2008年3月8日土曜日

たんぱく質「ペリオスチン」:研究最前線 心筋を修復し、がん増殖を抑制?

(毎日 3月2日)

日本人研究者が発見し、骨の再生に関係すると考えられてきた
たんぱく質「ペリオスチン」。
急性心筋梗塞後の心筋の修復に重要な役割を果たしている。
がんの増殖抑制にもかかわっているとみられ、注目。

ペリオスチンは99年、東京工業大の工藤明教授(細胞生物学)が発見。
重力や荷重による刺激を受けると、骨を再生する仕組みで、
重要な役割を果たすと考えられているたんぱく質。

工藤教授らのチームは、ヒトのペリオスチン抗体を作成。
東京大医学部病理学教室と共同でヒトの病理組織を網羅的に調べ、
ヒトやマウスの心筋梗塞を起こした組織にも
ペリオスチンが作られていることを見つけた。

国内の急性心筋梗塞発症数は年間約15万人、
約3割が死亡していると推定。
心筋梗塞を起こした組織が、どのように修復されるかはなぞ。

研究チームは、ペリオスチンが体内で作られないように
遺伝子操作したマウスで、冠動脈を結び人工的に心筋梗塞を起こさせた。
その結果、心破裂を起こして91匹中62匹(約68%)が死んだ。
普通のマウスで死んだのは、80匹中25匹(約31%)、30ポイント以上の差。
梗塞を起こした部位を詳細に調べたところ、
ペリオスチン欠如マウスは心筋細胞修復に重要なコラーゲンを作る
線維芽細胞の数が少ない。
ペリオスチンを作る遺伝子を欠如マウスに入れると、
心破裂率が普通のマウスとほぼ同じ割合にまで低下。

「急性心筋梗塞後の心筋修復のメカニズムを知ることで、
新しい治療法の開発につながる可能性がある」。

ペリオスチンをめぐる研究は、米国を中心に競争が激しい。
心筋細胞は、線維芽細胞が分化してできるが、
心臓の再生医療の第一人者、米ハーバード大ボストン小児病院の
マーク・キーティング教授のチームは、ラットの心筋細胞に
ペリオスチンをふりかけ、心筋細胞が増えることを確認、
「ネイチャー・メディシン」に掲載。

米シンシナティ大小児病院のジェフェリー・モルケンティン教授らも、
ペリオスチン欠如マウスで心破裂が起きやすくなることを発見。
「サーキュレーション・リサーチ」が成果を掲載。
ペリオスチンと心臓には深い関係がある。

ペリオスチンは、がんの増殖抑制にも関与。
工藤教授のチームが、ペリオスチン欠如マウスにがん細胞を移植、
普通のマウスと比べ、がん細胞が大量に増殖。
ペリオスチンがあると、がんが正常細胞を圧迫する時の刺激で、
線維芽細胞が被膜を作るため、がんの成長を抑制。

ペリオスチンは、筋肉に加わる物理的な力に応じて生じるたんぱく質。
歯と骨の間にある歯根膜などで多く発現。
工藤教授らは、ペリオスチン欠如マウスを詳細に観察。
マウスの切歯は、短くなると再生して元の長さまで伸びるが、
ペリオスチン欠如によって歯根膜がうまく形成できず、切歯が再生できない。

骨の再生メカニズムとの関係は、人間の長期宇宙滞在の可能性や
寝たきり状態の改善などから注目。
慶応大の須田年生教授(幹細胞生物学)は、
「重力など機械的な刺激が少ないと、人間は骨量が減り、骨が細い。
ペリオスチンは、骨の再生に関係している可能性が大きく、
ペリオスチン研究による骨の再生メカニズムの解明が、
こうした課題の克服に役立つと考えられる」。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/03/02/20080302ddm016040088000c.html

暖かな破局:第3部・削減を阻むもの/1(その2止) バイオ燃料で規格争い

(毎日 3月4日)

政府は、国内排出量取引に向けてかじを切った。
福田首相の政治決断だが、
政治がいまだに省庁の対立を抑え込めない。
温暖化対策の現場にも、縦割り行政の弊害が影を落としている。

「うちは、悪いことは何にもしてへん。国の事業に協力しただけ」
大阪府大東市のガソリンスタンド、村川商会野崎給油所で、
所長の村川悠治さん(67)がため息。
店は、国内大手ブランドの看板を掲げていたが、
昨年10月に下ろさざるを得なくなった。
温暖化対策として、ガソリンに3%のバイオエタノールを直接混ぜる
「E3ガソリン」の取り扱いを始めたため。

