試合に勝つと、組織の一体感や従業員の意欲が向上することが明らかに。
見えざる資産?そうかもしれない。

チームを持っていることは、大げさに言えば、労働条件の一つになる。
自分の会社にチームがなければ、東京ドームや京セラドームに行って、
一緒に応援して感動するという経験は味わえない。

我々も施策として、選手と従業員の接点を増やすために、
いろいろな仕掛けをしている。
選手の配属先を従来より広げたり、応援の無料バスを手配して動員を図ったり。
試合を見ないと、共感も感動もないので、できる限り足を運んでもらう。

うちは経営トップがスポーツに理解があって、スポーツ好きの社風。
1946年から続いている社内駅伝大会がある。
62回目の昨年は、海外も含め約400チームが参加、
応援を入れると2万5000人が集まった。

岡崎市民球場で、平日に開催する都市対抗の予選には、
定年退職したOBが応援に来てくれる。
飲食店に行ったり、タクシーに乗ったりすると、「野球優勝したね」、
「ラグビー頑張っているね」と興味を持って声をかけてくれる。
スポーツを通じて、地域とのつながりもできている。
だから、やめられない。

ただ、こういう時代だから、会社としてすべての経費を見直していて、
運動部も例外ではない。
逆に、選手は燃えていると思う。
厳しい状況の中で、自分たちが頑張ってみんなに勇気と活力を与えるんだと。
それを見て、従業員も前向きな気持ちになって、難局を乗り切っていこうと。
うちは、そういう熱い会社なんです。
==============
◇みやざき・なおき
京大法学部卒。80年、トヨタ自動車工業(82年、トヨタ自動車に社名変更)入社。
人事部長などを経て昨年6月、常務役員に就任。
人事部、法務部、人材開発部、トヨタ工業学園、メディカルサポート部などを担当。
51歳。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/12/20090212ddm035050077000c.html

日本一の選手目指せ 岩手国体へ奥州市が教室開講

(岩手日報 2月16日)

2016年開催の岩手国体に向け、全国トップレベルの選手を育てようと、
奥州市教委の「チャレンジジュニアアスリート」教室は、
奥州市の水沢総合体育館で開講。
基礎力を高めながら多くの競技を体験させ、種目との「出合い」を促す。

個々の特性に応じた専門家養成も視野に、
「奥州市版スーパーキッズ」の試みが動きだした。

県教委などが実施する運動能力テストで、
優れた成績を収めた市内の小学5、6年生31人が参加。

初回は、基礎力アップをテーマに、県体育協会の佐々木健次トレーナーから
柔軟性向上プログラムの指導を受けた。
児童は、片脚で立ち反対の脚をゆっくりけり上げるなどのトレーニングを体験。
全体に、太ももの裏の筋肉が硬いとの指摘を受けた。

佐々木トレーナーは、「選手に求められるのは、静止状態でなく、
試合など動きの中での柔軟性」
「人体は繊細で、手で触れることで一層力を発揮する。
試合や練習前は体に触れながら、筋肉が緩まないよう短時間のストレッチを
心掛けてほしい」と助言。

ソフトボールと水泳に打ち込む胆沢愛宕小6年の渡辺翔君は、
「新しく知ったことが多く新鮮だった。
一つでも多くのことを覚えて、練習に取り入れたい」と張り切る。

08年度は全3回講座で2、3回目は陸上と卓球をテーマに行う。
来年度は、回数や種目などを拡充、児童と競技との出合いの幅を広げる。

市教委は、08年度にスポーツ日本一支援推進室を新設。
卓球、バドミントン、サッカーを柱に全国レベルの選手、指導者育成を目指す。
種目別協会と連携したスペシャリスト養成も進める。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090216_10

2009年2月20日金曜日

サイバーダインのロボットスーツ「HAL」

(日経 2月5日)

日経優秀製品・サービス賞 2008最優秀賞
◇サイバーダインのロボットスーツ「HAL」

サイバーダイン(茨城県つくば市)のロボットスーツ「HAL」は、
高齢者や要介護者といった筋力が衰えた人の動作を補助する。
着用者の体に負担をかけない円滑な動きが特徴。

◆社長 山海嘉之さん

大学時代に人工心臓を専攻し、医学と工学の境界にある「医工学」を学んだ。
この医工学で何か形のある製品を作り社会に貢献したいと思ったのが、
ロボットスーツ開発を始めたきっかけ。
ロボットづくりは、子供のころからの夢。

1989年に開発に着手、神経と筋肉の動きに関するデータ収集に取り組んだ。
体を動かす際には、微弱な電気信号が脳から神経を経由して筋肉に伝わる。
皮膚の表面に信号を感知するセンサーを取り付け、
階段を上り下りしたり、イスから立ち上がったり、かがんだりするときに、
筋肉がどう動き、どんな信号が送られるのかを調べた。

筋肉と信号の相関関係を示す膨大なデータをもとに、
1997年に第1号の試作機を開発。
筋肉が動くよりも一瞬早く信号を察知してスーツを動かし、
動作を補助する仕組みで、着用者の意思通りのスムーズな動きが可能に。

データの蓄積は現在も継続中で、自立歩行が困難な高齢者や要介護者らの
協力を経て、日常の基本的な動作や筋肉の構造を調べている。
ひじやひざといった関節の動きも調査対象に加え、
手の指などの細かい動きのデータの把握にも取り組んでいる。

データが増えるほど、ロボットスーツで制御可能な範囲が広がり、
様々な用途に使えるようになる。
現在は、まだ体の動きの一部しか補助できないが、
将来は一般家庭で自動車に乗るような感覚で、
気軽に利用できる装置を目指す。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/award2008/awa090205_4.html

ダイエット炭酸飲料の1日消費量がメタボリックシンドロームと2型糖尿病に関係

(2009年2月18日 Medscape)

ダイエット炭酸飲料を毎日飲んでいると、
メタボリックシンドローム(MetSyn)の一部の構成項目と
2型糖尿病の発生リスクが有意に大きくなるという結果が、
『Diabetes Care』1月16日号オンライン速報版に報告。

テキサス大学健康科学センターのJennifer Nettletonらは、
「2つの縦断的コホート研究により、ダイエット炭酸飲料の消費量と
MetSynの発生率との間には、当初の過脂肪の測定値とは
独立して関連性がある」

「別々のコホートで、ダイエット炭酸飲料とMetSynとの関連性が再現、
結果の信頼性は高く、因果関係の可能性が窺える。
これまでの研究では、ダイエット炭酸飲料とMetSynの個々の構成項目や
2型糖尿病のリスクとの関連性は調べられず、関係性に影響を与える
経時的な修飾因子について、ちゃんと扱われていなかった」

目的は、『アテローム性動脈硬化多民族研究
(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis: MESA)』の一環として
ダイエット炭酸飲料の消費量と、MetSyn、構成項目、
2型糖尿病の発生リスクとの関連性を評価すること。

2000~2002年に1回目の評価を行い、食品摂取頻度質問票で
ダイエット炭酸飲料の消費量のベースライン値を測定。
追跡評価は、02~03年、04~05年、05~07年の期間。
空腹時血糖値が126 mg/dLを超えた場合、2型糖尿病であることの自己申告が
あった場合、糖尿病薬を使用している場合を2型糖尿病の発生と定義。
MetSynと構成項目は、米国高脂血症治療ガイドラインATP IIIの基準に準拠。
集団特性、生活習慣、食事交絡因子を調整して、
2型糖尿病、MetSyn、MetSyn構成項目のハザード比(HR)を算出。

ダイエット炭酸飲料を毎日摂取する被験者は、
ダイエット炭酸飲料を摂取しない被験者に比べ、
MetSyn発生の相対リスクが36%大きく、
2型糖尿病発生の相対リスクが67%大きかった。

MetSynの構成項目のうち、ダイエット炭酸飲料の消費量に
前向きに関連していたものは、
大きい胴囲(男性102 cm以上、女性88 cm以上)と、
高い空腹時血糖値(100 mg/dL以上)のみ。
ダイエット炭酸飲料消費量と2型糖尿病との関連性は、
過脂肪のベースライン値およびその変化からは独立。
ダイエット炭酸飲料とMetSynとの関連性は、因子から独立していなかった。

