2008年12月13日土曜日

高コスト体質 地域医療の危機 揺れる県立病院再編案/2

(毎日新聞社 2008年12月5日)

「無床化は絶対に行わないこと」。
県医療局の新経営計画案を受け、入院ベッドを廃止する無床診療所化の
対象になった県立病院・地域診療センターがある地元6市町村の
首長、議長らが、達増拓也知事らに提言書を渡し、計画案に強く反対。

首長らは、突然の計画案公表に加え、04年2月に策定された
「県立病院改革プラン」で、県立病院が診療所化されてから、
長くてまだ2年半しか過ぎていないと反発。
06年4月に紫波、花泉を病院から入院ベッド19床の地域診療センターに
移行したのをはじめ、07年4月に大迫、伊保内を、今年4月に住田を
それぞれ診療所化したばかり。
住田町の多田欣一町長は、「4月の病床削減時、県は医療サービスは
維持すると言った。約束をほごにされた思いだ」

こうした批判を覚悟の上、県医療局は非公開で新経営計画案を検討。
来年度からの実施を急ぐ背景には、県立病院の厳しい財政事情がある。

新経営計画案や医療局などによると、国の医療費抑制政策のあおりを受け、
県立病院は02年度に医業収益が急減。
18億円の赤字を計上。
100億円以上確保していた内部留保残高は同年度、90億円台に転落。
翌03年度には、逆に累積欠損金が100億円を突破。
県医療局が立案したのが、改革プランだった。

施設規模の適正化や医療資源の集約化で、
単年度収支の均衡を目指した改革プランだったが、
黒字化できたのは05年度だけ。
相次ぐ診療報酬や薬価基準のマイナス改定などで、
06年度から再び赤字になり、07年度には内部留保残高が
37億6900万円まで落ち込んだ。
県医療局は、「現状のままでは数年後には枯渇する」

県立中央病院の望月泉副院長は、
「地域診療センターは、民間では考えられないほどコストを要している」
改革プランは、5病院の無床診療所化を掲げたが、
地元住民らは「地域から入院ベッドが失われる」と反対運動を展開。
それぞれ19病床を残し地域診療センターに移行することで妥協し、
結局は中途半端な経営形態だけが残った。
県医療局の細川孝夫次長は、「前回(改革プラン策定時)は、
地元の(ベッドを)残してくれという声を踏まえただけ」

この結果、5センターだけで07年度は7億2200万円の赤字を計上。
最大の要因は人件費。
紫波の場合、常勤医3人のほか、3交代で勤務する看護師が18人。
19病床の紫波では入院患者数よりも多い状況。

各地域診療センターの一般会計からの繰り入れを含む医業収益に対して
人件費の割合は、紫波116・1%、大迫115・8%、花泉132・7%、
九戸146・0%(07年度、08年度から診療所化の住田は除く)。
県医療局の根子忠美・経営改革監は、
「一般に自治体病院の場合、6割程度に抑えるのが望ましい」と
高コスト体質を認める。

九戸村の岩部茂村長は、「医師は不足しているのに、
看護師らスタッフはそろっている。
患者が減る分、赤字になるのは見えていたはず。
職員配置など柔軟に対応できなかったのか」と疑問を呈す。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&articleId=84404

山中教授が米バイオと協力  糖尿病治療の実現狙う

(共同通信社 2008年12月10日)

京都大の山中伸弥教授は、米バイオ企業ノボセル社と協力し、
人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、
インスリン分泌能力を持つ膵臓の細胞をつくる研究を始めると発表。

安全な細胞を作製して、糖尿病患者に移植することができれば、
画期的な治療法につながると期待。
京大が、iPS細胞研究で海外企業と提携するのは初めて。
山中教授は、「互いの技術を融合し、糖尿病治療の可能性を探りたい」

京大によると、ノボセル社は人の胚性幹細胞(ES細胞)から
インスリンを分泌する膵島細胞をつくるのに成功。
動物への移植実験で、糖尿病の改善効果も確認した。

山中教授は最近、iPS細胞の実用化を促進するため、
積極的に海外と協力する方針を表明。
今回は、両者の狙いが一致。

ノボセル社は、1999年設立。本社は米カリフォルニア州。
幹細胞を使った慢性疾患の治療法開発や創薬事業を手掛ける。

島津製作所が基金を拠出する島津科学技術振興財団は、
科学計測の基礎的研究で成果を挙げた功労者を表彰する
2008年度の島津賞に、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を開発した
京都大学の山中伸弥教授を選んだ。

賞金は300万円。
来年2月19日に京都市内で表彰式と、山中教授による記念講演を開催。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=84749

ホルモン低下が炎症起こす 徳島大、目の難病で解明

(共同通信社 2008年12月8日)

免疫異常で目の組織などに炎症が起きる難病の「シェーグレン症候群」が、
女性ホルモン低下に伴う特定のタンパク質の活性化によって
引き起こされるのを、徳島大の林良夫教授らのチームが解明。

この病気は、ドライアイや関節リウマチ、全身の疲労感などを伴い、
更年期の女性に多いのが特徴。

林教授は、「このタンパク質を薬などで抑えることができれば、
新たな治療法につながる可能性がある」

チームは、網膜のがんに関係する「RbAp」というタンパク質の一種に着目。
マウスを使った実験で、女性ホルモン濃度が低下すると、
RbApをつくる遺伝子が活性化し、過剰に働くとシェーグレン症候群に
似た症状が出るのを確かめた。

RbApは、涙腺などに細胞死を引き起こし、それが炎症反応をさらに
暴走させる悪循環を生んでいた。
林教授は、「更年期の女性が発症しやすいメカニズムがようやく分かった」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=84545

生きたがんだけ光らせる蛍光物質 治療効果の確認可能に 日米の研究チーム開発

(毎日新聞社 2008年12月8日)

生きたがん細胞だけを光らせる蛍光物質を、日米の研究チームが開発。
1ミリ以下のがんを見つけられるうえ、がん細胞が死ぬと光が消えるため、
治療効果を確認しながら手術や内視鏡治療ができる。

英科学誌ネイチャー・メディシン電子版に発表。
開発したのは、浦野泰照・東京大准教授(薬学)、
小林久隆・米国立衛生研究所主任研究員ら。

生きた細胞内では、「リソソーム」という小器官が弱酸性、
死んだ細胞では中性になることに着目。
乳がん細胞に結びつきやすく、酸性のときだけ光る物質を開発。

マウスの肺に乳がんが転移したという条件を再現したうえで、
蛍光物質を注射すると、1ミリ以下の肺がんが検出され
内視鏡で切除することに成功。

がんを殺すエタノールをかけたところ、約30分後に光が弱まり、
がん細胞の死を確認。米国で臨床試験の準備に入った。

PET(陽電子放射断層撮影)など現在の画像検査では、
1センチ以下のがんを見つけることや、
抗がん剤投与後の効果をすぐに確認することは難しい。
浦野准教授は、「小さながんを見過ごさず、切除できるので
誰もが名医になれるだろう」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=84579

「研究開発」誘致に本腰 県が条例拡充を検討

(岩手日報 12月8日)

県は、製造業の研究開発部門の誘致を一層促進するため、
知事が指定する特定区域で工場などを新設・増設する製造業に対して、
優遇措置を施す「特定区域産業活性化条例」を拡充する方向で検討。

景気悪化で、生産現場は縮小する産業界だが、
次世代を見据えた研究開発は不可欠。
首都圏に流出している県内の大学生らの雇用確保、地元定着率の向上にも
つながるだけに、条例拡充により「頭脳部門」の誘致に本腰を入れる。

同条例は、県と市町村が連携し、立地企業に対して不動産取得税免除、
法人事業税免除(3年)、不均一課税(2年)、固定資産税免除(3年)などの
優遇措置を施す制度。

▽投資規模や雇用人数などで決める大型補助(上限なし)
▽最大20億円の融資
▽行政手続きや人材確保、融資関係などのワンストップサービス

なども行い、総合的に企業を支援、地域の雇用確保、
経済活性化に結びつける。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20081208_3

地域が支える学校(7)独自基金 きずな強める

(読売 12月10日)

地域が、学校独自の教育活動を支える基金で奮闘している。

津市の新興住宅地にある市立南が丘小学校を会場にして開かれる
「南が丘ふれあいまつり」は3年目の昨夏、3000人が集まる大盛況に。
校区の世帯数に匹敵する人数。
大雨にたたられた今夏も、参加者は1500人を超えた。

同小には、「南が丘コミュニティ・ファンド」と呼ばれる基金がある。
町のシンボルに育ったまつりには毎年、この基金から10万円が助成。

ファンドは、地域住民が学校運営に参画するコミュニティスクールに
指定された2005年度から本格運用が始まった。
コミュニティスクールの協議機関である南が丘地域教育委員会
(法律では学校運営協議会)の委員長を務める会社員の辻林操さん(50)が、
ファンドの責任者も務めている。

ファンドの予算は、昨年度で128万円余り。
まつりへの助成のほか、70万円余りが、
学校の教育活動支援のために使われた。
5、6年を対象にして、秋に20講座ほど開講する選択教科の
外部講師の資料代などに7万9000円、全学年にほぼ週1コマ行う
英語科の授業の資料代に4万円といった具合。
学校要覧の印刷代、図書ボランティアの事務費、ボランティア保険などの
費用もまかなっている。

収入の7割はPTAから。
会費に上乗せする形で、1人月100円分を徴収。
残りは、寄付と、協力店を利用した場合の還元金。
地元を中心に、美容室、医院、飲食店、スポーツ用品店などが
協力店になっており、利用者がポイントカードや、押印したレシートを
事務局に届けると、売り上げの一部がファンドに入る。

ただ、事業所が点在する住宅街で、PRするスタッフも数人であるため、
今年度の協力店は7か所、寄付先を入れても24か所で、
スタート当初から伸びていない。
寄付の場合、景気にも左右される。
協力店になる利点をどうアピールするかも模索中。

