2008年5月31日土曜日

いわて地産地消弁当 気仙の3品目も認証販売に大きな弾み

(東海新報 5月23日)

県産米と県産食材を使用した「いわて地産地消弁当」として、
県は10品目を認証。
気仙からは、大船渡市内の業者が応募した弁当で、
新鮮な海の幸を主な食材とした3品目が認証。

地産地消弁当の“お墨付き”を受け、
消費者の信頼確保と販売促進に大きな弾みがつくと期待。

この認証制度は、いわての豊かな農林水産物を用いた
特色ある弁当を県が認証することにより、
食の安全、安心などに対する消費者の信頼を高め、
販売促進に結びつけようと、今年度創設。

認証する弁当は一般に販売する弁当で、
「いわて地産地消弁当」の認証ガイドラインを満たすのが条件。

ガイドラインは、
1)使用する原料米、原料雑穀が県産
2)惣菜の主な原材料が県産(水産物は県内で水揚げされたもの)
3)県内工場で生産されたもの
4)岩手の地域を連想させる名称が付されている

これらの条件を満たした10品目が。
地産地消弁当の第一弾として認証。

気仙で認証を受けたのは、(株)丸森の「三陸大船渡海の旬華弁当」、
碁石給食(株)の「いわて恵みづくし弁当」、
(株)小川の「けせん黄金海道弁当」。
いずれも新作で、県産のひとめぼれを100%使用。

「三陸大船渡海の旬華弁当」は、酒蒸しウニと醤油漬けした
イクラ、ホタテ、ママスの照焼きなど海の食材をふんだんに使用。
玉手箱のような重箱に旬の野菜も盛りつけ、ちらし寿司風に仕上げた。
小売価格は千八百円。

「いわて恵みづくし弁当」は、五穀米を加えたウニの炊き込みご飯に、
さんまハンバーグやイクラ、めかぶ、カキ、ホタテ、ミニアワビを添えた弁当。
サンマハンバーグは、頭とワタを取り除いた
サンマを骨ごとミニサーにかけた。小売価格は千三百円。

「けせん黄金海道弁当」は、三陸産の大粒イクラの醤油漬けと
粗挽き焼きサケのほぐし身をメーンの惣菜とした弁当。
アクセントに昆布煮を添え、南部どり玉子を使った錦糸玉子で
黄金海道の彩りを演出。小売価格は千五十円。

3品とも自社店舗での予約、店頭販売が中心。
碁石給食では配達、丸森では自社ホームページでの
注文などにも対応。小川は、三陸鉄道での車内予約販売も行う。

認証のメリットは、▽弁当パッケージ等に「県認証マーク」を貼付が可能、
▽店頭POPや弁当パッケージに「知事コメント及び写真」を使用可能。
丸森では、「認証の効果は大きい。県のホームページで紹介され、
市外からも多くの注文が入っている」。
認証を受けた3社とも、海のまち・三陸の特色を生かした
地産地消弁当として、今後の販売促進に期待。

http://www.tohkaishimpo.com/

暖かな破局:第4部・削減フロンティア/3 トヨタの発案、日中合意に

(毎日 5月22日)

京都議定書で、温室効果ガスの削減義務を負わない中国。
どうすれば削減に向かわせられるのか?

「中国で研究しませんか」。
トヨタ自動車でバイオ燃料開発などを担当する
BRエネルギー調査企画室が06年、経済産業省所管の
「地球環境産業技術研究機構」(RITE)にこうもちかけた。

テーマは、石炭火力発電所から回収した二酸化炭素(CO2)を
油田に封入する「炭素回収・貯留」(CCS)。
高成長が続く中国のエネルギー問題を懸念したため。

中国の07年の自動車販売台数は、約850万台で日本の1・6倍。
トヨタにとっても巨大市場。
しかし、CO2排出も急増。
05年は、世界の2割近い約50億トンを排出。

安価だがCO2排出量の多い石炭に、1次エネルギーの6割を頼っている。
石油や天然ガス発電を増やせば、
原油価格の更なる高騰に火が付きかねない。
利益率の高い大型車が売れず、トヨタの収益減が懸念される。
「CCSなら、CO2削減と原油増産を両立できそうだ」(トヨタ関係者)。

トヨタは約3000万円を拠出し、適地探しや採算性調査をRITEに委託。
昨年末「黒竜江省の大慶油田なら、事業化可能」との結論。
1トンのCO2回収に60ドルかかるが、0・3トン封入すれば
原油1バレル(約159リットル)の増産が見込める。
封入コストなどを抑えれば採算がとれそうで、
京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)事業に認定されれば、
封入分を日本の削減分に算入することも可能。

「日中首脳会談に花を添える」。経産省が飛びついた。
中国側も「増産になるなら」と受け入れ、
5月の日中共同声明に急きょ盛り込まれた。
「環境やエネルギーは商品価値の一部だ」。
決算会見で、渡辺捷昭社長はこう強調。
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「遼寧省で、出力10万キロワットの発電所を爆破した。
8カ月で253基目だが、中国の省エネ・排出削減の始まりに過ぎない」。
日中両政府が、北京で開いた省エネルギーフォーラム。
曽培炎・中国副首相(当時)のあいさつに、
約500人の日本側出席者は息をのんだ。

中国各地で、石炭火力発電所の爆破が相次ぐ。
効率の悪い発電所5000万キロワット分を、
10年までに廃止することを決めたため。

省エネは中国の経済成長に必須で、
政府は国内総生産(GDP)当たりのエネルギー消費を
10年までに20%削減する計画。
発電所爆破はその一環で、
省エネ達成率は地方政府や企業の人事考課に直結。
100%なら40点、50%なら20点といった具合に点数化。
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「想像以上だ。ありがとう」。
雲南省安寧の昆明鉄鋼でボイラーの効率を示すモニターを見ていた
技術者は、日立製作所の社員に笑顔を見せた。
日立は同省の省エネ事業を請け負い、
ボイラーに空気を送り込むファンの消費電力を20%以上削減。
日立は、中国で省エネ技術の販路拡大を狙う。

日中は、「戦略的互恵関係の包括的推進」で合意したが、
温暖化対策にも、先進国と途上国の互恵関係が必要。

http://mainichi.jp/life/ecology/news/20080522ddm002040095000c.html

子ども環境サミットが神戸で開幕、世界21カ国・地域の115人参加

(日経 5月22日)

世界21カ国・地域の子どもたちが地球環境問題を話し合う
「子ども環境サミット in KOBE」が、
神戸市の神戸芸術センターで始まった。
24日まで温暖化対策について意見交換。
神戸で開幕する主要8カ国(G8)環境相会合に、メッセージを提出。

環境省や兵庫県などで構成する実行委員会が主催。
21カ国・地域から8―18歳の代表者115人が参加。
開会式では、代表者の中学2年、神吉まあやさん(14)らが開会を宣言。

続いて、海面上昇で塩害などが起きている南太平洋・ツバルの小学生、
アンジェラ・トフラウさん(13)が、同地の環境問題を取材した
女優の藤原紀香さんと対談。

アンジェラさんは、「10年後にツバルが沈むという人もいるが、
そうは思いたくない」と話した。

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080522AT1G2200M22052008.html

大学発VBと東洋合成工業、生体に近い肝細胞培養

(日経 5月22日)