京都議定書では、バイオエタノールは温室効果ガスの排出がゼロ。
環境省は、E3を試験的に販売する実証事業を始めた。
村川商会は、6カ所ある協力店舗の一つ。

ところが、石油元売り大手で構成する石油連盟は、
バイオエタノールを加工した液体燃料「ETBE」を混ぜた
別方式のガソリンの販売を始めた。
「直接混合は、自動車部品を腐食させる恐れがある」、
E3販売店には、ガソリン供給やブランド名の使用を拒んでいる。

村川さんの店も、大手以外からのガソリン調達を余儀なくされ、
大手ブランド名のカード会員も失った。

環境省は、「E3を使ってもエンジンに影響はない」と言うが、
石油連盟を所管する経済産業省は、
「規格は市場が決める。経産省の役割ではない」と、仲裁を拒否。

沖縄県宮古島市は、特産のサトウキビからバイオエタノールを作って
島内利用のガソリンに直接混合する「バイオエタノール・アイランド構想」。
小泉純一郎元首相の音頭で始まり、国がエタノール生産設備に補助金。

しかし、石油連盟はここでも協力を拒んでいる。
小泉元首相は先月、現地を視察し
「抵抗があろうと押しのけてやらないとだめだ」と小泉節で批判したが、
石油連盟は「抵抗勢力」のまま。

政府の京都議定書目標達成計画は、石油換算で年50万キロリットルの
バイオ燃料を調達する目標を掲げるが、石油連盟が確保する
21万キロリットル相当のETBEしか導入のめどは立っていない。

議定書が採択された97年から10年余り。
日本は、環境税や国内排出量取引導入を巡って環境、経産両省が対立、
具体的施策が遅々として進まなかった。

施策を導入済みの欧州に比べ、温暖化対策で大幅に後れをとった結果、
06年度に国内で排出された温室効果ガスは90年度比6・4%増。
日本は5年間、年平均の排出量を同6%減らさないといけないが、
達成は厳しい状況。

両省は、排出量取引についても、既に主導権争いを始めている。
いずれも、独自の検討会や研究会を設け、
北海道洞爺湖サミットまでに方向性をまとめる方針。
両省は、「検討会にあっちの省は呼ばない。首相を支えるのは我々だ」と、
ライバル意識をむき出しに。

省益ではなく、国益をどう確保するのか。
政治の主導権が、いまこそ問われている。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080304ddm002040006000c.html

2008年3月7日金曜日

輝く…「心の病」抱えた若者たち 自らの心境、曲に乗せ 音楽ライブ

(毎日 2008年3月2日)

うつ病、統合失調症、パニック障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)。
「心の病」を抱えた若者たちが所属する新潟市の芸能プロダクション
「K-BOX」の音楽ライブが人気。
バンド演奏や弾き語りを披露しながら、自分の病状もわかりやすく紹介。

ライブ会場は毎回、独特の雰囲気に包まれる。
ひきこもりの心境やカウンセラーの言葉を、曲に乗せて歌う若者たち。
うつ症状で現れた妄想の世界も、そのまま表現すれば一つの「作品」

主宰は、イラストレーターの男性、Kacco(カッコ)さん(40)。
絵をきっかけに、5年間のひきこもり生活から脱した経験を持ち、
「自分のような若者の自立を助けたい」と04年にプロダクション設立。
「心の病」を持つ約20人が所属、音楽、イラスト、詩などを提供。

月例ライブを始めて1年。
外出もままならない「病」ゆえ、
はじめはステージを「ドタキャン」するメンバーも多かった。
だが、回を重ねるうちに、ライブという目標に向けて
体調を自己管理できるように。
自信をつけ、アルバイトを始めた人も。

「ステージに立って、人の視線に対する怖さが薄れた」というのは、
高校まで不登校だったうつ病の歌手、Wattan(ワッタン)さん(28)。
うつ病でギター弾きのコウキさん(29)は、
「同じ境遇の仲間は大切。一人は楽だけど、新しい発見が少ないとわかった」。

常連客も増えた。
2度目という会社員の女性(35)は、
「病気でなくても自己表現は難しいのに、みんな一生懸命ですごい。刺激になる」。
Kaccoさんは、「誰でも心の病気になる可能性はある。
ライブをきっかけに偏見がなくなれば」と願う。

「輝いてアン・エンジェル、厚い殻を脱ぎすて、見守ってアン・エンジェル、
肩の力抜いてよ、ひとりぼっちじゃ苦しいだけだよ--」

金髪に大きな目が印象的な女性、Kuu(クー)さん(28)。
作詞した歌をステージで披露する堂々とした姿からは想像できないが、
今もうつ病などと向き合いながら生活。

14歳の時、いじめや転校をきっかけに心身症と診断。
思ったことを言葉や行動に表せず、体中が腫れあがる。
「おばけ」とからかわれた。
親が病気を認めたがらず、高卒後は別居してひきこもった。