昨年度から校長を務める中山佳之さん(54)は、
「地域のおかげで、教育内容が充実するのはありがたいし、
金額以上に、地域が学校に関心を持ってもらえる精神的な効果が大きい」

「充実させようとすればきりがないが、ソフト面での支援はほぼ満足のいく状態」
ファンドが地域のきずなを強めることに、ひと役買っているのは確かだろう。

◆少ない校長裁量予算

ベネッセコーポレーションによる2006年の調査では、
全国の市区町村教育長895人中、校長裁量予算があると答えたのは17.4%、
金額は50万円までで80%超、うち10万円までが32.1%。
公立小中学校長2345人の86.3%が予算不足と感じ、
学習活動の費用を増やしたいとする声が目立った。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081210-OYT8T00228.htm

2008年12月12日金曜日

世界遺産の保護に日本も衛星観測で協力

(サイエンスポータル 2008年12月3日)

衛星からの観測データを、世界遺産の監視と保護に活用する
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の活動に、
宇宙航空研究開発機構が参加。

衛星データを活用する活動は、ユネスコと欧州宇宙機関(ESA)によって
始められ、現在フランス国立宇宙研究センター(CNES)、
ドイツ航空宇宙センター(DLR)、カナダ宇宙庁(CSA)、
米航空宇宙局(NASA)など、24の宇宙機関が参加。

宇宙航空研究開発機構は、2006年1月に打ち上げた
陸域観測技術衛星「だいち」により、内外の世界遺産を含む
地上の観測を続けている。

今回の取り決めでは、国内の自然遺産として世界遺産に登録されている
白神山地、屋久島、知床、アンコールワット(カンボジア)、
四川ジャイアントパンダ保護区(中国)、サガルマータ国立公園(ネパール)、
マナス野生生物保護地区(インド)などアジアの世界遺産、
ユネスコから要請のあったカラクムル遺跡(メキシコ)、
マチュピチュ遺跡(ペルー)など10カ所程度の世界遺産を
年2回程度観測し、画像をユネスコに提供。

世界遺産は、1972年にユネスコ総会で成立し75年に発効した
「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」により
登録された遺跡や地域で、その数は現在、
文化遺産679件、自然遺産174件、複合遺産25件。

日本の条約加盟は92年と遅れたこともあり、
登録件数は、文化遺産11件、自然遺産3件。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0812/0812031.html

スキージャンプ即時解析へ 県立大グループ

(岩手日報 12月5日)

県立大ソフトウェア情報学部の村田嘉利教授らのグループは、
地磁気・加速度センサーをスキージャンプ選手に装着し、
飛び出す時の動作をデータ化するシステムの開発を進めている。

即時のデータ解析を通じ、踏みだす瞬間のポイントを把握するなど、
競技力向上につなげたい考え。
来年からは、ジャンプ台でのデータ取得を行い、2年以内の実用化を目指す。

研究しているのは、村田教授と佐藤永欣講師、及川正基さん(3年)の3人。
9月から研究を進め、模型などを使って実験。

センサーは、マッチ箱大。
選手のユニホームやヘルメットなどに装着し、回転や強さを計測。
パソコンに取り付けた受信器にデータを送り、三次元の動きをグラフに映し出す。

これまでは、ビデオカメラで撮影した「点」の動きを追うことで
解析する方法などがあったが、即時の解析は難しく、
複数のカメラが必要などの制約があった。

村田教授らが開発を進めるシステムは、
データを即時にパソコン上に表示することが可能。
一人の選手のジャンプを過去のデータと比べることや、
複数の選手との比較ができる。

今後は、実際のジャンプ台での計測を通して選手やコーチらの意見を聞き、
装着位置とデータとの関連を精査する。
将来的には、実際のフォームなどを写した画像とも
連動させたシステムを目指す。

村田教授は、「さまざまなスポーツの分野に広げていきたい」
県スキー連盟の山本進ジャンプ強化委員は、
「飛んだ直後に、アドバイスが可能になる。
よりよい指導ができるようになるのではないか」と歓迎。

アルベールビル冬季五輪複合団体で金メダルを獲得した三ケ田礼一さん
(県体育協会スポーツ特別指導員)は、
「スキージャンプは飛び出すところが勝負。
これまでは感覚的にやっていることが多かったが、
データとして選手にフィードバックできれば、選手強化につながるのではないか」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20081205_16

地元の反発 地域医療の危機 岩手・揺れる県立病院再編案/1

(毎日新聞社 2008年12月4日)

県立沼宮内病院など、6県立病院・地域診療センターで
入院ベッドがなくなる無床診療所化を柱にした
県医療局の新経営計画案が、地元自治体や住民の反発を招いている。
県は、全体で病床396床を削減する計画だが、
医療サービスの低下を懸念する声は強い。

一方、慢性的な医師不足や病院間の業務量の偏在、
約138億円の累積赤字(07年度末現在)を生み出すコスト高……と、
地域医療を取り巻く環境は厳しい。
一元的なサービスカットしか、道は残されていないのだろうか。
「県下にあまねく医療を」、と掲げる県立病院の理念と経営のはざまで
揺れる住民や現場の医師らの声を伝える。

◇がん対策20年「水の泡」 検診で医療費抑制--沼宮内病院

岩手町は、町民を対象に大腸がんや胃がんの無料検診を実施、
早期発見や医療費削減で成果を収める。
その中核を担うのが、県立沼宮内病院。

今回の突然の無床化案に、厚生労働省がん対策推進協議会委員でもある
町健康福祉課の仁昌寺幸子課長は、
「長年の取り組みが水の泡になる。国や県のがん対策にも反している」

同病院は05年度68・2%、06年度55・9%、07年度48・3%と、
3年連続で病床利用率が70%を下回り、
総務省の「公立病院改革ガイドライン」の基準に達しなかった。
そのため、計画案では現在60床ある病床が10年に無床化。

85年の町の循環器系がん検診受診率は、県平均50・5%に対して28・1%。
町はてこ入れしようと87年4月、沼宮内病院と町内の開業医で構成する
検診推進委員会を設置、89年には、がん検診の無料化を始めた。
90年、全国に先駆けて大腸がんの集団検診を開始。
06年度の受診率は県平均25・0%に対し、町は70・7%と大幅に上回った。

高い1次検診受診率を生かすため、町は病院と連携。町の保健師らが、
2次検査が必要な町民に精密検診を受けるよう個別に促す。
05年度には対象者のうち、精密検査を受けた割合が胃がんで90・3%と
県平均83・5%を超えた。
この結果、最多の03年度は31人、07年度も11人の早期がん患者を発見。

こうした取り組みは、医療費削減にもつながった。
町の03年度調査によると、患者1人あたりの年間医療費は
ポリープ段階だと32万円にとどまるが、早期がんで127万円、
進行がんだと278万円にも膨らむ。
早期発見によって、00年5月は2137万円だった町のがん関連医療費は、
07年5月には1300万円まで減少。

県医療局は、「がん検診は日帰りでも可能だ」と説明するが、
仁昌寺課長は「早期のポリープこそ、腸壁や胃壁を取って検査するため、
数日の入院が必要だ」と反論。
「病床稼働率70%以下という基準だけでなく、果たしている役割を見てほしい」

◇九戸は夜間・休日「無医村」

開業医が不在の九戸村。
現在19床ある九戸地域診療センターは、
計画案が実施されると来年度には無床化。
それに伴って夜間医師が不在になると、
「『午後5時』以降は無医村になる」(岩部茂村長)と危機感を示す。
過疎化を食い止めようと、村は今年9月、県内で初めて中学生までの医療費を
無料化し、従来の小学生から対象を拡大したばかり。

同村の会社員、中村幸男さん(57)の長男夫婦と孫3人は今春、
小学校の統廃合もあって滝沢村に引っ越した。
中村さんはつぶやいた。
「子供を育てるには心配なのだろう。
この村は、暮らすのがどんどん大変になっていく」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&articleId=84339

地域が支える学校(6)校長補佐役 市が派遣

(読売 12月9日)

校長を補佐する職員の配置を始める自治体が出てきた。

教師たちが翌日の授業準備やテストの採点を続ける
島根県出雲市立第一中学校の放課後の職員室で、
スーツ姿の男性が来客と話し込んでいた。
赤木亮一さん(48)。
名刺には、市教委学校教育課課長補佐と
スクールマネジャー」の二つの肩書。

「昨年より多くの生徒が参加しました。
小学生を助けて積極的に活動してくれました」
「来年度の活動の参考にするため、校長にも伝えます」

赤木さんの話し相手は、地元のコミュニティセンター長の鐘推晴夫さん(64)。
学校と地域が連携して行った清掃活動の報告に来た。

赤木さんの元には、たびたび来客がある。
外部との電話のやりとりも多い。
校長や教頭に代わって、地域との連絡役や交渉役を担う。
各校に1人、事務職員が配置されているが、
マネジャーは事務面での校長の右腕という位置付け。
法的な申請など、重要度の高い事務も請け負う。

普段は教員らと机を並べ、給食も一緒に食べる。
修学旅行にも一緒に出かける。

出雲市が、学校現場の支援を目的にスクールマネジャーの配置を
始めたのは昨年度からだ。
現在、市内の拠点校5校に5人の課長補佐を派遣。

手厚い支援には事情がある。
市は、出雲中央教育審議会の答申を受けて2006年度、
市立の全小中学校49校を、地域住民らが学校運営に参画する
コミュニティスクールに指定。

校長らから異論が出た。
学校運営に口出しされることへの抵抗感や事務的な負担増への懸念から。
地域や学校現場の主導ではないだけに、
指定後の取り組みで、学校間の温度差も招きやすい。

そんな課題を克服しようとしたのが、マネジャー配置という大胆な施策。
旧文部省出身の西尾理弘市長(67)の判断。

第一中の高瀬正博校長(60)は、「最初はスパイかと思ったよ」と言って
笑わせた後、真顔で続けた。「今ではなくてはならない存在だ」

学校と、運営方針を決める理事会(学校運営協議会)の理事との
連絡調整も、スクールマネジャーの業務。
赤木さんの存在で、同中では理事会の月1回開催が可能に。
職員としての経験を生かすことで、コピー用紙代節約など、
コスト削減という二次的効果も出ている。