「今回のデータでは、因果関係を確立させることはできないが、
ダイエット炭酸飲料を毎日摂取すると、MetSynの一部の構成項目と
2型糖尿病の発生リスクが有意に大きくなった」

研究の限界として、観察研究であるために因果関係の決定ができないこと、
食事関連因子や生活習慣/行動関連因子が交絡している可能性があること、
ダイエット炭酸飲料や人工甘味料の摂取量の算出が難しいこと。

「今回、『地域におけるアテローム性動脈硬化リスク(ARIC)』研究や
フラミンガム研究の所見を支持し、ダイエット炭酸飲料と2型糖尿病との間に
より有害性が強い関連性がある」

「ダイエット炭酸飲料の消費は、その他の食事や生活習慣とは
独立していてもいなくても、体重増加を引き起こし、血糖コントロールを障害し、
最終的に糖尿病に至らしめる可能性がある」

Diabetes Care. Published online January 16, 2009.

http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/2/18/92008/

大きな町の小さな五輪:バンクーバー冬季大会まで1年/1 先住民と未来へ歩む

(毎日 2月12日)

五輪は、カナダが一つになる機会となるかもしれない。

昨年7月、五輪スキー競技などの会場となるウィスラーに、
「スコーミッシュ・リリワット・カルチュラルセンター」がオープン。
バンクーバーのあるブリティッシュコロンビア(BC)州の先住民、
スコーミッシュ族とリリワット族の文化や歴史を紹介する施設。
ここで語り部を務めるリリワット族のウィリアム・リッチーさん(48)は、
五輪開会式で、民族に伝わる舞踊を披露する予定。
リッチーさんは、「私たちのことを多くの人に知ってほしい」と、
五輪が自分たちの存在を広めるきっかけになることを期待。

スコーミッシュ族やリリワット族は、昔からBC州南部でカヌーに乗って
サケを取ったり、杉の皮でバスケットを作ったりしながら穏やかに暮らしてきた。
19世紀半ば、「インディアン・アクト」という法律が施行、同化政策が始まる。
イヌイットやインディアンと呼ばれた先住民は、国が定める居住地区へ移住、
子供たちは先住民向け寄宿学校で英語教育を強制。

「自分たちの言葉を禁じられ、文化も忘れるよう強要された」(リッチーさん)。
子供たちは宿舎に閉じこめられ、日常的に教師から暴力も振るわれた。
リッチーさんの妻は、数年前にサッカー場で寄宿学校の教師だった男性を
見掛け、過去の恐怖を思い出して錯乱状態に陥った。

寄宿学校は、96年までは存在。「被害者」は約15万人。
カナダのハーパー首相は昨年6月、
先住民に対する強制入学が誤りだったと公式に謝罪。

先住民の間で、国への怒りやわだかまりは消えてはいない。
五輪に否定的な部族もいる。
しかし、BC州の大きな4部族は、国から「五輪に協力してほしい」と
要請された際、手を携えて積極的に参加することを決めた。
リッチーさんは、「国には、『先住民と一体』という姿勢をPRする狙いがあるが、
我々にとっても自分たちの文化や存在を世界に発信する良い機会」
開会式への参加だけでなく、五輪に合わせて先住民古来の文化と伝統を
紹介する展示会も開かれる。

バンクーバー五輪のロゴマークには、イヌイットのヒト形道しるべ
「イヌクシュク」があしらわれている。
カナダで過去2度、五輪が開かれた時には残っていた
不合理な制度や寄宿学校は、もう存在しない。
リッチーさんは笑顔で言った。
「世界の目が集まる中で踊るのは楽しみです」

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/12/20090212ddm035050114000c.html

環境対策、北欧に学んで 一関出身のスズキさん

(岩手日報 2月17日)

北欧デンマークの成功に学べ-。
一関市出身で、同国在住の環境活動家ケンジ・ステファン・スズキさん(64)
(旧姓・鈴木健司)は、同国で盛んな自然エネルギー活用の取り組みを、
日本各地を訪ねて発信。

環境対策やエネルギー安定供給に加え、地方活性化にも成果を挙げている
デンマークの挑戦は、「日本にとって良い手本になる」と
草の根からの機運醸成に意欲を燃やす。

栃木県那須塩原市内で、エネルギー事情を学ぶセミナーが開かれた。
スズキさんは約30人の受講者に、デンマークの風力発電などを説明。
国内自給率の低い小麦を作り、麦わらを燃料化し、
建物の暖房や給湯に使う。
化石燃料の消費が減り、食料自給率も高まる」とアイデアを示した。

42年前、デンマークに移住したスズキさんは1990年、調査会社を設立、
風力発電事業を手掛けた。
その経験を基に97年、北部ウアンホイに日本人向け研修施設
「風のがっこう」を設立。県人ら1800人以上を受け入れた。

10年ほど経過した2006年に、「所期の目的を達成した」として同施設を売却。
以来、日本を毎年訪ねており、提携している市民団体がある栃木県を拠点に
講演や研修会で全国約10地域を歩いた。

スズキさんによると、デンマークのエネルギー自給率は73年1・8%、
同年の第一次石油ショックを機に、自然エネルギー導入を推進。
05年には156%に達し、エネルギー輸出国への転換に成功。

主力の風力発電は、設備の約80%を市民が所有。
家畜のふん尿はバイオガス発電に利用。
これらを売った副収入で、地方の農家などは生活を豊かにし、政府税収も増える。
二酸化炭素の排出抑制にも成果を挙げた。

日本の05年エネルギー自給率は18%。
売電価格が低いため、民間参入が進まないのが実情。
スズキさんは、「民間の電力会社が自社の利益を守ろうとすれば、
自然エネルギー導入は進まない。
電力事業を公営にすれば、国策として強力に推進できる」

スズキさんは、那須塩原市内で「薪ストーブ愛好会」を設立。
薪のすぐれた熱量に着目。
有志を募り、共同調達して化石燃料の消費抑制を狙う。
「まずは、身近なところから成果を出したい。
森林資源の豊富な岩手にも輪を広げたい」と期待。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090217_13

2009年2月19日木曜日

血糖下げる細胞の源を発見 九大、糖尿病根本治療に道

(2009年2月13日 共同通信社)

血糖値を下げるインスリンを膵臓内で分泌する「ベータ細胞」の
源となる細胞を、九州大大学院医学研究院の稲田明理・特任准教授らの
グループがマウスで突き止め、糖尿病の新たな治療法に道を開く発見と注目。

糖尿病では、ベータ細胞が減少してインスリン分泌が減り、
血糖値を調節できなくなる。
ベータ細胞を再生できれば、根本的な治療になると考えられている。

ベータ細胞の供給源を探っていた同グループは、
膵液を運ぶ膵管の細胞に着目
マウスを使い、遺伝子操作で膵管細胞に印を付けて追跡し、
この細胞の一部がベータ細胞へ分化したことを確認。

別のマウスの実験では、損傷した膵臓の組織が再生する際、
膵管細胞からベータ細胞が供給されることも分かった。

稲田特任准教授は、「人体でも膵管細胞を刺激して、
ベータ細胞の増加を促すことができれば、新たな治療法につながる可能性が。
今後は、ベータ細胞に分化する仕組みの研究が期待」

ベータ細胞の起源をめぐっては、米ハーバード大のグループが
ベータ細胞の分裂以外にないとの説を主張。
稲田特任准教授は、同大に在職中の2002年から研究に取り組み、
この説を覆した。
米科学アカデミー紀要に掲載。

厚生労働省の「2007年国民健康・栄養調査」によると、
成人で糖尿病の患者や罹患が疑われる人は、推計2210万人、4.7人に1人。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/13/91689/

県産ひとめぼれ14度目の「特A」 全国食味ランキング

(岩手日報 2月14日)

県は、2008年産米の全国食味ランキングの結果、
県南ひとめぼれが最高位の「特A」を獲得したと発表。
県南ひとめぼれが評価・公表対象となった1994年以降
14度目の獲得となり、販売にも弾みがつきそう。

ランキングは、日本穀物検定協会が毎年実施。
複数産地のコシヒカリをブレンドした基準米と比較し、
5段階評価で食味試験を行っている。

08年産米は、全国127銘柄の食味試験を行い、
「特A」は過去最多の21銘柄。
県南ひとめぼれは、03年産が不作で審査対象外となったのを除き、
14度目の「特A」獲得。
1994年以降「特A」を14度以上獲得しているのは、
新潟県魚沼コシヒカリなど3銘柄。