東京理科大学発ベンチャー企業のトランスパレント
(千葉県印旛村、佐倉武司社長)と、
半導体用感光材大手の東洋合成工業は、
生体に近い肝細胞を培養する技術を開発。

肝細胞を、3次元構造の「ミニチュア肝臓」に培養し、
長期生存と活性持続を可能にした。
新薬候補物質の代謝や毒性の試験を効率化でき、
新薬開発の費用削減と期間短縮につながる。

培養プレートと培養液をセットにして、
「Cell―able」(セルエイブル)の商品名で発売。
多くの新薬候補化合物の一つひとつについて
代謝や毒性、薬効などを調べ、1つに絞り込む「スクリーニング」に利用。

セルエイブルは、肝細胞の機能や活性を生体に近い状態で
1カ月間の長期にわたって培養できる。
生体で試験するのとほぼ同等の評価を得られ、
費用と手間がかかる動物実験を減らすことができる。
試験に必要な化合物は、従来の10分の1の量。

従来は、平面上の2次元培養のため、生体とはほど遠く、
活性期間も短いという問題があった。

http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20080521c3b2104h21.html

2008年5月30日金曜日

シドケに抗がん物質 岩手大・木村准教授ら発見

(岩手日報 5月29日)

岩手大農学部の木村賢一准教授(48)=ケミカルバイオロジー
の研究グループは、シドケ(モミジガサ)に含まれる物質の中に、
抗がん効果があることを突き止めた。
人体への具体的研究は未着手で、基礎研究の段階だが、
この物質について特許を申請中。

シドケは、山菜や茶葉としての利用が主だったが、
新たな医薬品やサプリメント、加工食品開発などへの応用が期待。
シドケに含まれている抗がん物質は、炭素などが結合した
「ビサボラン型セスキテルペンのエンドパーオキサイド化合物」。
人体に似た遺伝子を持つ酵母を用いた実験で、
細胞活性の有無、強さが明らかとなった。
木村准教授らは、同化合物をシドケからメタノール抽出。
人のがんに相当する遺伝子変異酵母を人為的に作りだし、
同化合物を注入した結果、酵母は正常な状態に戻った。
がん細胞は、異常な細胞を除去するメカニズム(アポトーシス)も失われるが、
同化合物はこのメカニズムを取り戻させ、結果的にがん細胞も死滅。
木村准教授らは2005年から、シドケについて広島大や
理化学研究所(埼玉県)と共同研究。
今回の研究成果をもとに、シドケなどのキク科植物に含まれる
同化合物を特許申請。既に学会での発表や英語論文も投稿。
木村准教授は、「身近にある食材や植物の隠れた有効性を
広く知ってもらいたい。シドケに含まれる抗がん物質を応用した開発を期待」
と企業による実用化を願う。
木村准教授らは、同化合物の評価を文部科学省の研究班に依頼。
研究班のメンバーの一人、岩手医大薬学部の上原至雅教授(61)
=微生物薬品創薬学=は、「シドケの化合物は、
既存の抗がん剤とは違う作用を持つ可能性があり、非常に興味深い物質」。

廃発泡スチロール+古い油+野菜くず=燃料・肥料 実証実験進む

(東京新聞 2008年5月13日)

使用済み発泡スチロールから燃料をつくって、
ディーゼル発電機を動かし、その電気と廃熱を利用して
野菜くずから乾燥野菜を生産。

廃棄物処理、燃料生成、肥料製造の三つを同時に行う
システムの実証実験が、神奈川県秦野市で進められている。
原油価格が高騰するなか、廃棄物から燃料と肥料をつくる
システムは注目を集めそう。

使用済み発泡スチロールは燃えにくく、輸送にもかさばるやっかいもの。
年間約17万トンが回収され、45%がカセットテープやボールペンなどの
プラスチック材料に、29%が燃やして発電に利用。
残り26%は、埋め立て処分や単なる焼却処分。

これをもっと有効に利用できないかと考えたのが、
油化装置などを製造するティラド(東京都渋谷区)と、
生ごみ乾燥機など製造のサンライフ(神奈川県秦野市)。

発泡スチロールを破砕し、高温加熱してスチレン油に油化。
回収したスチレン油27%は、油化装置のバーナーの燃料として再利用。
スチレン油に使用済みてんぷら油を混ぜると、
ディーゼル発電機の燃料になる。
油化装置と野菜くずの乾燥機は、ディーゼル発電機で動かす。

発泡スチロールと野菜くず、てんぷら油から、
スチロール油と乾燥野菜ができる。
スチロール油は、ボイラーなどの燃料に使える。
茶葉のようになった乾燥野菜は、花壇や菜園の肥料として使う。

稼働中のシステムは、一日80キロの発泡スチロールを処理し、
52キロのスチレン油を製造。
発泡スチロールを単純に焼却処分する場合と比べ、
二酸化炭素(CO2)を年間100トン削減。

サンライフの宇野秀敏代表は、「不要な発泡スチロールとてんぷら油、
野菜くずが大量に出る大型スーパーなどで使ってほしい」。

スチレン油にてんぷら油を混ぜてディーゼル燃料とすることについて、
ティラドの古川秀雄EPS事業化プロジェクト室長は
「スチレン油は、ディーゼル燃料用としては、
粘度(粘り気)とセタン価(着火性)が低すぎる。
てんぷら油は、セタン価は十分だが、粘度が高すぎる。
両方を混合すると、ちょうど欠点を補い合ってくれる」。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/technology/science/CK2008051302010888.html

お茶は「寧波」から日本へ伝わった

(朝日 2008年05月20日)

中国茶評論家・工藤佳治

5月1日、「杭州湾海上大橋完成」の報道。
私にとっては、「お茶の日本への伝来」などを考えると、特別の思いに。
上海は、南側に大きな湾があり、深く内陸へ窪んでいる。
湾の一番奥は、お茶の中心地でもある浙江省杭州。
この大きな湾が、「杭州湾」。
この湾を挟んで上海の向い側の都市が「寧波」。
遣隋使、遣唐使の時代から、日本との行き来の窓口。
寧波と、上海の西隣の町「嘉興」まで海上36キロを、橋を架けて結んだ。
海上の橋としては世界一。
上海から寧波に行こうとした場合、高速でぐるりと湾を廻り、
4~5時間はかかっていた。それが、大幅に短縮。
省別GDP中国一の浙江省は、これでまた豊かになる要素が増えた。

寧波の南には、プラスチック成型製品生産の世界の工場
「温州」といった都市もある。
日本の100円ショップも、この都市に支えられている。
寧波は、古くからの日本との窓口の港町。
偏西風の関係で、ここを船出すると、北九州へ着きやすく、
瀬戸内へも入りやすかった。
鑑真もこの港を日本へ向けて出帆したが、
嵐で何度も流されたことはご存じのとおりである。
アヘン戦争で清が敗れ、上海などとともに開港された町。
上海はその時、人口数千人の寂しい漁村。寧波は大きな港町。
ヨーロッパとの行き来も活発になり、
中国でも有数に大きく美しい教会が今でも残る。
日本へのお茶の伝来は、中国から。
鎌倉時代の僧・栄西が茶の種(木)を持ち帰り、植えた。
飲み方も伝え、『喫茶養生記』を著した、と歴史で習った方も多い。
栄西も、天台山で学ぶため、寧波に入り、帰国。
中国では、宋の時代。お茶は、今でいう抹茶の飲み方。
初めて日本にお茶を持ち帰ったのは、遣唐使でもあった最澄。
最澄も寧波に上陸し、天台山に学んだ。
日本にお茶を持ち帰ったが、定着することはなかった。
日本の茶道のもとになった中国の禅寺での茶事を、
日本に文献として伝えたと言われるのは、
京都・東福寺を開山した聖一国師。
博多の寺院の僧であった彼は、日本に帰化していた中国貿易商の
スポンサーを得て、徑山寺(浙江省)に学び、
禅寺でのお茶の様式を持ち帰った。
彼もまた、寧波に入り、日本へと戻った。