この仕組みをどこまで広げるか、いつまで続けるのかについて、
市は方針を示していない。
スクールマネジャーが駐在していない大社小学校の松本俊憲校長(60)は、
「正直に言うと、常駐の学校がうらやましい。
ただ、一度慣れてしまうと、いなくなった時の反動も大きい。
市は、持続可能な仕組み作りに取り組んでほしい」と訴える。

学校を支援する自治体の本気度が問われている。

◆出雲中央教育審議会

2005年3月、近隣5市町と合併した新出雲市の誕生を機に、
同年7月、市長の諮問機関として設置。
同12月、第1次答申として全市立小中学校をコミュニティスクールとするよう提言。
07年6月、出雲市教育政策審議会も常設され、
学校運営の在り方や人材育成の議論を続けている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081209-OYT8T00224.htm

入浴:全身浴10分、肩こり解消 同時にストレッチで予防効果も

(毎日 12月5日)

寒く、慌ただしい時期を迎えた。
1年の疲れを、心身に感じている人も多いだろう。
だからこそ、ゆったりとお風呂につかりたくなる。
こりや痛みを解消する効果的な入浴法を紹介。

「大学時代は、今以上に頑固な肩こりに悩まされた」と、
自由形やバタフライを専門としていた元鹿屋体育大水泳部主将の
須藤明治・国士舘大准教授(運動処方学)。

激しい運動で、筋肉に過度の疲労が蓄積したのが原因。
逆に、運動不足でも血行不良となって肩こりになる。
最近はパソコンを使う時間が増え、長時間同じ姿勢を強いられる。
その結果、肩の筋肉が緊張して硬くなり血行不良に。

東京ガス都市生活研究所が、インターネットを使って首都圏に暮らす
20~60代の750人に聞いたところ、
女性では20~40代で8割、男性では20~50代の過半数が肩こり。

須藤准教授が、自分の肩こりを緩和したいと考え、
注目したのがお風呂やプール。
水中では、浮力によって体にかかる負荷が3分の1程度に。
筋肉は弛緩し、血管が広がり血行が促進。
静脈は、水圧を受けて心臓に戻る血流量が増え、心臓の負担も軽くなる。

須藤准教授が胸下まで15分間、35度前後のお湯につかった約10人で測定し、
血圧が10~30ミリHg下がった。
肩周辺の血流量が、10~20%増えることも確認。

東京ガスは11人を対象に、入浴の仕方(全身浴か半身浴)、湯温(38~40度)、
入浴時間(10~15分)を変えて、肩の張りを「筋硬度」という指標で測定。
肩こり解消の効果が最も高かった組み合わせは40度、10分間の全身浴で、
風呂を出てから少なくとも30分間、肩の筋肉が柔らかくなっていた。
入浴が難しければ、ひじから指先までを42度の湯に20分間つけても、
筋硬度は6%程度下がった。

須藤准教授は、入浴のついでにストレッチを勧める。
入浴中の筋活動は、リラックスしているため、
少ない負担で関節を動かすことができ、
筋肉や関節の痛みをほとんど感じることがない。
関節の周りを取り巻くように付いている体の内側の筋肉を使うことで、
関節の可動範囲が広がり、腰痛や肩こりの予防になる。
==============
◇入浴効果を高めるコツ

<1>脱衣場と風呂場の気温差をなくす
脱衣場で服を脱いだとき、冷たい空気にさらされると血管が収縮し、
そのまま入浴すると体に負担がかかる。
脱衣場と風呂場の間のドアを開けておく。

<2>入浴前にコップ1杯の水を飲む
入浴中は、200~300ミリリットルの汗をかく。
水分が失われると、血液が濃縮して流れが悪くなり、血栓ができる恐れ。

<3>湯温に注意
42度以上の熱い風呂では血圧が上がるので、
40度以下のややぬるめが好ましい。
ストレッチをするときには、入浴時間がやや延びるので35度前後に。

http://mainichi.jp/life/health/news/20081205ddm013100144000c.html

最も健康な州、2年連続でバーモント 最下位はルイジアナ

(CNN 12月4日)

米国で最も健康な州はバーモント州だったことが、
2008年版の全米健康ランキングで明らかに。
バーモント州のトップは2年連続。最下位は、ルイジアナ州。

全米健康ランキングは19年前から、
ユナイテッド・ヘルス・ファンデーションと米公衆衛生協会(APHA)などが調査。
調査項目は喫煙率や肥満率、保険加入率など。

2008年度版のランキングによると、バーモント州は喫煙率が17.6%まで
低下したほか、肥満率の増加が全米平均を下回り、保険未加入率が低い。
バーモント州のランキングは調査開始時は16位、
過去8年間で順調に順位を上げた。
医療を受けられない貧しい子供たちが少なく、喫煙率は1990年から43%低下し、
新生児の死亡率は37%下がった。

ハワイ州が、前年の3位から2位に上昇。
3位ニューハンプシャー、4位ミネソタ、5位ユタ、6位マサチューセッツ。

ユタ州の喫煙率は全米で最も低く、
マサチューセッツ州は保険未加入率が全米で最低。

最下位はルイジアナ州で、肥満率が高く、保険未加入率が高かった。
昨年の最下位だったミシシッピは、49位にランクをひとつ上げ、
48位サウスカロライナ、47位テネシー、46位テキサス。

全米50州のうち、調査項目が昨年から向上したのは36州で、14州が悪化。
向上率が大きかった州は、アーカンソーやニューメキシコ、ケンタッキーなど。
逆に、昨年からほとんど改善が見られなかったのはテキサスやモンタナ。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200812040027.html

2008年12月11日木曜日

地域が支える学校(5)交流施設が「接着剤」に

(読売 12月6日)

学校作りと地域作りが、新しい学校で同時に進む。

創立4年目の横浜市立東山田中学校で、
250人近い3年生への模擬面接が行われた。
面接官役は、会社役員、元高校教師、ボランティア活動家、
町内会長など、地域住民25人。

生徒たちは教室で個別に、志望理由などの質問を受け、
マナーについて意見を聞き、3段階で評価も受けた。
高校の推薦入試を受ける生徒にとって、面接はまもなく経験する試練。
これまでは、担任や校長らの指導を受けるだけだったが、
本番に近い形での練習の場となった。

「生徒に、いい意味の緊張が見られた。面接官役の皆さんも、
『こういう形で中学生とかかわったのは初めて。
普段とは違う一生懸命な姿を見ることができてよかった』」と斎藤悦子校長(56)。
「地域の人に満足してもらえて、私たちもうれしい」と、
地域住民の交流施設コミュニティハウスの竹原和泉館長(58)。
初めての試みは大成功。

横浜ニュータウンにある東山田中は、開校と同時に、
地域住民が学校運営に参画するコミュニティスクールの指定を受けた。
初代校長は、インターネット商取引大手「楽天」の元副社長、本城慎之介さん。
32歳の校長として当時、注目を集めた本城さんを2年間、
副校長として支えたのが斎藤さん。
地域活動の経験が豊富な竹原館長は現在、コミュニティスクールの
協議機関である学校運営協議会の副会長。
2人の女性が、コミュニティスクールを引っ張っている。

運営協議会では当初から、子供たちに将来を考えさせるキャリア教育を、
学校支援プロジェクトの柱に据えてきた。
子供たちの将来は、地域の将来とも密接な関係がある。
支援してくれる地元の事業所向けに、「10年後の社会人
中学生のために地域の大人ができること」と題したハンドブックも作った。

1年生は自分を見つめ、職業や社会について知る。
2年生で職業体験をさせる。
3年生は自分の進路を決めるために高校や事業所を見学する。
昨年の職業体験後の反省会の場で、
教員が「来年、地域の方に面接をやってもらえればありがたい」と
提案したのが、今回の催しにつながった。
竹原館長らが、ハウスに集う人たちを中心に声をかけた。

学校支援プロジェクトのもう一つの柱が、仲間意識を育むシンボルマークの制作。
公募作品の審査には、イラストレーターの日比野克彦さんも加わり、
地元の名所の山田富士と東山田の「ひ」の字を組み合わせた、
ユーモラスなマークが選ばれ、「やまたろう」と名前もついた。
すでに、マーク入りのバンダナやあめができている。

ハウスには、地域住民だけでなく、保護者や中学生自身も姿を見せる。
習字教室の先生が中学校の卒業証書の文字を書くといったことが、
ごく自然にできる。

ハウスが、学校と地域のつなぎ役になっている。

◆コミュニティハウス

地域住民が、生涯学習的な活動をするための横浜市独自の施設。
中学校区単位で約20年前から整備が始まり、現在108か所ある。
空き教室などを使った学校併設型85か所では、
地域と学校の交流・連携を深めることも目的にし、
以前はコミュニティスクールと呼ばれていた。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081206-OYT8T00185.htm

ひどい上司を持つと心臓に悪い

(WebMD 11月24日)

自分の上司は不公平だ、気まぐれだ、思いやりがない、
全体的に管理能力に欠けると考えている人は、
心臓発作などの心臓病になるリスクが高いことを、
スウェーデンの新たな研究が明らかにした。

ひどい管理者のせいで、一般社員がストレスを感じている場合、
心臓病の長期リスクがさらに上昇する。
『Occupational and Environmental Medicine』に報告。

1992~1995年、男性一般社員3000人以上の心臓の健康状態を追跡。
2003年までに虚血性心疾患により入院、死亡した患者に関する
全国患者登録データと、この職業的健康記録を照らし合わせてみた。

10年間にわたる調査期間で、心臓発作、不安定狭心症、心停止などの
致死的および非致死的心臓疾患イベントが74例認められた。
部下が管理者を有能と評価すればするほど、重篤な心臓病のリスクは低い。

