2010年10月23日土曜日

インサイド:五輪ボイコット30年・第4部 「スポーツ立国戦略」の課題/5止

(毎日 10月9日)

文部科学省所管の味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)と
国立スポーツ科学センター(JISS)は、JOC傘下の競技団体の
アスリート向けに設立。
厚生労働省所管の障害者スポーツの利用は、想定されていなかった。

競泳で過去5回、パラリンピックに出場した河合純一(35)が、
08年北京パラリンピックの直前に、NTCの宿泊施設とJISSの
プール使用を申し出た際、なかなか許可が下りなかった。
管理責任の所在を巡って、たらい回しにされた。
その中で、パラリンピックは厚労省の管轄だからという話も聞いた

結果的に使用が認められたが、
スポーツ行政の縦割りの弊害を象徴する出来事だった。

◆複数にまたがる窓口

スポーツ行政は、
(1)競技・地域スポーツや学校体育は文科省、
(2)障害者スポーツや国民の健康増進は厚労省、
(3)スポーツ施設が絡む都市公園整備は国土交通省、
(4)フィットネスクラブなどスポーツ産業は経済産業省--と、
複数の省をまたいで行われている。

スポーツ振興くじ(toto)は文科省所管、
公営ギャンブルは競馬が農林水産省、競輪は経産省、
競艇は国交省に分かれ、収益金からの助成や補助に
それぞれ法律の規定がある。

文科省は「スポーツ立国戦略」で、国のスポーツ行政の組織について
「『スポーツ庁』等の在り方について検討する」と言及。

スポーツ界には、スポーツ政策の一元化と予算確保への期待から、
スポーツ庁(省)の創設を求める声が根強い。
JOCは、「長期的な視野に立った財政支出計画を可能にし、
効率のよいスポーツ振興を実施するために、トップ選手の強化、
国民のスポーツ振興、障害者スポーツなど、
多様なスポーツ行政を統一することが望ましい」と要望。

実際には、ハードルが高い。
文科省OBの一人は、「文科省は、自分の省の外局として
スポーツ庁を置きたい。
その場合、他の省がスポーツ関連の権限を手放さない。
スポーツ行政を一元化するには、首相直属の内閣府に置くのがいいが、
文科省は手放したくない。
役所には、権限を守ろうとする体質がある

◆文科省だけでは限界

スポーツ立国戦略も、文科省が単独で策定した以上、限界がある。
文科省幹部は、「霞が関的な仁義から、他省庁の所管に関しては
かなり遠慮した」と明かす。
NTCのパラリンピアンの利用についても、
「検討する」という表現にとどめられた。

パラリンピックの代表選手は、五輪代表以上に支援が手薄。
日本障害者スポーツ協会の調べでは、06年トリノ、
08年北京パラリンピックに出場した選手の強化費の
自己負担は、年平均111万円に達した。

みんなの党から参院選に立候補(落選)し、
スポーツ環境の充実を訴えた河合は、
「スポーツ立国戦略の議論は、本来は内閣府でやるべき。
他省庁への越権行為になるといってやらないなら、
初めからしないほうがいい。
スポーツ庁も、今の文科省スポーツ・青少年局を庁にするのでは、
何も変わらない」

スポーツ行政の複雑な組織構造。
そこに横たわる権限の壁は、簡単には崩れそうにない。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20101009ddm035050097000c.html

歌やダンスが認知症予防? 元タカラジェンヌを研究

(2010年10月12日 共同通信社)

タカラジェンヌは、年を取っても認知能力が高い-。
宝塚歌劇団OGで、神戸大大学院医学研究科を修了した
桝谷多紀子さん(65)が、平均年齢80歳の宝塚OGの認知能力や
脳の機能を調べ、こんな結論をまとめた。

若いころに練習した歌やダンスなどが影響していると分析し、
国際医学雑誌に論文を発表。
専門家は、認知症予防策の解明につながる可能性もあるとみて注目。

桝谷さんによると、きっかけは宝塚OGとの交流。
「健康で生き生きしているのは、かつての厳しいけいこが
影響しているのではないか」

学問的に証明したい、と4年前に研究を始めた。

無作為に選んだOG組織「宝友会」会員と一般女性の計124人に
言葉の復唱や計算をしてもらい、認知症の診断基準となる
認知機能を数値化(30点満点)。

10年以上、舞台に向けて歌やバレエなどに集中的に取り組んだOGは、
一般女性と比べ、平均点が1・6点高く、統計学上明確な差が認められた。

精神状態に関するアンケートでは、OGはうつ状態になりにくい
傾向にあることが判明。
MRIで調べた脳の海馬の容積も、宝塚OGの平均値が
一般女性を上回っていた。
海馬の萎縮は、認知症やアルツハイマーとの関連が指摘。

神戸学院大の前田潔教授(精神医学)は、
「若いころ、音楽や踊りに集中することが認知症の予防に役立つ
可能性を示唆し、意義は大きい」と評価。

桝谷さんは、「薬や手術だけが医学ではない。
芸術活動が、健康や生きがいにも役立っていると伝えたい

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/10/12/126748/

2010年10月22日金曜日

インサイド:五輪ボイコット30年・第4部 「スポーツ立国戦略」の課題/4

(毎日 10月8日)

8月3日、文部科学省が策定した「スポーツ立国戦略案」を
テーマに行われた中央教育審議会の分科会。

引退したトップ選手を、総合型地域スポーツクラブに派遣する
戦略の目玉事業に対し、ソフトボール元日本代表監督の
宇津木妙子氏から注文がついた。
アスリートの派遣は、継続が大事。
単発的な派遣では、人づくりはできない」

文科省は、来年度の概算要求で、元トップ選手らを配置した
拠点クラブの育成などに、約27億円を計上。

狙いの一つは、選手のセカンドキャリア(第二の人生)の確保。
広域市町村圏(全国300カ所程度)の拠点となる総合型クラブに、
競技経験が豊富な選手を指導者として配置することで、
会員の確保に悩むクラブの起爆剤にしたいという思惑。