中国仏教四大名刹の一つ普陀山は、寧波の沖に浮かぶ島。
普陀佛茶」という銘茶が今でも作られる。
ここの開山のきっかけは、唐代の日本人僧・慧顎。
寧波から五台山(山西省)に学び、観音を日本に持ち帰るため寧波を船出。
しかし嵐で船は進まず、観音が中国を離れることを嫌っていると考え、
その観音を寧波の沖の島に祀った。それが普陀山の開山。
日本へのお茶の伝来は、寧波が中国側の窓口。
お茶だけではなく、古く中国からの文化の風は、
寧波から日本へ新鮮に吹きそそがれていた。
寧波は、現在でも中国有数のコンテナーターミナルを持つ大きな港町。
海上大橋の完成で、北と南の陸上輸送が活発化し、寧波はまた発展。
遣唐使たちは、ここに上陸して、遠く都・長安(現在の陝西省西安)、
僧であれば五台山などを目指した。
徒歩であったのであろうか。数カ月を要したかもしれない。
今、その距離はまた縮まった。

◆普陀佛茶(ふだぶっちゃ・浙江省)
寧波の沖合いにある島、中国仏教四大名刹の一つ・普陀山。
唐代からお茶が作られていた、と伝えられる。
普陀山は、日本人留学僧・慧鍔が開山。
広く世界中の華僑にも信者が多い。
少し黒みを帯びて湾曲した緑色の茶葉。白毫もまじり、産毛が多い。
爽やかな飲み口で、丸みがある。爽快感があり、甘い香りが残る。
日本人にもなじみやすいお茶。

アルツハイマー病発症原因の一つを特定か

(朝日 2008年05月19日)

アルツハイマー病を引き起こすたんぱく質・ベータアミロイドを
脳に蓄積する作用があるホモシステイン酸が、
それ自体も発症の原因物質となっている可能性が高いことが、
佐賀女子短大の長谷川亨教授と九州大の共同研究でわかった。

ホモシステイン酸を脳内から減らすと、記憶力が回復することを、
発症しやすく遺伝子操作したマウスで実証。

ホモシステイン酸は、アミノ酸ホモシステインの酸化物。
その働きを抑える抗体を脳に注入したマウスは、
迷路をたどってゴールさせる実験の成績が、
抗体のないマウスより優れていた。
脳を比較しても、記憶をつかさどる海馬が大きかった。

(1)ベータアミロイドあり・ホモシステイン酸なし、
(2)ホモシステイン酸あり・ベータアミロイドなし、の2群に分けて比べると、
(2)の方が大きな記憶障害があった。

長谷川教授は、「ホモシステイン酸も、ベータアミロイドに劣らない
原因物質であることが証明できた。いかに減らすかが治療のカギ」。

05年、ホモシステイン酸の作用でベータアミロイドが
脳の神経細胞に蓄積されると細胞死に至ることを、
米国立衛生研究所などの研究者と共同で発見。
アルツハイマー病を発症する遺伝子を組み込んだマウスで実験。

http://www.asahi.com/science/update/0519/SEB200805180015.html

2008年5月29日木曜日

労災:精神疾患、最多の268人 過労自殺も最悪の81人

(毎日 5月23日)

仕事上のストレスが原因で、うつ病などの精神疾患になり、
07年度に労災認定を受けた人が268人(前年度比30.7%増加)と、
前年に続き過去最多を更新。
過労自殺(未遂を含む)も81人(前年度比22.7%増)で
過去最多となり、2年間で倍増。

政府や厚労省は、「ワークライフバランス」(仕事と生活の調和)の推進を
呼びかける中、長時間労働などの改善が進んでいない実態が浮き彫り。

過労によるうつ病の労災請求件数は、
03年度の約2倍の952人(前年度比16.2%増)に増えた。

過労自殺と認定された81人のうち、80人は男性で、
年代別では40代が22人、30代が21人、50代19人、20代15人。
うつ病など精神疾患全体の認定は、30代100人、20代66人、
40代61人、50代31人。
20、30代で6割を超え、若年労働者に心の病が広がる状況。

職種は、専門・技術職75人、生産工程・労務作業者60人、事務職53人。
製造関連が前年度比で2倍近く増加し、
好景気を反映し生産現場での過重労働の広がりがある。

脳出血や心筋梗塞などを発症した
「脳、心疾患」の認定者392人(うち死亡142人)も、
前年度比約10%増え過去最多。
請求件数は、931人で前年度比0.7%減少。
残業時間は、月80~100時間未満が135人、
100~120時間未満が91人。
160時間以上も、35人に上った。

厚労省は、「厳しいノルマを求められる職場環境を反映しているのでは。
若者はノルマが達成できなくても、周囲からサポートが得られないなど
心理的な負荷の高い中で働いている」。

過労死弁護団の川人博弁護士は、
「数年前から過労やストレスのまん延で、
非常に深刻な事態に陥っているということが数字となって表れている」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080524k0000m040055000c.html

脂質と協調しがん抑制 大阪大、タンパク解明

(共同通信社 2008年5月23日)

細胞膜の脂質にあるCbpというタンパク質が、
がん遺伝子の働きを抑える役目を果たしていることを、
大阪大微生物病研究所の岡田雅人教授らが突き止め、
米科学誌モレキュラーセルに発表。

Cbpと脂質が協調し、大腸がんや乳がんの悪性化に関係する
Srcという遺伝子を抑えていた。
小根山千歳助教は、「新たな抗がん剤や診断法開発の
手掛かりになるかもしれない」。

Srcを働かせてがん化した細胞をマウスに注射すると盛んに増殖するが、
Cbpを同時に働かせると、がんが大きくならないのを実験で確認。

細胞膜に点在し、コレステロールなどが集まった「脂質ラフト」と
呼ばれる領域の内側にCbpがくっつき、
Srcがつくる物質を引き寄せてがん化しないようスイッチを切っていた。

小根山助教は、「健康な細胞では、Cbpと脂質が協調して
がんを防いでいるのかもしれない」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=73467

温暖化で稲作変わる? 雫石で実験、解明進む

(岩手日報 5月20日)

東北農業研究センター(盛岡市)と農業環境技術研究所(つくば市)が
雫石町で行っている実験で、
水稲生育への地球温暖化の影響が徐々に解明。

水温と二酸化炭素(CO2)濃度を高めた水田では、
光合成期間が長く収量が上がる一方、
温室効果ガスの一種メタンの放出量が上昇する結果。
今年も実験を続け、将来の地球環境に適した稲作技術の確立を図る。