薬を「ラムネ菓子のように食べる」日々。
摂食障害で、体重は36-66キロを行き来した。
睡眠薬を大量に飲んでアパートの2階から飛び降りたことも。

2年前、入院先で知り合ったKaccoさんに誘われ「K-BOX」を訪ねた。
「自分のような病人が何人もいる場所は初めてで驚いた」。
人に伝えられなかった思いを詩にしたら、メンバーが歌にしてくれた。
マイクを通して声を響かせながら、「やっと自分を表現できた」。

音楽を支えに、生活が変わりつつある。
体調を崩せば歌えないため、我慢しながら食べ物の摂取量を調整。
週1~2回のレッスンと通院時には、外出できるようになった。
ライブ後はストレスで1週間動けなくなるが、
「うつ病は焦っても仕方がない」と受け入れている。
「プロでなくても、歌を歌って食べていきたい」と目標。

先月、次のライブ会場となるNEXT21に下見に行った。
近くに住んでいながら、実に10年ぶり。
同世代の若者が行き交う雑踏に足がすくんだが、すぐ自分に言い聞かせた。
「これも新しい一歩。私は、一歩進んだ病人になるんだ」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=68743

記憶力の低下に勝てる明るい見込み

(WebMD 2月20日)

70歳以降の重度の記憶力低下を避けられる可能性は、
あなたが考えているよりも高いかもしれない。
ミシガン大学、アナーバーVAヘルスシステムの内科准教授
Kenneth Langaは、「これは高齢化するベビーブーム世代にとって朗報」。

Langa博士のグループは、介護施設や他の施設に入所していない
米国の70歳以上の人々における認知障害について研究。
認知障害を、軽度の記憶力低下ではなく認知症において認められるものと
同程度の記憶力低下と定義。
約7,400人が1993年に記憶力の検査を受け、
約7,100人が2002年に同じ検査を受けた。

「1993年に70歳以上であった人の認知機能低下のリスクは、
2002年の同じ年齢群の人のリスクよりも高かった」

なぜ、後の世代の方が重度の記憶力低下が発現する可能性が
低かったのかは示していない。
しかしLanga博士のグループは、
「人々が顕著な認知障害または認知症になるリスクが低下したのには、
いくつかの理由がある。

2つのコホートを比較すると教育レベルが有意に上昇、
高血圧や高コレステロールのような心臓血管リスクの治療が改善」
より多くの教育がなされることが、脳を鋭敏な状態に保つのに役立ち、
心臓の健康につながることは脳にとって良いこと。
その他の因子も脳の健康に影響するが、すべての因子に関するデータを
もっていたわけではなかった。

知見は、すべて個人のリスクに関するもの。
たとえ個人のリスクが低下しても、アルツハイマー病や他の認知症の症例は
増加するだろうと予測。
約8,000万人のベビーブーム世代が今後8~10年で70歳に達し、
人口の高齢化に伴って、「たとえ[個人の]リスクが低下しても、
アルツハイマー病および認知症の人々の数は大幅に増加するだろう」。
個人のリスクは、従来よりも低下したかもしれないが、人の数が増えれば、
最終的には患者の数も増える結果に。

昨年、アルツハイマー病の患者が2050年までに3倍に増加すると予測。
Langa博士は、介護施設の入所者における認知障害に関して更なる研究が必要。
『Alzheimer's & Dementia』のオンライン版に掲載。

Langa, K. Alzheimer's & Dementia, Feb. 20, 2008; online edition.
Kenneth Langa, MD, PhD, associate professor of medicine, University of Michigan and Ann Arbor VA Health System.
WebMD Medical News: "Alzheimer's Hits 5.1 Million Americans."

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=68166

2008年3月6日木曜日

暖かな破局:第3部・削減を阻むもの/1(その1) 排出量取引、導入検討

(毎日新聞 2008年3月4日)

政府は、国内排出量取引の導入検討を表明。
地球温暖化対策の一環で、
活動が規制されると導入に反対する経済界を押し切った。
なぜ急転したのか?

「北海道洞爺湖サミットでは、サブプライムローンとか議題があるが、
日本が主導権を取れるのはクライメットチェンジ(気候変動)。
総量(削減)目標を避けるつもりがないことを、きちんと言おう」

1月、福田康夫首相は外務、環境、経済産業各省の温暖化問題担当局長を
集めた席で、自ら筆を入れた草稿を示し、断を下した。
世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)での首相演説の内容。

5日前の関係閣僚会議は激論に。
鴨下一郎環境相は、「総量目標を掲げないと意味がない」と主張。
甘利明経産相は、「米国との関係がおかしくなる」と反対、「数量目標」に。
たった1文字違いだが、内容は天地の開き。
総量なら、排出に上限がかかり、排出量取引などの対策が必要。
数量なら、エネルギー効率などの数字が入ればよく、削減を意味しない。