管理者のリーダーシップに対する認識と部下の重篤な心臓病リスクの関連性は、
部下の勤続年数が長いほど高かった。
ひどい上司によるストレスは、時間とともに増大することが示された。
社員の重篤な心臓病を予防するため、
会社は部下の評価に基づいて、管理者の不足能力を改善する手だてをとるべき。

カロリンスカ研究所、ストックホルム大学ストレス研究所のAnna Nyberg氏は、
「存在感があり意欲的な管理者とは、体制をつくり、情報を提供し、
社員を支えてくれる管理者で、部署が悪い方向にいかないよう対策を講じる。
ストレスによる部下の生理的変化を悪化させるのではなく、
その再生を促すのではないか」

参加者らは、ある評価体系を使って、コミュニケーションやフィードバック能力の高さ、
変化対応時の成果、目標設定能力、部下に任せた仕事の量などに関し、
上級管理者を評価。

その結果、リーダーシップスコアが高ければ高いほど、心臓病のリスクが低下。
この関連性のロバスト性は、「教育、社会的階級、収入、監督的立場、
仕事時に感じる身体的負荷、喫煙、運動、[BMI]、脂質、フィブリノゲン、
糖尿病を補正の上で」確認。
ひどい上司は、その下で働く人の健康や寿命にまでも悪影響を及ぼす可能性が。

別の研究で、身体的・精神的に有害だと思う職場環境にさらされている
社員の心血管疾患リスクは50%も高かった。
「特に職場の心理社会的ストレッサーは比較的多いので、
臨床的意味は大きい」

管理者の行動の質に対する認識が部下の健康に影響するとの
エビデンスは増えている。
部下が意識的にみている点は、上司の「思いやりある行動」、
どれだけ上手く部下に知的刺激を与えられるか、
部下とのコミュニケーション能力であった。

上司の評価に使われた質問には、「私が何か失敗すると、
上司にかなりきついことを言われる」といったものや、
管理者がいかに上手く期待していることを伝えられるかについて聞くものも。

情報伝達に難がある(単に否定的意味でなく)と思われている上司の部下は、
心臓病を発症するリスクが高い。
手始めに、管理者の仕事能力を高める訓練をしてみてはどうか。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=84203

筋繊維鞘に局在する nNOSは軽度の運動後の活動性維持に必要である

nature 2008年11月27日号Vol.456 No7221 / P.511-515

筋繊維鞘に局在する nNOSは軽度の運動後の活動性維持に必要

多くの神経筋疾患は、運動誘発性疲労応答の増大が特徴であり、
これは活動強度とは比例しない。
この疲労は、患者の中枢性あるいは末梢性のより強い疲労と
必ずしも相関することはなく、
明らかな身体疾患なしに重度の疲労を起こす患者もいる。

特定の代謝障害により起こる筋疾患を除いて、
この種の疲労の原因となる機構はまだ不明である。
有効な治療方法が存在しないため、この型の不活動性は
身体障害の主要な原因となる。

今回我々はマウスモデルを用いて、この激化した疲労応答が
筋肉に特有の力発生の消失とは異なること、
骨格筋での神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)による、
筋繊維鞘局在性のシグナル伝達が軽度の運動後の活動性の維持に
必要であることを示す。

nNOSヌルマウスでは、筋肉の病態はみられず、
筋肉特有の力が消失することもないが、
軽度の運動に対する疲労応答が増大する。
nNOSが筋繊維鞘に局在しないマウスモデルでみられる
長期にわたる不活動性は、cGMPシグナル伝達を薬理学的に
増強することによってのみ軽減できた。

cGMPシグナル伝達は、軽度の運動に反応して起こる
一酸化窒素シグナル伝達中に、筋肉のnNOSが活性化された結果として生じる。

我々の結果は、軽度の運動後の疲労激化の原因となる機構は、
筋繊維鞘に局在するnNOSからの収縮惹起性シグナル伝達の欠損であり、
この欠損は軽度の運動後に活動した筋肉に栄養を補給する
血管のcGMP介在性血管調節の低下をもたらすことを示唆。

さまざまな筋疾患の患者多数からの生検標本で、
筋繊維鞘のnNOS染色が減弱しており、
これは疲労が共通の機構によって起こることを示唆。

我々の結果は、軽度の運動に対して激しい疲労応答を示す患者は、
運動誘発性シグナル伝達を改善する治療戦略に応答して
臨床症状が改善される可能性を示している。

[原文]Sarcolemma-localized nNOS is required to maintain activity after mild exercise

Yvonne M. Kobayashi1,2,3,4, Erik P. Rader1,2,3,4, Robert W. Crawford1,2,3,4, Nikhil K. Iyengar4, Daniel R. Thedens5, John A. Faulkner7, Swapnesh V. Parikh4, Robert M. Weiss4, Jeffrey S. Chamberlain8, Steven A. Moore6 & Kevin P. Campbell1,2,3,41.Howard Hughes Medical Institute,2.Department of Molecular Physiology and Biophysics,3.Department of Neurology,4.Department of Internal Medicine,5.Department of Radiology,6.Department of Pathology, University of Iowa, Roy J. and Lucille A. Carver College of Medicine, 4283 Carver Biomedical Research Building, 285 Newton Road, Iowa City, Iowa 52242-1101, USA 7.Department of Molecular and Integrative Physiology, University of Michigan, 2031 Biomedical Sciences Research Building, Ann Arbor, Michigan 48109-2200, USA 8.Department of Neurology, University of Washington School of Medicine, HSB, Room K243b, Seattle, Washington 98195-7720, USA

Many neuromuscular conditions are characterized by an exaggerated exercise-induced fatigue response that is disproportionate to activity level. This fatigue is not necessarily correlated with greater central or peripheral fatigue in patients1, and some patients experience severe fatigue without any demonstrable somatic disease2. Except in myopathies that are due to specific metabolic defects, the mechanism underlying this type of fatigue remains unknown2. With no treatment available, this form of inactivity is a major determinant of disability3. Here we show, using mouse models, that this exaggerated fatigue response is distinct from a loss in specific force production by muscle, and that sarcolemma-localized signalling by neuronal nitric oxide synthase (nNOS) in skeletal muscle is required to maintain activity after mild exercise. We show that nNOS-null mice do not have muscle pathology and have no loss of muscle-specific force after exercise but do display this exaggerated fatigue response to mild exercise. In mouse models of nNOS mislocalization from the sarcolemma, prolonged inactivity was only relieved by pharmacologically enhancing the cGMP signal that results from muscle nNOS activation during the nitric oxide signalling response to mild exercise. Our findings suggest that the mechanism underlying the exaggerated fatigue response to mild exercise is a lack of contraction-induced signalling from sarcolemma-localized nNOS, which decreases cGMP-mediated vasomodulation in the vessels that supply active muscle after mild exercise. Sarcolemmal nNOS staining was decreased in patient biopsies from a large number of distinct myopathies, suggesting a common mechanism of fatigue. Our results suggest that patients with an exaggerated fatigue response to mild exercise would show clinical improvement in response to treatment strategies aimed at improving exercise-induced signalling.

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/nature/200811/nature/7221/01.html?Mg=3b7443f9dd2f0a39369f8b184d2478b8&Eml=12b55b931cb52b4152963c77864c5aec&F=h&portalId=mailmag

「家で勉強しない」中学2、3年で9% 県教委調査

(岩手日報 12月8日)

県教委が児童生徒を対象に実施したアンケートで、
「学校の授業以外の勉強時間」を調べたところ、
中学2年、3年で「ほとんどしない」と答えた生徒が9%いた。

学年が進むにつれて、学習内容が理解できなくなり、
意欲が低下する生徒が増えることなどが要因。
県教委は、県PTA連合会に、家庭学習の環境づくりに協力するよう
初めて要請するなど、学校、家庭が一体となった取り組みを進めている。

アンケートは、10月1日に行われた学習定着度状況調査に参加した
市町村立の小中学校の小3から中3までの全児童生徒約8万7000人が対象。

「授業以外で1日どのくらい勉強しますか」という質問に、
1時間以上と答えたのは小3、小4は34%、小5は46%、小6は52%。
中1は60%、中2は47%、中3は最も多く61%。

一方で、「ほとんどしない」と答える児童生徒の割合は、
中2、中3で最も多く9%。
小3、小4は5%、小5は4%、小6、中1は最も少なく3%。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20081208_1

ロンドン五輪の建設コスト、1カ月135億円と

(CNN 12月4日)

世界的に景気が後退する中、2012年のロンドン五輪に向けた
建設コストが、1カ月あたり1億4700万ドル(約135億円)に達していると、
テッサ・ジョウェル五輪担当相が明らかに。

五輪の総予算は、138億ドル(約1兆2696億円)、
このうち64%は政府が負担、11%が納税者の負担。

ジョウェル五輪担当相は、これ以上の公的資金を投入することはないと強調。
建設計画面でも予算面でも、順調に進んでいる。

世界的な景気後退の中で、莫大な資金をかけて開催する五輪は、
ロンドンにとってプラスになると指摘。
「五輪開催は、経済的な金メダル。投資のためのカンフル剤だ」

http://www.cnn.co.jp/sports/CNN200812040012.html

2008年12月10日水曜日

地域が支える学校(4)郷土を愛する心育む

(読売 12月5日)

徹底した郷土学習が、地域住民と子供たちの心をつなぐ。

広島県尾道市立土堂小学校は、瀬戸内海を見下ろす高台にある。
5年生の郷土学習は、卒業生でもある作家、林芙美子の生涯を
調べるために、50人が4班に分かれて街に出た。

ある班は、芙美子の育った家を訪れた。
講師役は小森マリ子さん(59)。
隣接する喫茶店「芙美子」を夫婦で経営し、家屋も管理する。

「この家から、皆さんと同じように学校前の70段の階段を上って通ったんですよ」、
「幼い頃は貧しかった。でも、努力は夢をかなえてくれることを忘れないで」。
メモをとる子供たちの表情が引き締まる。
家は1階が土間で、2階に5畳ほどの和室がある。
「狭い中、親子3人で暮らしていたんだ」と子供たちは驚いた様子。