同省は、クラブが使用するスポーツ施設の不足を、
学校施設の有効活用によって補う考えだが、元トップ選手をクラブから
小中学校にも派遣することによって、クラブに対する理解が深まり、
学校開放が進むことも期待。
クラブが、そのような人材を長期的、安定的に確保できるかには課題。

◆有償雇用はわずか

アスリートの再就職事業に携わるJOCの荒木田裕子理事は、
「現在の総合型クラブが、アスリートが引退した後の
受け皿になってくれるのはうれしいが、きちんと整備された
(年金や社会保険などの)社会保障が必要。
JOC専任コーチなど多くの指導者が、国から支援を受けているが、
社会保障はない」

鈴木寛副文科相は、「約3000ある総合型クラブのうち、
有償で雇用できているのは微々たるもの」、
将来にわたる雇用の財源は、税金よりも、市民の寄付や
公共向けサービスからの収入で確保する仕組み作りを提案。
今回の戦略で強調されている「新しい公共」という考え方。

鈴木氏は、具体案として国から各家庭に支給される「子ども手当」を、
年収1000万円以上の家庭には、クラブに寄付してもらうプランなどを披露。

寄付で、どれだけ賄えるかは未知数。
早大スポーツ科学学術院の間野義之教授は、
寄付に頼るよりは、総合型クラブのサービスを上げることが大切。
学校のプールが屋内化され、通年使えるようになれば、
総合型クラブの会員数と収入は飛躍的に増える」
その場合にも、条件整備のための支援は不可欠。

◆部活との橋渡しに

戦略には、地域のクラブに所属する中高生に対し、
全国中学校大会や全国高校総体への参加を
検討することも盛り込まれた。
現在は、学校単位での参加だが、クラブ所属の選手にも
門戸を広げる方向性を打ち出している。

もともと国の施策として、95年に育成モデル事業がスタートした
総合型クラブは、少子化の影響で学校の部活動が揺らいだことを受け、
新しい受け皿をつくる狙い。

間野教授は、「やりたいスポーツが、学校の部活動にない
子どもがいる状況で、その機会を与えるのは大切」と前向きにとらえ、
「既存の部活動とクラブが、グラウンドを分け合いながら
共存していけばいい。
そのためには、派遣されるアスリートが指導者の資格を取る
仕組みをつくることが必要」

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20101008ddm035050006000c.html

医療観光、初の学会 "先進地"の日光で

(2010年10月12日 共同通信社)

医療サービスと観光を組み合わせた「医療観光」の振興を目指す
「国際観光医療学会」が発足、全国の医療機関や旅行業界の
関係者らによる初めての学術集会が、日光市の日光東照宮で開かれた。

医療観光は、政府の新成長戦略に盛り込まれ、
中国人富裕層をはじめとした外国人観光客の誘致に期待。

学会は、全国初の観光医療科を持つ
独協医大日光医療センター(日光市)が中心となり設立。

まだ個別の取り組みが先行している医療観光について、
事例発表による問題の洗い出しや、全国的なガイドラインの策定など、
情報交換を進める方針。

集会には、福岡県の柳川病院や近畿日本ツーリストなどから
約260人が出席。

観光庁の柏木隆久・国際観光政策課長は、
「学会への期待は大きい。
来年度は(医療観光専門の)予算要求。
連携をしながら、広い視野で進めたい」

日光医療センターと提携する中国・上海の上海同済大学付属同済医院の
王楽民院長も来賓として招かれ、中国にある先端医療への
潜在的ニーズを指摘、誘致は「現地に連絡事務所をつくり、
旅行会社と連携して行うべきだ」

観光庁などによると、医療観光をめぐっては、
和歌山県立医科大が研究部門を設けているほか、
福島県は4月にモニターツアーを実施。
徳島県や岡山県も独自の取り組みを始めており、関心が広がりつつある。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/10/12/126751/

2010年10月21日木曜日

インサイド:五輪ボイコット30年・第4部 「スポーツ立国戦略」の課題/3

(毎日 10月7日)

文部科学省が発表した「スポーツ立国戦略」の中で、
年代を問わず、多種多様なスポーツを楽しめる
「総合型地域スポーツクラブ」が、地域スポーツの核と位置づけ。

文科省には、無償の公共サービスとしてではなく、
地域住民の会費や寄付で運営する「新しい公共」クラブとして
広げたい思惑があるが、現場の要求とは必ずしも一致していない。

◆子供から80歳代まで

北九州市の総合型クラブ「戸畑コミスポ」。
市立の戸畑体育館では、高齢者がマイペースで屈伸や跳躍を繰り返し、
心地よい汗を流す。
その姿を笑顔で見つめるのが、戸畑コミスポの平川博海理事長(79)。

この体育館を拠点に、健康体操や卓球など9種目のスポーツ教室を開く。
会員数は、子供から80歳代まで約550人。
「先例がなく、手探りでつくったクラブだが、創設から15年。
幸運に恵まれて、軌道に乗せられた」

もともと、スポーツが盛んな市立大谷中の校区にあった
12種目のクラブをまとめ、「大谷コミスポ」として95年発足。
当時の文部省が始めた「総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業」の
第1期事業に認定、国と市から計1300万円の補助金を3年間受けた。

平川理事長は、「金銭的な問題が消え、国の支援のありがたみを知った。
入会費も3年間無料にでき、会員を増やせた」
02年からは3年間、スポーツ振興くじ(toto)による助成金も得た。

クラブ側も基盤づくりに努め、運営委員会を頂点とする組織を整えて、
地域での存在感を高めた。
4年目から設定した年会費も、500円(現在1000円)に抑えて
加入率を上げるなど、工夫を重ねた。
02年、市から戸畑体育館の管理運営業務の委託を受け、
NPO法人格も取得。
名称も「戸畑コミスポ」と変更、近隣の区の住民も取り込んだ。