福田首相の決断の背景には、地球温暖化防止バリ会議での日本批判がある。
米国などに配慮し総量目標に反対したが、
途上国などは「温暖化防止の抵抗勢力」と反発、
政府内に「日本は孤立する。サミットの成功は危うい」との懸念。
サミットに政権浮揚をかける首相は、「総量」を受け入れざるを得ない。

環境対策に熱心なトヨタ自動車相談役の奥田碩・日本経団連前会長を
内閣特別顧問に任命、「新日鉄と東京電力対策」(外務省幹部)に。
鉄鋼と電力は、日本の2大排出源。
奥田氏の働きかけもあり、両社の社長は
政府の地球温暖化問題に関する有識者会議に入った。

奥田氏は、御手洗冨士夫・経団連会長にも
「現段階で政府の選択肢を縛るのは控えるべき」。
御手洗氏も、「排出量取引反対」から「検討価値あり」に変わり、
会員企業をあわてさせた。

今回は、政治主導で経産省・経団連連合を抑えたように見える福田首相。
しかし、まだまだ、抵抗勢力の壁は厚い。
==============
◇排出量取引

温室効果ガスを削減するため、国や企業に排出枠をあらかじめ割り当て、
過不足分をやり取りする制度。
京都議定書は、国同士の取引制度を定めている。
欧州連合(EU)は、域内の企業に排出枠を設定する独自の取引制度を開始。
排出権取引とも呼ばれ、温室効果ガスの排出枠は権利ではないとの理由で、
日本政府は「排出量」ということばを使用。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080304ddm001040013000c.html

夜行性・昼行性など活動リズム、脳内ホルモンが関与

(読売 3月2日)

動物の一日の活動リズムを、新発見の脳ホルモンが調節する仕組みを、
早稲田大の筒井和義教授(脳科学)らのグループが突き止めた。
夜行性といった動物の生態を解き明かす成果として注目。

筒井教授らは、動物の動きを活発にするホルモンをイモリの脳から発見。
ウズラの脳でも見つけた。

ウズラは昼行性で、明るくなると動きだし、暗くなると休む。
ホルモンの脳内の量を調べると、日中は増加し、夜には減少。
オスは、メスと比べて活発に活動するが、オスの方がメスよりたくさん分泌。

夜に分泌され、眠りを促すホルモンのメラトニンが、
このホルモンの合成を抑制。
「脳内ホルモンのメカニズムは、動物の生態に深くかかわっていることが明らか」。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080302-OYT1T00038.htm

2008年3月5日水曜日

ナノ素材、健康に悪影響?厚労省が指標・安全対策を検討

(読売新聞 2008年3月3日)

厚生労働省は、ナノテクノロジーで製造した炭素材料などが
人体の健康に与える影響
について、検討を始めた。

1ナノ・メートル(10億分の1メートル)程度の細かい材料を扱う
工場の勤務者や周辺住民、消費者が、吸い込んだ場合の危険性を
判断する指標や安全対策について、結果をまとめたい。

検討対象は、酸化チタンなど「ナノマテリアル」と呼ばれる物質。
医薬品や化粧品、塗料などの素材として使用。
動物実験では、肺や脳に悪影響を与えると指摘される一方、
明確な科学的根拠はないとされていた。

だが、深刻なアスベスト問題の表面化などを受け、
厚労省は、予防的な観点から工場でナノ素材を浴びない
安全策を取るよう都道府県に通知。
最新の研究論文などを基に具体的な対策を議論。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080303-OYT1T00586.htm

バイオテクノロジーの特異性

(サイエンスポータル 2008年3月3日)

井村裕夫氏(科学技術振興機構 研究開発戦略センター)の
インタビュー記事「急を要する臨床研究開発体制の改革」を読んで、
薬の開発が恐ろしく手間も金もかかることにあらためて驚く人は多い。

中村桂子・JT生命誌研究館館長の書評もまた衝撃的。
「サイエンス・ビジネスの挑戦-バイオ産業の失敗の本質を検証する」
(ゲイリー・p・ピサノ著、日経BP社)。
著者はハーバード・ビジネススクール教授。

「バイオテクノロジーというサイエンスのビジネスは、
利益を上げられず、新薬開発を通じた科学への貢献という意味でも
際だった生産性を示していない」。

「アメリカでのバイオテクノロジー上場企業の売上高は、90年頃から上昇、
350億ドルになっているが、利益が見られるのは3社のみ、
全体としては利益ゼロ、マイナスの会社も少なくない。
長期間利益を上げない産業は他に例がない」。