08年産から評価対象となった県中ひとめぼれは「A」。
県中あきたこまちと県北いわてっこは「A´」。

特A獲得について、県流通課の浅沼康揮総括課長は
「丹精込めて作った生産者の思いが実を結んだ。
卸売業者の方々は食味を注視している。
関係機関と連携し、おいしい岩手のお米をアピールしていきたい」

県は、全農県本部などと施肥の量や時期の分析など、
食味向上につなげる取り組みを09年産米から進める。

http://www.iwate-np.co.jp/economy/e200902/e0902142.html

不況に勝ち抜くための資格とは

(日経 2月4日)

不況色と雇用不安が強まる当世。
自己アピールと自己防衛を兼ねて、資格取得をテコに
「ワンランク上」のビジネスパーソンを目指す人も多い。
弁護士や公認会計士のように、合格すれば独立開業の道が
開ける資格もあるが、勉強と仕事を両立させるのは難しい。
ハードルが高すぎず、ビジネスの「地力アップ」につながる資格は?
資格選びの発想や生かし方を探ってみた。

◆行政書士/知財管理技能 「広さと深さ」両立

幅広い総括的な知識を問う資格と、特定分野に深く突っ込んだ資格とを
組み合わせる「T字型」。
能力開発コンサルタントで、自ら90種類もの資格を持つ高島徹治氏(71)が
提案する資格取得戦略。

「法律の専門家」とみなされる行政書士と、年金問題などに精通した
社会保険労務士や知的財産管理技能検定の組み合わせ。
知財検定は、弁理士に比べれば取得が難しくなく、
比較的新しい分野のため人材需要も期待できる。

「自らのファンダメンタルズ(基礎力)の高さを行政書士で、
法体系全体のなかで知財管理ができるという安定感を
知財検定でアピールできる」

「転ばぬ先のつえ」という意味合いで高島氏が挙げるのが、
東京商工会議所などが実施している環境社会検定(エコ検定)。
昨夏の試験では、合格率が約80%と比較的挑戦しやすい。

企業が環境志向を強める中、環境や企業の社会的責任(CSR)の
担当者以外の社員も、一定の知識と行動が求められる。
合格してキャリアアップというよりも、時流に乗り損ねて「仲間外れ」に
ならないようリスクヘッジしておくのも手。

株安など不況が深刻化する中、「はやらないと見られがちな
ファイナンシャル・プランニング技能検定には、違った活用法もある」
3級は誰でも受験可能。
金融関連分野について広く学ぶので、積極的な資産運用というのではなく、
取引先の査定や与信管理などビジネスで、
つまずかないためのスキルとして利用できる。
資産の目減りを防ぐなど個人の生活防衛にも有効。

資格取得の成功、不成功は最終的にどう生かすかで決まる。
「今の仕事が嫌になったので、資格を取って転職したい、という動機では失敗が多い」
資格を取るなら、一定の経験があって取得後のイメージを描ける分野で
選ぶのが王道のようだ。

◆個人情報保護/消費生活相談 自分の「キャラ」強化

リクルートの情報誌「稼げる資格」(年2回発行)の編集人、
乾喜一郎氏(41、キャリア・カウンセラー)が挙げる資格選びのポイントは、
「いかに自分のキャラクターを強くできるか」

個人情報保護士や、昨夏に民間試験から国家検定に移行した
知的財産管理技能検定
いずれも特別な受験資格は必要ない(知財検定は3級の場合)。

営業部門のビジネスパーソンなら、顧客から相談を受け、受注につながることも。
「コミュニケーションやコンサルティング能力があることを、
相手に納得させるのは難しい」
そのような時にこれらの資格が物を言い、一枚上手の営業員として印象付けられる。

地方の都市ガス会社の総務部門に勤務する男性(46)は、
消費生活アドバイザーの顔を持つ。消費者と企業のパイプ役。
料金改定時などの説明の際、「相手(消費者側)の問題意識も分かった上なら、
会話もスムーズに進む」

乾氏は、資格選びの第一歩として
「自分に向いているかどうかを見極めることが大切」と念を押す。
合格者の体験談を聞くなどして、立場や動機など自分と似た属性を持つ
「ロールモデル」を見つけることが早道。

◆簿記検定/中小診断士 基礎回帰で土台固め

「会計は、いまやビジネスパーソンに必要なリテラシー(教養)」
資格学校大手、TACの鎌田浩嗣取締役(43、公認会計士)。

定番の簿記検定。
貸借対照表や損益計算書の見方など、受験勉強を通じて改めて
分かることも少なくない。

中小企業診断士は、マーケティングや財務分析など経営全般を
バランス良く学べ、一定のステータスもある。
「独立して食べていけるほどの資格ではないが、
社内や取引先へのアピール度を高めるには効果的」

社員の能力も厳しく問われる選別の時代。
「これぐらい知らないとマイナス評価されかねない」という観点から、
簿記検定のように、ビジネスの土台を固める
「基礎回帰」型の資格選択も一考に値しそう。

将来への布石を打つなら米国公認会計士がある。
「日本でも、2011年度以降の国際会計基準導入が
検討され始めたことで注目されつつある」
国内資本の企業でも、資格取得者への需要が増える可能性がある。
英語で受験しなければならないが、
問題の難易度は日本の公認会計士試験ほどではない。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090204.html

2009年2月18日水曜日

日経優秀製品・サービス賞 2008最優秀賞

(日経 1月5日)

2008年「日経優秀製品・サービス賞」の対象を決めた。
審査委員会(委員長・吉川弘之東京大学名誉教授)が選出したのは、
最優秀賞18点、優秀賞21点、審査委員特別賞1点。
最優秀賞のうち、産業用機器や消費財などで独創的、先端的な製品を表彰する
日経産業新聞賞には6点を選んだ。

選考では、世界規模で息の長い取り組みが求められる「環境」に
真正面から向き合った企業の製品やサービスが高い評価。
「安全・安心」の確保など、喫緊の課題に果敢に挑戦したり、
技術力や構想力を駆使し、常識を覆すような製品も多くの支持を集めた。

最優秀賞に入ったトヨタ自動車の「iQ」は、
全長が軽自動車を下回る超小型のボディーに、大人3人、子ども1人が乗れる。
燃費を改善し、CO2排出量を大幅に抑え、
低炭素社会の実現に向けた代表的な製品。

シリコン素材の使用量が少ない薄膜型太陽電池の生産を容易にした
アルバックの「薄膜太陽電池一貫製造ライン」も、
CO2の排出量抑制に貢献する製品。
代替フロンを使わない前川製作所の大型冷凍機「NewTon3000」なども
環境保全に効果的な製品として高い評価。

環境に並ぶもう一つの柱は、安全・安心。
セブン&アイ・ホールディングスの「セブンプレミアム」は、
プライベートブランド(PB)商品としては珍しく、製造元を明示。
三菱重工業は、高い精度でがんの放射線治療が可能な「MHI—TM2000」
健康意識の高まりに応えた。

サイバーダインは、高齢者らの動作を補助するロボットスーツ「HAL」、
ソニーは有機ELを使ったテレビ「XEL—1」を実用化、
これまでの常識を覆すことで驚きを与えた。
台湾のASUS(アスース)が低価格の「EeePC 901—X」で
「5万円パソコン」ブームを巻き起こした。

◆日経産業新聞賞
デジタルカメラ「LUMIX DMC—FX35」「同FX37」=パナソニック

被写体が人物か、花か、夜景かを自動的に判別し、
コンパクトデジタルカメラの課題だった失敗写真を大幅に減らせる。
超広角レンズを搭載、室内の集合写真など広く奥行き感がある写真を撮影。
後継機種のFX37は、動く被写体に焦点を合わせたまま自動追尾、
逆光を自動補正する機能を追加、両機種はデジカメの高機能化を先導。

◆高出力発光ダイオード(LED)電球「E—CORE」シリーズ
「ビームランプ100ワットクラス」など=東芝ライテック

LEDを光源とした電球シリーズ。
電子回路や反射板の設計など、電球全体の発光効率を高めた。
白熱電球に比べ、消費電力が抑えられる。
寿命も長く、廃材を大幅に減らすことができ、環境負荷の低減に。
白熱電球と同じ口金で、そのまま置き換えることができる。