平川理事長は、「国の支援と自立への意志。
この二つがかみ合ったことが成功の要因
一方、「完全な自主運営が理想だが、経験上支援がないと
軌道に乗せるのは難しい。
それなのに、国の支援態勢が後退しているように思う」と懸念。

◆学校施設活用に課題

文科省の戦略では、総合型クラブに引退したトップ選手を派遣し、
トップと地域の「好循環」を生み出す方針を打ち出している。

地域スポーツの現場の悩みは、やはり「場所」の問題。
戸畑コミスポも、戸畑体育館の優先使用権はないといい、
小、中学校などの施設も借りている。
平川理事長は、「求めるのはハードの充実。
市は協力してくれるが、国がクラブをどう導きたいのか分からない」と
困惑気味に話す。

鈴木寛・副文科相は、「学校施設を含めると、日本も人口当たりの
体育施設数が、ドイツやフランス並みになる。
校庭を学校の庭ではなく、市民の庭にしたい」、
学校施設の有効活用を進める考え。

部活動との関係をどうするか、という問題は残されたままで、
クラブへの施設開放は自治体や学校によって、温度差もある。

一橋大の関春南名誉教授は、「公共スポーツ施設の予算は、
80年代の民間活力導入以降、カットされる傾向が続いている。
クラブは、スポーツ好きな人が自主的に運営していくのが基本で、
行政はそのための場所を提供することが大切。
それがないと、総合型クラブをつくっても長続きしない」

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20101007ddm035050030000c.html

受動喫煙の被害が深刻です

(2010年10月11日 毎日新聞社)

受動喫煙の影響を調べている厚生労働省の研究班は、
年間に受動喫煙が原因で、肺がんや心臓病で死亡する
約6800人の成人のうち、「半数以上の約3600人は、
職場での受動喫煙が原因」との推計値を発表。

職場の受動喫煙防止は現在、健康増進法に基づく
事業者の努力義務にとどまっているが、
厚労省は労働者保護の観点から、受動喫煙防止の義務化を
労働安全衛生法に明記する意向。
来年の通常国会に、同法改正案を提出することを目指す。

職場での受動喫煙問題に取り組む岡本光樹弁護士は、
常に10~20件の相談を抱えている。
「建設事務所の職場は、約20人の従業員がほとんどが喫煙者。
分煙さえされず、このままでは体が参ってしまう。
家族を抱え、会社と対立するわけにもいかない」

昨年11月、50代の男性会社員からの相談。
この男性のように、小規模の職場で、受動喫煙被害を訴える人は多い。

厚労省の調査(07年)では、同省のガイドラインに沿って、
禁煙か分煙の対策を取っている事業所は全体の46%。
規模別にみると、従業員5000人以上の大企業では100%、
10~29人では44%。
小規模の事業所ほど、対策が遅れている実情が浮かんだ。

不十分な分煙に、苦しむ人もいる。
不動産会社に勤める40代の女性は、頭痛などの症状が表れ、
今年4月、「受動喫煙症」と診断。
職場は、喫煙スペースと禁煙スペースに分かれてはいるものの、
煙が遮断されてはいなかった。
女性は診断書を会社に提出し、職場は禁煙に。
だが、女性は今も休職中。

職場での受動喫煙に苦しむ人の中には、
勤務先の提訴に踏み切る人もいる。
多くは、上司に「大げさだ」などと言われ、泣き寝入りしたり、
退職や休職に追い込まれる人も少なくない。

厚労省は今年2月、健康増進法に基づき、官公庁や飲食店など
不特定多数の人が利用する公共的施設は、
原則全面禁煙とする通知を出した。

努力義務規定に過ぎず、岡本弁護士は、
「まだ認識の低い企業も少なくない」と指摘。

厚労省は、同法ではなく、労働安全衛生法で規制を強化し、
「義務付け」に格上げ。

従来の規制対象が「公共の場での受動喫煙」に対し、
「従業員の受動喫煙」に着目した本格的な喫煙規制といえる。

◇飲食店、対応難しく

政府が規制強化に乗り出す中、飲食店など客が喫煙する職場は
難しい対応を迫られる。

厚労省は、
(1)浮遊粉じんの空気中濃度を基準以下に、
(2)濃度が基準以下になる十分な換気量の確保――のいずれかを
義務づける方向で検討。
排気設備の取り付けなど、抜本策が必要になりそうだ。

居酒屋やバーなどを全国展開する、ある大手飲食チェーンは、
条例で受動喫煙防止が義務づけられている
神奈川県内の一部店舗を除き、分煙で対応。
法改正が実現すれば、全面禁煙か施設改修を迫られかねない。

同社は、神奈川県内の対応だけで数百万円かかったといい、
担当者は、「お酒にたばこはつきもの。
さらに設備投資するのは苦しく、全店舗での禁煙は難しい」

規制は、同省の専門委員会が示した「1立方メートル当たりの
浮遊粉じん0.15mg以下」が有力。
世界保健機関(WHO)や米国の基準より4~6倍も緩く、
「不十分」と指摘する専門家も多い。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/10/12/126732/

2010年10月20日水曜日

小中高の体力向上鮮明に 持久力、敏しょう性で改善 11年前と比較、文科省

(2010年10月12日 共同通信社)

小学校高学年と中学、高校生の体力が、11年前に比べ、
向上傾向にあることが、文部科学省が体育の日に合わせて公表した
2009年度の体力・運動能力調査で分かった。

反復横跳びや20mシャトルランなど、
敏しょう性や持久力を測る項目は男女ともに上昇。

子どもの体力は、1985年ごろをピークに長期間、低下傾向が
続いていたが、近年は上向きに転じ、分析を担当した
順天堂大の内藤久士教授は、「ピーク時に比べると依然低いが、
改善傾向が鮮明になった」

調査は、全国の6~79歳の計約7万人に実施、
年齢層に応じて6~8項目を測定。
文科省は、11歳(小6)、13歳(中2)、16歳(高2)を、
男女別にした6グループについて、98年度以降の傾向を分析。

