2010年10月2日土曜日

インサイド:米大リーグ ビジネス最新事情/4 大きな富生む「新球場」

(毎日 9月17日)

ツインズの新球場「ターゲット・フィールド」の開幕試合(4月12日)は、
祝賀ムード一色に包まれた。

4機のF16戦闘機がごう音とともに飛来し、
フィールドを覆い隠さんほどの巨大な星条旗も登場。
本拠地ミネアポリスでの50年目のシーズンに当たることを記念、
選手は灰白色に縦じまの1961年当時のユニホームを着用。

「誇らしく、(無事に開幕を迎えたことに)安堵し、そして興奮を覚えた」
デーブ・セントピーター社長は、あの日の高揚感が忘れられない。

◆自治体公費を活用

新球場は、3万9504人収容。
5層の観客席と球場をぐるりと囲む、開放型のコンコースが特徴。
「雨水の再利用や省エネの照明設備を設置するなど、
世界で最も環境に配慮したスポーツ施設」、セントピーター社長。

総工費は、5億4500万ドル(約463億2500万円)。
3分の2は、地元自治体の公費で賄われた。
新球場建設は、ツインズの16年越しの悲願。

東京ドームのモデルとしても知られる以前の本拠地メトロドームは、
地元公益法人の所有。
米NFLのバイキングズなどの本拠地も兼ねていた。
スイートルームは、数室を試合日ごとにばら売りすることしかできず、
球場内の看板広告も、球団の収入になるのは外野フェンスだけ。
飲食物販売の収入も、州政府などと分け合う必要があり、
収入の手足が縛られていた。

球場は、アメフット仕様で野球観戦には向かず、
人工芝と屋根付きのドームも、「時代遅れ」と不人気。
集客は低迷し、慢性的な赤字に陥っていた。

ツインズの新球場構想は、遅々として進まなかった。
地元自治体が資金支援策をまとめるたび、
30回近くも議会や住民投票で否決・先送りされた。

しびれを切らしたセントピーター社長は、
「球団の移転も検討していた」。
05年、公益法人に対して、「ツインズは、メトロドームの契約に
長期間縛られる義務はない」と提訴。
“脅し”が効いたのか、06年春、ミネソタ州議会がゴーサイン。

◆一夜で「金持ちに」

新球場効果はすさまじい。
地元紙は08年、「年4000万~5000万ドル
(約34億~約42億5000万円)の増収が見込める」と報じた。

それまでのツインズの総収入は、約1億6000万ドル(約136億円)、
いきなり3割近くも増える計算。
スイートルームの販売、年800万~1500万ドル
(約6億8000万~約12億7500万円)と言われる
命名権販売による収入の上積みに加え、
目新しさから観客が増え、チケット収入や
飲食物・グッズ売り上げの増加も期待。

不況の影響が懸念されたが、「取り越し苦労に終わった」
(スティーブ・スミス副社長)。
真新しい新球場を一目見ようと、前年より1試合平均で
1万人以上多い、3万9700人が連日詰めかけている。
チケット料金は今年、高額シートを除いて4割以上値上げ、
実際の増収効果が試算を大きく上回ることは確実。

長年、貧乏球団に甘んじてきたツインズが、
一夜にして金持ち球団の仲間入りを果たした。

大リーグでは、92年にオリオールズが赤レンガ造りの
カムデンヤーズを建設して以来、新球場ブームが続いている。
平均すると、建設資金の5割強は公費で賄われた。

自治体の資金支援策を引き出し、新球場を造る手法は、
球団がさらなる富を得る錬金術となっている。

http://mainichi.jp/enta/sports/baseball/news/20100917ddm035050134000c.html

脳卒中:まひの手、回復に新手法 動作想像→脳に刺激--慶応大チーム開発

(毎日 9月27日)

脳卒中の後遺症で、長期間まひした手の機能を改善させる手法を、
慶応大の里宇明元・教授と牛場潤一講師らのチームが開発。

スポーツのイメージトレーニングのように、手を動かすことを想像し、
脳に刺激を与える訓練を繰り返すことで、筋肉の働きを誘発。
チームは、新しいリハビリ法になるとみて、
実用化を目指した臨床試験に着手。

国内の脳卒中患者は約150万人と推定、まひが残る人が多い。
現在のリハビリでは、比較的軽度のまひを電気刺激などで
回復させる方法がある。
数年間も動かなくなった完全まひの患者では、
まひしていない方の手足を鍛えるしかなく、事実上治療を断念。

チームは、手を動かす際に出る脳波が現れると、
手首に装着した電動装具が動くシステムを構築。

まひした患者の場合、最初は動かすことのできる人と異なる波形に。
コンピューター画面を通して違いを確認しながら、
手を動かすイメージを繰り返し、正しい脳波が現れると、
電動装具が手を強制的に動かす。

システムを使い、5年間も左手がまひしていた女性が、
1日1時間の訓練を週5回続けたところ、2週間後、
積み木のような器具をつかんで持ち上げられるようになった。

当初、筋肉を動かすための電気信号がほとんど出ていなかったが、
システムなしでも検出されるようになり、
脳の命令を手に伝える回路が新しく形成された。
同様の効果は、他の患者でも確認。

脳と機械をつなぎ、情報を出し入れする技術は、
「ブレーン・マシン・インターフェース(BMI)」と呼ばれ、
各国で研究が進むが、体の機能回復を実証したのは世界で初めて。
里宇教授は、「どの症状の患者に効果的なのか、症例を重ね、
数年のうちに、手のまひの治療法の一つとして確立したい」

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/09/27/20100927dde041040038000c.html

インタビュー・環境戦略を語る:ソニー・中鉢良治副会長

(毎日 9月27日)

ソニーは、2050年に製品の生産から廃棄に至るまでの全過程で、
環境負荷ゼロを目指す「Road to Zero」を掲げるなど、
グループを挙げて、環境問題に取り組んでいる。
中鉢良治副会長に環境戦略を聞いた。

--環境問題に取り組む基本理念は。

企業活動を行う上で、必須の条件ととらえている。
リーマン・ショック後、従来型の大量生産、大量消費による
経済成長に疑問符がつき、資源も有限であることが強く意識。
電気やエネルギーがなくなるかもしれないという地球規模の課題を、
ソニーの持つ技術や製品で解決していくことが使命。

--50年に環境負荷ゼロという高い目標を掲げている。

CO2排出量、新たな採掘資源の使用量、有害化学物質の削減、
生物多様性保全の、四つの視点から取り組んでいく。
実現に向け、15年度に製品1台あたりの消費電力を、
08年度比30%削減、事業所の廃棄物リサイクル率99%以上などの
中期目標を定めた。

ソニーは、環境に関する国際標準規格「ISO14001」を、
02年世界すべての製造事業所で取得するなど、社員の意識も高く、
「環境問題に取り組むからには、業界の先頭を切ってやりたい」と
考えている社員も多い。
全力を尽くして、一日でも早く達成することが社会からの要請。

--取り組みには、取引先の協力が不可欠。

◆01年、欧州向けゲーム機の周辺機器から、
規制レベルを超えるカドミウムが検出され、
出荷停止や部品交換を余儀なくされた。
これを機に導入したのが、「グリーンパートナー環境品質認定制度」。

ソニーが独自に策定した化学物質管理基準に基づき、
部品・原材料の化学物質測定や取引先企業の訪問監査を行い、
合格した企業のみから調達する、という厳しい制度。

導入当初は、取引先から反対意見が相次いだ。
「SONY」マークのついた製品の安全を請け負うのは、
メーカーとして当然。
測定機を世界中の事業所に配置し、監査員を育成して、
取引先の理解と協力を得ることができた。
今では、約1500グループの企業とグリーンパートナーとして取引。

--今後は、どのような活動を推進していくか?