◆スーパーカー「NISSAN GT−R」=日産自動車

排気量3800ccのV型6気筒ツインターボエンジンを搭載する
日本発の量産型スーパーカー。
主要部品はすべて専用に設計、エンジンなどは熟練技術者が
クリーンルームで手作業で組み立てる。
時速300キロメートル超の走行でも、車内で会話ができる静粛性を備え、
高い走行性能と使いやすさを両立。
777万—834万7500円と、同等性能のスーパーカーの半額以下。

◆有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)テレビ「XEL—1」=ソニー

次世代薄型ディスプレーの1つ、有機ELを使ったテレビで、世界初の実用化。
画面サイズは11型、最薄部は約3ミリメートル、大幅に薄型化。
パネルそのものが発光し、液晶のように背面から画面を照らすライトが不要、
消費電力を抑え、深みのある黒色を表現できる特徴も。

◆ノンフロン化を実現した大型冷凍機「NewTon3000」=前川製作所

空気を冷やす冷媒に、代替フロンは使わず、アンモニアとCO2を採用。
自社開発の高効率モーターで、電気使用量も従来比で約3割削減。
安全性確保のため、アンモニアでCO2を冷却、CO2が庫内を冷やす
「間接冷却方式」とし、有害なアンモニアが庫内に漏れない。

◆ハイブリッド型油圧ショベル「PC200—8ハイブリッド」=コマツ

ディーゼルエンジンと電気モーターを併用したハイブリッドシステムを、
世界で初めて油圧ショベルの動力源に。
旋回したショベルに、ブレーキをかける際のエネルギーを、
モーターで電気に変えてキャパシター(蓄電装置)に蓄電。
これをエンジン加速時に活用し、従来に比べ燃費を25%削減。
キャパシターの基幹部品以外のハイブリッド関連部品は、すべて自社開発。

◆日本経済新聞賞
▽小型車「iQ」=トヨタ自動車

軽乗用車より約40センチメートル短い全長で、「大人3人、子供1人」が乗れる。
4人乗り乗用車で、世界最小級の大きさ。
後方衝突用エアバッグを、世界で初採用。高機能小型車として日欧市場を開拓。
CO2排出量を大幅に抑えた環境対応車。
燃費性能は、ガソリン一リットルあたり23キロメートル。価格は140万—160万円。

▽PB商品「セブンプレミアム」=セブン&アイ・ホールディングス

2007年5月から販売。
セブンプレミアムは製造元を明記し、安全・安心を重視する。
製造は大手メーカーに委託、小売り側が商品を企画し、独自ブランドで販売。
広告費をかけず、メーカー品よりも2—3割安い。
節約志向を追い風に、08年に入り販売が急拡大。
売上高は、09年2月期に2000億円弱の見込み。

▽がん放射線治療装置「MHI—TM2000」=三菱重工業

治療放射線(X線)をがん患部に照射する医療機器で、
ベッドに横たわる患者に対し、360度どこからでも放射線をあてられる。
従来装置は、ロボットの腕のような形。
放射線をつくり出す「加速管」を小型化し、
患者を囲むドーナツ状の装置への搭載を可能に。
医師が、X線映像で患部の位置を見ながら操作でき、
がん患部以外の健康な細胞への影響を小さくできる。

▽「薄膜太陽電池一貫製造ライン」=アルバック

原料を準備し電源を入れれば、簡単に薄膜型太陽電池を製造できる装置。
専門的な技術がない会社でも、導入すれば太陽電池の生産に参入。
台湾などで稼働実績がある。
太陽電池は、CO2を出さない次世代エネルギーとして需要が増え、
大量生産できる装置の普及は単価引き下げや市場拡大に貢献。

▽ロボットスーツ「HAL」=サイバーダイン

高齢者や要介護者といった筋力が衰えた人の動作を補助。
筋肉を動かす際の微弱な電気信号を、皮膚表面から読み取りコンピューターで制御。
着用者の体に負担をかけず、スムーズな動作が可能に。
08年10月、つくば市で世界初の量産工場を完成。
病院や介護施設向けに、下半身部分のリース販売を開始。
上半身部分は、09年度中に実用化。

◆日経MJ賞
▽郊外型ショッピングセンター「イオンレイクタウン」=イオン

08年10月、越谷市のJR武蔵野線越谷レイクタウン駅前に開業。
商業施設部分の面積は、約22万平方メートルと国内最大規模。
565の専門店を集め、ソーラーパネルなどを導入して環境面にも配慮。
開業から1カ月半で、約870万人が来場。売上高は計画を1割超上回った。

▽蒸気で目もとを温めるアイマスク「めぐりズム蒸気でホットアイマスク」=花王

鉄粉を含んだ紙に食塩水を加え、不織布などで包みアイマスク状に。
袋から取りだし、空気に触れると酸化し、
蒸気を含んだセ氏約40度の温熱を発する。
温められる時間は5—10分で、耳にかけられ場所を選ばずに使用。
目もとの疲れを抑える効果やリラックス効果を期待。
07年10月の発売後、1年間で約300万個を出荷。

▽衣料用液体洗剤「香りつづくトップ」=ライオン

洗濯後も、3日程度さわやかな香りが続く洗剤。
香りが残りやすいブレンド香料を開発、界面活性剤の工夫で衣類などに
香料の付着量が増える。
香りは、ハンガリー産ローマン種のカモミールを使った。
他の日用品でも、香り関連製品の需要が拡大、消費者の変化に対応。

▽第3のビール「クリアアサヒ」=アサヒビール

スッキリとした味と飲みごたえを両立させた第3のビール。
副原料に糖類を使わず、代わりにスターチなどを使うことで
後味に残る液糖の甘みをなくした。
発酵の工程の工夫で、クリアな後味を実現。
08年中に1000万ケース(1ケースは大瓶20本換算)の販売を目指し、
コンビニエンスストアでの価格が350ミリリットル缶で140円前後と安く、
味のバランスが評価されて12月には1300万ケースを超えた。

▽納豆「金のつぶ あらっ便利!」シリーズ=ミツカングループ本社

味付け用のタレをゼリー状にする技術を開発し、タレ用の小袋をなくした。
タレは、容器の仕切りの中に盛り、はしでつまんで納豆に混ぜる。
納豆の表面をフィルムで覆うのもやめ、食べる手間とごみを減らす。
「はがしたフィルムでテーブルが汚れる」、
「タレの小袋が開けづらく、飛び散ったタレで服を汚すケースがある」といった
消費者の声を受けて開発。

◆日経ヴェリタス賞
▽「がん長期サポート特約」=住友生命保険

がん患者の生活をサポートする商品。
住友生命の死亡保険の加入者なら、無料で契約に付加。
医師からがんの治癒が見込めないと診断を受けた場合に、
最大3000万円の保険金を受け取れる。
保険金の生前受け取りにより、医療費や生活費の負担軽減を目指す。
07年10月に販売、08年10月末で174万件の加入実績。
実際に97件、12億円の保険金を支払った。

◆ザ・ニッケイ・ウイークリー賞
▽パソコン「EeePC 901—X」=ASUS(アスース)

インターネットやメールに機能を絞り込み、5万円前後を実現した
低価格パソコンの火付け役「EeePC」の第2世代品。
液晶画面や解像度、記憶装置を大きくするなど初代品を改良。
バッテリー駆動時間が8時間超と長持ち。
08年7月の発売以来、米国や日本の大手が相次いで参入。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/award2008/awa090121.html

乳がん:抑制たんぱく質を発見 増殖・転移同時に予防--筑波大グループ

(毎日 2月10日)

乳がんの増殖だけでなく、転移も強く抑制するたんぱく質を、
柳沢純・筑波大教授らが見つけた。
増殖と転移を同時に防ぐことができる新しい治療薬の開発が期待。
8日付の英科学誌ネイチャー・セル・バイオロジー電子版に掲載。

研究チームは、標的となるたんぱく質に付着して分解を促す性質を持つ
「CHIP」と呼ばれるたんぱく質に注目。
マウスに乳がん細胞を移植する実験では、移植の約3週間後、
CHIPの量が少ないマウスは乳がん細胞が大きな腫瘍を作り、盛んに転移。