「子供の姿が地域にあるだけで、住民には大きなエネルギーになります」。
説明の後、小森さんは強調した。

土堂小は県内唯一、地域住民らが学校運営に参画するコミュニティスクール。
3年前に指定され、学校運営の柱となるミッションステートメントに
郷土学習を盛り込んだ。

郷土学習は、全学年で行われている。
低学年は学校周辺の探索から始め、高学年は、映画や文学など、
テーマごとに尾道の歴史を調べる。
学んだ内容で児童が俳句を作り、商店街の空き店舗に展示するなど、
地域住民に見える形で成果も披露。
祭りや敬老会など、毎月、地域住民とかかわる機会もある。

「尾道には小道が多い。すれ違えば、子供も大人も自然とあいさつを交わす。
地域と触れ合う文化を授業の中でも大切にしたい」と松原隆二校長(57)。
コミュニティスクールの協議機関である学校運営協議会が昨年、行った
アンケートでは、「子供が尾道に愛着を持つようになった」
と感じる保護者が96%もいた。
郷土学習担当の藤井浩治教諭(47)は、
「知識を増やすだけでなく、住民から生き方も学んでほしい」と期待。

確かな基礎学力を身に着けることも、協議会が掲げる同小の大きな目標。
2003年度から3年間、校長を務めたのは、
「百ます計算」で知られた陰山英男・立命館大教授。
「読み・書き・計算」の徹底した反復学習の指導は、その後も受け継がれている。

陰山さんが校長になった初年度、同小は特例的に全市から通えるようになり、
翌04年度からは全市で学校選択制を導入。

11月に行われた新入生の保護者向け公開授業。
学区外に住む男性会社員(33)は、
「元気のある子が多く、郷土学習にも好感を持っている。娘をぜひ入学させたい」

同小には、選択制の導入以降、学区外から通える子供の定員を
常に上回る40~50人の入学希望者がある。
その数字は、かつては、廃校のうわさが出た学校の運営方針が
支持されていることの証しと言える。

◆ミッションステートメント

「行動指針」のような意味で使われる。
土堂小では、学校運営協議会が理想の学校像を明文化した。
〈1〉基礎・基本を大切にし、確かな学力を育む学校
〈2〉尾道の魅力を追求する学校
〈3〉コミュニケーション能力を育てる学校
〈4〉学ぶ力と遊ぶ力と生きる力を育む学校
〈5〉児童・保護者・地域がともに学び運営する学校――を掲げている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081205-OYT8T00182.htm

五輪東京招致、北島ら選手主導で支援団体設立へ

(読売 12月6日)

2016年夏季五輪の東京招致で、
選手主導の活動支援団体が設立される見通し。

北京五輪競泳金メダリストの北島康介(日本コカ・コーラ)ら
五輪、パラリンピックの選手らが中心となり、
競技団体を横断する形で呼びかけている。

12日に国立代々木第1体育館で計画されている招致イベント
「東京招致サポーター代々木集会」で旗揚げされることに。

開催都市を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会を、
来年10月に控える招致レースは、
東京が今夏の候補都市絞り込みで最高の評価を得た。

一方で、東京は国内世論の盛り上がりが欠けるといわれてきた。
この団体は、世論を盛り上げるため、選手たちが
「選手自身の言葉で、東京招致の意味を直接呼びかけよう」と発案。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20081205-OYT1T00698.htm

飲み込むだけで患部発見 カプセル内視鏡を開発 「経済ウイークリー」〈この人・この仕事〉オリンパスメディカルシステムズの笹川克義さん

(共同通信社 2008年12月3日)

入社以来、内視鏡の開発を担当してきた。
当初は、「カメラ開発を希望していたこともあって、何の知識も持ってなかった」
2005年、国内メーカーで初めてカプセル型の内視鏡
「エンドカプセル(小腸用)」を海外で発売。
日本では今年10月に発売にこぎ着けた。

内視鏡の形や機能は、日進月歩で開発が進んでいる。
先端にレンズの付いた管をより細くして、
患者の負担が減るよう研究開発が続いてきた。

究極は、飲み込むだけのカプセル型内視鏡だ。
その案自体は、20数年前からあった。当時は実現できる技術がなかった。
開発したカプセル内視鏡は外径11ミリ、長さ26ミリ。
それ自体は動かない。

小腸はぜん動運動があり、小腸の直径がカプセルよりも少し大きいため、
腸壁の隅々まで撮影できると考えた。
リアルタイムで映像が見えて、1秒間に2枚、計約6万枚を撮影して
無線で受信装置に送信する。
「自分の仕事が人の命を救うことに役立っている。やりがいを感じます」

今は、病気になる数や患者数が多い胃や大腸に使えるカプセル内視鏡や、
病変を識別できる特殊な光線を研究。
「苦痛なく検査できる機器が増えている。
早期発見、早期治療のためにも、
内視鏡検査がもっと身近なものになってほしい」

49歳。新潟市出身。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=84232

カンボジアの小学校に運動場完成 体育教育も指導、有森代表NPO

(山陽新聞 12月6日)

岡山市出身の五輪メダリスト有森裕子さんが代表のNPO法人
「ハート・オブ・ゴールド」(HOG)が、
カンボジアの小学校に整備していた運動場が11月末に完成。

1970年代の内戦で、教育体制の整備が遅れている同国での
本格的な体育の普及に向け、現地教諭らに体育の指導方法を
伝授するため、メンバー約30人が岡山を出発。

HOG発足10周年の記念事業で、
岡山県からの支援や協賛者の寄付などで約150万円を集め、
同国西北部シェムリアップ州のチェイ小に整備。

運動場は、広さ約5000平方メートルで、サッカー、バスケットボール場、
50メートル走のコースなどを備える。

同小で8日、吉備国際大社会学部スポーツ社会学科の小原信幸教授らが、
同州内6小の教諭らに陸上やサッカーなどの指導法を講習。
9日は、児童も参加して体育の授業を行う。

http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2008/12/05/2008120523353852000.html

高塩食で血圧上昇 岡山大が仕組み解明

(共同通信社 2008年11月25日)

食事などで塩分を取りすぎた際に、
「コレクトリン」というタンパク質が腎臓で働いてナトリウムを
体内に取り込み、血圧を上昇させているのを、
岡山大の和田淳講師(代謝内科学)らの研究チームが、
米医学誌サーキュレーションに発表。

食塩に含まれるナトリウムが血圧を上げるのはよく知られているが、
体内調節の詳しい仕組みは分かっていなかった。
和田さんは、「コレクトリンの働きを調節する物質が見つかれば、
新たな高血圧治療法につながりそうだ」

チームはラット実験で、高塩食による代謝の変化を観察。
塩分が乏しい時に、ナトリウムを体内に取り込む仕組みとは別に、
塩分が多いと腎臓の細胞膜の表面にあるコレクトリンが活性化し、
血圧を上げる仕組みがあるのを発見。

高血圧は、脳卒中や心筋梗塞など生活習慣病の一因だが、
発症には個人差がある。
和田さんは、「人によって、コレクトリンの働きが違うのが理由ではないか」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=83533

2008年12月9日火曜日

地域が支える学校(3)校区統合 深まる交流

(読売 12月4日)

統廃合でできた新しい学校が、新しい地域作りを模索する。

岐阜市立岐阜小学校の校庭に集まった大人のウインドブレーカーの背には
京町小学校、テントの屋根には金華小学校の文字が読めた。
テントの下では、京町地区の藤沢真一さん(76)と
金華地区の西野洋一さん(74)の両自治会連合会長が談笑する姿。

岐阜小は今春、市街地にある両小学校が統合してできたばかり。
旧京町小を使っていて、旧金華小の敷地に新校舎ができる。
統合を機に、地域が学校運営に参画するコミュニティスクールの指定を受け、
その公表会を11月15日に初めて開いた。

午前中は、地域住民らもかかわる授業を公開。
校庭で、昼食のおにぎりと豚汁が振る舞われた。
午後は、グループ単位で全学年が地域に出る「ふれあい学習ウォーク」。
子供たちは戦前からの和菓子店、創業100年を超える酒店などを訪ねて
話を聞き、用意されたクイズにも挑んだ。

この日の催しに参加したのは、児童約400人を含む1000人近く。
「ウォーク」の引率や街頭での交通安全指導にも、
保護者や地域住民がかかわった。
高木満夫校長(60)は、校庭を埋める人を見て、
「岐阜小として最初の大きなイベント。
こうした催しで、地域の人間関係が深まるのが何より大事です」と感慨深げ。

この日は、学校運営の方針を承認する学校運営協議会も開かれ、
席上、「地域に守られている、育てられていることを日々、実感しています」
といった保護者の声が紹介。

ただ、地域の融合はそれほど簡単ではなかった。
旧金華小の校区は、織田信長時代からの城下町で、観光スポットも多い。
旧京町小は下町で、かつては市役所も県庁もあった。
ともに地域が長い歴史を持ち、世帯数も拮抗。
小学校の歴史も、ともに130年を超えていた。

統合前の準備期間を経ても、盆踊りや運動会、お祭りなどの地域行事は、
現在も別々に開く。
現状では、互いの行事に、もう片方の旧校区の子供たちも、
希望すれば受け入れる形を取っている。

公民館もそれぞれにある。
自治会の活動資金の工面の仕方も違う。
下校時の安全確保のための指導も、元々、片方では実施しておらず、
統合を機にスタート、自治会の境で引き継ぐことに。

「伝統は守りながらも、子供を中心に考え、できるだけのことはする」
という点で、両自治会長の思いは一致。

学校運営協議会でも、両自治会の行事の話題が出る。
会長を務める鈴木誠・岐阜経済大教授(コミュニティー政策)は、
「地域社会を再構築するモデル」とみる。

少子化で、全国的にも急激に進む学校の統廃合。
それを機に、コミュニティスクールとして再出発するのは、
新たに地域を作る有効な手段となりそう。

◆減り続ける公立小学校

公立小学校2万2420校の学級規模は、半数が11学級以下。
2001年度以降、毎年200校を超えるペースで小学校が廃校に。
昨年11~12月に実施した読売新聞社の全国調査では、
今後ほぼ5年以内に、統廃合によって小学校が800校以上減る見通し。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081204-OYT8T00230.htm