なぜ、製薬研究開発が簡単に利益に結びつかないのか?
「一つは、深刻な不確実性がありリスクが著しく高いこと、
もう一つは、プロセスが『すりあわせ(インテグラル)型』である」
の2つの特異性による。
それぞれ部品を独立して設計しても困らない普通の工業製品と異なり、
「医薬品が入り込む人体は、部品間の相互依存性が高く、
全体としてのすりあわせが不可欠」という大きな違い。

では、バイオテクノロジーの産業化に効果的な戦略はないのか。
ピサノ教授は、「基礎科学への投資」、
「寡占にせず多くの人に研究させ、横断的研究を助成」
「トランスレーショナル・リサーチの必要」。

中村氏は、ピサノ教授の提言を「気が抜けるほど真っ当な提案」と評し、
日本の現状に懸念を表している。
「米国でさえこれだとすると、戦略も分析もなしに集中と選択とイノベーションを
謳っていてどうなるのだろうと心配に」

http://scienceportal.jp/news/review/0803/0803031.html

2008年3月4日火曜日

研究評価に日本学術会議の果たす役割は

(サイエンスポータル 2008年2月29日)

日本学術会議の「研究評価の在り方検討委員会」が、
「我が国における研究評価の現状とその在り方について」で、
第三者評価の必要を提言

「科学研究費補助金のうち、申請金額が少額な研究課題については、
採択審査で専門家によるピアレビューが厳密になされている。
しかし、特定領域研究、特別推進研究の種目では、異分野の研究課題を、
審査委員会で評価するため、その領域の専門家がいない場合もあり、
研究内容の評価を十分に行うことは困難。
基盤研究(S)や(A)の高額な研究課題は、費用対効果を考慮しつつ、
ヒヤリングなどの詳細な評価が行われるように改善が求められている」

少額の研究では、専門分野の研究者の厳しい評価が行われ、
大きな研究課題ほど、中立的な評価(第三者評価)とは言いがたい。
「重要な研究課題や研究施策は、政策評価法に基づいて評価が実施され、
各府省による自己評価により評価が行われる」。
「外部評価者の選出は、評価対象となる研究課題や施策を推進する立場の
各府省や資金配分機関によって行われている」。

「第三者評価」は、「評価者の選出や評価方法の決定を被評価者以外の
独立した組織が行う」のでなければならない。
立派な人を並べても、施策推進の府省や機関が選んだ人で構成される以上、
推進側の意向に左右されない「第三者評価」委員会とはみなされない。
2000年に改組・設立された大学評価・学位授与機構は、
大学を対象とする第三者評価機関と認めている。
総合科学技術会議は、「第三者評価」機関とは見ていない。
総合科学技術会議が扱っている重要な研究課題や施策について、
推進する府省から独立し、中立的な第三者評価が実施できる体制が必要。

米国では、政府から独立した科学者団体であるナショナルアカデミーズ
(米科学アカデミー、米工学アカデミーで構成)が、
RANDやSRIインターナショナルといった民間調査機関とともに、
研究課題や施策に対する第三者評価機関としての役割を果たしている。
日本学術会議は、どういう役割を果たすべきか。

http://scienceportal.jp/news/review/0802/0802291.html

インクジェットプリンター技術による人工骨のカスタムメイド造形を実用化

(nature Asia-Pacific)

東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻 鄭雄一教授

骨折や事故で骨を損傷したとき、骨腫瘍の治療で骨を切除したとき、
先天的な骨形成不全や口蓋裂など、骨の欠損部分に骨移植が行われる。
骨移植に使う骨には、自分の骨の一部を削って使う自家骨、
亡くなった人の骨を使う他家骨、人工骨があり、
いずれも外科医が欠損部の形に合わせて手で削って成形するのが一般的。

東京大学の鄭雄一教授は、東大病院ティッシュ・エンジニアリング部、
東大農学部、理化学研究所、医療機器開発型ベンチャー、材料メーカー、
造形ソフトのメーカー等とコンソーシアムを組み、
代表的な人工骨材料であるリン酸三カルシウムを使い、
インクジェットプリンターを用いて、患者の骨の欠損部にぴったりと合う
カスタムメイド人工骨の成形技術を開発。

これは、インクジェット方式の三次元積層造形法で、
①X線CT(X線コンピューター断層撮影)で、患者の骨の欠損部を撮影
②画像を三次元CAD(computer aided design)に取り込み、
スライスデータに変換
③貯蔵槽・造形槽にリン酸三カルシウムの微粒子を入れ、インクヘッドに
硬化液を入れた三次元インクジェットプリンターにスライスデータを入力
④貯蔵槽からローラーで造形槽に薄く引いたリン酸三カルシウム微粒子の層に、
インクヘッドノズルから硬化液を吹き付けて、リン酸三カルシウムを
再結晶化させることを繰り返し、人工骨を成形。
自由な形状の、数cmから数十cmの厚みの人工骨が数時間でできあがる。