実験は、同町南畑の水田に設置した
開放系大気CO2増加(FACE)実験区で実施。
高濃度CO2による収量の影響は1998年から、
気温上昇との相互作用は2年計画で昨年から実験。

水稲のFACE実験区は、世界に雫石町と中国江蘇省の2カ所しかない。
水田上に長さ5メートルのチューブを8角形上に設置し、
風上からCO2を放出。
濃度が、通常より200ppm高い約580ppmの状況をつくる。
水田内には、ヒーターを設置し、水温を2度上げる。

水稲は、CO2を使って光合成するため、
濃度上昇で成長が促進される一方、気温が上がると、
早生化や高温障害による不稔などで収量が下がるとされる。

しかし昨年の実験では、水温を上げても葉が長い期間緑色を保ち、
早生化による減収はみられなかった。
その結果、CO2濃度と水温を高めた所では
通常に比べ14%ほど収量が上がった。

メタンの発生量が、通常より50%上昇。
温暖化に拍車をかける可能性も。
一時的な現象かどうか、データを蓄積し検証、
高CO2下でかかりやすかった、いもち病についても検証

農業環境技術研究所の長谷川利拡大気環境研究領域主任研究員は、
「まだ分からない要素があり、実証を積み重ねたい。
米の生産量や地力などを予測し、
今後の環境変化に対応できるモデルをつくりたい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080520_14

ひとめぼれ、関西で人気 奥州産5年で1.5倍

(岩手日報 5月21日)

奥州市胆沢区の水田に、ABCラジオ(大阪市)の番組リスナーらを招き、
田植えなどの様子を生放送で関西エリアに伝える「ラジオツアー」が、
県産米のPRにつながっている。

同市の岩手ふるさと農協(門脇功会長)管内の
ひとめぼれの関西方面への出荷量はラジオ効果もあり、
ここ5年間で約1・5倍に増加。
全農県本部も、県産米の知名度の向上や固定ファンの拡大に手応え。

ラジオツアーは、ABCラジオの元アナウンサーが旧胆沢町を訪れた際、
農家のひたむきな姿に感動したのがきっかけ。
今年で11年目を迎えた。

数年前から、全農県本部と岩手ふるさと農協が主催し、
関西地域の親子連れらを、奥州市胆沢区の農業石川千早さん(56)方
水田10アールに受け入れている。

今月に行われた田植えツアーは、10組20人のリスナーと
番組スタッフら約30人が参加。
参加者は、泥だらけになりながら「農家の苦労が分かった」と実感。
「秋に、岩手の米が食べられるのが楽しみ」と心待ちに。

番組プロデューサーの市川寿憲さんは、
「今年は約200組の応募があり、なるべく新しい人が来られるよう配慮。
毎回、胆沢の人たちが農業を大切にしている『真心』を感じる」。

岩手ふるさと農協では、関西で販促キャンペーンを行っているほか、
刈り取った稲を関西地域で、11月ごろから期間限定の
プライベートブランド米として販売、人気。
関西エリアへのひとめぼれ出荷量は増加傾向で、
2006年は約1万2千トン。
ここ5年間で約1・5倍に伸びた。

全農県本部米穀部の菊池勝次長は、
「狙いは、関西エリアで県産米の認知度を上げること。
ラジオは多くの人が聞いており、固定ファン獲得にもつながっている」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080521_16

2008年5月28日水曜日

園芸、畜産でも安全アピール 岩手ふるさと農協

(岩手日報 5月22日)

奥州市の岩手ふるさと農協(門脇功経営管理委員会会長)は
食の安全と消費者の信頼確保に向けた取り組みの一環として、
農業生産工程管理手法(GAP)の多品目導入を検討。

生産工程を、独自の点検シートで管理。
他産地でも、導入が進む水稲だけでなく、園芸や畜産にも適用、
食材の信頼度を高め、消費者や流通業者にアピール。

GAPは、栽培や収穫、出荷などの作業工程を管理点検し、
安全性や品質を高める手法。
作目ごとに項目を定め、生産者が専用用紙で点検。
稲作を中心に、全国約600カ所の生産地で導入。

同農協は、県版GAPの点検項目を絞り込み、
気軽に取り組めるよう独自の簡易GAPをつくる。
水稲のほか、園芸や畜産の様式もまとめ、
ほぼすべての作目、組合員の参加を促す。

点検シートは、集落や作目別生産組織を通じ配布。
生産者は、農薬散布や施肥の回数、時期、衛生管理などをチェック。
本年度、門脇会長を本部長に、営業やリスク管理担当者らで新設した
「安全安心推進本部」が結果を分析、
品質管理や経費節減の課題を生産現場に還元する仕組み。

流通業界では、ギョーザ問題などが引き金となり、
産地への安全管理徹底を求める声が強まっている。

本県は、アジアへの米輸出に乗り出しているが、
国際取引では安全性が取引の成否を左右、
GAPは大きな武器になる。
万が一、問題が発生した場合も、生産工程を証明できるため、
危機管理手法の一つにも位置づける。

同農協営農生活企画課の高橋隆課長は、
「気軽に取り組める内容から始めたい。
生産者の意識向上と市場へのアピールに向けた一歩になればいい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080522_6

キリンビバレッジが新スポーツ飲料、「頭の働き」もサポート

(日経 5月22日)

キリンビバレッジは、新スポーツ飲料「キリン スポーツサプリ ソニック
を6月10日に発売。
集中力の維持に効果があるとされるブドウ糖や、
リラックス効果や過度な神経の活動の抑制に良いとされる
GABA(ギャバ)を配合。
水分補給などのほか、「頭の働き」も助けるという観点から開発。

ブドウ糖は2000ミリグラム、GABAは10ミリグラム配合。
パッケージには、「SONIC(音速の)」と「IQ(知能指数)」をかけあわせ
「SONIQ」と表記。

2リットル(税抜き330円)と555ミリリットル(同140円)の2種類。
年間500万ケース(555ミリは1ケース24本入り、2リットルは同6本入り)
の販売を目指す。

http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080522AT3K2101D21052008.html

伊藤園、茶殻入りの靴の中敷き・抗菌や消臭に効果

(日経 5月22日)

伊藤園は、ゴム複合素材メーカーの日本ケミフェルト
(香川県多度津町)と、緑茶の茶殻を使った靴の中敷き
「カテキン快足」を共同開発したと発表。
緑茶に含まれるカテキンの作用で、抗菌・消臭の効果。

ゴム系の素材に、1足あたり約1リットルの緑茶飲料を作るのに
使う量の茶殻を配合した。
茶葉も加えて緑茶の香りがするようにした。

日本ケミフェルトが、インターネットを通じて販売を始め、
今後スーパーなどの店頭でも売り出す計画。
店頭想定価格は840円で、2009年3月までに5万足の販売を目指す。

伊藤園は、社員の名刺にも茶殻を混ぜた紙を使うなど、
緑茶飲料の製造に伴う廃棄物の「リサイクル」を進めている。

http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080522AT3K2200V22052008.html

2008年5月27日火曜日

ホンダの二足ロボット「アシモ」が米オーケストラを指揮

(CNN 5月15日)