一方、CHIPの量を多くすると、腫瘍の形成と転移を抑えることができた。
CHIPは、乳がんの転移を進めるたんぱく質「SRC-3」など、
多くの乳がん悪性化たんぱく質を標的にすることも。

CHIPは、乳腺以外の正常な細胞にも存在するため、
乳がん以外のがんでも悪性化を抑えている可能性がある。
死亡するがん患者の9割は転移が原因。
柳沢教授は、「転移の問題を解決することは大きな課題。
CHIPの働きを高める技術を開発し、さまざまながん治療に結びつけたい」

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/02/10/20090210ddm012040129000c.html

他人の不幸は蜜の味

(サイエンス 2月12日)

私たちの社会生活が、一般的に考えられているよりも格段に
身体的経験に密接に関連していることを示唆する研究において、
機能的MRIを用いて、脳のどの領域が妬みと他人の不幸を喜ぶ感情に
反応するかが確認。

高橋英彦らは、機能的MRIを用いて19名の健常被験者を対象に
2つの実験を行った。
さまざまな状況における社会的感情である妬みと他人の不幸を喜ぶ感情の
神経反応を分析した結果、妬みによって身体的苦痛に関与する領域と
同じ前部帯状皮質が刺激され、他人の不幸を喜ぶ感情によって
報酬の処理に関与する腹側線条体が刺激されることがわかった。

高橋らは、被験者が、嫉妬を感じる相手が不幸な状況に陥った場合、
腹側線条体の活動が強くなることを確認。

これらの結果、社会生活で生じる苦痛と喜びの動的関係が初めて解明、
ヒトの脳が以前に考えられていた以上に、身体的経験と同様に
概念的社会経験を処理する可能性が示唆。

Perspective記事では、Matthew LiebermanとNaomi Eisenbergerが、
この研究結果の意味について詳しく議論。

"When Your Gain Is My Pain and Your Pain Is My Gain: Neural Correlates of Envy and Schadenfreude,"
by H. Takahashi; T. Suhara at National Institute of Radiological Sciences in Inage-ku, Chiba, Japan; H. Takahashi; M. Matsuura at Tokyo Medical and Dental University in Bunkyo-ku, Tokyo, Japan; H. Takahashi at Japan Science and Technology Agency in Kawaguchi, Saitama, Japan; M. Kato at Keio University School of Medicine in Shinjuku-ku, Tokyo, Japan; D. Mobbs at University of Cambridge in Cambridge, UK; Y. Okubo at Nippon Medical School in Bunkyo-ku, Tokyo, Japan. "Pains and Pleasures of Social Life," by M.D. Lieberman; N.I. Eisenberger at University of California Los Angeles in Los Angeles, CA.

http://www.sciencemag.jp/highlight/index.jsp?pno=146#tx_1

2009年2月17日火曜日

挑戦のとき/3 産業技術総合研究所研究員・細川千絵さん

(毎日 2月1日)

微粒子を溶かした水に、レーザー光をレンズで集めて当てると、
光の焦点近くに微粒子が集まる。
光を動かすと、微粒子がまるでピンセットでつまむように自由自在に動かせる。

細川さんは、この「光ピンセット技術」を神経細胞に初めて応用。
神経網が情報伝達に使う物質が詰まった袋(シナプス小胞)を
細胞内で1カ所に集め、中身を放出させることに成功、
この技術を使って神経の仕組みを調べる研究に取り組む。

産業技術総合研究所関西センターの片隅。
「試験工場」と呼ばれるおんぼろ倉庫の中で06年、世界初という研究がスタート。
この年の応用物理学会奨励賞も受けた注目の若手。
「研究の成果はこれから。不安でドキドキです」と屈託なく笑う。

強いレーザー光で神経網を切断し復元する過程を調べたり、
レーザー光の衝撃で特定の神経細胞だけを引きはがし、
配置換えするなどレーザーの多彩な使い方も研究テーマ。

顕微鏡などを駆使して、細胞の中を「見るだけ」の研究から、
積極的に人が操作することで、新たな生命原理の解明や、
医療など応用への道が開けるかも。

「複雑だからこそやりがいがある」と細川さん。
もともと物理専攻で、生き物を扱うのはこの研究が初めて。
実験に使うネズミの解剖も、「最初は泣きながら。何度もやめようと思った」

料亭の一人娘で将来、「女将のたしなみに」と、
幼いころには、三味線を習わされた。
しかし、見えない事実を明らかにしたい、それを人の幸せにつなげたい、
との思いがやまず、地元の中高一貫校から大阪大工学部へ。
「触らず壊さずに対象物に働きかける」という光に魅せられた。

実験で暗室に半日こもることも多いが、
「中では大声で民謡を歌うので、うるさがられることもあります」。
研究の息抜きにと、三味線のレッスンも再開、
今では師範の資格を持つ腕前。

大学の研究室の先輩だった
細川陽一郎・奈良先端科学技術大学院大客員准教授(36)と結婚、
6月1日に初出産の予定。
「私のような任期制研究員でも、育児休暇がとれる。
女性研究者も恵まれた時代になった。
せっかくの休暇中に論文にできるよう、今のうち、
がむしゃらに頑張って実験を重ねたい」と意欲満々だ。
==============
◇ほそかわ・ちえ
鹿児島県薩摩川内市出身。工学博士。
05年、大阪大大学院工学研究科を修了、06年4月から現職。
科学技術振興機構のさきがけ研究員を兼務。

http://mainichi.jp/select/science/rikei/news/20090201ddm016040038000c.html

海水、膜通して真水に 効率「世界最高レベル」 東洋紡

(朝日 2009年2月12日)

地球上の水のうち真水は、わずか2.5%。
人口増で水不足が心配される中、海水から真水を取り出す
世界各地の施設で、東洋紡の中空糸型膜が採用。
ストロー状の糸で、塩分やウイルスを通さず、真水を取り出す。

福岡市東区の博多湾沿いにある海の中道奈多海水淡水化センター。
何種類もの膜で海水から塩分やウイルスを取り除き、
1日最大5万トン、25万人分の真水を供給。
海水1リットルから取り出す真水は0.6リットル、回収率60%。

淡水化事業を開発・調査する財団法人、造水促進センターは、
「60%は世界最高レベル」と指摘。

施設の心臓部の高圧逆浸透装置には、東洋紡の中空糸型膜が使われている。
0.05ミリほどの空洞が通ったストロー状の樹脂製の糸を巻き上げて作る。
糸の表面には、1ナノメートル以下の穴が無数に開いている。

1平方センチあたり70~80キロの力を加えて装置に水を送り込むと、
真水だけが膜の穴を通り抜ける仕組み。

以前は、ボイラーで海水を沸かす「蒸発法」が淡水化の主流だったが、
回収率は高くて40%台。
「中空糸型膜で効率が飛躍的に上がった」(浜野利夫・海水淡水化センター長)。

東洋紡が、中空糸型膜を開発したのは70年代。
中東の海水淡水化プラントでの受注をめざしてきた。
当時は蒸発法が主流で、中東各国政府の担当者も膜の能力には半信半疑。
現アクア膜事業部長の藤原信也さんは、
トレーラーに海水と淡水化装置を積み、実演して回った。

建て替えられるプラントを中心に膜の利用が広がり、
今では中東のプラントの約半分が東洋紡の膜を採用。

世界の人口が92億人になる50年には、20億~70億人が水不足
直面すると予測、膜を使う淡水化の市場は年10%以上拡大する見込み。
藤原事業部長は、「コストの問題で、中空糸型膜をすぐにアフリカなどで
利用するのは難しいが、技術開発でコストを下げたい」

http://www.asahi.com/eco/tecno/SEB200902120001.html

風邪ウイルスの謎を解読する

(サイエンス 2月13日)

風邪の原因ウイルス、ライノウイルスの系統樹が構築。
どのウイルス株をターゲットとすべきかが明らかになり、
治療薬の開発に役立つ。

風邪は、これまで長年にわたって大きな謎であったが、
その主な理由は原因となるウイルスが1種類ではないこと。
これまで確認されているライノウイルスは99種あるが、他にも数多く存在。