その結果、13歳(8項目)の男子は、反復横跳びなど5項目で、
女子は、上体起こしやボール投げなど7項目で向上。
男子の50m走は、98年度の8・00秒から7・91秒になり、
高水準だった85年度(7・90秒)にほぼ並んだ。

16歳(8項目)は、男女とも上体起こしなど4項目で上昇。
98年度以降、調査項目を数値化した方式の合計点(80点満点)は、
男子が98年度の48点から54点に、
女子は46点から51点に上がり、過去最高となった。

11歳(8項目)は、男子の握力と立ち幅跳びが低下した一方、
20mシャトルラン(往復持久走)など3項目で上回った。
女子は、ボール投げなど5項目で向上、低下した項目はなかった。

成年の合計点の分析では、20~30代の女性は低下傾向、
40歳以上の中高年と65歳以上の高齢者は、男女とも向上傾向。

※体力・運動能力調査

「走る」、「跳ぶ」、「投げる」という基本的な体力や運動能力について、
国民全体の状況を把握し、政策に反映させるため、
東京五輪が開かれた1964年度に始まり、毎年10月、
体育の日に合わせて発表。

身長や体重などの調査も含め、当初は12~29歳で開始。
6~79歳を対象にした現行方式は、98年度から。
文部科学省はこれとは別に、全国体力テストも実施。
小学5年と中学2年の全員対象から、本年度は全小中学校の約19%を
抽出する方式に変更、目的や内容がこの調査と重複しているとの指摘。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/10/12/126746/

インサイド:五輪ボイコット30年・第4部 「スポーツ立国戦略」の課題/2

(毎日 10月6日)

文部科学省のスポーツ立国戦略案を巡り、JOCに波紋が広がった。
独立行政法人「日本スポーツ振興センター(NAASH=ナッシュ)」が、
スポーツ界全体の連携・協働の「中核的な役割」を担うと
位置づけられたため。

旧文部省から補助金カットをちらつかされて、
80年モスクワ五輪参加を断念した経緯もあり、
JOCには政府がNAASHの権限と予算を強化し、
選手強化の主導権を握ることへの警戒感がある。

JOCや日本体育協会の反発を受け、8月26日に最終発表された
スポーツ立国戦略では、「中核的な役割」という文言は外され、
「スポーツ界への支援のための中心的な機関」と修正。

スポーツ団体には、「公的資金を受給するにふさわしい」との表現で、
ガバナンス(組織の統治)の強化を求め、JOC理事の一人は、
「スポーツは、民間団体であるJOCや体協による自治だったが、
今までと違う方向になりつつある」

◆JOCへの補助減額

NAASHは、03年10月、日本体育・学校健康センターから移行した
文科省所管の独立行政法人。
スポーツ振興くじ(toto)の実施主体であり、理事には文科省と
旧大蔵省出身者が名を連ねる。

国立競技場などのスポーツ施設のほか、スポーツ医科学の研究を行う
国立スポーツ科学センター(JISS)と、トップ選手の練習拠点である
味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)を運営。
totoの収益金やスポーツ振興基金の運用益により、
各団体への助成事業を行う。

NAASHは、メダル有望種目を支援する文科省の
マルチサポート事業でも、中心的役割を担う。
政府の事業仕分けで、JOCや体協への補助事業が減額される一方、
マルチサポートは大幅増額となり、JISSを運営するNAASHと
筑波大に事業が委託。
NAASHはアスリート支援、筑波大は研究開発という役割分担。

文科省OBは、「JOCや体協を通した補助事業に対し、
文科省が主体となる委託事業の比重が増し、
国が描く事業をより強力に推進できる」

マルチサポートは、主に情報・医科学などの分野での後方支援を
目的にしており、選手の合宿費や遠征費まではカバーしていない。
依然、多額の負担をしいられる競技団体は多く、
現場からは、「本末転倒だ」と不満の声も。

◆高まる国への依存度

文科省の芦立訓・競技スポーツ課長は、
「国の委託事業であるマルチサポートは、スポーツ界が(選手強化を)
国策としてやってくれ、というところからスタートしている」、
「『民』とか『官』ではなく、アスリートをどうサポートしていくのかが大事。
垣根を低くしてやっていきたい」

かつて五輪はアマチュアの祭典だったが、プロ参加解禁に伴い、
国際的な競技水準と注目度が飛躍的にアップ。
国策として、スポーツ強化に取り組む国が増えた。
国への依存度が高まれば高まるほど、コントロールも受けやすくなる。

国の支援とスポーツ界の自治のバランスをどう保つのか。
政府与党が、スポーツ立国戦略を踏まえて、
来年の通常国会で成立を見込んでいるスポーツ基本法でも、
大きなテーマになってくる。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/10/06/20101006ddm035050005000c.html

2010年10月19日火曜日

部活新時代(11)スポーツ・芸術 機会確保

(読売 10月9日)

学校をめぐる環境が様々に変化する中、
部活は今後、どうあるべきなのか?

部活事情に詳しく、『部活動』(学事出版)の編著者である
西島央・首都大学東京准教授(教育社会学)に、
部活の意義や今後の展望、課題を聞いた。

――子どもたちにとって、部活の意義は?

「部活は、課外活動でありながら、参加する中学生や高校生は多い。
学校生活で、大きな楽しみになっているからだ。
スポーツにしても、芸術にしても、興味のある分野に打ち込み、
上達する喜びは、他に代え難いものがある。
それに加え、気の合う仲間が集まる居場所としての意味も大きい」

――教師にとってはどうか?