本田技研工業が開発した二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」が、
米デトロイト交響楽団を指揮した。
広報担当アリシア・ジョーンズさんによると、
アシモがオーケストラの生演奏を指揮したのは初めて。
ロボットの指揮も、おそらく世界初。

指揮したのは、ミュージカル「ラマンチャの男」からの「見果てぬ夢」。
演奏開始前には観客に向かって、「みなさん、こんにちは」とあいさつ。
本物の指揮者さながらに、頭を振ったり両腕を使って、オーケストラを指揮。
演奏後は、歓声に向かってお辞儀し、
「デトロイト交響楽団との演奏は、本当に感動しました。
また、コンサートホールもすばらしい」などと語りかけた。

世界的なチェリスト、ヨーヨー・マの、音楽教育への業績を評価した
賞の授賞式にも一緒に登場。
アシモは、デトロイト交響楽団の指導者チャールズ・バーク氏の動きを
プログラムされていた。
最初のリハーサルでは、オーケストラの演奏テンポと合わずに、
人間が手直ししなければならなかった。

楽団のミュージカル監督、レナード・スラットキン氏は、
「(アシモは)コミュニケーションできるロボットではない。
単に、人間のジェスチャーを真似るようにプログラムされただけで、
もしもオーケストラが演奏テンポを速めれば、
ロボットにはもう何も出来ないし」。

何人かの音楽家は、想像以上にリアルな動きだったと驚いている。
コントラバス奏者のラリー・ハッチンソンさんは、
「動きは少し、ぎこちない部分もあったけれども、
とても人間的で、思っていたよりも滑らかだった」。

本田技研工業は、社会活動のひとつとしてデトロイト交響楽団を支援し、
アシモの出演もこの活動の一環。

http://www.cnn.co.jp/showbiz/CNN200805150017.html

教師と生徒のゴミ拾い活動、環境浄化運動に アルゼンチン

(CNN 5月18日)

南米アルゼンチン北部のフフイ州で、ひとりの教師が
約10年前に始めた地域のゴミ拾い活動が、
若者が主導する州の環境浄化運動に結びついた。

運動を始めたカルメン・サルバさん(49)は、
「生まれ育った土地の手入れをすることに、早すぎることはない」と、
教育と地道な活動の必要性を訴えている。

フフイ州は、北側にボリビア国境、西側にチリ国境を接した
アンデス山脈にあり、美しい山並みと豊かな文化で知られる。
教師となって20年のサルバさんが、
10年前に学校の近所にある公園が、ゴミだらけなことに気付いた。
ビールの空き瓶やペットボトルが散乱する惨状をなんとかしようと、
サルバさんは生徒らに声をかけ、ゴミ拾い活動を開始。

しかし、1年がたつころには、活動を続けていくのが難しくなった。
集めたゴミを、リサイクルする仕組みが市にないうえ、
ゴミ問題やリサイクル活動が、生活にどれだけ重要であるかが、
知られていなかった。
サルバさんは1997年に、生活の希望という意味の団体
「エスペランサ・デ・ビーダ」を設立
若者を中心とした、環境問題を伝える運動を始めた。
当初は、生活圏のゴミ拾い運動のみだったが、
次第に山々の環境にも活動対象が広がり、
現在では毎週土曜に、子供80人を含む150人のボランティアが
近郊の山々に登山し、ゴミを拾い集めている。
地道な活動が実り、州政府もゴミのリサイクルセンターを設立。
ボランティアが拾い集め、分別したゴミをリサイクル出来るようになった。
サルバさんは、「活動を通じて、水質汚染問題やゴミ問題など、
身近な生活の問題に多くの人々が気付くようになった。
特に、今活動している若者は、将来の世代を教える立場にある
若者に対する教育の重要性を訴えている。
ボランティアに参加した子供たちが、家族に環境問題の重要性を訴えるなど、
活動の輪が確実に広がっており、
サルバさんは、「新しい世代が、環境を尊重するようになって良かった」。

10代でのスポーツが乳がん予防に 米研究チーム

(CNN 5月19日)

10代前半からの若い時期にスポーツなどで
日常的に運動していた女性は、乳がんにかかる率が低いとの結果を、
米ワシントン大の専門家らが発表。

グラハム・コールディッツ博士らが、24~42歳までの女性看護師
6万5000人へのアンケートと追跡調査を基に、
過去の運動量と乳がん発症との相関関係を調べた。
がん医療専門誌JNCIに報告。

6年間にわたる追跡調査で、対象者のうち550人が乳がんと診断。
再発などの危険性が比較的高い「閉経前乳がん」。
がんにならなかった女性と比較したところ、
12‐22歳での運動歴が大きな要因。

発症率が最も低かったのは、この時期に1週間当たり3時間15分の
ランニングや、これに相当する激しい運動、
1週間当たり13時間のウォーキングを続けていた女性。
運動をしなかったグループの発症率を、23%も下回った。
「追跡を続ければ、閉経後の乳がん発症にも同様の影響が出る可能性が高い」

中高年期の運動量と乳がんとの関連は、これまでも指摘されてきた。
乳がんの発症には、女性ホルモンのエストロゲンが関与し、
閉経後にエストロゲンの主な供給源となる皮下脂肪を減らすことが、
予防につながると考えられる。

若い女性が過激な運動を続けると、エストロゲンの分泌を抑え、
初潮の遅れや生理不順を招くことが知られている。
米がん協会の専門家、アルパ・パステル博士は、
「研究対象となった女性の運動量は過激というレベルではないが、
ホルモン分泌が微妙な影響を受けた結果、予防効果が表れたのでは」。

乳がんには、初潮や閉経の時期、家族の罹患歴など、
本人の意思が及ばないリスク要因もあるが、
「運動量や体重なら、本人の心がけで変えることができるはず」。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200805190022.html

夏の岩手を山手線でPR 6月9日から車体広告掲載

(岩手日報 5月22日)

東北観光推進機構(幕田圭一会長)は、6月9日から1カ月間、
JR東日本と連携し、JR山手線で「夏の東北トレイン」を運行。
本県からは、平泉と盛岡さんさ踊り、北山崎(田野畑村)の

車体広告を掲載し、夏の岩手の魅力をPR。
列車車体を活用し、首都圏で東北の広域観光をPRするのは初めて。

夏の東北トレインは、各11車両の2編成。
東北6県の夏祭りと自然美をテーマに、車体側面の縦110センチ、
横55センチのスペースに、写真と文字のPR広告を張り出す。
6月16―22日には、上野駅で「夏の東北ステーション」と題し、
東北各県の観光ポスター展示や物産展も開催する予定。
同機構は昨年6月、観光を通じた地域経済の活性化を目的に、
東北6県と新潟県、仙台市を中心に設立。
県観光課の菊池和憲統括課長は、
「車体広告はかなりのPR効果がある。
7月に始まる『いわて・平泉キャンペーン』と併せ、
宣伝効果を出していきたい」。

2008年5月26日月曜日

第1部 イノベーションを考える/3 大学発ベンチャーに…

(毎日 5月18日)

米国のマイクロソフトやグーグルなど、イノベーションの創出に
ベンチャー企業の存在は欠かせない。
新技術やビジネスモデルで、新たな市場を築くことはリスクを伴い、
大企業には取り組みづらい賭け。