風邪の症状には穏やかなものもあれば、耳や肺に二次感染を起こし、
喘息まで引き起こしてしまうものも。

過去に何度も薬剤の開発が失敗に終わってきたのは、
薬剤が、特定のウイルス株に感染した、あるヒトには有効で、
その他のヒトには効果がなかったことが最大の理由。

様々なウイルス株を分類するため、Stephen Liggettらは、
既知のライノウイルスと市中(in the field)で新たに検出されたウイルス株の
すべてのゲノム塩基配列を解明。

Liggettらは、各ウイルスの物理的特徴に加えて塩基配列を比較することで、
ライノウイルスの系統樹を作成。
系統樹の中に、既知の主流グループ2つ以外に新しい分岐を発見し、
遠い親戚関係にあるウイルス同士が再び結合し、新しいウイルス株を
生み出すことが可能であることを明らかに。

ポリオウイルスと同じように、ライノウイルスの塩基配列にも
特に変化しやすい特定の部分が存在し、ウイルス毒性に影響している
可能性があることがわかった。

これら発見は、薬剤の研究に関心を向けさせるだけでなく、
ライノウイルスの進化、多様性および薬剤耐性に関する研究の基盤に。

"Sequencing and Analyses of All Known Human Rhinovirus Genomes Reveals Structure and Evolution," A.C. Palmenberg at University of Wisconsin in Madison, WI

; D. Spiro; R. Kuzmickas; S. Wang; A. Djikeng at J. Craig Venter Institute in Rockville, MD; J.A. Rathe; C.M. Fraser-Liggett; S.B. Liggett at University of Maryland School of Medicine in Baltimore, MD.

http://www.sciencemag.jp/highlight/index.jsp?pno=146#tx_1

初の「大船渡港セミナー」 首都圏関係者にPR

(東海新報 2月15日)

大船渡港物流強化促進協議会(会長・甘竹勝郎市長)による
首都圏初の「いわて・大船渡港セミナー2009」が、経団連会館で行われた。

物流決定権を持つ首都圏の荷主、商社、運輸関係者らを招き、
地方港である大船渡港の可能性をPR。
情報交換を行う中で、知名度向上など今後の課題が浮かび上がり、
貨物増に向けた貴重な提言が寄せられた。

首都圏の企業、商社、輸送手配などの代理業務を行う
フォワーダー業者に対し、情報提供を行おうと初めて企画。
甘竹市長は、「大船渡港の現状について説明し、
物流決定権をお持ちの皆さんに理解、関心を高めていただきたい」
県大船渡地方振興局の高橋克雅局長も、大船渡港の岸壁、道路網整備を紹介、
「官民一体となって港湾事業を進めている」

甘竹市長は、パソコン画像で大船渡港を紹介、
地理的な特性や県内最大の国際港である点をPR。
週一便化が再開となった韓国・釜山港を結ぶ国際港湾コンテナ航路、
内陸部を結ぶ道路整備の進ちょくなどを説明。

大船渡港の優位性として、県南地域からの移動距離が短いことによる
省エネ対策や円滑な荷役作業などを強調。
大口荷主に対し、3年間で最大2280万円を補助できる支援制度の利用をアピール。

韓国・興亜海運の日本総代理店となっている三栄海運の松村圭造社長が、
「地方港と現状の役割」と題して講演。
釜山などアジアにあるハブ港と、国内貨物の多くが集まる京浜港の物流における
関係性などを解説、地方港の今後を展望。

大手企業が、工場の近くにある地方港を積極的に利用する傾向を指摘。
「今はコスト削減、温暖化防止への努力をし、地方港の選択は避けて通れない」

セミナーには、物流決定権を持つ首都圏企業など500社に案内、約100人が出席、
情報交換会にも多数の関係者が集まった。
県内各港をPRした県の港湾セミナーより出席者が多く、関心の高さをうかがわせた。

「物量の現状としては大船渡が上だが、知名度はまだ釜石が高い」
「こうしたセミナーをもっと前から、頻繁に開催すべき」といった声も。
知名度向上が、今後の課題の一つとして浮かび上がる“成果”も。

大船渡側からのPRを聞くだけでなく、今後の活性化に向けて
同協議会関係者に対して提言を寄せる出席者も。
製造業関係者の一人は、「食品や工業製品は物流のネットワークが整っているが、
産業廃棄物はまだこれからの分野。積極的に検討してもらいたい」

http://www.tohkaishimpo.com/

2009年2月16日月曜日

注意力を高める色、創造力を高める色

(2009年2月10日 WebMD)

赤色や青色は、単に見た目だけにとどまらない。
これらの色は、集中力や創造性に影響を及ぼす可能性がある。
新しい色彩連想研究の結果が、『Science』のオンライン速報版に。

主要な結果は以下のとおり。
赤色は細部への注意力を、青色は創造性を高めるが、
それらの色彩効果は気づかれないことが多い。

ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)Ravi Mehta、Rui (Juliet) Zhuは、
赤色と青色の効果を比較する6つの色彩研究を実施。

それぞれの色にしゃれた色名はない。
Mehta博士、Zhu博士がここで話題にしているのは、
ファイアー・エンジン(Fire Engine)対ロージー・ドーン(Rosy Dawn)や
ミッドナイト・ブルー(Midnight)対ターコイズ(Turquoise)のことではない。
同じ強度および明度の単純な赤色と青色のこと。

Mehta博士およびZhu博士は、6つの研究において、赤色と青色を比較検討。
各研究において、色覚異常のない学部生に、スクリーンセイバーが
青色または赤色のコンピュータ・スクリーンに表示された単語の暗記、
青色または赤色の物体からの子供のおもちゃのデザイン、住所録の編集など、
さまざまなタスクを実行。

各研究において、タスクが赤色モードの場合に学生の集中力が高まり、
青色モードの場合に創造性が高まった。

スクリーンセイバーが赤色の場合、学生は、より正確に記憶し、
より優れたコピー・エディタであった。
赤色の物体からデザインしたおもちゃは、より実用的。
一時停止の標識(赤信号)など、赤色が注意の合図であるためであろう。

創造性を高めるには、青色が効果的。
青色の物体から作ったおもちゃは、実用的ではないにしても、より独創的。
スクリーンセイバーが青色の場合、動物の爪とぎ柱としての使用など、
独創的であるが不可能ではない、れんがの使用法をうまく考え出した。

集中力を高めるのは、赤色または青色のいずれか、
創造性を高めるのは、赤色または青色のいずれか、という質問に対し、
学生は両質問ともに青色と答えた。
おそらく青色の方が好きであるという理由で、青色を選んだのであろう。

Mehta、Zui博士は、特定の色が特定のタスクに適している可能性がある
と結論付けている。
「油断のない注意を要するタスク(重要な情報の暗記、新薬の副作用の理解など)
には、赤色が特に適切」
「創造性および想像力を要するタスク(美術店のデザイン、
新製品アイデアブレインストーミング・セッションなど)には、青色がより効果的」

http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/2/10/91521/

太陽光発電設置家庭に新たな補助

(サイエンスポータル 2009年2月12日)

太陽光発電装置を設置した家庭に対し、
電力会社に余剰電力を売電する際、価格に上乗せ金を支給するという
ユニークな補助制度を、東京都渋谷区が新年度から実施。

一般家庭が、住宅に太陽光発電パネルを取り付ける場合、
設置費用を補助する制度を国が2008年度から実施、
東京都も2009年度から実施の予定。

渋谷区が発表した2009年度予算案によると、
補助額は発電電力1キロワット時あたり年間30円。
一般家庭が、太陽光発電による余剰電力を電力会社に買い取ってもらう
価格は、1キロワット時あたり22円。

区の試算によると、3キロワットの太陽光発電設備
(約30平方メートルのパネルで可能)を設置すると、
期待できる年間の発電量は約2,800キロワット時。
この半分を家庭で消費し、残り半分を電力会社に売るとすると、
電力会社の買値1キロワット時、22円に、
区の補助による30円が上乗せされて52円に。

この結果、減価償却に32年かかるところ、17-19年で設置費用の回収が可能。
補助の対象は、渋谷区内の住宅で太陽光発電設備を既に導入しているか
新規に設置する世帯。

期間は2009年度から3年間で、100戸を対象に初年度400万円の予算。
区の試算の基となった3キロワットの太陽光発電設備の設置費用は約200万円、
このうち国と都からの設置補助が50万円。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0902/0902121.html