「教師にとっても、部活は重要な生活指導の場に。
授業とは違った生徒の姿を知り、学習面以外の話も、
いろいろしながら信頼関係を築いている教師は多い

「学校週5日制を導入した当時、部活を学校から切り離し、
地域に移していくべきだとの議論もあった。
にもかかわらず、部活が存続したのは、その重要性を知る教師たちが、
勤務が忙しくなる中でも、手放さなかったことが一因」

――部活に熱中するあまり、学業がおろそかになる生徒もいるため、
部活と学業の両立がしばしば問題に。

「もちろん、そういう生徒はいる。
以前、中学生を調査したところ、部活に積極的な生徒は、
授業でも意欲的に学び、成績も良かった。
部活と学業を両立させている生徒は、思われている以上に多い

部活の利点は、学業に比べて、努力の成果が短期間に
目に見える形で表れること。
その手応えを感じた生徒は、部活で培った勤勉さや集中力を、
学習面でも発揮するようになると、多くの教師も見ている」

――部活に参加せず、民間の団体・教室に通う生徒が増えている。

「ベネッセコーポレーションが昨年実施した調査によると、
スポーツをしている中高生の6割が部活に参加し、
民間の団体・教室に通うのは2割以下。
芸術でも、部活参加者は4割に。
収入が多い家庭ほど、小さいうちからスポーツや芸術に親しむ
子どもの割合が高いことも明らかに」

比較的少ない費用で参加できる部活が、
この格差の縮小に役立っている。
スポーツや芸術には、特別な才能や感性などを伸ばし、
人生を豊かにしたり、人とのきずなを深めたりするなど、
学力とは別の可能性がある。
部活は、その重要な担い手。

スポーツや芸術に親しむ機会の確保という視点を交えて、
部活はどうあるべきか、今後の社会の変化を見越しながら
議論する必要がある」

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101009-OYT8T00191.htm

外国語苦手は生後14カ月の乳幼児から

(サイエンスポータル 2010年10月13日)

生後わずか14カ月で、日本人は早くも外国語の特徴が
聞き分けられなくなっていることが、
理化学研究所とフランスの国立科学研究センターによって明らか。

理化学研究所脳科学総合センター言語発達研究センターの
馬塚れい子チームリーダー、イボンヌ・カオ・テクニカルスタッフと、
フランスの国立科学研究センターのエマニュエル・デュプー教授、
アン・クリストフ教授らの共同研究による発見、
日本人が外国語をうまく聞き分けられない原因の解明にもつながる成果。

日本語の大きな特徴は、音節が子音と母音からなるのが当たり前で、
英語を初めとする外国語には珍しくない、子音が連続する音節はない。

多くの日本人が、外国語をいつまでたっても聞き取れない大きな理由は、
子音の連続する語なのに、一つ一つの子音に母音を入れてしまう
習慣が身についてしまったため。
こうした習慣は、たくさんの語いを覚え、文字を学んだりした
結果によると考えられていた。

研究グループは、生後約8カ月と生後約14カ月の日本人とフランス人の
乳幼児それぞれ24人に連続した子音が含まれる単語と、
同じ単語のそれぞれの子音の後に、
“日本語らしく”母音を挿入した単語を聞かせ、乳幼児の反応を調べた。

その結果、生後8カ月では日本人、フランス人いずれの乳幼児も、
両者の違いを聞き分けていたにもかかわらず、
生後14カ月になると、日本人の乳幼児だけが
区別できなくなっていることが明らか。

日本人の耳が、日本語だけに適応してしまっている例として、
日本でも多くの店がある「McDonald」が有名な言葉。

本来3音節の語だが、日本人の多くは
「ma.ku.do.na.ru.do(マ・ク・ド・ナ・ル・ド)」と、一つ一つの子音に
母音を付けて、6音節にしないと聞き取ることもできないし、
発音もできないのが実態。

英語のどのような特性が日本人にとっての英語の習得に、
特に困難になるかが分かれば、その特性を克服するためには
どのような教え方をすればよいかが分かる。
小学校で導入される英語教育のありかたにも、参考になる知見。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1010/1010131.html

「海の産業」創造へ大船渡でシンポ 産学官関係者が情報交流

(東海新報 10月10日)

いわて三陸起業・新事業支援ネットワークと県主催の
第1回「いわて三陸発!海の産業創造シンポジウム」は、
釜石市に続いて、大船渡市で開かれた。

海洋産業の産学官関係者が、基調講演やトークセッションなどを
通して情報交流を深め、起業や新事業創出への意識を高めた。

シンポジウムには、県や気仙の産学官から約30人が出席。
県沿岸広域振興局大船渡地域振興センターの大畠齊所長があいさつ、
岩手大学地域連携推進センターの産学官連携コーディネーター・
佐藤利雄氏が、「起業・新事業活動のススメ
~やりたいキモチが成功のカギ~」と題して基調講演。

佐藤氏は、産学官連携による花巻地域企業の技術移転や
経営革新事例を紹介。
産学官連携コーディネーターの立場から、起業化支援に求められる組織、
個人の取り組みなどについてもアドバイス、
新事業活動の展開に向けては特に、産学官民の交流や情報の活用を
活発化させるネットワークづくりの重要性を訴えた。

トークセッションでは、イタリア料理店「ポルコ・ロッソ」の
オーナーシェフ・山崎純氏(大船渡市)、商品開発コーディネーターで
㈱パイロットフィッシュ代表取締役の五日市知香氏(盛岡市)、
県水産技術センターの菊池達也氏(釜石市)が、
三陸の海の資源を活用した起業・新事業活動に関する事例を発表。

「三陸の恵み豊かな食財に魅せられて…」と題して発表を行った
山崎氏は、食材探しで大船渡を訪れた東京の有名シェフと
フードコーディネーターから、「生産者を訪ねること」の大切さを学び、
それが「コックとしての大きな転機となった」

地元食材生産者の訪問を通し、同氏は
自分が料理を作っているのではなく、生産者と自然が作っていること、
コックは素材に生かされていることに気づかされた」
世界3大漁場を抱えた三陸には、料理に必要な豊かな自然環境と
生産者と食材のすべてが揃っていることを強調。

地元で生まれ育った人たちが、それに気づいていないことを指摘、
今後も自身の料理を通し、三陸地域の素晴らしさや食材の良さを、
地元内外に発信していく意欲を示した。

トークセッションのあと、佐藤氏、事例発表者、シンポジウム参加者が
軽食をとりながら交流を深め、情報交換を図った。

http://www.tohkaishimpo.com/

2010年10月18日月曜日

インタビュー・環境戦略を語る:新日鉄エンジニアリング・羽矢惇社長

(毎日 10月11日)