人工骨は、形状が患部に極めて良く一致するので、
切削等による調整やワイヤー等による骨の固定も不要で、
手術時間が短縮できるというメリット。
ある程度の強度があって焼結の必要がなく、吸収置換性に優れている。
自分の骨とスムーズに置き換わるように、
細胞や血管の侵入を促すための孔隙を設計できる。

06~07年に行った10例の臨床研究では、患者は順調に回復し、
重篤な副作用は見られなかったため、
11施設で70名の患者に対し、近々治験を開始する予定。
ヨーロッパとカナダでも、臨床応用を開始する計画。

「顔面を中心とした非荷重部位での利用に注力し、
将来的には手足や体幹などの荷重部位への使用を検討したい。
高機能化するため、望みの位置に血管誘導因子や骨再生誘導因子などを
プリントして、自分の骨との置換性を高める方法も研究中」。

リン酸三カルシウムを、微小テトラポッド型に加工した材料も開発。
幅1mm弱のテトラポッドは、集積時に骨細胞や血管の侵入にぴったりの
100~300μmのすき間ができ、骨再生が速く進む。
シリンジに充填して注入でき、歯槽骨の再生などに使えそう。
「焼結する温度や表面処理の方法が決まり、
2009年に日本とヨーロッパで治験を始めたい」(鄭教授)。

形とサイズが一定であり、将来的に表面に薬剤を搭載させることで、
DDS(drug delivery system)の材料となる可能性も。

骨移植のうち、人工骨が占める割合は、
日本約30%、ヨーロッパ約15~20%、アメリカ約10%。
人工骨の形状、強度、生体適合性、吸収置換性、操作性がよくなれば、
汚染や遺体取引の問題が残る他家骨、
自分の体を傷つける自家骨移植からの移行が大きく進む。

バイオマテリアルは、材料の生体適合性や強度の研究が進んでいるが、
「患者に合う形、最も効果が高まる形に成形する技術も応用には欠かせない。
3次元造形技術は、バイオマテリアルの今後の展開の重要な鍵に」。

糖類を手術後の癒着防止に使うプロジェクトも、
東大病院産婦人科、東大農学部、医療機器開発型ベンチャー、
材料メーカー、製薬メーカー等との共同研究で進行。
手術で傷ついた部分をカバーする多糖類のゲルバリアーと、
手術中の露出による乾燥や酸化を防ぐ二糖類の分子バリアーを
組合せて使うもので、産婦人科領域での臨床研究を始める計画。

バイオマテリアルの材料や造形、使用法の開発は、
医療の進展に欠かせない。
鄭教授らの治験や臨床研究の今後に注目。

http://www.natureasia.com/japan/tokushu/detail.php?id=82

2008年3月3日月曜日

科学者はどこまで社会にかかわるべきか

(サイエンスポータル、2月25日)

NPO法人サイエンス・コミュニケーションの発行するメールマガジン
「SciCom News」巻頭論説で、春日匠氏が、1848年に設立された
米国の非営利団体AAAS(全米科学振興協会)が果たしてきた
役割について書いている。

春日氏は、「科学技術コミュニケーション」に関する日米の違いについて、
「ノンアカデミック・キャリアを選ぼうとした瞬間に、
指導教官から、『じゃあ博士号はいらないね』と言われたり、
指導がいい加減になるというのはよく聞く話。
自分の分野を理解し、博士号を持った議員、弁護士、ジャーナリストが
活躍することが、自分の研究分野にどれだけエンパワーメントになるかを
考えれば、そういう可能性を自分から封じてしまうのは馬鹿げている」

日本の科学者たちが閉鎖的であることの例として挙げている。
米国の科学者・団体は、なぜ社会的なつながりを重視しているのか?

春日氏の主張の紹介。
アメリカでは、宗教右派が政界に影響力を持ち、
学問の自由に対して抑圧的であると見なされている。
科学者たちは、常に学問の社会的意義を問い直し、表明する必要性。
特に、進化論は宗教右派と科学者の抗争の最前線であり、
AAASでも大きな議論が交わされていた」、

人権や社会的利益を追求することの見返りが存在している側面も。
アフリカの問題などは、世界最大の非営利財団である
ビル・メリンダ・ゲイツ財団が積極的に支援。
第三世界の健康問題には大きな予算がつく。
研究開発費が、(企業による営利活動以外は)国費に限られ、
研究費の分配も政府による戦略的な配分か、割り当てられた予算を
科学者たちで分配する科研費に限られている日本では考えられない」

