2010年10月17日日曜日

部活新時代(9)質重視の練習、成長促す

(読売 10月7日)

息苦しいほどの熱気に包まれた体育館。
オーバーハンドパス、レシーブ、試合形式と、
8人の女子バレーボール部員が次々とメニューをこなしていく。
濃密な練習は、わずか1時間余りで終了。

東京都立大江戸高校は、不登校経験者や高校中退者などを
積極的に受け入れる都のチャンレジスクールとして、2004年開校。

約8割を占めるこうした生徒に、コミュニケーション能力などの
社会性を身につけさせるため、同高が力を入れているのが部活動。

昼夜間定時制の同高は、全日制とは違い、放課後がない。
部員が、それぞれの時間割を持ち寄って、空き時間を捻出し、
練習は時間より質重視にならざるをえない。

6年連続全国大会出場の実績を持つ同部で顧問を務める
鈴木昭生・主任教諭(48)は、全日制から同高に赴任。
「生徒のすさまじいまでの集中力を目にし、
練習時間は短い方がいいのかも、と考えが変わった。
喜びや悔しさなどの感情を思い切り表に出しながら、
社会に出ても集団の中でやっていける人間力を養ってほしい」

部長の3年、村石亜美さん(19)は、バレーの強豪校に進学、
練習についていけず中退、再挑戦の場として同高を選んだ。
部員とは、家族みたいな関係。
バレーってこんなに楽しいんだ、と初めて知った。
自慢のチーム力で、残りの試合をすべて勝ちたい」と意気込む。

都立小平西高校(小平市)は部活を通して、学校改革に取り組む。
金色や茶色に髪を染め、「行きたくて来たんじゃない」と、
下を向いて登校する生徒たちに、「私はできる」という達成感を
味わわせようと、部活動全員参加制度を導入。

自転車競技部、硬式野球部やラグビー部などが、
都大会などで上位の成績を収める一方、
2009年度の転・退学者数は29人と、07年度から9人減少。

女子ソフトボール部のレギュラーで、生徒会書記も務める
2年の金森生実さん(16)は、「中学時代、勉強も部活も中途半端で、
そんな自分を変えたかった」と振り返る。
「技術面も精神面でも、まだまだ弱いところがあるので、
毎日の練習の積み重ねで、少しずつでも成長したいですね」

仲間と切磋琢磨し、勝利を目指す日々が、
失敗にくじけずに、チャレンジし続ける心を育む。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101007-OYT8T00210.htm

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