◆15年度の中期目標を達成することが必要、
やはり一番大切なのは、ソニーの顔である製品。
2月、再生プラスチックを使ったノートパソコン「バイオW」を発売して、
大きな反響をいただいた。
ソニーの得意とする技術力で、省エネ性能や省資源を追求した
製品を開発し、社会や地域、お客様と対話しながら活動を推進していきたい。
=============
◇ちゅうばち・りょうじ

東北大大学院工学研究科博士課程修了。77年ソニー入社。
上席常務、副社長などを経て05年に社長。
09年4月から現職。宮城県出身。63歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/09/27/20100927ddm008020019000c.html

桑エキス化粧品開発 北上の企業、抗加齢効果に着目

(岩手日報 9月23日)

北上市の人材派遣業イースト(菊池和也社長)は、
桑の葉エキス入りせっけんなど3種類の化粧品を開発、発売。

桑を生かした地域おこしが進む同市更木地区などの県産の葉を使用。
桑の健康効果が注目を集める中、
「北上発のブランド品を目指したい」と期待。

発売する化粧品は、
せっけん(10g)、化粧水(20ml)、美容液(10ml)のセット商品。
個別の販売は、11月上旬からを予定。

桑の葉は、桑茶製造を手掛ける更木ふるさと興社から購入。
化粧品には、抽出した桑の葉エキスや美容成分を配合。
藤沢町の化粧品工場に製造を委託。

桑は、抗加齢などに効果があるとされ、健康効果が注目
商品開発には、桑の研究を進める
鈴木幸一岩手大農学部教授が協力。

鈴木教授は、「『不老長寿の妙薬』の桑から食品以外の物が完成し、
桑産業の第2ステージに入った。
地元で始めたことにも意味がある」と強調。

主に人材派遣業を手掛けてきた同社は、
「業務を通した社会貢献」を掲げて新事業に参入。
菊池社長は、「桑を活用した地域おこしに少しでも、
貢献できればうれしい。
徹底的に(加齢による衰えを防ぐ目的の)エイジングケアを
追求した商品で、多くの人に使ってもらいたい」と願う。

セット商品は、1万組を限定販売し、税込み2100円。
更木桑茶の取扱店舗でも販売。
問い合わせ、予約申し込みはイースト(0120・65・4480)へ。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100923_8

2010年10月1日金曜日

インサイド:米大リーグ ビジネス最新事情/3 チケットに電子マネー

(毎日 9月16日)

「ビール1杯」。
男性客が差し出したのは、お札ではなくチケット。
店員がバーコード部分に読み取り機を近付けると、「ピッ」。
それで勘定は終わった。

アスレチックスが今年売り出した「ジャンボ・チケッツ」は、
チケットのバーコードに電子マネーが付与され、
球場内の売店やグッズ売り場で金券のように使用できる。

3階席(通常の試合で12ドル)、一塁側2階内野席(同36ドル)、
内野最前列(90ドル)の3種類が販売、
3階席で6ドル(約510円)分、内野席では10ドル(約850円)分の
クレジットが付く。

昨年まで、3階席は食べ放題付きのチケットで35ドル(約2980円)。
料金が3分の1に下がり、ホットドッグを1本買えるだけの
クレジットが付くとあって、人気は上々。

内野最前列の最上席は、ほぼ完売状態。
観戦条件の悪い3階席と、高値で売りたい内野席が
思惑通りの売れ行きを示し、球団は笑いが止まらない。

◆IT使い付加価値

ジャンボ・チケッツは、ITの「落とし子」。
クーポン券の束を観客に渡す代わりに、ジャンボ・チケッツなら
バーコードにデータ入力をするだけで済み、
球団は余分なコストも手間もかけずに、
チケットに付加価値を与えられる。
観客の側も、金券代わりなので使い勝手がいい。

ジム・レイヒー営業担当副社長は、「購買心をくすぐって、
クレジット額以上の買い物をしてくれる」とホクホク顔。
アスレチックスは来年、対象座席を広げることを検討。

ジャイアンツも今年、よく似た「スプラッシュ・ティックス」を売り出し。
前売り券購入時、オプションとして、この電子マネーを
購入するかどうか、客自身が選ぶ。
全券種に対応し、10ドルのチャージで12ドル(約1020円)分の
買い物ができるのが特徴。
増額特典はないが、試合当日、売店でもチャージできる。

08年秋のリーマン・ショックを受けて昨季、
3階席のシーズンチケット料金を値下げする代わり、
1試合5ドル(約425円)分のクレジットを付与したのが始まり。

この戦略が成功を収め、今年はシーズンチケットに限らず、
対象を全券種に広げた。
ギフトカードとチケットを組み合わせたようなもの。
従業員や顧客サービスとして、企業・団体向けによく売れている」、
ラス・スタンリー・チケット販売担当副社長。

◆「携帯」かざし入場

チケットそのものの電子化も進む。
iPhoneやブラックベリーなどの携帯電話を使って
チケット購入できるのは、アスレチックス、ジャイアンツ、
レッドソックス、カブスなど計13球団。

うち9球団は、携帯電話向けにQRコード付きの
テキストメッセージを配信することで、
携帯電話がチケットになるサービスを提供。
近い将来、全球団でサービス体制が整えられる。

シーズンチケット保有者向けのサービスとして、
使わないチケットを、オンライン上で友人や慈善団体に譲渡したり、
再販市場で売買することも、すでに一般的。
年々、進化を遂げるITが大リーグビジネスをも変えている。

http://mainichi.jp/enta/sports/baseball/news/20100916ddm035050131000c.html

インタビュー・環境戦略を語る:インターネットイニシアティブ・鈴木幸一社長

(毎日 9月20日)

主に、法人向けインターネット接続やネットワーク構築などを
手がけるIT大手、インターネットイニシアティブ(IIJ)。

日本のプロバイダー(接続業者)の草分けとして、
ネット技術の進展をけん引してきた同社の鈴木幸一社長に、
ITが環境に与える影響や同社の環境戦略を聞いた。

--ITが環境に与える影響をどう考えるか?

◆IT・ネット産業は、電気がないと動かない。
通信速度が速くなるに従って、莫大なエネルギーが必要になり、
巨大なサーバー(高性能コンピューター)は、
1台で20世帯分の電力を消費。

ITは、使い方によっては総エネルギーコストの削減に。
企業などがサーバーを共有化する
クラウド・コンピューティングはその一例。

--具体的には?