ヒトナチュラルキラー細胞のサブセットは粘膜免疫へIL-22を供給する自然免疫細胞である

(2009年2月5日 Nature)

ヒトナチュラルキラー細胞のサブセットは、
粘膜免疫へIL-22を供給する自然免疫細胞である

NK細胞は、細胞溶解性のメディエーターやインターフェロン(IFN)-γの
放出を介して、ウイルス感染細胞や腫瘍細胞に対する
自然免疫系の監視を行うリンパ球である。

ヒトでは、血液中のCD56dimNK細胞が標的細胞の溶解を専門とする細胞。
リンパ節では、CD56brightNK細胞が、IFN-γを分泌し、
樹状細胞やT細胞と協調して適応免疫応答を引き起こす。

本論文では、扁桃腺やパイエル板のような粘膜関連リンパ組織に存在する
ヒトNK細胞サブセットの特徴を報告。
NK細胞サブセットは、インターロイキン(IL)-22、IL-26、白血病抑制因子を
分泌する性質が備わっている。

NK-22細胞と呼ぶこのNK細胞は、急激にIL-23に暴露されることで活性化。
in vitroでは、NK-22細胞が分泌するサイトカインによって、
上皮細胞ではIL-10の分泌、増殖、さまざまな細胞分裂促進分子や
抗アポトーシス分子の発現が引き起こされる。

NK-22細胞は、マウス粘膜関連リンパ組織にも認められ、
細菌に感染すると小腸固有層にも出現することから、
NK-22細胞は自然免疫細胞として、炎症を抑制し、
粘膜部位を保護するのに役立つ可能性のあるIL-22を供給。

[原文]A human natural killer cell subset provides an innate source of IL-22 for mucosal immunity

Marina Cella1,3, Anja Fuchs1,3, William Vermi2, Fabio Facchetti2, Karel Otero1, Jochen K. M. Lennerz1, Jason M. Doherty1, Jason C. Mills1 & Marco Colonna1

1.Department of Pathology and Immunology, Washington University School of Medicine, St Louis, Missouri 63110, USA 2.Department of Pathology I, Spedali Civili, University of Brescia, 25123 Brescia, Italy 3.These authors contributed equally to this work.

Natural killer (NK) cells are classically viewed as lymphocytes that provide innate surveillance against virally infected cells and tumour cells through the release of cytolytic mediators and interferon (IFN)-γ. In humans, blood CD56dim NK cells specialize in the lysis of cell targets1. In the lymph nodes, CD56bright NK cells secrete IFN-γ cooperating with dendritic cells and T cells in the generation of adaptive responses1, 2. Here we report the characterization of a human NK cell subset located in mucosa-associated lymphoid tissues, such as tonsils and Peyer's patches, which is hard-wired to secrete interleukin (IL)-22, IL-26 and leukaemia inhibitory factor. These NK cells, which we refer to as NK-22 cells, are triggered by acute exposure to IL-23. In vitro, NK-22-secreted cytokines stimulate epithelial cells to secrete IL-10, proliferate and express a variety of mitogenic and anti-apoptotic molecules. NK-22 cells are also found in mouse mucosa-associated lymphoid tissues and appear in the small intestine lamina propria during bacterial infection, suggesting that NK-22 cells provide an innate source of IL-22 that may help constrain inflammation and protect mucosal sites.

http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/2/5/91595/

盛岡のヘイプ最高賞 かわさき起業家オーディション

(岩手日報 2月15日)

リサイクル古着店「ドンドンダウン オン ウエンズデイ」を
全国展開しているヘイプ(盛岡市、岡本昭史社長)は、
川崎市の「かわさき起業家オーディション ビジネス・アイデアシーズ市場」
(同市産業振興財団主催)で、最高賞の「かわさき起業家大賞」を受賞。

同オーディションは、さまざまな分野のビジネスのシーズ(種)を募り、
川崎市の融資制度などでビジネスアイデアの実現を支援。
同財団が2001年創設した。

08年12月までに56回開催し、応募件数は1301件。
57回目のオーディションでは、ヘイプと、川崎市、横浜市の各企業の3企業の
ビジネスモデルが大賞に選ばれた。

ヘイプは、08年度にいわてビジネスグランプリ、ベンチャーフェアJAPAN2009の
「ベスト オブ イケベン賞」の優秀賞を受けている。
「この受賞を励みに、日本一を目指し、まい進していきたい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090215_7

2009年2月15日日曜日

日本人初のクラフォード賞に決まった大阪大教授の平野俊夫さん

(2009年2月10日 共同通信社)

異物を排除し体を守るはずの免疫が、なぜ自分を攻撃することがあるのか。
この謎を解く鍵となる免疫調節物質インターロイキン6(IL6)を発見、
スウェーデン王立アカデミーによるクラフォード賞に決まった。

「研究者をやめようかと思うほど苦しんだ。
当時は、まだ関節リウマチやがんの発症にかかわるとは分からなかった」
医師になったころ、肺がん患者を担当。
最新医療でも治らない病気を前に、「臨床医学の限界を体の底から実感」した。

基礎研究を志し留学した米国で、共同受賞の岸本忠三・元阪大学長と出会う。
「大先輩、恩師であり精神的支柱」。
付き合いは36年に及ぶ。

帰国後、大阪府立羽曳野病院で再び臨床の場に。
日々患者と向き合いながら研究し、熊本大医学部、阪大細胞工学センターでの
助教授時代を通じ、8年がかりでIL6の構造を突き止めた。

IL6はその後、肝臓に働いて炎症に関与する物質を作ったり、
多発性骨髄腫を増やしたりするなどさまざまな病気に関係することが判明。

研究を好きな登山に例え、「頂上近くが最もしんどい。
しかし、そこであきらめたら山の高さも景色も分からない」
未知の世界に挑むよう若い人を鼓舞する。

クラシック音楽鑑賞が趣味。
ただ多忙な医学部長のため、「時間がない」と苦笑い。
授賞式で5月に訪れるスウェーデンでも観光できるかどうか。

長女は結婚し2歳の孫娘がいる。
生まれ育った大阪市で母、妻、次女と4人暮らし。61歳。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/10/91482/

運動不足で腹部肥満の高齢者には抵抗運動と有酸素運動の組み合わせがもっとも適している

(2009年2月10日 Medscape)

今まで、運動不足で腹部肥満の高齢者のインスリン抵抗性と
機能制限を同時に改善するには、抵抗運動と有酸素運動の組み合わせが
運動方針としてもっとも優れているという試験結果が
『Archives of Internal Medicine』1月26日号に発表。

Lance E. Davidson(クイーンズ大学)らは、
「高齢者の慢性疾患と生活機能障害のリスク因子の低減において、
抵抗運動と有酸素運動が不可欠であることを推奨」

「抵抗運動と有酸素運動を組み合わせることで、
疾患や生活機能障害のリスク因子に対する効果が
それぞれの運動手法単独よりも増大するかはよく判っていない」

2002~2006年の期間、運動不足で腹部肥満の高齢者136例を対象、
6カ月間の抵抗運動、有酸素運動、抵抗運動と有酸素運動(組み合わせ運動)、
運動をしない対照の4群に。
主要エンドポイントは、高インスリン正常域血糖クランプ法による
インスリン抵抗性の変化と、4種の検査の変化の平均で見た運動制限の変化。

インスリン抵抗性は、年齢、性別、試験開始時の値で調整すると、
有酸素運動群と組み合わせ運動群は対照群よりも改善したが、
抵抗運動群は改善しなかった。

組み合わせ運動群の平均値は、抵抗運動群よりも改善したが
(毎分骨格筋1 kgあたり9.2 ± 1.3対1.8 ± 1.3 mg/mL/μIU)、
有酸素運動群に比べると有意ではなかった。

機能制限は、すべての処置群が対照群に比べて有意に改善。
組み合わせ運動群の改善の程度は、有酸素運動群よりも有意に大きいが、
抵抗運動群に対しては有意でなかった。
抵抗運動群と有酸素運動群の改善は有意差がなかった。

限界として、腹部肥満のサンプルが白人が多くを占め一般化に問題があること、
すべての運動セッションを指導下で行い、個別化した食事プランの順守を
奨励することで被験者が動機付けられるという理想的な条件で行われたこと。