日本は、国策として「大学発ベンチャー1000社計画」を進めるなど、
ベンチャー育成に力を入れている。
だが、数は増えてきたものの軌道に乗った会社は少ない。

「収益が出るまでには時間がかかる。初めから説明していたのに……。
資金を引き揚げられたら、やっていけるはずがない」。
「夢の人工血液」を目指し、02年に設立された関東地方のベンチャー企業。
資金調達が厳しくなったため、事業の継続を事実上断念し、
他社への事業譲渡を進めている。
大幅なリストラも実施したが、追いつかなかった。

大学での研究成果を基に、06年までにベンチャーキャピタル約40社から
計40億円もの資金を集めた。

ところが、なかなか製品化に結びつかないと見るや、
一昨年以降、突然、資金を引き揚げる社が相次いだ。
ベンチャーキャピタルは、成長が見込まれる未上場会社の株を買う形で支援し、
企業価値が高まった時点で株を売って利益を得る投資会社。
彼ら自身も、自分たちの生き残りをかけている。

医薬品の世界では、実用化される研究成果は極めて少ない。
リスクが大きいだけに、資金はベンチャーキャピタルなどに頼ることに。
「ベンチャーキャピタルは近年、短期での収益にばかり目が向いている。
これでは、イノベーションにつながるような技術のタネが、
埋もれてしまうかもしれない。初期段階までは、国の助成が欲しい」。

国の規制も、バイオ部門では支障となる恐れ。
再生医療製品メーカー「ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)」
(愛知県蒲郡市)。
清潔に保たれた真っ白な培養室で、患者から取り出した表皮を
増殖する作業が静かに進められている。
切手大の表皮が2週間もすれば、たたみ1畳くらいの大きさ。

J-TECは99年、名古屋大などの技術を基に設立された大学発ベンチャー。
表皮や軟骨などを培養して増やし、重度のやけど患者などへの
再生医療に利用することを目指す。
昨年秋には、自家培養した表皮の製造承認を、
厚生労働省から国内で初めて取得。
海外では、20年以上も前に同様の技術が商品化されているが、
承認を受けるには準備期間も含め約10年かかった。

当初、国は製造承認に薬事法に基づく治験(臨床試験)は
必要ないとの姿勢。
患者自身の細胞を増やし、再び戻すだけ。

ところが、J-TECが設立されると、安全面の懸念などから、
国は治験の実施を要求。
設立から2年後、治験開始についても、安全性の評価を
事前に確認する新たな関門が設けられた。
製造販売後に使用成績を調査し、製品を30年間
保存しなければならないなど、新たなルールも作られた。

小沢洋介社長は、「きちんとした産業化を進める上でも、
一定の規制は必要だが、海外では何をクリアしたら承認されるか、
というゴールが明確。越えなければならないバーが、
時間と共に高くなるようなことが日本で続けば、
海外に流出するベンチャー企業が出てくる恐れがある」。

大学発ベンチャーは、産官学による積極的な取り組みも加わり、
2000年ごろを境に急増。
06年度には1590社に達し、5年間で2.7倍増。
しかし、経営状況をみると、全体的に営業利益は赤字続き。
06年度では、1社当たりの赤字額平均は4530万円。
前年度に比べ、1000万円以上も増えている。

経済産業省の研究会がまとめた報告書では、
大学発ベンチャーの抱える課題として、人材、資金、販路の三つ。
製品化まで時間がかかるため、経営面や技術面でリスクが高いことや、
販路が限られ新たな開拓が難しいと分析。

小田切宏之・一橋大大学院教授(産業経済学)は、
「製品化までに時間がかかる業種のベンチャー企業にとって、
銀行やベンチャーキャピタルから大きな出資を望むのは厳しい。
大企業と連携することが重要。
日本のベンチャーには、経営や渉外能力のある人材がまだ少ない。
技術革新につなげるためにも、こうした人材の育成も必要」。

http://mainichi.jp/select/science/rikei/news/20080518ddm016010057000c.html

開港30年を迎えた成田の次の課題は

(日経 5月20日)

成田国際空港が、開港30周年を迎えた。
アジア各国では大規模空港が次々に整備され、
日本は「空の大競争」に大きく出遅れている。

空港は、日本経済を活性化するための戦略インフラであり、
成田と羽田の首都圏両空港の着実な整備が今後も欠かせない。

成田は、年間20万回の発着枠を持つが、需要に応え切れていない。
日本に直行便を飛ばしたいと希望しながら、成田の能力不足から
航空協定を締結するに至っていない国は40以上。
中国など乗客数が伸びている地域への増便も容易ではなく、
空港の枠不足による機会損失は大きい。

政府は、2010年に成田と羽田を拡張、発着枠を現行の1.3倍弱に増やす。
それでも、「枠不足は解消しない」。

成田国際空港会社は、発着枠の再拡張構想を打ち出した。
誘導路の整備などで滑走路を効率的に使い、
発着枠を今の1.5倍の年30万回に引き上げる構想。
地元の理解などハードルは多いが、枠不足解消は日本全体の大きな課題。
羽田についても、夜間枠の活用などで拡張の余地がある。
米軍横田基地などへの民間航空機乗り入れも今後の検討課題。

航空市場の自由化でも、欧米やアジアに立ち遅れている。
米国と欧州連合(EU)のオープンスカイ協定が発効し、
米欧間の国際路線が自由化。
日本が外国と自由化交渉する際、最大のネックは首都圏空港の容量不足。
首都圏の空を閉じたまま、相手国への乗り入れ自由化を要求しても、
受け入れられない。
空の自由化に取り残されないためにも、発着枠の拡大は急務。

成田と羽田の役割分担の見直しも必要。
都心に近い羽田からの対アジア便を増やせば、
ビジネスや観光面でより大きな経済効果が見込める。
「国際便は成田、国内便は羽田」という硬直的な区分を改め、
柔軟に路線配分すべき。

利用者の満足度向上のために、空港会社の意識改革も。
韓国の仁川空港では、空港職員は英語のほか、
日本語か中国語の2つの外国語の習得が必須。
成田空港会社は株式上場を計画しているが、
民営化の実を挙げ、乗客利便の一層の向上を期すべき。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20080519AS1K1900419052008.html

音楽を聴いてリラックスすると血圧が下がる

(WebMD 5月15日)

血圧が少し高い?それなら1日に30分間、音楽を聴きながら
ゆっくりと呼吸するのが役に立つかもしれない。

軽症高血圧薬剤を服用している28例の成人を対象にした
イタリアの新規研究で実際に起きたこと。

イタリアのフィレンツェ大学の教授Pietro A. Modestiは、
患者に、24時間血圧を記録する装置を装着し、
クラシック、ケルトまたはインドの音楽のCDを渡した。
CDの中の曲は、ゆっくりしたリズムであった。

1カ月間、1日に30分間CDを聴き、音楽を聴きながら、
息を吐く時に吸う時の2倍の時間をかけてゆっくり呼吸するよう指示。
1カ月後に、再び血圧モニターを装着。

患者の血圧は、研究期間中に改善。
試験終了時に、患者の平均収縮期血圧は3mmHg低下、
平均拡張期血圧は4mmHg低下。

比較のため、別の20例の患者は音楽を聴いたり
ゆっくりとした呼吸法を実践したりしなかった。
それらの患者の血圧は、研究期間中に変化しなかった。

音楽、呼吸法のどちらがより役に立ったのかは明らかではない。
Modesti博士は、「降圧作用は、音楽と呼吸運動の組み合わせによる
結果とみなさなければならない」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=73138