クラウドは、サーバーやシステムを共同利用しようというもの。
企業や自治体などが個別にそれらを持つよりも、
トータルのエネルギー消費をはるかに減らせる。
使う側は、自前で設備を持たずに済むのでコストは削減でき、
技術革新にも付いていきやすい。
環境対応の面から、どんどん導入してほしいが、
国内ではあまり進んでいない。

--なぜか?

クラウド技術を使えば、どんなメリットがあるかを十分に
理解している経営者がまだ少ない。
システムのことはコンピューター会社に任せ切り、
という企業が多いのでは。
自治体では、地元業者や職員の雇用減少につながるとの
懸念がネックになっている。

--IIJでは、環境負荷低減にどう取り組んでいるか?

◆最も電力を消費するのが、多数のサーバーが集積する
データセンター(DC)。
DCの運用コストの約4割は電気代、
コスト削減のためにも、省エネ対応は必須。
IIJは、電機メーカーなどと共同で今年2月、国内で初めて、
サーバーを外気で効率良く冷却するコンテナ型DCの運用実験を始めた。
従来のDCより、消費電力を40%削減でき、
CO2年間排出量は4000トン削減できる。

DCは商用化を決め、今月から松江市で設置工事を始めた。
購入するサーバーやコンピューターなどを選ぶ際、
エネルギー効率の良さも基準。
省エネタイプの機器は、高くても長期的に電気代も削減できる。

--課題は?

◆ITは、環境負荷低減に大きく貢献できる技術だが、
社会全体がITを活用するという方向に完全に転換できないうちは、
無駄なエネルギーを使う。
米国の役所は、電子化が徹底。
日本は、一部は電子化しているが、職員による作業も残る。
思い切った転換が必要。
==============
◇すずき・こういち

早大卒。日本能率協会などを経て、
92年インターネットイニシアティブ企画(現インターネットイニシアティブ)設立。
94年4月から現職。神奈川県出身。64歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/09/20/20100920ddm008020025000c.html

受動喫煙:死者は毎年6800人…厚労省研究班推計

(毎日 9月28日)

受動喫煙が原因で、肺がんや心臓病で死亡する成人は、
国内で毎年約6800人に上るとの推計値を、
厚生労働省研究班が発表。

女性が約4600人と被害が大きく、半数以上の約3600人は
職場での受動喫煙とみられる。

望月友美子・国立がん研究センタープロジェクトリーダーは、
「年間の労災認定死が約1000例であることを考えると、
甚大な被害だ。
行政と事業者は、労働者の健康を守る責任を認識すべき」

◇「半数は職場で」

研究班は、05年実施された受動喫煙状況に関する調査を基に、
たばこを吸わない成人約7600万人のうち、
女性(約4800万人)の約30%と男性(約2800万人)の約6%は家庭で、
女性の約20%と男性の約30%は職場で、
それぞれ受動喫煙にさらされていると推定(重複あり)。

受動喫煙により、肺がんや虚血性心疾患などの病気になる
危険性が1.2~1.3倍になることが、
国際機関や同センターの疫学調査により明らかで、
受動喫煙によって増えるリスクから、死者数を推計。

その結果、肺がんで死亡した女性(年間約1万8000人)の約8%と
男性(同約4万9000人)の約1%、虚血性心疾患の女性
(同約3万4000人)の約9%と男性(同約4万2000人)の約4%の、
計約6800人は、受動喫煙が原因と判断。

◇受動喫煙◇

健康増進法は、「室内かそれに準ずる環境で、
他人のたばこの煙を吸わされること」と定義。

喫煙者がフィルターを通して吸った「主流煙」よりも、
たばこの先端から立ち上る「副流煙」に、
より多くの有害物質が含まれる。

健康被害を防ぐため、厚生労働省は、飲食店やホテル、百貨店など
多くの人が利用する公共的な施設に対し、
建物内での全面禁煙実施を求める通知。
神奈川県は4月、全国初となる受動喫煙防止条例を施行。

http://mainichi.jp/select/science/news/20100928k0000e040046000c.html

2010年9月30日木曜日

グリーンツーリズム旅行者数が最多 県内09年度

(岩手日報 9月14日)
 
県は、09年度の本県へのグリーンツーリズム旅行者数を発表。
旅行者数は、約440万人(前年度比5%増)、
02年度の統計開始以来最多で、岩手・宮城内陸地震などの影響で
減少した08年度から回復。

グリーンツーリズムが広く知られるようになり、
教育旅行などに取り入れるケースが増えていることや、
県や市町村などがPRに力を入れていることが、誘客につながっている。

旅行内容の内訳では、農林漁業体験施設が7万3千人(同33%増)、
農家レストランが76万9千人(同6%増)と伸びた。

修学旅行などの体験型教育旅行も受け入れの柱となっており、
人数は3万2363人(同7・9%減)にとどまったが、
学校数は419校(同11・7%増)。

地域別では、北海道、宮城、東京、大阪の学校が多い。
公共施設やホテル・民宿などを使わない農林漁業者宅への民泊も、
延べ1957戸で8939人(同19・4%増)を受け入れた。

本県のグリーンツーリズム受け入れは、
03年度の約291万人から右肩上がりだったが、
08年度は地震などの影響で、前年度比3・2%減の418万人に減少。

県は、グリーンツーリズム支援として、
受け入れ態勢強化を目的としたキャラバンや、
首都圏でのイベントなどを行っている。

県農業振興課の今野徹主査は、「第一に地域活性化と、
次のステップとしてアグリビジネスへの発展が期待。
関係機関が連携して、魅力あるメニューの開発に力を入れたい」

教育旅行の受け入れが盛んな久慈市の、
いわてやまがた民泊研究会の岩脇ヨシエ副会長(57)は、
「じかに自然と触れられることが、魅力ではないか。
こちらも農村の暮らしをありのまま伝えるよう心掛けている」と
人気の要因を語る。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100914_9

インサイド:米大リーグ ビジネス最新事情/2 生き残りへ低価格化

(毎日 9月15日)

高年俸の選手にお金をかけられない貧乏球団が、
プレーオフの常連となった秘密を解き明かしたベストセラー
「マネー・ボール」。

主人公のビリー・ビーン・ゼネラルマネジャー(GM)が、
今も役を務めるアスレチックスは、人口40万人の港湾都市
オークランドに本拠地を置く。
ベイブリッジを挟んで隣接するのは、人気球団ジャイアンツを擁する
大都市サンフランシスコ。
この立地条件が、ビジネス上の重しとなり、
低価格路線を余儀なくされてきた。
商圏が小さいうえ、ファンの中心は裕福ではない労働者層だから。

◆厳しい不況風

08年秋、リーマン・ショック以降の不況風は、
アスレチックスのような貧乏球団には暴風のように感じられた。
「地域経済は土砂降り。
球場に足を運んでもらうには、あらゆる料金を低く抑える以外にない」
ジム・レイヒー営業担当副社長が言うように、
球団は一段と低価格路線を推し進めた。

