2010年10月18日月曜日

部活新時代(10)授業で相撲 部員も力

(読売 10月8日)

山口県下関市豊浦町にある県立響高校。
夏休みの武道場で、相撲部員たちがまた割りをしている。
開脚して体を前に傾ける、相撲の稽古に欠かせない柔軟運動。
その練習に、細身の野球部員数人が交ざっている。

「野球に必要な足腰の筋肉や柔軟性が、
相撲の基本動作で鍛えられる」、野球部の2年、中司伎君(16)。
「授業で初めて相撲を習ったころ、興味がなかったけれど、
礼を重んじるルールを知るうちに、奥が深いと思うようになった」

同高の男子生徒は、保健体育の授業で、
相撲を1、2年生が必修、3年生は選択。
年に15時間程度で、内容は、まわしの着け方から、
基本動作、技、取り組み方まで。
授業がきっかけで、相撲部の基本練習に加わったり、
相撲大会の応援に駆けつけたりと、相撲に関心を持つ一般生徒が増えている。

相撲の授業は12年前、相撲部監督の朝岡輝喜教諭(46)の
発案で始まった。
相撲を通じ、体力だけでなく、精神力を向上させるのが狙い。

当時、相撲部は創部したばかり。
朝岡教諭は、「相撲部員が教える側に回れば、何か得るものがあるはず。
一般の生徒には、『相撲部員は、ただ太っているのではなく、
厳しい稽古から礼儀を学んでいる』と知ってもらえる」と考え、
部員の力を借りることにした。

相撲部の2年、村上洸一君(17)は、
「自分が理解していないと教えられない。
逆に、しっかり理解していると、それは自分の力になると思った」
1年の田中義久君(16)は、「教えるのは大変だが、
相手に伝えることで、基礎を確認できる」

心技体を養う武道の力が注目、2012年度から全国の中学校で
武道の必修化が始まる。
武道の経験が浅い教員向けに講習会を開くなど、
必修化に向けて様々な対応が求められる。
部活と授業の連携は、武道の神髄を広く生徒に理解してもらう
きっかけの一つになる。

武道は、相手がいないと成立しない。
勝っても負けても、相手に敬意を表す。
その感謝の気持ちが大切なんだ」と、朝岡教諭が赴任した15年前、
同高に相撲部はなかった。

今では、大相撲力士の豊響らを輩出し、
街全体が相撲の話題であふれている。
小中高校が連携した相撲の指導も活発化。

部活と授業の相乗効果が、地域全体に広がっている。

◆武道の必修化

中学1、2年の体育授業で、選択制だった武道が必修科目。
種目は柔道、剣道、相撲が基本だが、授業の環境が整えば、
地域や学校の実態に応じて、なぎなた、弓道、空手道、
合気道、少林寺拳法といった武道も指導できる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101008-OYT8T00180.htm

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