不惑からの飛躍決意未来へビジョン示す 大船渡青年会議所40周年

(東海新報 5月20日)

社団法人・大船渡青年会議所(遠藤博幸理事長)の
創立四十周年記念式典が、大船渡商工会議所で開かれた。
歴代理事長らへの感謝状贈呈に続き、「海来(みらい)への架橋」として
今後における活動の方向性も示した。

同会議所では、四十周年実行委(橋爪博志委員長)を組織。
式典には、来賓や会議所に所属していた特別会員、
県内外の青年会議所メンバーら約250人が出席。

遠藤理事長は、「皆さんによる深いご理解とご協力のたまものであり、
心より感謝申し上げます」とあいさつ。
来賓祝辞では、甘竹勝郎大船渡市長、藤原良信参議院議員、
矢部亨日本青年会議所東北地区協議会長が祝福の言葉を寄せた。
第30代理事長の新沼英明さんが謝辞を述べた。

遠藤理事長は、40周年のスローガンである「海来への架橋」を掲げ、
海の恵みを生かした魅力発信や官民一体の活動、世代間交流などを強調。
「先輩方の流れを引き継ぎながら、さらに時代を担う世代に
受け継いでいく活動を進めていきたい」。

青年会議所は、昭和44年に「社会奉仕」、「国際的友情」、
「個人の修練」を目指し、全国419番目の青年会議所として誕生。

7月20日には、「大船渡ロックフェスティバル08」を開催。
10アーティストを招き、全国規模の海の祭典「海フェスタ」の
盛り上げに寄与しながら、2千人超の動員を目指す。

歴代理事長の感謝状贈呈者次の通り。
新沼英明、鈴木康介、菊池透、熊谷孝嘉、浦嶋健、和田武司、
及川雄右、千葉耕成、橋爪博志、古川季宏。

http://www.tohkaishimpo.com/

2008年5月25日日曜日

地球と暮らす:/48 若手専門家による温暖化対策審 政府に頼らず市民提言

(毎日 5月19日)

組織の利害が衝突し、堂々巡りの議論が繰り返される。
温暖化対策を話し合う政府の審議会の実情を不安視した若手関係者が
「数十年後の対策の行方に責任が持てる若い世代こそ、
自らの知識を総動員して考えるべきだ」と昨年秋、立ち上がった。
「若手専門家による地球温暖化対策審議会」(略称・若手審)。

メンバーは、温暖化の研究者やコンサルタント、公認会計士など10人。
国立環境研究所の江守正多・温暖化リスク評価研究室長(38)を
最年長に、平均年齢31~32歳。
事務局に環境省係長が加わり、会合名から会議資料の体裁まで、
本物の審議会そっくりに仕立てた。

昨年12月から月1回、東京都内で「審議会」を開き、今月初め、
低炭素社会の展望と日本が採るべき施策を提言する中間報告書を公表。
パブリックコメント(意見募集)も行った。

報告書は、世界の温室効果ガス排出量を2050年に半減するため、
推定人口92億人として、「すべての国が1人当たりの排出量を
年間2・7トンに抑える」との目標。

日本は、今の約75%減。
毎年3%ずつ減らしても及ばない厳しい目標だが、
1人当たり排出量を基準とすることは、
生活水準も各国でほぼ等しいことを意味。
40年後の世界は、「それぐらい公正であってほしい」との希望。

製品や電力を作り出す過程で排出されたガスは、
消費する人が排出したとみなし、製品を輸入したら、削減義務も
輸入国が引き受けるというユニークな考え方を導入。
これで「多消費社会」を脱却し、在宅勤務や地元産品の活用などで
削減目標の35%分をまかなうことを提言。

政府には、北海道洞爺湖サミットまでに、炭素税と
国内排出量取引制度を組み合わせた政策の導入を明言するよう要請。
企業にも、家庭での太陽熱活用など自然エネルギー利用が
普及するような技術開発を促す。

市民には、「足るを知る」というライフスタイルの変化を呼びかけた。
会合は、最新情報を報告し合いながら真剣な議論が続く。
「座長」の環境コンサルタント、川島悟一さん(32)は
「政府の審議会は、組織代表としての意見ばかり。
一人の市民として、誰もがしっかりと提言することで温暖化対策は進む。
若手審はそのきっかけにしたい」。
==============
最終報告書を20日に公表し、7月の北海道洞爺湖サミットに向けて
政財界などに訴える予定。

ホームページ http://wakateshin.exblog.jp/7612170

http://mainichi.jp/select/science/news/20080519ddm016040003000c.html

子どものうつ病:心も疲れることがある 「自殺防止」授業で訴え

(毎日 5月18日)

自殺者が年3万人を超す日本。
うつ病を患っている人が多いとみられ、子どもも例外ではない。
心の状態に早く気付くにはどうしたらいいのか?

東京都の画家、夢ら丘実果さん(40)は昨年、友人の自殺や、
交通事故の後遺症で自分がうつ状態になった経験から、
自殺予防の絵本「カーくんと森のなかまたち」を出版。

劣等感や疎外感に悩む鳥の「カーくん」が、仲間に気持ちを打ち明け、
元気になる物語で、それを教材に「日本いのちの電話連盟」の
斎藤友紀雄常務理事らと、小・中学校十数校で読み聞かせ授業。

読み聞かせ授業を行った自治体の一つが、埼玉県志木市。
市民全体を対象にした「心の安全週間」の催しの一環、
12日に市内の小中学校2校で実施。

「心も疲れることがある。自分がそうなったら、だれかに話してみて。
元気のない友だちがいたら、声をかけ話を聞いて。
なくなっていい命など一つもない」。
市立第二中の1年生の授業で、夢ら丘さんはこう呼びかけた。

授業後、子どもたちからは、「つらいときは人に頼っていいし、
自分もつらい人を救えるんだと思った」(男子)、
「自分もカーくんのような気持ちになる。親に話してみようと思った」(女子)。

志木市以外でも、子どもたちの感想文をきっかけに、
担任や養護教諭が見守ったり、専門医の診察で改善につながった例も。

東海大医学部の保坂隆教授(精神医学)らが、
06年に厚生労働省の研究事業として中学1~3年生約550人を
対象に行った調査では、約4人に1人の生徒がうつ状態。

「いのちの電話」で30年前2割を占めた青少年からの相談が、
今は約3%。
しかし、東京支部が2年前からメールでの相談を始めたところ、
年間1500件のうち7割が未成年。
斎藤さんは、「心を受け止める多様なチャンネルが必要」。

◇身近な大人が変化に気付いて--東海大医学部・保坂隆教授

元気がない、食欲不振、遊ばなくなるなど、うつ状態を示す子どもの中に、
うつ病やその予備軍、統合失調症などいろいろなケースが含まれる。
服薬や環境を整えることでコントロールできるし、
適切な手助けで改善するケースが圧倒的。
それが正しく認識されていない。