昨年、4枚の2階席チケットに4人分のホットドッグ、飲み物、
ピーナツが付いた「ファミリーパック」を、金曜の試合限定で売り出した。
料金は計50ドル(約4250円)、正価より100ドル(約8500円)もお得。
水曜の試合限定で、かねて好評だった2ドル(約170円)のチケットと
1ドルのホットドッグをセットにした「ダブルプレー・チケット」の
対象座席を、9000席に倍増。

今年は、大半の火曜日の試合で、17ドル(約1450円)の駐車場代を無料。
冠スポンサーを付けることで、経営への打撃を和らげている。

基本となるチケット料金も、2年連続で据え置き、
一部の座席は値下げ。
シーズンチケットも、今年10%値下げ。
対岸のジャイアンツが変動価格制度を本格導入し、
事実上の値上げに転じたのとは対照的。

スイートルームの料金にも、手を付けた。
本拠地コロシアムは、築45年目と老朽化、
米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)のレイダーズと共用、
アメフット仕様になっている。
フィールドをぐるりと囲むように設計された150室のスイートルームは、
どれも定員18人(基本1500ドル)で、
「セールスがしにくい」(レイヒー副社長)。

思い切って定員を「6人以上」に改め、提供する飲食物の品数を絞って
料金設定を1人99ドル(約8400円)にした。

◆差別化に知恵絞る

低価格と同時に力を入れるのが、ファンサービス。
年5回開催する花火ショーは、他球団のそれとは一味違う。
試合終了後、観客全員をフィールド内に招き入れ、
音楽を流しながら行う。
昨年から、地元で有名な女性パーソナリティーを
ゲームの進行役に指名し、イニングの合間に
観客との掛け合いで楽しませる。

飼い犬と一緒に野球観戦する「ドッグデー(犬の日)」を、
大リーグで初めて設けたのもアスレチックス。
選手が、ファンに飲み物を注ぐチャリティーイベントも開催、
親しみやすさを前面に打ち出し、ジャイアンツとの差別化を図る。

アスレチックスと同様、地方都市を足場とし、成績も振るわない
ダイヤモンドバックスやパイレーツなどの貧乏球団は、
どこも低価格路線を鮮明。

カブスなどの裕福な人気球団は、景気後退不安が和らいだ今年、
相次いでチケット料金の値上げに踏み切った。
不況が招いた路線の違いにより、
貧富の差はますます広がっている。

http://mainichi.jp/enta/sports/baseball/news/20100915ddm035050115000c.html

毎日朝食取る人は「幸福」実感…健康や家族重視

(2010年9月17日 読売新聞)

朝食を毎日取る習慣がある人ほど、自分を「幸福」と感じていることが、
東北大加齢医学研究所の川島隆太教授らのアンケート調査。

調査は、20~60歳代で仕事を持つ男女各500人の計1000人に、
インターネットを通じ、朝食習慣、何を幸せと感じるか、
生活や仕事の満足度などを質問。

経済面や健康状態、家族関係などから、
現在の「幸せ度」を100点満点で尋ねたところ、
毎日朝食を取る人(637人)は平均67・9点。
週2日以下の人(156人)は同59点と差が開いた。

「毎日」の人は、経済面よりも健康状態を重視する傾向があり、
家族と過ごしている時に、幸せを感じる割合も高かった。

総合的な生活の充実度を自己採点すると、
「毎日」は65・4点、「週2日以下」の53・8点を大きく上回った。
「毎日」は、趣味や余暇の満足度でも、
「週2日以下」に比べ、10点以上高かった。

仕事についての調査では、朝食習慣による効率や勤務態度の
自己評価に大きな差はなかったが、転職希望者が、
「毎日」の36・4%、「週2日以下」は57・1%と突出して高かった。

朝食内容では、幸せ度が高い人ほど、
果物や野菜をよく食べる傾向。

同研究所は、「朝食をきちんと取る人は規則正しい生活を送り、
時間を効率的に使っているため、自己評価が高いのでは」と分析。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/9/17/125769/

2010年9月29日水曜日

毎朝ご飯食べている、大学生の55.8% 農水省岩手事務所調査

(2010年9月14日 毎日新聞社)

県内の学生の55・8%が、毎日朝ご飯を食べている--。

こんな実態が、農林水産省・岩手農政事務所が実施した
朝食に関する意識調査で分かった。
20~30代の若年層では、朝食の欠食率が高くなる傾向があり、
同事務所は「割合の高さに驚いている」。

調査は今年5~7月、米の消費拡大の基礎資料とするため行った。
県内の大学、短大など計11校で協力を求め、
学生と職員844人(全学生の約4%)から回答を得た。

結果によると、朝食を食べる割合は、毎日が55・8%、
週5、6日も29・2%。
月1、2回か全く食べないのはわずか3%。

朝食の主食は、ご飯が75・3%と最多、パンは18・8%。
朝食に対する考え方について、
「健康のために重要」と答えたのは72・5%、
「朝食を毎日食べたい」としたのは71・7%。

同事務所消費流通課の三橋芳弘課長は、
「米の生産が盛んな県内だけに、
食生活が守られているためではないか」と推測。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/9/14/125560/

インサイド:米大リーグ ビジネス最新事情/1 入場料変動制で増収

(毎日 9月14日)

62億ドル(約5270億円)--。
「100年に1度」と言われた不況をものともせず、
米大リーグの総収入は昨年、過去最高を更新。
原動力となったのは、革新的なチケットの販売手法や、
各地で建設が相次ぐ新球場の経済効果。
今なお発展を続ける大リーグビジネスの最新事情をリポート。

航空券のように、日替わりで料金が上下する変動価格制度。
昨年、大リーグで初めて外野席の一部に導入したジャイアンツが
今年、対象を4万1500の全席に拡大。
球団にどの程度収入増をもたらすのか、またもたらさないのか?
ファンは、いつチケットを購入すれば割安なのか?
他球団だけでなく、ファンの目も日々の値動きに注がれている。

チケット料金は、前年のシーズン終わりに決める--。
それが今までの大リーグの常識。
「半年~1年先の経済状況やチーム成績を予測するなんて不可能。
不景気でチケットが売れないかもしれないし、
優勝争いに加わって再販市場で高値で取引されているかも」
ラス・スタンリー・チケット販売担当副社長は、
需給関係で日々価格が変わる『ダイナミック・プライシング』は、
理にかなっている

◆50セント~1ドルの幅で

料金を上げ下げする「変数」となるのは先発予想投手、
対戦相手のチーム成績、記録達成の可能性、天気予報、
チケットの売れ行き、花火ショーや首振り人形のプレゼントなど、
プロモーションの中身。

開幕約2カ月前の2月1日に基準価格を発表、
その後、スタンリー副社長を中心とするチケット販売担当者が
毎朝会議を開き、新たな情報を考慮しながら、
50セント~1ドル(約42~約85円)の幅で料金を変動。