新日本製鉄で、製鉄用の設備などを製造する
エンジニアリング事業部が、06年に独立して発足した
「新日鉄エンジニアリング」。
製鉄過程で出るごみや熱エネルギーを有効利用し、
リサイクル省エネ設備の開発などに力を入れる。
羽矢惇社長に、環境問題への取り組みを聞いた。

--鉄鋼業界では、地球温暖化防止に向けた
さまざまな取り組みが進んでいる。

◆中国やインドなど、新興国の経済的発展に伴い、大量の資源を使い、
エネルギーを出す製鉄過程での資源の有効活用や省エネ化は、
世界の鉄鋼業界の大きな課題。
我々は、新日鉄のエンジニアリング事業部として、
鉄を作るプロセスに深くかかわってきた。
そこで培った技術をベースに、環境対応型の商品開発に取り組んでいる。

--具体的には?

◆製鉄関連では、従来原料として使えなかった製鉄過程で出る
粉鉱石などの製鉄ダストを、石炭と一緒に加熱処理などすることで、
還元鉄という鉄原料を製造。
製鉄ダストから亜鉛を取り出し、リサイクルする回転炉床炉(RHF)を製造。
これまでに、中国や韓国などの企業から計9件の受注があった。

原料のコークスを精製する過程で出る熱エネルギーを回収し、
製鉄所内の発電などに活用するコークス乾式消火設備(CDQ)も製造、
日本と中国合わせて、計79基を納入。

--製鉄分野以外での取り組みは?

◆一般家庭で出るごみをコークスと一緒に燃やし、
アスファルトと混ぜることで、路盤材などに使えるスラグや、
クレーンのおもりなどに使えるメタルを産出する
廃棄物溶融処理システムを開発、
日本各地の自治体のごみ処理施設で使われている。

有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)の廃棄物を、無害化処理する
日本で初めてのPCB廃棄物処理施設の建設にも携わった。
廃タイヤを熱分解し、出てきたガスや油分などを
再利用する施設も作っている。

--2020年までに、温室効果ガス排出量を1990年比で
25%削減するとの政府方針をどう思うか?

◆個人的には、各社が実際に排出量を減らす方向に
努力していることにこそ価値があり、環境保全に貢献するための
仕事をしている我々も、もちろん最大限できることはやっていく。
25%削減という数字については、本当に実現可能性がある数字なのか、
それが日本の利益に見合う数字なのか、
他国と比べた際の公平性はどうかなど疑問。
政府には、企業の声をしっかり踏まえ、日本の国益に見合った
方向付けをしてもらうことを望む。
==============
◇はや・まこと

68年、東大法学部卒。旧富士製鉄(現新日本製鉄)入社。
機材部長、常務、副社長などを経て、06年7月から現職。64歳。

http://mainichi.jp/select/science/news/20101011ddm008020020000c.html

部活新時代(10)授業で相撲 部員も力

(読売 10月8日)

山口県下関市豊浦町にある県立響高校。
夏休みの武道場で、相撲部員たちがまた割りをしている。
開脚して体を前に傾ける、相撲の稽古に欠かせない柔軟運動。
その練習に、細身の野球部員数人が交ざっている。

「野球に必要な足腰の筋肉や柔軟性が、
相撲の基本動作で鍛えられる」、野球部の2年、中司伎君(16)。
「授業で初めて相撲を習ったころ、興味がなかったけれど、
礼を重んじるルールを知るうちに、奥が深いと思うようになった」

同高の男子生徒は、保健体育の授業で、
相撲を1、2年生が必修、3年生は選択。
年に15時間程度で、内容は、まわしの着け方から、
基本動作、技、取り組み方まで。
授業がきっかけで、相撲部の基本練習に加わったり、
相撲大会の応援に駆けつけたりと、相撲に関心を持つ一般生徒が増えている。

相撲の授業は12年前、相撲部監督の朝岡輝喜教諭(46)の
発案で始まった。
相撲を通じ、体力だけでなく、精神力を向上させるのが狙い。

当時、相撲部は創部したばかり。
朝岡教諭は、「相撲部員が教える側に回れば、何か得るものがあるはず。
一般の生徒には、『相撲部員は、ただ太っているのではなく、
厳しい稽古から礼儀を学んでいる』と知ってもらえる」と考え、
部員の力を借りることにした。

相撲部の2年、村上洸一君(17)は、
「自分が理解していないと教えられない。
逆に、しっかり理解していると、それは自分の力になると思った」
1年の田中義久君(16)は、「教えるのは大変だが、
相手に伝えることで、基礎を確認できる」

心技体を養う武道の力が注目、2012年度から全国の中学校で
武道の必修化が始まる。
武道の経験が浅い教員向けに講習会を開くなど、
必修化に向けて様々な対応が求められる。
部活と授業の連携は、武道の神髄を広く生徒に理解してもらう
きっかけの一つになる。

武道は、相手がいないと成立しない。
勝っても負けても、相手に敬意を表す。
その感謝の気持ちが大切なんだ」と、朝岡教諭が赴任した15年前、
同高に相撲部はなかった。

今では、大相撲力士の豊響らを輩出し、
街全体が相撲の話題であふれている。
小中高校が連携した相撲の指導も活発化。

部活と授業の相乗効果が、地域全体に広がっている。

◆武道の必修化

中学1、2年の体育授業で、選択制だった武道が必修科目。
種目は柔道、剣道、相撲が基本だが、授業の環境が整えば、
地域や学校の実態に応じて、なぎなた、弓道、空手道、
合気道、少林寺拳法といった武道も指導できる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101008-OYT8T00180.htm

老若男女の共同参画を2度目の全国サミット 住田さん講演にシンポジウム 大船渡で

(東海新報 10月9日)