誤解されるのが、いじめとの関係。
「いじめ即自殺」、ではない。
まず、うつ状態があり、そのおとなしい子がターゲットになりやすい面。

大切なのは、親、教師、養護教諭など身近な大人が正しい知識で、
子どもの心の状態に気付くこと。
元気がない、メールばかり見る、食事をしない、勉強しなくなる、
などの状態が続いたら、安心して心を打ち明けられる環境を作り、
その声に耳を傾けてほしい。

理由を聞かずに頑張らせたり、しかったり、見て見ぬふりは禁物。
本人や学校、他人に原因を求めようとするのもよくない。
専門医に一緒に行く冷静さも必要。
==============
◆うつ病の主な症状
▽抑うつ気分
=悲しい、寂しい、憂うつ、孤立感、自責感、涙が出る、楽しめない
▽精神機能の抑制
=集中力や持続力が無い、忘れっぽい、決断力がない、成績が悪くなる
▽運動の抑制
=やる気が起きない、おっくう
▽身体症状
=頭痛、頭重感、肩こり、食欲不振、体重減少、便秘、不眠

http://mainichi.jp/select/science/news/20080518ddm013100046000c.html

県産食材の販売フェア アジア5カ国に拡大

(岩手日報 5月18日)

県や農林水産関係団体などで構成する
いわて農林水産物輸出促進協議会」(川畑俊三会長)は本年度、
アジア5カ国で県産農林水産物を販売するフェア開催を検討。

これまでマレーシア、タイで開催したが、
香港、シンガポール、台湾に拡大。
フェア開催には、国の事業導入を検討。
県産食材の輸出定着を進め、県内農林水産業の振興を図る。

フェアは昨年度、県が主体となってタイとマレーシアで開催。
タイでは7、8月の約2週間、サンマや乾燥ワカメ、ホタテなど
水産物を中心に約80万円を売り上げ。
マレーシアでは11、12月の計25日間、米、リンゴ、白菜、干しシイタケ、
サンマ、ホタテ、ワカメなどを販売。売上高は約1800万円。

「フェアは大変好評だった。日本に比べ10倍の高値だが、
良いものは売れる」と堀江正彦駐マレーシア大使。
「世界的に日本食ブーム。現地では、そばも出始めた。
日本食の強みが出ている証左だ」。

この成功例を受け、官民19組織で同協議会を結成。
成長が著しいアジアに照準を合わせ、安心安全な県産品を浸透させ、
国際市場で優位性を獲得することを狙いとした輸出促進戦略を策定。

この戦略を実現するため、同協議会は輸出販売促進や産地PRなどを
目的とした農林水産省の輸出促進対策事業(国が半額補助)の導入を検討。

県農林水産部流通課の浅沼康揮総括課長は、
「タイ、マレーシアは輸出の定着、香港やシンガポール、
台湾は新規開拓を進める」。

計画では、フェアは今秋から来年1月にかけ開催。
商社を通じ、米やリンゴなどの農産物や加工品、水産物などを販売。
現地政府や業者などにアピールし、県産ブランドの浸透を図るほか、
県内生産者の輸出意欲を醸成。

達増知事は、「今年はマレーシアでは米を5トンから15トンに増やし販売。
現地政府から、岩手コーナーの常設化を言われた。
アジアへの輸出を拡大し、発展させていきたい」。

◆本県の輸出実績(2006年)

全体で前年比31%増の3054億円で、初の3千億円台。
東アジア向けは、620億円。
全体では自動車産業や鉄鋼、電子部品などが好調。
農林水産物・食品は3・7倍増の25億円。
特に水産物は、8倍増の20億円。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080518_3

高血圧の怖さ考えるイベントで4981人が計測、ギネス記録更新・ロッテ千葉マリン

(日経 5月19日)

高血圧についての理解を深めるイベントが、
千葉マリンスタジアムで開かれた。
ロッテのバレンタイン監督をはじめ渡辺俊介、成瀬善久両投手、
試合観戦に訪れた野球ファンら合計4981人が血圧を測定。
24時間以内に、1カ所で血圧測定できる人数を競うギネス世界記録を更新。

5月17日「高血圧の日」に合わせたイベント
「ウデをまくろう、ニッポン!知っていますか?大事な人の血圧」を
主催したのは、日本高血圧協会と日本高血圧学会。

昨年5月17日、同じ千葉マリンスタジアムで2109人が計測、
いったんはギネス記録を打ち立てたが、
2008年3月フィリピンで2302人の新記録に塗り替えられた。

球場外の特設ステージで血圧を計測したボビー・バレンタイン監督は、
チームの成績が現時点で5位と振るわないことに関連し、
「最近は、チームが不振で血圧が上がりっぱなし。
隣に座っている(渡辺、成瀬)選手が、
自分を殺そうとしていると思えることも」と冗談を交えてあいさつ。

冗談とはいえ、その前日(16日)オリックスにKOされた渡辺投手と、
2007年のパリーグ最優秀防御率投手ながら今年は3勝2敗と
いまひとつ波に乗れない成瀬投手の2人は、
共に神妙な面持ちで監督のあいさつを聞いていた。

http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=20080519h1000h1

多分野業種でスクラム 大船渡ネットワーク会議発足

(東海新報 5月22日)

ものづくりの産業振興を目指し、大船渡商工会議所工業部会が
中心となった「大船渡ものづくりネットワーク会議」が結成。
大船渡市内の製造事業所が相互に手を結び、
情報交換や提携しやすい環境を整えることで、
新たなビジネスチャンスを生もうと活動を始める。

行政や学術機関も加わり、今年度は北上市や花巻市を視察、
将来的には気仙型の産業集積形成を目指す。
同部会の崎山節郎会長が、
「皆さんのご意見を反映しながら活動を進めていきたい」。
会議要綱や事業スケジュールなどについて確認。

同振興局の宇部眞一企画総務部長が、
北上は自動車や半導体、盛岡はITで産業集積が進んでいる。
気仙地域が今後どのように仕掛けていくのか、
ネットワークを作ることには大きな意義がある」。

記念講演会では、岩手大学工学部の清水健司教授が
「産業連携と共同研究について」と題し、講師を務めた。
同大学が、産業界や地方自治体などと連携した形で、
新ビジネスの開拓や生涯学習推進に力を入れている実績を強調、
今後の連携や共同研究などに期待を寄せた。

会議は、電気機械器具製造や自動車販売修理、製材、
金属製品製造など工業部会加盟社をはじめ、
市内のプラスチック加工、合板製造、食品製造、土木建築、
セメント関連など幅広い分野の約20事業所に加え、
市や振興局も入っている。

個々の企業の経営力向上やものづくり産業振興に向けた情報交換、
研究会を開催し、地域経済振興を図ろうと結成。

7月以降に本格的な活動を計画し、会員企業の視察会や意見交換会を予定。
秋には、花巻市起業化支援センターや北上市東芝半導体新工場建設用地の
視察、花巻工業クラブとの懇談会を予定し、
産業集積の先進地である県内陸部の整備体制に理解を深める。

これまでも工業部会としてまとまり、各種活動を行ってきたが、
より多彩な業態の事業所とネットワーク関係を構築して、
新しい産業集積の形を見出すネライ。

大船渡商議所では、「市内には多様な製造業があるが、
相互に材料調達や連携を行うことで、
大船渡ならではのものづくりができるのでは。
ネットワーク形成によって、ものづくりの相乗効果を期待したい」。

http://www.tohkaishimpo.com/