外野の2000席で、試験的に導入した昨年は、年間延べ2万4000席、
金額ベースで50万ドル(約4250万円)を上積み。
今年、8月末現在で観客数、チケット収入のいずれも
前年比5~7%押し上げている。

最も高騰したのは、6月下旬のレッドソックス戦の
バックネットに近い内野席。
基準価格で135ドル(約1万1500円)、
最終的には225ドル(約1万9000円)の値が付いた。

最安は、開幕直後のパイレーツとの3連戦の左翼外野席で、
基準価格と同じ5ドル(約425円)。

大リーグの球団は99年以降、季節や曜日、対戦相手などから
需要を予測し、チケット料金に反映させる手法を開発。

ジャイアンツは、シーズンチケット購入者が使用しないチケットを
ネット上で売買できる再販市場を、00年にプロスポーツ界で初めて
開設するなど、野心的な試みで知られている。

日本でも、楽天が09年から、需要に応じて5段階の料金設定をする
「フレックスプライス」を導入、徐々に普及しつつある。

「昨日の試合に勝ったか負けたかが、
(需要を左右する)最大のインパクトのはずだ」(スタンリー副社長)。
その意味で、ジャイアンツの変動価格制度は、究極の需要予測。

◆真の目的は販促

球団に多大な収入増をもたらしたダイナミック・プライシングだが、
本当の狙いは、チケットを高値で売り付けることではなく、
シーズンチケットの販売を促すこと。
その証拠に、ジャイアンツは全座席の7割で、
基準価格を昨年の料金よりも引き下げた。

「この1年間の値動きを見ていれば、早く購入するほど
料金は安いことが分かる。
割引特典のあるシーズンチケットは、さらに安い」、スタンリー副社長。
現在65%のシーズンチケットの比率を、
来年には75%に引き上げる目標。

彼は、新しい料金制度に関する情報をレッドソックス、フィリーズ、
ヤンキースなどの他球団と共有。

ジャイアンツが導入したチケットの再販市場は、
リーグの枠を超え、全米のスポーツリーグに広がった。
「変動価格制度も、13年までには全球団が追随する」
スタンリー副社長は自信を持って、そう断言。

http://mainichi.jp/enta/sports/baseball/archive/news/2010/09/14/20100914ddm035050053000c.html

健康マイレージ開始 がん検診受診率向上へ 茨城・つくば市

(2010年9月17日 毎日新聞社)

市民の健康づくりを支援し、がん検診などの受診率を上げようと、
つくば市は、がん検診の受診やスポーツ大会への参加など、
四つの要件を達成した市民に記念品を贈る
「つくば健康マイレージ」をスタート。

市健康増進課や市内の保健センターなどで来月1日から、
記入カードを配布する。
達成者には、抽選で景品が当たるチャンスもあり、
市は「疾病の早期発見や生活習慣病の予防につなげたい」

求められる要件は、(1)健康診断(人間ドックも可)、
(2)がん検診、(3)市などが主催するスポーツ大会や講演会など
健康関連イベントへの参加、(4)定期的な運動や禁煙など
健康的な個人目標--の4分野について、
今年2月16日から1年間に達成すること。

市が配布するカードに、参加日時や場所などを自己申告で記入。
対象は20歳以上のつくば市民、
39歳以下の男性は市のがん検診の対象でないため、がん検診を除く。

記念品は、5月にオープンした多目的体育施設
「つくばウェルネスパーク」のチケットなど健康関連品で、
市健康増進課は「働き盛りの人に健康づくりを促す観点から、
抽選は20-30代に当たりやすいよう工夫をしたい」

問い合わせは、同課(電話029・883・1111内線1310)

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/9/17/125754/

2010年9月28日火曜日

100歳以上、4万4449人 岩手県は524人に増加

(岩手日報 9月15日)

今年の100歳以上の高齢者は、全国で過去最多の4万4449人に。
厚生労働省が、「敬老の日」を前に住民票を基に調べた。

昨年より4050人多く、40年連続の増加。
都道府県別の人口10万人当たりの100歳以上は、
昨年2位の島根県が74・37人で1位。

1973年以降37年連続で1位だった沖縄県は、66・71人で2位。
最も少ないのは、埼玉県で18・75人。

島根県の担当者は、「人口が減ったため、相対的にお年寄りの
割合が増えたのではないか」、
沖縄県は、「新たに100歳になる人が昨年に比べ少なかった」

高齢者不明問題を受け、厚労省は本年度中に100歳になる人の
所在確認を実施。
2万3218人を確認、不明も10人いた。

高齢者数は、9月1日時点の住民票を基に、
9月15日で100歳以上となる人数をまとめた。
不明の10人は除かれ、厚労省は「自治体が住民票の削除を
進めているが、進ちょく状況が分からないので、
不明者が含まれている可能性は否定できない」

国内最高齢は、佐賀県基山町の長谷川チヨノさん、
1896(明治29)年11月20日生まれの113歳。
男性は、昨年と同じ京都府京丹後市の木村次郎右衛門さん、
1897(明治30)年4月19日生まれの113歳。

調査が始まった1963年に、100歳以上は153人、
1998年に1万人を突破、2003年に2万人、昨年に4万人を超えた。
今年は男性5869人、女性3万8580人、女性が86・8%。

岩手県の100歳以上の高齢者は524人(男性67人、女性457人)、
昨年を24人上回り過去最高。
人口10万人当たりの100歳以上の人数は、39・10人。

最高齢は、二戸市の玉川スマさんで111歳。
男性の最高齢は、花巻市の高橋吉助さんで106歳。

本年度100歳となる高齢者234人は、市町村職員らによる
本人への面会、入院・入所中の病院や施設への確認などで、
全員の所在が確認。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100915_4

血液作る細胞の司令塔 京大、再生医療に応用も

(2010年9月17日 共同通信社)

赤血球や白血球のもとになる造血幹細胞の維持や
増殖を調節する司令塔の役割を果たす細胞を、
京都大の長沢丘司教授(免疫学)らのチームが突き止め、
16日付の米科学誌イミュニティーに発表。

造血幹細胞を維持するための細胞(ニッチ)の正体は、
免疫学では長年の謎。

長沢教授は、「司令塔役の細胞を取り出して培養することができれば、
造血幹細胞を増殖するなど、再生医療や、薬の開発に
役立てられる可能性がある」

造血幹細胞が増殖するには、CXCL12と呼ばれる
タンパク質が必要で、チームは造血幹細胞が
このタンパク質を多く出す「CAR細胞」の突起部分に付着し、
未分化な状態で維持されていることに着目。

実験でマウスのCAR細胞を取り除くと、
造血幹細胞の分化が進み、2日間で造血幹細胞が約半分まで減少。
赤血球やリンパ球も大きく減ったため、
この細胞が造血幹細胞の増殖や免疫細胞を作る
司令塔となっている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/9/17/125734/

政府・IT戦略本部/「どこでもMY病院」実現へ作業班

(2010年9月17日 Japan Medicine(じほう))