野口英世医学賞 HCV増殖「治療薬開発可能に」 感症研・脇田氏喜び

(毎日新聞社 2008年12月2日)

第52回野口英世記念医学賞(野口英世記念会主催)に選ばれた
国立感染症研究所ウイルス第二部長の脇田隆字さん(50)
名古屋市を訪れ、受賞の喜びを語った。

脇田さんは名古屋市出身。
名古屋大学医学部卒業、同大学院修了後、米国に留学。
東京都神経科学総合研究所主任研究員などを経て、06年から現職。

受賞内容は、「培養細胞におけるC型肝炎ウイルス(HCV)増殖に関する研究」。
世界で初めてHCVの培養増殖に成功し、
HCV感染症の研究に貢献したと評価。

脇田さんは、「HCVは、89年に発見されてから15年間も増殖できなかった。
偶然の助けもあったが、増殖の成功で新しい治療薬やワクチンが
開発できるようになった」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=84088

大船渡市で3首長会談 「気仙は一つ」会議開催合併の認識に依然隔たり

(東海新報 12月5日)

「気仙は一つ・三首長会議」が、大船渡市民文化会館・リアスホールで開かれた。
大船渡市の甘竹勝郎市長、陸前高田市の中里長門市長、
住田町の多田欣一町長の3首長は、広域連携推進などについて会談、
「気仙は一つ」の考え方を再確認し、
規約をつくり、年4回程度のペースで今後開催することで合意。

合併については、大船渡市長が推進、陸前高田市長と住田町長が
当面単独、自立の姿勢をそれぞれ示し、認識の相違が改めて浮き彫り。
今後の具体的な行動事項、課題としても、
合併に関する協議は盛り込まれなかった。

3首長会議は、気仙地区広域行政推進会議以来の開催で、
甘竹市長の呼びかけに中里市長、多田町長が応えた。
「腹を割った形で、喧々諤々の議論をしたい」(甘竹市長)と非公開で行われ、
約1時間会談を行った。

会議組織の会長に選出された甘竹市長が、
「二市一町の広域連携をさらに進めていこうとの結論に達した」
組織を立ち上げて規約を決め、今後年4回開催していくことなどを明らかに。

会議では、「気仙は一つ」を再確認。
県立病院の医療体制充実に向けた県要望や、
世界遺産登録を目指す平泉との連携の中で、
産金地・気仙の広域的観光を推進する点を、
具体的に行動すべき事項として確認。

連携すべき課題には、
▽大船渡港の多目的ターミナル等の利用促進
▽三陸縦貫自動車道、主要幹線道路の整備促進
▽産業振興、企業誘致と雇用の創出
▽県営津付ダムの建設整備促進
▽県立病院の医療体制の充実
▽県立高校の充実強化
▽産金気仙の広域的観光の推進――の七項目を挙げた。

3首長は、現在における合併への考え方についても明らかに。
甘竹市長は、「気仙地区の発展と住民福祉向上のためには、
より強固な行政基盤が重要で、緊密な広域連携を進め、早期の合併が必要」、
平成22年3月の合併新法期限が近づく中で推進姿勢を強調。

中里市長は、「将来にわたって合併を否定するものではないが、
『当面単独市』を掲げて自助努力をしている。
広域連携は、最重要課題にとらえている」、

住田町長は、「もとより合併を否定していない。
『自立・持続』のまちづくりを進めているが、今後、広域連携を進める中で
最も良い行政の形が合併であれば、その方向に進むこともある」とし、
従来の考え方を改めて示した。
両首長とも、合併新法期限内の実現については「考えていない」。

3首長間における合併への認識には、隔たりがあることが浮き彫り。
具体的な行動項目や課題に、合併協議が盛り込まれなかったことについて、
甘竹市長は、「合併を否定はしないという点では一致しているが、
期限内かどうかにはさまざまな意見がある。
必要に応じて話し合う形になるのでは」
期限内合併実現への難しさについては、
「この問題は生き物であり、推進意見が台頭するかもしれない。
今後の動きを見たい」

陸前高田市長、住田町長はともに、
「気仙を割った形での合併はするべきではない」とし、
将来的な合併の姿は気仙2市1町が望ましいとの考えも強調。

「気仙は一つ」の考え方と、両市町が掲げる単独市、自立姿勢の
整合性について、中里市長は「気仙は長い歴史があり、
即合併ということではなく、気仙発展のために頑張る気持ちで一致した」
多田町長は、「『気仙は一つ』ならば、合併に向かわなければならないとの
認識は違う。連携の延長線に合併はあるかもしれないが、
連携、情報交換をする形が誤っているとは思わない」

この時期に会談を開催した点について、甘竹市長は、
「県地方振興局と3市町の担当部長らで集まった気仙広域行政等研究会、
陸前高田市民有志による気仙両市の合併協設置の動きに
影響を与えないよう考慮した」。

次回は、議会定例会の時期に合わせ、来年2月か3月に開催する予定。

http://www.tohkaishimpo.com/

マウスの肺がん消失 酵素働き抑制、新薬期待

(毎日新聞社 2008年11月25日)

肺がん遺伝子が作る酵素の働きを抑える化合物で、
マウスの肺がんを消失
させることに、自治医科大などの研究チームが成功。
肺がんの新たな治療薬として期待。
米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載。

チームは、肺がん患者から、がん化にかかわる遺伝子「EML4-ALK」を発見
肺がん患者の約5%が、この遺伝子を持っていることが分かっている。
この遺伝子が肺がんを起こすことを確かめるため、
肺だけで遺伝子が働くようにしたマウスを作ったところ、
生後1-2週間で両肺にがんができた。

この遺伝子が作る酵素の働きを阻害する化合物を作り、
肺がんマウス10匹に1日1回経口投与。
投与開始から25日で、すべてのマウスのがんが消失。
投与しなかった肺がんマウス10匹は、がんが両肺に広がり、
9匹が1カ月以内に死んだ。

肺がんの治療薬としては「イレッサ」があるが、
副作用がある上、効く患者が限られる。
この化合物は、別のタイプの肺がんへ効果が期待できるといい、
既に複数の製薬会社が治療薬開発に着手。
間野博行・自治医科大教授は、「副作用はみられない」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=83541

インスリン分泌量3倍に マウスの肝臓機能利用 糖尿病治療に応用も

(毎日新聞社 2008年11月23日)

肥満時に肝臓で作られるたんぱく質の働きを利用し、
血糖値を下げるインスリンの分泌細胞を膵臓で増殖させることに、
東北大学の片桐秀樹教授(代謝学)らのチームがマウス実験で成功。
糖尿病の新たな治療法につながる成果と期待。
米科学誌サイエンスに掲載。

インスリンは、膵臓のベータ細胞から分泌される。
チームは、肥満になるとベータ細胞が増えることに注目。
肥満時に、肝臓で作られるたんぱく質を増やす遺伝子を
正常なマウスに導入したところ、膵臓でベータ細胞が急増。
糖尿病を発症させたマウスでもベータ細胞が増殖。
導入しない糖尿病マウスに比べ、インスリン分泌量が約3倍。

肝臓から脳、膵臓へとつながる神経を切断して同じ実験をすると、
ベータ細胞は増えなかった。
チームは、肝臓が肥満状態を感知するとこのたんぱく質が作られ、
信号が脳を経由して膵臓に伝わり、ベータ細胞を増殖させると考えている。

片桐教授は、「臓器間の神経ネットワークを使うことによって、
ベータ細胞を増殖できた。
将来、インスリン注射や移植が不要になるかもしれない」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=83474

2008年12月8日月曜日

地域が支える学校(2)運営参加 入学前から

(読売 12月3日)

入学前の子供を持つ保護者の発言が、学校の常識を変えた。

きっかけは雑談だった。
「1年生の給食、始まるのが遅いですよね」
長男を東京都世田谷区立城山小学校に、
次男を地元の幼稚園に通わせる川上一美さん(40)がこんな発言をしたのは、
同小が、区内最初のコミュニティスクールの一つとして指定された
3年前の6月の学校運営委員会の場。

コミュニティスクールは、地域住民らが運営に参画することを
法律に規定した学校。
その協議機関は、法律では学校運営協議会だが、
世田谷区では学校運営委員会と呼ぶ。

川上さんの発言は、「幼稚園では、昼に弁当を食べて午後も園で過ごすのに、
1年生の給食が始まるのは、1週間も2週間もたってからなのはなぜ?」
という素朴な疑問から出発。
入学当初の1年生が、学校生活に慣れていないのは確か。
給食の配膳も手際よくできない。
だから、午前中だけで帰宅させる。これが従来の学校の常識だった。

「ふつうなら聞き流していたかもしれない。
指定を受けて何ができるか、考えていたから」と校長の渡辺克元さん(56)。

翌年2月の入学予定者説明会で、渡辺校長が
「入学式の翌日から、新1年生の給食を始めます」と宣言すると、
保護者から拍手がわいた。
その代わり、1年生が落ち着くまで、保護者にお世話係として来校してほしいと依頼。
その結果、児童70人の保護者の半数以上が、
交代で給食時に学校を訪ねることに。

その後の保護者アンケートには、
「友達と話している子供の様子を見ることができて安心した」、
「親同士がすぐに親しくなれてよかった」、
「帰宅してから給食の話をたくさんしてくれてうれしかった」
といった感謝の言葉が並んだ。

学校にも、授業時間が余分に取れる利点が生まれた。
「以前なら、授業時間が多過ぎるのはよくないと言われたかも…」(渡辺校長)。
入学式の翌日からの給食が、その後も続いていることは言うまでもない。

世田谷区のコミュニティスクールでは小学校なら、
その小学校に入学予定の子供の保護者、
中学校ならその中学校に入学予定の小学生の保護者を、
学校運営協議会の委員に入れる規定がある。