全国男女共同参画宣言都市inおおふなとが、リアスホールで開催。
テレビ番組でお馴染みの住田裕子弁護士が、
女性の積極的な社会進出についてアドバイスを送ったほか、
シンポジウムでは、宣言都市を行っている3首長が、
各市の取り組み内容などを紹介。
県内外から1100人が集まり、老若男女が世代や性別の枠に
とらわれずに活躍できる社会の推進を誓い合った。

同市での開催は、平成8年の第1回以来2回目。
平成11年、男女共同参画社会基本法が施行、
全国には約150の宣言都市がある中、国と各宣言都市、地域住民が
連携して新たなステップを目指す場として、開催準備を進めてきた。
市が主催し、参加者のうち約3分の1が市外、県外からの来訪。

オープニングでは、三陸町吉浜の千歳明神太鼓が登場、
躍動感あふれる演奏で来場者を魅了。
開会あいさつでは、甘竹勝郎市長が「第1回のサミットを大船渡で開き、
20回目のサミットも開催することができた。
男性も女性も、輝いて良い人生を送るため、
地方自治体も国と一緒になりながら努力したい」

岡崎トミ子内閣府特命担当大臣(男女共同参画)と
達増拓也県知事によるメッセージが紹介、
佐藤丈夫市議会議長が祝辞。

内閣府からの報告では、岡島敦子男女共同参画局長が説明役を務め、
少子高齢化や人口減少が進む中、女性労働力の増加が
重要視されている点などを解説。

基調講演では、「老若男女共同参画動き出そうともに笑顔の社会をめざして」
と題し、住田弁護士が講師を務めた。
住田さんは、テレビ番組「行列のできる法律相談所」などに出演、
人気を集めているほか、内閣府男女共同参画会議審議員も務めている。

ユーモアも交えて、弁護士が出演するテレビ番組の裏側を語ったほか、
自身の半生を振り返りながら、社会における女性参加の大切さをアドバイス。
内閣府の資料にもふれ、少子化が問題視されている中、
第2子以降を出生している家庭では、夫が家事・育児を行っている
時間が長い傾向も紹介。

男女共同参画は、女性が偉くなることではなく、
女性が活躍してもっと地域が良くなり、最終的には平和になること。
女性の皆さんは、苦手だからといって役職を敬遠したり、
ひるんではだめ。積極的なチャレンジが大切」

シンポジウムでは、甘竹市長に加え、相模原市の加山俊夫市長、
宝塚市の中川智子市長がパネリストを務めた。
各市とも、男女共同参画宣言を行っている。
もりおか女性センター長の平賀圭子さんが、コーディネーター。

パネリストは、各市それぞれで展開している施策説明や
男女共同参画に対する考え方などを説明。
3市長による共同宣言では、「老いも若きも女も男も、
自らの意思であらゆる分野の活動に、平等に参画できる環境を築くため、
固定的役割分担意識解消の啓発に取り組み、
多様なライフスタイルを尊重する社会づくりに努める」など3点を確認。

館内にある展示ギャラリーでは、各宣言都市や各種団体などの
取り組みを紹介するパネル展を開催。
遠方からの来場者に対する「おもてなし」として、昼食時には
市漁協女性部らが大釜で調理したサケのすり身汁などを提供。
地元名産品を販売するコーナーも設けられ、来場者に大船渡の魅力を発信。

http://www.tohkaishimpo.com/

2010年10月17日日曜日

部活新時代(9)質重視の練習、成長促す

(読売 10月7日)

息苦しいほどの熱気に包まれた体育館。
オーバーハンドパス、レシーブ、試合形式と、
8人の女子バレーボール部員が次々とメニューをこなしていく。
濃密な練習は、わずか1時間余りで終了。

東京都立大江戸高校は、不登校経験者や高校中退者などを
積極的に受け入れる都のチャンレジスクールとして、2004年開校。

約8割を占めるこうした生徒に、コミュニケーション能力などの
社会性を身につけさせるため、同高が力を入れているのが部活動。

昼夜間定時制の同高は、全日制とは違い、放課後がない。
部員が、それぞれの時間割を持ち寄って、空き時間を捻出し、
練習は時間より質重視にならざるをえない。

6年連続全国大会出場の実績を持つ同部で顧問を務める
鈴木昭生・主任教諭(48)は、全日制から同高に赴任。
「生徒のすさまじいまでの集中力を目にし、
練習時間は短い方がいいのかも、と考えが変わった。
喜びや悔しさなどの感情を思い切り表に出しながら、
社会に出ても集団の中でやっていける人間力を養ってほしい」

部長の3年、村石亜美さん(19)は、バレーの強豪校に進学、
練習についていけず中退、再挑戦の場として同高を選んだ。
部員とは、家族みたいな関係。
バレーってこんなに楽しいんだ、と初めて知った。
自慢のチーム力で、残りの試合をすべて勝ちたい」と意気込む。

都立小平西高校(小平市)は部活を通して、学校改革に取り組む。
金色や茶色に髪を染め、「行きたくて来たんじゃない」と、
下を向いて登校する生徒たちに、「私はできる」という達成感を
味わわせようと、部活動全員参加制度を導入。

自転車競技部、硬式野球部やラグビー部などが、
都大会などで上位の成績を収める一方、
2009年度の転・退学者数は29人と、07年度から9人減少。

女子ソフトボール部のレギュラーで、生徒会書記も務める
2年の金森生実さん(16)は、「中学時代、勉強も部活も中途半端で、
そんな自分を変えたかった」と振り返る。
「技術面も精神面でも、まだまだ弱いところがあるので、
毎日の練習の積み重ねで、少しずつでも成長したいですね」

仲間と切磋琢磨し、勝利を目指す日々が、
失敗にくじけずに、チャレンジし続ける心を育む。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101007-OYT8T00210.htm

インサイド:W杯後の日本サッカー 変革と熟成を目指して/1

(毎日 9月28日)

サッカー日本代表が、W杯南アフリカ大会で、
過去最高成績に並ぶベスト16に進出してから約3カ月。
日本代表は、イタリア人のアルベルト・ザッケローニ監督(57)を
迎えて、4年後へとスタートを切り、
複数の代表選手が欧州に活躍の場を求めた。