政府の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部
(IT戦略本部)は、「新成長戦略」に盛り込まれた
「どこでもMY病院」構想などの実現に向け、
「医療情報化に関するタスクフォース」
(主査=小倉真治・岐阜大大学院教授)を設置。

具体事例のヒアリングや省庁での検討状況などについて
聞き取りを行い、来年2月には方向性を取りまとめる。

◆新成長戦略の具体化検討 識者7人で構成

IT戦略本部は、「新たな情報通信技術戦略」で、
「地域の絆の再生」として、過去の診療情報に基づいた医療を
全国で受けられる「どこでもMY病院」構想などの
医療の情報化策を明記。

これらは、新成長戦略にも盛り込まれた。
タスクフォースは、学識経験者ら7人で構成し、新成長戦略に
盛り込まれた医療情報化策について、調査・検討を行う。
検討結果は、各省庁の副大臣級で組織する企画委員会に報告。

主に議論、調査を行うのは、
・「どこでもMY病院」(自己医療・健康情報活用サービス)構想の実現、
・シームレスな地域連携医療の実現、
・レセプト情報などの活用による医療の効率化、
・医療情報データベースの活用による医薬品等安全対策の推進、
の4項目。

「どこでもMY病院」構想の具体的な検討課題には、
<1>医療・健康情報の帰属と取り扱い、
<2>自己医療・健康情報活用サービスの運営主体、
<3>医療・健康情報の電子化方策、
<4>医療機関から個人への電子情報の提供形態、
<5>情報に応じた適切なセキュリティーレベル。

新成長戦略では、「2010年度中に結論を得る」とし、議論を急ぐ。

◆地域医療支援病院を中心に IT連携も

「シームレスな地域連携医療の実現」は、
情報通信技術を活用した地域連携クリティカルパスの策定や、
医療施設から介護施設までのデータ共用を可能にする体制を
各地に構築することが目的。

地域医療支援病院を中心に、ITを活用した連携体制を組む。
対象疾病は、生活習慣病などを想定。

検討項目として、
<1>2次医療圏を基本とした地域連携ネットワークで
取り組む対象疾病、
<2>在宅での医療と介護の共有すべき情報、
<3>2次医療圏を超えた地域連携ネットワーク、
<4>遠隔医療の推進に関する進捗状況、
<5>死亡時画像診断(Ai)の推進に関する進捗状況。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/9/17/125795/

2010年9月27日月曜日

スポーツクラブが盛岡で始動 小学生の体力向上図る

(岩手日報 9月12日)

盛岡市内の小学3、4年生を対象にした
「もりおかこどもスポーツクラブ」(市教委主催)は、
厨川小体育館でスタート。

子どもたちの体力低下に歯止めをかける取り組みとして、
本年度から初めて開催。
同市体育協会の指導員や各種目の専門家を講師に、
さまざまなスポーツを通じて発達過程にある児童の体力や
運動能力の向上を図る。

児童34人が参加。
初回は、市体育協会の豊沢博幸指導員を講師に、
動きの速さや正しい体の使い方を身に付けるトレーニングに取り組んだ。

児童は、後ろを向きながらのスキップやあおむけの状態で、
手足を使って移動する「四つ足歩き」など、ユニークな運動に挑戦。
悪戦苦闘しながらも、約1時間のメニューを元気いっぱいにこなした。

北厨川小4年の高橋凱城さんは、
「普段使っていないところを動かしている感じがする。
他の種目をやるのも楽しみ」と、笑顔で汗をぬぐった。

もりおかこどもスポーツクラブは、市が進める
「市次世代体力・運動能力向上プロジェクト」事業の一環。

市内の運動施設などを会場に週1回、来年2月まで全20回の内容で、
ハンドボールやスケート、ボルダリングなど、
5種目のスポーツやトレーニングに取り組む。

市教委では、当初20人前後の参加を想定、
市内の小学校に募集したところ、214人から応募。
抽選で約70人を選出し、2コースに分けて実施。

市教委事務局スポーツ振興課の佐藤大治課長は、
「いろいろなスポーツを経験し、楽しみながら体力向上に努めてほしい。
本年度の成果を検証し、来年度以降の事業拡大や
内容の充実などを検討したい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100912_12

学習院の夏合宿(3)自転車 支え励まし230キロ

(読売 9月22日)

抜けるように青い空と白い雲の下、
草原を自転車で軽やかに駆け抜ける。
市街地に入ると、自転車の中国人から「ニイハオ」と声がかかり、
手を振ってあいさつを返す。

中国・内モンゴル自治区で行われた合宿
「学習院グリーン元気プロジェクト」。
後半は、同自治区のフフホト市周辺を6日間かけて、
自転車とバスで1周した。

植林ボランティアに汗を流した通遼市から、飛行機で約1時間。
経済発展が著しい大都市・フフホトは、高層ビルの建設ラッシュ。
市街地を離れると、景色は一変。
山、畑、土色の家、荒涼たる茶色の大地、風車、緑の草原……。
田舎の光景が広がる中、体力に応じてグループに分かれた
学生たちは、周辺の計231・5kmを自転車で走破。

サイクリングは、1日数時間。
30分ほど走って、休憩をとる。
平らな道や緩やかな下り坂は、羊や馬を眺めながらの
爽快な運転だったが、大変だったのが急な上り坂。
「かなりつらい時もあったが、必死に頑張っている仲間に
離されまいと坂を上った」、大学4年田中すみれさん(22)。
大学2年小峰千弘さん(20)は、
「初めはばらばらだったが、だんだん声をかけあい、
励まし合うようになった」

サイクリングの途中、トイレがなく、野天で用を足したりすることも。
夜は、風呂がないゲルにも宿泊するなど、
日本とは全く異なる衛生状態を体験。
「便器は、汚物に埋もれ、水も流れない。においもひどい。
見たこともない汚さに、衝撃を受けた」、
大学3年の宍戸彩奈さん(21)。

大学2年小沢裕樹さん(19)は帰国後、環境問題に関する
検定の勉強を始めた。
「環境の重要さ、特に水の大切さを痛感した。
帰国後、もったいなくて朝のシャワーを浴びていない」

学生の成長に、手応えを感じた学習院は、
植林ボランティアとサイクリングを組み合わせたこの夏合宿を、
来年度から正式な授業に切り替える予定。
環境問題に関する事前授業も実施し、
よりじっくりと取り組んでもらう。

合宿の発案者で毎回、引率役を務める上田隆穂経済学部長(56)は、
快適な日本の生活から、思ってもみなかった世界に放り込まれ、
過酷な作業、不便な生活、考え方の違いを知ることで、
支え合いを学び、たくましい若者に育っていく。
こうした効果が、夏合宿には期待できる」

◆ゲル

モンゴル高原の遊牧民が住む移動式住居。
直径数メートルの円形で、放射状の屋根がある。
中国語では、パオと呼ぶ。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100922-OYT8T00219.htm

京都大学 品川セミナー 「免疫の不思議-なぜ免疫の病気は先進国で増えているのだろう-」

(2010年9月16日 読売新聞)