各小学校は、近隣の幼稚園や保育園との関係を密にする必要が出てくる。
長男や長女が小学校に在学していて、園児もいる保護者が声をかけやすい。
ただ、任期の2年間続けてもらうには、
幼稚園や保育園の年少組の段階で依頼する必要があり、
候補者探しは容易ではない。

だが、この取り組みは副産物を生んだ。
委員を通して、学校の正確な情報やいい評判が、幼稚園の保護者に伝わる。
委員から、「もっと園児が学校を訪問する機会を作ってほしい」
といった提案も気軽にできる。

入学前の子供の保護者委員を入れる規定は、
一石二鳥以上の効果をもたらしているようだ。

◆学校運営協議会の委員

地域や保護者の代表、教職員のほか、公募委員が加わる場合も。
世田谷区では、卒業生を入れる規定もある。
佐藤晴雄・日大教授が昨秋に実施した調査では、
回答した185校の委員数は11人~15人が6割と最多。
会長など代表者を務めるのは、7割が地域代表。
開催頻度は年3、4回45%、月1回29%、隔月程度23%。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081203-OYT8T00244.htm

季節感知の仕組み明らかに 名古屋大、マウスで実験

(共同通信社 2008年11月25日)

夜間にだけ脳内で分泌され睡眠を促す「メラトニン」というホルモンが
哺乳類の季節感知に果たす具体的な仕組みを、
名古屋大大学院生命農学研究科の吉村崇教授らのグループが
マウスの実験で突き止め、米科学アカデミー紀要電子版に発表。

ネズミは人間と同様、1年を通じて生殖活動を行うため季節を
感知できないとされていたが、吉村教授らはメラトニンの血中濃度が、
日照時間の長さの違う季節ごとに変化することに着目。
正常なマウスと遺伝的にメラトニンを作れないマウスで比較実験。

その結果、正常なマウスだけが日照時間の差に応じて
脳下垂体からの甲状腺刺激ホルモンの分泌量に変化が生じ、
視床下部にある「DIO2」という生殖を促す遺伝子の活動に差が出た。

吉村教授らは、春に生殖する鳥類では日の長さの感知に
甲状腺刺激ホルモンが作用し、DIO2が活発化することを
ウズラの実験で解明済みだが、
今回の実験で、哺乳類ではメラトニンが甲状腺刺激ホルモンを介して
季節の情報を伝える仕組みが新たに分かった。
「季節によって症状が変わる人間の冬季うつ病などへの理解が進めば」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=83510

高度な助産師育成、医師の負担軽減 来年4月から年15回講習 岡山大大学院

(毎日新聞社 2008年12月1日)

産科医療の崩壊を食い止めるため、
岡山大大学院保健学研究科が来年4月、助産師、看護師を対象に
知識・技術向上のための講座を開講。
通常出産での産科医の役割を軽減させ、ハイリスクの妊婦に集中させる。

同研究科の中塚幹也教授によると、
医師と助産師には妊婦健診、超音波検査、分べんなどの共通の仕事がある。
現状では、超音波検査などの技術がある助産師は少ないが、
新生児蘇生技術などを身につければ、リスクの少ない出産で
産科医の負担を減らせる。

講習では、産科以外にも子育てや不妊症について学び、
地域で子育てボランティアを立ち上げられるような人材の育成を目指す。

産科医療の現場では、医師同様に助産師も全国で約6700人不足し、
医療機関の約75%で定員割れが続いている。
助産師は、女性の資格のため、出産を機に職場を離れている女性も多く、
高度な能力を身につけて復帰すれば、産科医療の充実を図れる。

講習は年間15回を予定、うち5回程度は通信教育として受講可能。
定員は約20人。募集期間は15日~来年1月16日。
問い合わせは、同大鹿田キャンパス代表(086・223・7151)。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=84017

タンパク質が細胞膜を修復 筋ジス発症に関与か

(共同通信社 2008年12月1日)

筋肉の細胞膜が炎症などで損傷した際に、
MG53と呼ばれるタンパク質が膜を修復する役目を担っているのを、
京都大の竹島浩教授らのチームが突き止め、
英科学誌ネイチャー・セル・バイオロジー電子版に発表。

MG53をつくる遺伝子が働かないマウスでは、
筋肉が次第に萎縮する筋ジストロフィーに似た症状が起きた。
竹島教授は、「人の筋ジスにも、この遺伝子が関係している可能性がある。
新たな治療法研究につながるかもしれない」

チームは、筋肉の細胞膜近くにあるMG53に着目。
これをつくる遺伝子を欠損したマウスは正常に生まれるが、
次第に筋肉が貧弱になった。
MG53には損傷した膜を修復する能力があり、
欠損マウスは修復力が落ちていた。

竹島教授は、「今後は原因不明の筋ジス患者の遺伝子を解析し、
MG53との関係を調べたい」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=83969

腹部脂肪は死亡リスクを倍増させる

(WebMD 11月12日)

腹部脂肪は、心疾患および糖尿病のリスク増大との関連が示されている。
腹部脂肪と早死の関連性を示す重要な研究が発表。

この研究は、世界中で最大規模かつ最も長期にわたる健康調査の
ひとつに参加した、欧州人約360,000例を追跡調査。
その結果、腹部脂肪が最も多い群における早死リスクは、
腹部脂肪が最も少ない群の約2倍。
死亡リスクは、過体重であるか否かにかかわらず、
ウエスト周囲径の増加に伴い上昇。

Tobias Pischonは、この研究は、腹部脂肪と早死の関連性について、
これまでで最も強力なエビデンスを提供するものである。
『The New England Journal of Medicine』11月12日号に掲載。

「体重が正常であっても、腹部脂肪が過剰に蓄積している人では、
健康がリスクにさらされている可能性を示している。
喫煙や飲酒と無関係な個人的特性のなかで、
これほど早死のリスクを高める特性は多くない」

腹部脂肪が過剰な人々、洋ナシ型でなくリンゴ型体型の人々は、
心発作および脳卒中のリスクが相対的に高いことが古くから認識。
最近の研究から、腹部脂肪と一連の他の疾患
(糖尿病、一部の癌や、加齢に伴う認知症など)の関連性も示唆。

しかし、腹部肥満に関連する死亡リスク上昇が、
すでに認識されているリスク因子(全身肥満など)と無関係に生じるか否かに
ついては未だ明らかにされていない。

この研究では、早死における腹部脂肪の役割をさらに理解する試みとして、
2種類の腹部肥満の指標(ウエスト周囲径、ウエスト・ヒップ比)を用いた。
大規模な健康調査European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition
(EPIC)に参加している欧州の成人359,387例の、
10年近くにわたる追跡調査データを検討。

追跡調査期間中、参加者14,723例が死亡。
過体重および肥満[体格指数(BMI)により評価]に関する補正後、
ウエスト周囲径とウエスト・ヒップ比は、早死のリスク増大との関連性を示した。
男女とも、ウエスト周囲径が最も太い群(男性100 cm超群、女性87.5 cm超群)では、
ウエスト周囲径が最も細い群(男性85 cm未満群、女性70 cm未満群)と比較し、
早死のリスクがほぼ倍増。
ウエスト周囲径が5 cm増加するごとに、死亡率が男性17%、女性13%近く上昇。
ウエスト・ヒップ比も、死亡率の強い予測能を有していた。

「最も重要な結果は、過体重のみならず体脂肪の分布も、
早死のリスクに影響を及ぼすということ」

University of Michiganの心臓病専門医Daniel Eitzmanは、
この結果を当然のことと受け止めている。
マウスを用いた研究において、腹部脂肪(内臓脂肪)が
他の身体部位に存在する脂肪より炎症を引き起こしやすいことを明らかに。
炎症は、心疾患や多くの慢性疾患に重要な役割を果たす。

同博士は、ウエスト周囲径、ウエスト・ヒップ比の測定は、
炎症に起因する疾患のリスク評価に重要である。
「現時点では、診療現場でルーチンに実施されていない内臓脂肪測定の
重要性に関心を集めることができる」

腹部脂肪が、正常より多いかどうかをどのようにすれば知ることができるか?
ウエスト周囲径は、ウエストの最も細い周囲(へそのすぐ上)に
巻尺を当てて測定する。

一般に、男性100 cm、女性87.5 cm以上の場合に健康リスクが高い。
ウエスト・ヒップ比
は、ウエストの最も細い周囲径とヒップの最も太い周囲径
(臀部の最も広い部分)を測定し、ウエスト測定値をヒップ測定値で除することで算出。
一般に、男性0.9超、女性0.8超の場合にリスクが高い。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=83578

2008年12月7日日曜日

地域が支える学校(1)自然体験・食育 住民が先導

(読売 12月2日)

「地域が支える学校」が増え続けている。

ススキの穂が目立ち始めた10月下旬。
京都市の野外活動施設「花背山の家」(左京区)の坂道を、
双眼鏡を手にした市立新町小学校の66人の5年生が上っていた。
野鳥観察用のスコープと三脚を持って先頭を歩くのは、
観察歴20年を超す沢島哲郎さん(77)。
校区内に住む日本野鳥の会京都支部長。

観察場所にたどり着くと、子供たちは10ほどのグループに分かれて散った。
それぞれのグループの引率役も、地域住民や保護者らが担った。
「山の家」での宿泊自然体験学習は、週末を挟んだ4泊5日。
昨年より2泊も延びた。

食事の用意を一緒にしたり、夜の「お話し会」の講師をしたり、
やることは山ほどある。
市街地から車で1時間以上かかる施設で、
子供たちと過ごした地域住民や保護者は、5日間で32人に達した。

ここまで地域が学校を支えるのは、新町小が3年前、
コミュニティスクールに指定されたことが大きい。
指定でできた学校運営協議会の藤原信生会長(65)は、
「先生がいかに大変な仕事をしているかを身にしみて感じた」。
そう言いながら、子供たちとの交流が楽しくて仕方がない様子。