米国と日本の科学者では、モチベーションが異なるので、
「科学コミュニケーション」などといっても…、と話は続く。
「アメリカでは、ジャーナリストや政治家、法律家、慈善事業家たちを
科学のシンパにしなければいけないというモチベーションが働くのに対し、
日本では研究費にアクセスする権利を持った同業者たち以外のものを
議論に参加させまいという力が働くのでは?」

昔に比べ、社会に向けて発言するのを嫌がらない科学者たちも増えてきた。
そんな感想を、年配のジャーナリストたちは抱いているのでは。
いや、いまのような生ぬるい個別の活動では駄目。
「若手の自然科学者に資金を提供して、
政策フェローとしてワシントンの各組織に送り込む」。
日本の科学者団体が積極的な活動を展開する時代が、
日本にもいつか来るだろうか。

http://scienceportal.jp/news/review/0802/0802251.html

2008年3月2日日曜日

酒は憂さ晴らしに逆効果 東大がラットで確認

(共同通信社 2008年2月29日)

憂さ晴らしに酒を飲んでもむしろ逆効果?
嫌なことを思い出した直後にアルコールを摂取すると、
かえってその記憶が強められることを、
松木則夫・東京大教授(薬理学)らが発表。

人の場合なら、嫌なことを忘れようと酒を飲んで一時的に楽しくなっても、
翌日には楽しいことを忘れ、嫌な記憶が強く残ることを示している。
「酒を飲まずに、嫌な記憶に楽しい記憶を上書きしてしまうのが良いのでは」
と"しらふの気分転換"を勧めている。

実験で、かごに入れたラットに電気ショックを与え、恐怖を学習させると、
かごに入れただけで、身をすくめて固まるようになる。
いったん固まった直後のラットに、飲酒相当のアルコールを注射。

その結果、注射しないラットと比べると、固まり続ける時間が長くなった。
その効果は2週間続き、記憶が強くなったと判断。
アルコールは記憶力を低下させるが、それは覚える段階だけで、
いったん覚えたものを思い出して記憶に固定していく段階では、
逆に記憶を強める効果があるらしい。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=68611

大きく変わる認知症環境 超高齢社会を生きる

(毎日新聞 2008年2月24日)

認知症は、85歳まで生きれば4人に1人、
120歳まで生きれば全員が発症するといわれる。
超高齢社会にとって宿命の病気であり、その進展とともに、患者が急増。
認知症を取り巻く環境は大きく変わろうとしている。
患者のQOL(生活の質)に配慮した介護・医療ができる時代へ。
有効な予防法が模索され、根本的治療薬の開発を目指して
国家的プロジェクトもスタート。

高知市「菜の花診療所」の老年精神科医・真田順子さん、
北村ゆりさんから話をうかがった。

2人は、高知医科大学神経精神科で物忘れ外来を担当、
「大学病院は、患者にとってどうしても敷居が高い。
気軽に相談できる施設が必要」と、8年前に認知症外来クリニックを開設。

同診療所は、心療内科を掲げているが、
新患1000人強のうち、約40%が認知症で、年々増加傾向に。
内訳は、認知症の疑いがある人15%、軽度認知症40%、
中等度30%、高度10%。
北村さんは、「痴呆ではなく認知症という病名となり、
本人・家族ともに受診に抵抗がなくなった。
トラブルは年のせいではなく、病気にかかったためと考える患者が増えた」。

真田さんは、「介護保険の申請書には、認知症の有無を書かねばならず、
ケアマネジャーに受診を勧められ、認知症と診断される人も多い」。

以前は、認知症の患者がいることを隠したがる家族が多かったが、
最近では病気であることを話し、介護の協力を仰ぐケースが増えている。
受け入れをちゅうちょしていたデイケア施設なども抵抗がなくなった。
ケアワーカーも、認知症患者との接触の仕方を熟知している人が増えた。
認知症を取り巻く環境も、大きく変わりつつある。

認知症で最も多いアルツハイマー病の治療は、
症状の進行を年単位で抑える薬であるアリセプト(製品名・塩酸ドネペジル)
の登場で、新しい時代を迎えた。
「アルツハイマー病は、じわりじわりと進行、ある時点を境に、
一気に悪くなるといわれるが、早期に確定診断がついた場合、
アリセプトの服用で、ぐっと持ちこたえる患者が増えた。
患者の日常生活が、著しく改善された」

アルツハイマー病は、まだ完治できる疾患ではないが、早期発見、
早期治療によって、患者のQOLに配慮した医療・介護ができる時代に。
「菜の花診療所」で、認知症患者のうち、高知市とその周辺に住む患者は
1~2カ月に1回通院し、身体の動きや皮膚の変化などのチェックを受ける。
これから起こるであろうことへの対応策を家族とともに学ぶ。