◆再生医科学研究所 坂口志文所長

再生医療は、壊れた臓器を再生し、治療につなげることだが、
免疫が自分の体を攻撃する病気では、
何をターゲットにするかが重要。

1型糖尿病は、インスリンを作る膵臓の細胞がリンパ球によって破壊。
膵臓細胞を再生しても、すぐそばからリンパ球が壊すわけだから、
ターゲットにすべきは膵臓ではなく、リンパ球。
関節リウマチも同じで、変形した骨や軟骨をいくら再生しても、
根本的な治療にはならない。

リンパ球とは、体内を網の目に走るリンパ管や血液中を流れる
免疫細胞で、二つに大別。
一つは胸腺で作られるT細胞、もう一つは骨髄で作られるB細胞。

病原体から体を守ってくれるが、自分の体を壊す自己免疫病を
起こしたり、花粉に反応して炎症を起こす花粉アレルギーの原因に。
人の腸には、腸内細菌がたくさんいて通常は共存するが、
免疫が細菌に反応して腸炎を起こし、毎日下痢になる病気も。

自己免疫病には、糖尿病や関節リウマチのほか、
脳神経が壊れる多発性硬化症や、甲状腺が侵される甲状腺炎と
バセドー病など、いろんな病気がある。

重要なのは、人口の約5%が何らかの自己免疫病に
かかっているほど、頻度が高い。

モナリザの指をよく見ると、関節リウマチのように関節が腫れている。
ルノワールは、関節リウマチがひどく、指が変形し、
筆が握れないため、包帯で指に巻き付けて描いていた。
こういう病気は、決してまれではない。

◆自己免疫病のカギ握る「制御性T細胞」

免疫は、なぜ自分の体に反応せず、どういう状況で自分と反応して
病気になるのか?

現在の免疫学には、三つの考え方が。
一つは、自分に反応するリンパ球が出てきても、すぐに壊されて排除。
二つ目は、自分を認識するリンパ球はいるが、反応しないように不活化。
三つ目は、誰の体にも自分に反応するリンパ球がいるが、
悪いことをしないよう、別のリンパ球が抑えているという考え方。

最近は、三つ目の考え方が注目。
ある時は、自分に反応して悪いことをするかも知れないが、
自分の体から生じた"自分もどき"のがんをやっつけるなら、
そういうリンパ球もいた方がいい。
あまりに悪いことをするなら抑えるが、体にいい行いをすれば
抑えるのを緩める、というバランスをうまく保っている。

三つ目の説を証明するため、自分に反応して病気を起こす
リンパ球を抑え込む「制御性T細胞」を取り除くと、
自己免疫病が起きるはずだと考え、マウス実験を始めた。

すると、甲状腺炎や胃炎、1型糖尿病、炎症性腸疾患、
関節リウマチといった病気が実際に起きる。
制御性T細胞を補えば、いろんな自己免疫病を抑えられる。

病気の原因を考える際、制御性T細胞と、自分の体を攻撃する
「自己反応性T細胞」のバランスが重要。

健康な人も自己免疫病を起こすリンパ球を持っているが、
うまくコントロール。
遺伝的、環境的な影響でバランスが崩れると、自己免疫病が起きる。
バランスを是正すれば、自己免疫病の治療や予防が可能。

制御性T細胞の重要性を示す証拠になったのは、
自己免疫病、アレルギー、炎症性腸疾患がすべて現れる
「IPEX症候群」という希少疾患。
「Foxp3」という、たった一つの遺伝子異常で起きる。

この遺伝子は、制御性T細胞で特異的に働き、
変異が制御性T細胞の機能異常を引き起こす。
マウスのリンパ球に、この遺伝子を組み込むと、
制御性T細胞に変えられ、遺伝子治療への応用も可能。

◆先進国で増える自己免疫病

先進国では、感染症が減少する一方、
自己免疫病やアレルギーの増加がみられる。

フランス免疫学者による02年の報告で、はしか、おたふく風邪、
結核、A型肝炎といった感染症は減っているが、
自己免疫病の1型糖尿病や多発性硬化症のほか、
ぜんそく、アレルギーも増えている。
特に、スウェーデンやノルウェーは傾向がはっきり。

日本でも、最近は花粉症になる子どもが多いが、
私が子どもの頃、花粉症の同級生はいなかった。

こうした逆相関は何を意味するのか?
衛生的な先進国で、免疫病が起きやすくなる現象は、
「衛生仮説」と言われる。

筋肉を使わなければ細くなるのと同じで、
制御性T細胞の力だって弱まってくるのだろう。

ひと昔の子どもたちは、しょっちゅう風邪をひいて青っ鼻を垂れ、
小学校前までにほとんどの感染症にかかっていたが、
こういう状況はある意味では重要なことかも。
今は、ちょっと風邪をひくとすぐに抗生物質を飲むが、
これが本当にいいのかどうかは難しい問題。

我々の体は、石器時代の環境に合うようにできているのでは?
今や衛生的な環境になったが、体そのものは石器時代から
そんなに変わったわけではない。

◆がんと免疫

自分の体から生じたがん細胞に反応するリンパ球の半数は、
異常な細胞ではなく、正常な細胞を認識して攻撃。

がんに対する免疫反応は、自己免疫反応の一部だ、
という考え方が成り立つ。

制御性T細胞は、自己免疫病が起きないようにするが、
同時にがんに対する免疫も抑えている。

マウスに、がんを植え付ける実験で、
正常マウスでは、がんがどんどん大きくなって死んでしまったが、
制御性T細胞を除いたマウスでは、がんが小さくなった。

制御性T細胞は通常、リンパ節に約10%含まれ、
がんの中には多数存在。
がん攻撃するリンパ球以上に、抑えるリンパ球が集まり、
うまくがんを攻撃できない。
制御性T細胞を壊す抗体を投与すると、攻撃するリンパ球が増えた。

自己免疫病の理解は、自分もどきのがんに対する治療につながる。
がん細胞は自分もどきなので、正常な自分の組織も
若干壊れる強い免疫反応がないと、免疫だけでがんを治すのは無理。
「肉を切らせて骨を断つ」ということ。

◆臓器移植と免疫

臓器移植も、免疫と深いかかわり。
自分でない臓器を入れるため、免疫が排除する拒絶反応が問題。

白いマウスに、黒いマウスの皮膚を移植すると、1か月以内にすべて拒絶。
白いマウスの制御性T細胞を投与すると、ほとんどのマウスに
拒絶反応が起きなくなった。
他者の臓器を排除しようとする、免疫細胞の働きを抑えた。

免疫抑制剤を使わなくても、制御性T細胞を増やせば、
臓器が拒絶されなくなる。

人でも、免疫抑制剤を使わずに臓器移植がうまくいった症例も。
今の医療では、免疫抑制剤を使うのが標準だが、副作用がある。
免疫をすべて抑えるため、感染症が起きたり、長期間使っていると、
がんが生じたりする。

今後は、制御性T細胞を増やすことで、免疫抑制剤を使わなくても、
拒絶反応を起こさない移植が可能になると期待。

◆Q&A

Q:制御性T細胞は、自己と非自己をどうやって認識するのか?

