2010年10月2日土曜日

脳卒中:まひの手、回復に新手法 動作想像→脳に刺激--慶応大チーム開発

(毎日 9月27日)

脳卒中の後遺症で、長期間まひした手の機能を改善させる手法を、
慶応大の里宇明元・教授と牛場潤一講師らのチームが開発。

スポーツのイメージトレーニングのように、手を動かすことを想像し、
脳に刺激を与える訓練を繰り返すことで、筋肉の働きを誘発。
チームは、新しいリハビリ法になるとみて、
実用化を目指した臨床試験に着手。

国内の脳卒中患者は約150万人と推定、まひが残る人が多い。
現在のリハビリでは、比較的軽度のまひを電気刺激などで
回復させる方法がある。
数年間も動かなくなった完全まひの患者では、
まひしていない方の手足を鍛えるしかなく、事実上治療を断念。

チームは、手を動かす際に出る脳波が現れると、
手首に装着した電動装具が動くシステムを構築。

まひした患者の場合、最初は動かすことのできる人と異なる波形に。
コンピューター画面を通して違いを確認しながら、
手を動かすイメージを繰り返し、正しい脳波が現れると、
電動装具が手を強制的に動かす。

システムを使い、5年間も左手がまひしていた女性が、
1日1時間の訓練を週5回続けたところ、2週間後、
積み木のような器具をつかんで持ち上げられるようになった。

当初、筋肉を動かすための電気信号がほとんど出ていなかったが、
システムなしでも検出されるようになり、
脳の命令を手に伝える回路が新しく形成された。
同様の効果は、他の患者でも確認。

脳と機械をつなぎ、情報を出し入れする技術は、
「ブレーン・マシン・インターフェース(BMI)」と呼ばれ、
各国で研究が進むが、体の機能回復を実証したのは世界で初めて。
里宇教授は、「どの症状の患者に効果的なのか、症例を重ね、
数年のうちに、手のまひの治療法の一つとして確立したい」

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/09/27/20100927dde041040038000c.html

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