学校側も、マンパワーとして頼りにするだけでなく、
「地域の思いを聞ける機会になる」と佐渡規雄教頭(54)。
「山の家」での就寝前の反省会は、大人同士のよもやま話で盛り上がる。
交流が互いの信頼関係を増し、パワーの源に。

京都市は、コミュニティスクールの指定が、128校にもなる。
明治初期に町衆が作った「番組小学校」の伝統があるとは言え、
全国的にも突出した数字。

新町小も、番組小の歴史をひく学校の一つ。
3つの学区を統合する形で、1997年に生まれた新しい学校。
新町小が力を入れている教育の一つに、食育がある。
学校運営協議会傘下で実動部隊になる企画推進委員は144人もいるが、
うち30人までが食育担当(教職員を含む)。

契機は、前校長が3年前、自宅近くに畑を借り受けたこと。
「西賀茂農園」と名前の付いた畑の活用は、
学校運営協議会での議論の最初のテーマ。

食育は、学校教育の根幹。
教科の力、学校だけではつかない生きる力をつけることをめざしている」と
今年から就任した多田彦士校長(54)。

畑に子供たちを引率する際も、農作業そのものも、日常的な畑の管理も、
その広さや学校との距離を考えると、地域住民の協力がないと続かない。

一方で、教職員も交代でたびたび足を運ぶ。
地元の幼稚園の園長も、運営協議会の理事を務めていることから、
畑には幼稚園児が世話をするエリアも出来た。
新町小学校の1年生と、収穫したトウモロコシで、
ポップコーンパーティーを一緒に開くなど、幼小連携の取り組みもある。

京都ならではの取り組みとして、老舗料理店の協力を得て、店も見学し、
京料理の伝統についても教わっている。

こんな学校だから、教員は地域の行事に進んで入っていく。
「地域の人に、子供のために色々やってもらっていると
教員が感じているから」(多田校長)。
地域でも、「よう来てくれた」と歓迎。
教員は、「やっぱり行って良かった」と好循環が生まれる。

藤原会長は、学校を訪ねるたびに
「あんたら、はよ(早く)、帰りなはれ」と教職員に言っている。
「我々の活動も、先生方が地域行事に参加するのも、
ボランティアという点では同じ。
がんばった分、先生たちには、異動時の昇進も含めた処遇で評価をしてほしい」

「学校が困っていると言うだけではだめ。校長も教師も変わらないと」と多田校長。
地域が支える学校では、教職員の意識改革も求められている。

◆コミュニティスクール 指定343校地域に偏り

地域住民らが教育活動を支えてきた公立学校は多いが、
コミュニティスクールは、地域住民らが学校運営に「参画」する学校として、
2004年改正の地方教育行政組織法に規定。
保護者や地域住民が一定の権限と責任を持つことで、
そのニーズを学校運営に迅速かつ的確に反映させる狙い。
地域運営学校とも呼ばれている。

教育委員会がコミュニティスクールを指定、非常勤特別職の公務員となる
学校運営協議会の委員を任命。
協議会は、地域によって「理事会」、「学校運営委員会」などとも呼ばれる。
教育内容や予算など学校運営の基本方針に意見を述べ、承認。
教職員の採用でも、任命権者に意見を述べる。
任命権者は、その意見を尊重。

現在、全国に幼稚園、小中高校、特別支援学校を合わせて
65自治体で計343校が指定。
自治体別では、京都市110校、島根県出雲市49校、
岡山市35校などが目立つ。
京都市や東京都内などでは、その後も増えているが、
東北・北海道では10校に満たないなど、地域的には偏りがある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081202-OYT8T00227.htm

宗派超え協力 天台宗が主催、あすまで写真パネル展 ハンセン病

(毎日新聞社 2008年11月23日)

ハンセン病差別による被害が、まだ続いていることを知ってもらおうと、
天台宗の主催する元患者らの写真パネル展が
大津市坂の生源寺で始まった。

天台宗が同問題を取り上げるのは初めてで、宗務庁人権啓発課は、
「元患者が高齢化している今こそ、社会で語り伝えていくことが必要。
今後は宗派として取り組むべき柱の一つにしたい」

ハンセン病差別の問題では、96年の「らい予防法」廃止
約90年続いた元患者らの強制隔離は終わった。
だが本名に替えて番号で呼ばれ、断種・中絶を強制されてきた元患者らには
家族が1人もいない人も多く、今も大半は療養所で生活。

今回の企画を進めてきた人権啓発課の福島亮俊課長(39)は10年前、
療養所を訪れたときのことを強烈に覚えている。
出された茶をどうしても飲めず、後ろめたい気持ちで席を辞した。
「『差別はいけない』と強く分かってはいた。
だが宗教者すら、そうなってしまうのが差別の実態。ショックだった」と振り返る。

隔離当時は、宗教者も「前世の悪行の報い」などと
現世でのあきらめを説いていたことから、
01年に国が謝罪した際には反省を表明する宗派も。

今年、天台宗では10月の宗議会で、
濱中光礼・宗務総長が同問題に取り組んでいく方針を表明。
今回は、これまで同問題に取り組んできた真宗大谷派の東本願寺から、
宗派を超えて資料約50点を借りた。
12月3日には、午後1時半から宗務庁で当事者団体の講演なども開く。

福島課長は、「『なぜ今ごろ』という感想もあるだろうが、
元患者は家族もなく、今も孤独に暮らしている。
未だに本名を名乗れない遺骨もたくさんある。明らかに問題は残っている」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=83481

米の犯罪発生率、最悪はニューオーリンズと 出版社調査

(CNN 11月25日)

全米の都市で最も犯罪発生率が高いのは、
ルイジアナ州ニューオーリンズだと、米出版社CQプレスが発表。
逆に、最も低かったのはニューヨーク州ラマポ

CQプレスは、米連邦捜査局(FBI)がまとめた2007年の統計結果を基に、
人口7万5000人以上の397都市と、356都市圏について、犯罪発生率を調査。

その結果、人口約25万人のニューオーリンズでは、
209件の殺人を含めて、1万9000を超える犯罪が発生。
殺人事件数は、人口10万人あたり94.7件に達し、
全米平均の5.6件を大きく上回った。

ニューオーリンズは2005年夏、大型ハリケーン「カトリーナ」が直撃して
甚大な被害を受け、人口が減少、犯罪率が上昇。

ニューオーリンズに次いで犯罪発生数が多かった都市は、
ニュージャージー州カムデン。
ミシガン州デトロイト、ミズーリ州セントルイス、カリフォルニア州オークランド。

犯罪発生件数が少なかったニューヨーク州ラマポでは、
人口約11万3000人で、年間犯罪発生数が688件。殺人事件はゼロ。
カリフォルニア州ミッション・ビエホ、ミズーリ州オーファロン、
マサチューセッツ州ニュートン、ニュージャージー州ブリック・タウンシップなど、
大都市の郊外都市で、犯罪発生数が少なかった。

都市圏で見ると、犯罪発生数が最も多かったのは
アーカンソー州パイン・グラフ。テネシー州メンフィス、ニューオーリンズ。
少なかった都市圏は、ユタ州ソルトレークシティの北ローガンで、
ペンシルベニア州ステート・カレッジ、ニューヨーク州イサカ。

http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200811250024.html

分子モーター:配送のしくみ、東大・広川教授ら解明

(毎日 11月30日)

最長1メートルに及ぶ神経細胞の末端まで、
必要な物質を的確に選別して運ぶ仕組みを、
東京大の広川信隆教授(分子生物学)らが解明。

細胞内の運び屋「分子モーター」に、配送票のようなたんぱく質がくっついて
「積み荷」をより分け、目的地に着くと、
このたんぱく質が分解されて積み荷が降ろされる。

広川教授らは、エネルギーを生み出すミトコンドリアなどが
末端に届く仕組みを調べた。

その結果、これに使われる分子モーターは「KIF1A」、「KIF1Bβ」の2種類、
「アダプター」となるたんぱく質「DENN/MADD」がくっつき、
小胞膜のたんぱく質「Rab3」と選択的に結合することで、
積み荷が選ばれることが分かった。
細胞末端に着くと、Rab3が加水分解されて結合が外れる。

広川教授は、「アルツハイマーなどでは、細胞内の輸送が遅くなる。
輸送機構の解明が、神経機能の活性化や治療法開発につながるはず」
英科学誌「ネイチャーセルバイオロジー」電子版で発表。

http://mainichi.jp/select/science/news/20081130ddm016040018000c.html

認知症:予防に頭と体の「運動」が効果 老人総合研など長期追跡調査

(毎日 11月29日)

有酸素運動と知的活動を続けると、お年寄りの脳機能がアップすることが、
「老人総合研究所」の共同研究で確認。
認知症予防のため、国内で初めて長期的な追跡研究。

調査は05~07年度、世田谷区内の高齢者134人(平均年齢72歳)
を対象に実施。研究所が用意した予防プログラムを続けてもらった後、
脳の認知機能を調べる検査をし、
プログラムに参加しなかった高齢者254人と比較。

プログラムは、認知症の原因とされるたんぱく質を
脳内にためないようにすることなどを目的に、
1日30分程度有酸素運動のウオーキングを続ける。

パソコンを使ってミニコミ誌を作ったり、自ら料理メニューを考案して
調理するなどの知的活動を週1回、続けてもらい、
認知症で低下しがちな脳の機能を刺激した。

その結果を3年前と比べたところ、記憶機能はプログラムに参加しなかった
高齢者が13%の改善だったのに対し、参加者は22%も良くなった。
集中力などの注意機能は、非参加者で3%低下、参加者は7%良くなった。
言語機能は、非参加者の9%に対し参加者は16%、
思考機能は0・2%に対し、4%良くなっていた。

非参加でも改善するのは、同じ問題を複数回解くからで、
参加者の向上が大きかった。

同研究所の矢冨直美主任研究員は、
「認知症予防には、知的活動と運動を習慣化し、長期間続けることが必要」
と分析しており、区は今回のプログラムの内容を冊子にまとめ、
地域での認知症予防に役立てる方針。

http://mainichi.jp/select/science/news/20081129dde041040066000c.html