A:まさに今、世界中で競い合いながら、その機構を解明しようとしている。
約20の仮説が提唱、ここ2、3年のうちに解決する。

Q:制御性T細胞を増やしたり減らしたりする方法は?

A:決定的な方法はないが、次世代の免疫抑制剤と言われ
製薬会社などが開発を進めている。

Q:自己免疫病と先天的な因子との関連はどれほどか?

A:がんも自己免疫病も、遺伝的因子と環境因子のどちらも重要。
どんな人でも、数多くの病の原因を持っているが、
それらを表に出さないようにできるはず。

◆さかぐち・しもん

1976年京都大医学部卒。米ジョンズ・ホプキンス大客員研究員、
米スクリプス研究所助教授などを経て、
99年京大再生医科学研究所教授、2007年から同研究所長。
同年から大阪大招請教授も務める。専門は免疫学。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/9/16/125710/

2010年9月26日日曜日

プロレスで古里元気に 一関・厳美出身の佐々木さん

(岩手日報 9月10日)

一関市出身のプロレスラー佐々木貴さん(35)は、
昨年秋に自ら旗揚げした「プロレスリングFREEDOMS」の
一関大会を初開催。

08年、岩手・宮城内陸地震を機に、古里への思いを一層強くし、
「多くの人を一関に呼び盛り上げたい」と意気込む。
レスラーの道に大反対した母光枝さん(61)も、
今は心強い応援団となり、当日はおにぎりを握り駆け付ける。

一関大会は、市総合体育館ユードームで開かれる。
奥州市前沢区出身の石川修司さん(34)や
ザ・グレート・サスケさんも登場。

佐々木さんは、昨年まで所属していた団体が活動休止し、
フリーダムスを設立。
同団体の東北での興行は、今回が初めて。

大学在学中に、総合格闘技とプロレスを始めた。
レスラーとしてプロデビューし、14年目。
小さなころからの夢だったが、父一男さん(64)と母光枝さんは、
「大学に入ったのだから、会社員や公務員になってほしかった。
大反対だった」と振り返る。

一関での興行は、岩手・宮城内陸地震がきっかけ。
実家周辺の被害も大きく、頻繁に帰郷し、倒れた墓石を直した。
避難所にも顔を出し、苦境に耐える友人知人の様子を
目の当たりにした。

本寺小で児童会長、本寺中、一関二高時代に生徒会長も務め、
責任感が強い佐々木さん。
「古里のために、何かできないか?」
自問自答を繰り返し、「プロレスしかない」と決めた。
地震の年の12月、同市内でチャリティープロレスを開催。

今回の一関大会は、佐々木さんにとって3度目の地元マット。
光枝さんは、過去2度とも選手やスタッフにおにぎりを握った。
「反対していたのに、おかしいよね。
今度は、60個は握ろう」とほほ笑む。

午後2時半開場、試合開始は同3時で6試合予定。
問い合わせは、一関PRセンター(0191・25・4920)、
FREEDOMS(03・3353・5985)へ。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100910_4

学習院の夏合宿(2)内モンゴルの現実に驚く

(読売 9月18日)

「かわいい~」、「まじっすか」という言葉が飛びかい、
メールアドレスを交換し、一緒に記念写真を撮る。
腕相撲で力比べをし、「きっとまた会おうね」と抱き合う。

中国・内モンゴル自治区で行われた合宿
「学習院グリーン元気プロジェクト」は、
現地の学生との交流も大きな目的。

フフホト市では、フフホト民族学院の学生が民族衣装で
歓迎してくれたが、特に親交を深めたのは、
植林ボランティアなどで5日間行動を共にした、
通遼市の内蒙古民族大学で、日本語を専攻する学生15人。

大学3年大須賀友里さん(21)は、
「暑い中、植林作業でバケツリレーや苗運びを一緒にやって
汗を流し、仲間意識が芽生えた。
言葉はあまり通じなくても、協力して何かをなし遂げることで、
人と人はつながれる」

民族大学2年の王暁玲さん(19)も、
「一緒に作業をしてみて、日本人は確かにまじめと感心した。
作業はつらくても、みんな同じだったので楽しかった」

双方の学生たちは、植林だけでなく、食事も同じ場所で食べ、
折り紙やおみやげを交換した。
毎夜のように、交流会や町歩きを一緒に楽しむうち、
お互いの暮らしぶりや夢も語り合うようになった。

「日本のアニメ『ナルト』が好き。
日本の文化、いろんなことを知りたい」と、
民族大学2年の王暁慧さん(20)。
同3年孔勝濤さんは、「中国も日本も、今の若者はインターネットで
ゲームに夢中。就職が難しい、少子化などの状況は、あまり変わらない」

「センベーノ(こんにちは)」、「バイルラー(ありがとう)」など、
せっかく覚えた片言のモンゴル語が、あまり通じない現実に驚く場面も。
内モンゴル自治区では、戦後に増えた漢民族が大半を占め、
モンゴル民族は少数派。
今回参加した民族大学の学生も、モンゴル族は2人。
現地で初めて知った、自治区の現実。

プロジェクトリーダーを務めた大学4年林英明さん(22)は、
帰国後、内蒙古民族大学の学生と連絡をとるとともに、
中国語の勉強を始めた。
林さんは、「内モンゴルの学生が日本語を学び、
日本の文化を知りたいと積極的に話しかけてくれたことも、
交流が深くなった要因の一つ」と分析、
「体力的にも精神的にも、私たちよりたくましい彼らのことを
もっと知りたい」

同世代で共通する部分、違う部分を知る驚きが、
国を超えた理解につながっていく。

◆内モンゴル自治区

中国の北部に位置する自治区。1947年成立。
現在、漢族が大半を占め、ほかにモンゴル族、満州族らが住む。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100918-OYT8T00248.htm

がん死滅させる免疫細胞 臍帯血から、治療法開発に

(2010年9月16日 共同通信社)

トのへその緒にある臍帯血をもとに作製した免疫細胞が、
がん細胞の中に入り込んで内部から細胞を死滅させたと、
林原生物化学研究所(岡山市)が発表。

こうした現象が確認されたのは、世界で初めて。
新たながん治療法の開発が期待。

この免疫細胞は2006年、同研究所が発見し、
「HOZOT(ホゾティ)」と名付けた。

研究で、ヒトのがん細胞とHOZOTをまぜたところ、
HOZOTががん細胞に近づき、侵入。
その後、約2~4時間で徐々にHOZOTが死滅し始め、
同時にがん細胞の生存率も低下。

死滅したHOZOTから、細胞を死に至らせる物質が漏れ、
がん細胞の構造を壊すのが原因とみられる。
正常な細胞には侵入しなかった。

同研究所の竹内誠人主任研究員は、
「がん患者の血液で、HOZOTと同様の働きを持つ細胞を作りだし、
治療につなげたい」
5~6年後をめどに、臨床研究を始めたい。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/9/16/125669/