「これまで、運動不足で腹部肥満の高齢者におけるインスリン抵抗性と
身体機能制限を同時に低減させる運動戦略としては、
抵抗運動と有酸素運動の組み合わせが最適」

「抵抗運動と有酸素運動によって、疾患と生活機能障害の確立した
リスク因子であるインスリン抵抗性と身体機能制限を同時に軽減することを、
高齢者に奨励することが医療提供者には求められる」

Arch Intern Med. 2009;169:122-131.

http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/2/10/91518/

水産にかける開発途上国 北里大生と活発に意見交換

(東海新報 2月11日)

独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施中の漁村開発における
ジェンダー主流化セミナーで、大船渡市入りした開発途上国の研修員5人が、
北里大学海洋生命科学部(緒方武比古部長)の学生や教授と意見交換。

本県の沿岸養殖では、「女性の貢献がなくてはならない」という説明を聞き、
大きな関心を示していた。
県の科学・ものづくり振興課が、JICAの同事業を導入して実施し、
大学側から男女学生10人が出席。

研修員は3カ国の男女5人。
西アフリカ・ベナンの農畜水産省専門官のアドピズン・コーヴィ・シプリエンさん(44)と
管理官のデスアジー・コームランさん(28)、
ラオスの農林省指導官のトンクーン・ホングランリアンさん(32)と
ジェンダー担当のペットサモーン・スリボンさん(38)、
東ティモールの農水省指導官のアセルモ・アマラルさん(36)。

セミナーのジェンダー主流化は、政策策定、計画立案、意思決定に
男女の双方の視点、経験などを取り込み有意義な開発を実現すること。

小河久朗教授が、水産業の現状を英語で講義、
日本における水産業は、社会的に価値が高いことや
女性の役割が大きいことを述べ、
「アワビ漁では女性が船を操り、ホタテなどの養殖現場にも入っており、
女性の貢献がなくてはならない。対等なパートナーである」

研修員が、自国の水産の現状を述べ、東ティモールのアマラルさんは、
環境にやさしい持続可能な水産業を目指していることや
女性を巻き込んでフィッシュボールの加工を始めた例を紹介。
開発途上国では、水産はマイナーな産業らしく、
なぜ水産を女子学生も勉強するのか、卒業後の働き場所についての質問も。

学生たちとコミュニケーションを深めながら、
2グループに分かれて活発に意見交換。
ベナンのコーヴィさんは、「話を聞いて楽しかった。我が国の状況を良くしていきたい」
ラオスのペットサモーンさんは、「男女共同参画をどう実現しているのかを見たい。
若い人たちが、将来のことを自分の頭で考えており、とても興味深い話ができた」

同学部四年の池田周平さんは、「水産の指導者が少なくて困っているなどの
現状を知ることができた」、本橋敬太郎さんは、「これから漁業に力を入れるという
東ティモールなど、各国の施策が分かり面白かった。
同時に生きる力の強さを感じた」、
開発途上国のパワーに驚き触発された様子。
学食で一緒に昼食を取りながら、国際交流も深めた。

研修員一行は13日まで滞在し、JAとおの女性部、
釜石のアグリカルチャー&フィッシャーグリーン・ツーリズム、
県水産技術センターなどを視察する予定。

http://www.tohkaishimpo.com/

数字力を装備、仕事に切れ味

(日経 2月3日)

「売り上げをもう少し上げたい」、
「もうちょっと原価を抑えられないか」。
「もう少し」、「もうちょっと」。
数字が苦手な人は、あやふやな言葉を使ってしまう場面が多い。
「数字力」を養って、ビジネスシーンで生かすコツを専門家に聞いた。

「数字力を高めると、具体的な対応策や発想力を身につけられる」
「ビジネスマンのための『数字力』養成講座」の著者で、
小宮コンサルタンツ代表の小宮一慶氏はこう語る。

「何日」、「何%」、「何人」など、今まであやふやだった点を
すべて数字に置き換えて考える癖を付けると、
目標や目標達成のための手段も見えてくる。
「数字を通して、仕事への責任感も高まる」

基本的な数字を覚える癖をつけよう。
自社の売上高といった基本的な数字を把握。
自社の業界内でのシェアを把握したり、従業員1人当たりではどうかなど、
「一つの数字を取っ掛かりにして、自社や他社を見る発想を広げる」のが重要。

小宮氏が景気を見る際に使う主な数字
▽四半期 ・名目GDP
▽月 ・現金給与総額 ・有効求人倍率 ・消費支出 ・消費者物価指数
▽毎日 ・為替相場 ・短期金融市場 ・日経平均株価 ・東証1部の売買代金

数字を覚えたり、分析したりする際の心得は、
「大きな数字」と「小さな数字」を意識すること。
会社の売上高や国内総生産(GDP)などは億、兆単位で
どのくらいかを意識して覚えればいい。

「小さくても大切な数字もある」。
例えば、合計特殊出生率。
0.1ポイント違うだけで、50年後の日本の人口は大きくずれる。

1人の従業員が一時間に生み出す粗利益を表す「人時生産性」という指標も。
わずか25円の違いでも、影響は大きい。
5000人の従業員が月150時間働いている会社であれば、
月に1875万円、年間では2億2500万円の差。

どのような場合に小さな数字にこだわるのか。
これをきちんと判断できるようになるには、
「数字の定義をきちんと把握する必要がある」

数字への感度を高めるには、外国為替や日経平均株価などの数字を
毎日、新聞でチェックする。
ただ見るだけでなく、専用の手帳などに為替や株価などの変化を記入し、
1週間に1度、変化の理由をほかの数字を使って説明。

為替相場は、金利差で動くことがある。
高金利の通貨が運用に有利との理由で買われて、
金利の低い通貨が売られるといった具合。
金利を引き下げた国の株価や為替相場がどうなっているのかを
観測するなどして、数字の持つ意味を学ぶ姿勢が重要。
数字をきっかけに、様々な世間の動きに興味を持てる。

小宮氏は、「数字同士の関連がみえてくると、世界の見方も変わってくる」
GDPは新聞などで取り上げられるが、一般の人が身近に感じることは少ない。
自分の給料と関係するとなれば、話が変わってくる。

GDPは、国内で生み出された付加価値の総合計を指す。
企業の損益計算書では、ほぼ粗利益に相当。
GDPのうち、給与などの人件費に充てられる部分は「労働分配率」と呼ばれ、
平均して60%程度。
労働分配率が大幅に上がらない限り、GDPが低下すると、
我々の給料も下がるとの予測が成り立つ。

数字を分析すると、数字が持つ特殊な傾向や意味合いがわかる。
例えば、建設会社の業績が好調になるのは、
景気がピークを過ぎた後になることが多い。
景気が持ち直して、民間企業が設備投資を増やしたとしても、
建設会社が工場の建屋などを完成させて売り上げに計上するまで時間差がある。

ゴルフ会員権の価格は、富裕層の消費動向をみるのに有効。
「政府や機関投資家による売買の関与が薄いので、
純粋に富裕層のお金の勢いを見るのに適している」

小宮氏は、景気の先行きを見通す上で、
米国の住宅着工戸数や住宅価格指数に注目。
個人消費主導型の米国経済にとって、
住宅着工戸数は日本以上に大きな意味を持つ。
年換算で150万戸程度になれば、米国景気も持ち直し、米国への輸出も増える。
「製造業を中心に、日本の経済もよくなるはずだ」

会社の経営状況をすぐに見るにはどうすればよいのか。
企業財務のコンサルタントを手掛ける
東京メトロポリタン税理士法人の北岡修一氏に聞いた。

「資産の状況を把握することが大事」
賃借対照表で、流動資産と流動負債の値を見る。
流動負債は、1年以内に返済しなければならない負債。
流動資産は、現預金などすぐに資金化できる資産のこと。

経営破綻するときは、借金を返済できなくなるケースが多い。
「流動負債よりも、流動資産が多ければ当面は大丈夫そうだ」と判断。
もちろん業種により、状況は異なる。
日銭が入る小売業であれば、多少下回っていても大丈夫な場合もある。

それ以外では、売上高と資産の伸び率を見る。
売上高より、資産の方が伸び率が大きい場合、資産が遊休化している危険性が。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090203.html