認知症の治療・看護は、進行がんに似ている。
進行がん治療は、がんを克服するのではなく、上手にがんと共存して
患者のQOLを高めることに主眼が置かれる。
認知症も、病気と折り合いをつけ、患者の尊厳を維持するための支援が
広く行われるようになった。

しかし、認知症専門医不足は否めず、徘徊、抑うつ状態など、
周辺症状が十分コントロールできていない例も目立つ。
認知症の知識を十分もった介護スタッフが増えているが、
不眠、脱水症状などに対しては医療の介入が不可欠。

「かかりつけ医と専門医のネットワーク、医療と福祉の連携が
ますます大切になっている」。
末期になればなるほど、医療からの介入が必要。
認知症患者のための終末期医療の確立など、
解決しなければならない課題も山積。

アルツハイマー病研究は、発症を遅らせるのではなく、
βアミロイドの生成過程に着目した根本的治療薬の開発が進んでいる。

予防の研究で、筑波大学臨床医学系精神医学教授の朝田隆さんは、

茨城県利根町の高齢住民1052人を対象に、予防介入試験を行っている。
01年から5年にわたる試験では、エイコサペンタエン酸(EPA)や
ドコサヘキサエン酸(DHA)などのサプリメントの服用、早歩き、
サイクリングなどの有酸素運動、短時間の昼寝を取るなど睡眠の改善を
介入して行ったグループとしなかったグループで、
認知症の発症に差が出るかを観察。

その結果、介入群の認知症発症率は3・1%だったが、
非介入群では4・3%。
記憶、運動能力、うつ症状の改善などの点で、介入群が優れていた。
生活習慣病対策が、認知症対策にも有効であることが明らか。

厚生労働省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の
共同による国家的プロジェクト、J-ADNI
(Japanese-Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative)がスタート。

軽度認知機能障害(MCI)から初期アルツハイマー病への移行を示す
代替もしくは客観的マーカーを特定するために行う観察研究。
健常者(150人)、MCI(300人)、アルツハイマー病(150人)の3群に分け、
血液、脳脊髄液、磁気共鳴画像装置(MRI)や
陽電子放射断層撮影装置(PET)などのデータの変化を3年にわたって調べ、
発症時には、どのデータがどのように変化をするかを知って
診断基準を作ろうというもの。

J-ADNIの代表・東京大学大学院医学系研究科脳神経医学教授の
岩坪威さんは、「アルツハイマー病は、発症時には病理学的に進行し、
客観的指標がなければ治療薬の有効性評価は難しい」。
J-ADNIによって、アルツハイマー病の根本治療薬の開発が、
さらに活発化すると期待。
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◇介護通じて母と対話--女優・坪内ミキ子さん

介護は、終点が見えず、長期的視野でとらえられない。
途中で手を抜くと、それまでの苦労は水泡に帰してしまう。
だから無理をするということに。
介護をする側がつらいのはもちろんだが、される側も同様につらいことを
忘れないで、ゆとりを持って介護にあたること。

明治、大正、昭和、平成を生きた母は、宝塚歌劇団1期生の雲井浪子。
人一倍用心深く、娘には臆病にも見えるほど。
嫌いな牛乳を骨に良いからと飲み、外出時には私にしがみついて歩いていた。
そのおかげか、病気知らずの生活をしていた。
私が仕事で家を空けることが多く、「ゴッドマザー」の役割を担ってくれた。

その母が、96歳で転倒したことから、寝たきりに。
母は、絶望感から「攻撃」という形で抵抗したように思う。
あまりのつらさに「夜だけはオムツをして」と泣いて懇願すると、
「お願いだから、それだけはやめて」と涙で懇願された。
互いに相手の気持ちを思いやるゆとりはなく、
わが身のつらさだけをわからせようとわめき合った。

そんな時は、なりきり演技で息抜きをした。
病院の屋上にあがって介護者の役を、
例えば松坂慶子さんになったつもりで演じてみたりした。
退院をしてからは、仕事をやりくりし、
ヘルパーさんと役割分担を明確にして介護にあたった。
時間ができれば、日本画や書道の教室に通い、友人との小旅行にも出かけた。

102歳で母を見送ることができた。
母と共に闘った6年間は、今では、共に過ごした六十余年のどの時よりも密接に、
親密に母と対話していたように感じる。
介護を通して、「生老病死」について深く考えさせられた。
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◇家族が認知症に気づいた変化の発生頻度◇

1 同じことを何度も言ったり聞いたりする 45.7%
2 ものの名前が出てこなくなる      34.3%
3 置き忘れやしまい忘れが目立った    28.6%
4 時間や場所の感覚が不確かになった   22.9%
5 病院からもらった薬の管理ができない  14.3%
5 以前はあった関心や興味が失われた   14.3%
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※東京都福祉局:高齢者の生活実態及び健康に関する専門調査報告書より

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=68101