育成現場は、長期的な強化策を進め、日本協会が招致を目指す
22年W杯の開催地決定は、12月と間近に迫る。
変化を続けるW杯後の日本サッカー界を追った。

◇「監督争奪」 未熟さ痛感

岡田武史・前日本代表監督との契約期間最終日だった8月31日、
ザッケローニ監督の就任会見が行われた。
新監督が会場を後にすると、交渉に当たった日本協会の
原博実・強化担当技術委員長が、第一声、
「彼クラスを日本に連れてくるのは、簡単じゃないと思った」

実績ある指導者との交渉をまとめた安堵感と、
交渉が長期化したことによる複雑な思いが込められていた。
日本代表は、4大会連続でW杯に出場し、
「さらにワンランク上に行くためには、それに見合った指導者が必要」
(日本協会・小倉純二会長)、監督選びの方法を変えた。

「今までは『ご紹介』だったが、
今回は『監督争奪マーケット』に乗り込んだ」と小倉会長。

◆「市場」に初参戦

これまで日本代表を率いた外国人監督は、
日本での指導経験があったり、協会幹部が人づてに
紹介を受けたりしたため、就任への障害は小さかったものの、
人脈の広がりに限界があった。

「ワンランク上」を目指し、今回は世界の第一線で活躍する
指導者に狙いを絞り、その選任と交渉が原委員長に委ねられた。
W杯前から情報収集を進め、本大会後に本格交渉に乗り出した
原委員長だったが、交渉は難航。
南米や欧州にいる交渉相手に直接会っても、
日本の地理的条件などを理由に、決裂することの繰り返し。

「名前がいろいろ出ると、交渉でお金が上がってしまったりする」
(原委員長)、大仁邦弥副会長ら一部の幹部のみと
情報を共有しながら、秘密裏に交渉を進めたが、
複数の候補者の名前が浮かんでは消えた。
協会内も手探り状態のまま、予定した8月中旬の決定はずれ込んだ。

交渉では、技術委員会の存在意義が問われた格好。
Jリーグのクラブや高校で指導歴のあるメンバーなどで
構成する同委員会は、A代表だけでなく、育成年代を含めて
日本サッカーの強化の方向性を示す役割がある。

大仁副会長は、「これまでも代表監督は、技術委員会が推薦し、
委員長と会長で決めてきた」と言うものの、
実態を伴っていなかった。

これまでの代表監督選考の経緯から、海外の指導者との
ネットワークは未整備状態だった。

◆海外との人脈構築

犬飼基昭・前会長時代の09年、技術委員会は
「強化」と「育成」部門に分割、A代表と五輪代表の強化を、
原委員長が受け持つ体制がスタート。

今回の選考では、これまでのノウハウ不足を痛感させられた形。
原委員長が、「今回、交渉をしていろんな指導者と知り合えたのは
今後につながる」、海外の指導者と日常的に関係を構築することは
今後の課題となる。

技術委員長に、外国人を置いてはどうか」と話す関係者も。
Jリーグ第2代チェアマンを務めた鈴木昌・日本協会元副会長。
J1鹿島の元社長で、ジーコ元監督の就任にもかかわった鈴木氏は、
海外との人脈という利点に加え、将来『日本人監督を据えたい』と
考えた時、その評価がフラットになる。
難しいかもしれないが、そういう選択肢も持っていい」

難航した今回の代表監督選びを通じ、
日本協会は組織としての「新たな一歩」を踏み出した。

http://mainichi.jp/enta/sports/archive/news/2010/09/28/20100928ddm035050037000c.html

野菜、運動、勉強で予防を もの忘れと認知症/5止

(2010年10月8日 毎日新聞社)

脳に病変が生じてから認知症を発症するまで、
20年以上かかるといわれる。
病変により、神経細胞が減り始めても、残った神経細胞を使って、
脳の「余力」を引き出せば、発症を遅らせることができる。
最近は、「認知症の予防は、生活習慣病とほとんど変わらない」
というのが定説。

埼玉医大総合医療センターの大貫学医師は、
認知症になりたくない高齢者約1200人を、約20年間追跡調査、
その結果から予防法を5項目まとめた。

食事は、総合的にビタミンをとるため、毎日サラダボウル1皿分の
生野菜を食べる。
「時間がなければ、ジュースやサプリメントでもいいが、
美しく盛りつけて食べることが脳への刺激になる」

水分は、1日1・5L以上。
夜間のトイレが気になる人は、午後4時までに約1・2L飲むといい。

運動量の目安は、「1日おきに60分以上汗をかく」。
どんな運動でも構わないが、ひざや腰にあまり負荷をかけずに
筋力がつく水中ウオーキングがおすすめ。

生活習慣病予防と違うのは、「勉強」の大切さ。
脳には、一度も使われないまま機能が落ちていく神経細胞が多い。
そこに働きかけ、認知機能を鍛える。

大貫医師が勧めるのは、新聞を使ったトレーニング。
毎朝10項目のニュースの見出しを選び、夕食後、
新聞を開かず思い出す。
初めは半分ぐらい忘れてしまっても、1カ月続けると
全部思い出せるようになることが多い。

最後は、「完全禁煙」。
たばこは、血中の酸素濃度を下げ、認知機能を低下させる。
本人も家族も、吸わない環境が望ましい。

「やればできると気づくことが大切。
『年のせい』を、努力しない言い訳にしてませんか?」と大貫医師。
耳に痛いが、予防への本気度が、
脳の健康を左右することは確かなようだ。
………………………………………………………………………………………………………
◆認知症予防5カ条
<1>十分な野菜をとる
<2>水は毎日1.5L以上飲む
<3>1日おきに60分以上の運動を
<4>毎日、新聞の見出しを10個覚える
<5>たばこを吸わない。周囲も禁煙
<番外>週3回、家族以外とのコミュニケーションを
(大貫医師の話より作成)

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/10/8/126673/