2009年1月3日土曜日

糖尿病2000万人突破 予備軍含め、成人の推計 10年で1・6倍 07年、厚労省調査 「医療ニッポン」

(共同通信社 2008年12月26日)

糖尿病の疑いがある成人が、推計で2210万人に上ることが、
厚生労働省の「2007年国民健康・栄養調査」で分かった。
患者だけでなく、予備軍も含まれる。
1997年から10年間で1.6倍となり、4.7人に1人となる計算。
06年調査と比べ、340万人の大幅増。

国民の間で、生活習慣病の危険が急速に広がっている実態が浮き彫りに。
厚労省は、「食生活の乱れや、運動不足がなかなか改善されていないのが
大きな要因」(生活習慣病対策室)。

調査は、07年11月、無作為に抽出した約6000世帯を対象に実施。
回答者のうち、成人男女計約4000人の血液検査結果などを基に推計。

糖尿病の診断指標のひとつ、血糖の状態を示すヘモグロビンA1cの濃度
(正常値は5・6%未満)が6・1%以上の「糖尿病が強く疑われる人」が
約890万人(前年約820万人)、5・6%以上6・1%未満の
「糖尿病の可能性を否定できない人」は約1320万人(同1050万人)で、
合わせて約2210万人に上った。

年代別の人口に占める割合は、70歳以上が37・6%で最も多く、
60代35・5%、50代27・3%、40代15・3%、30代6%と続いた。

厚労省は、強く疑われる人を「患者」とみなしている。
調査対象者で、「強く疑われる」との結果が出た人のうち、
39・2%が「ほとんど治療を受けたことがない」と回答。
「糖尿病の初期は、自覚症状が出にくく、治療が遅れるケースが多い」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=85692

日本サッカー協会、JADA加盟へ 東京五輪招致に弾みも

(日経 12月31日)

日本サッカー協会が今春にも、国内の反ドーピング活動を統括する
日本アンチ・ドーピング機構(JADA)に加盟する方針。

1月の日本協会の理事会に諮られる見込み。
サッカーが加盟すれば、日本オリンピック委員会(JOC)加盟の
五輪の主要競技団体が出そろうことになり、
2016年東京五輪招致にも弾みがつくとの見方も。

日本協会は、JADAと加盟時期を4月1日で交渉中だが、
3月に開幕するJリーグの日程を踏まえ、今後細部を詰める予定。

日本協会は、国際サッカー連盟(FIFA)と世界反ドーピング機関(WADA)が、
選手の資格停止期間などで完全合意していないとして、
JADAに加盟せず、独自規定を採用。

しかし、体調不良で点滴治療を受けたJリーグ1部(J1)川崎の
我那覇和樹に対するJリーグの処分が、2008年5月に
スポーツ仲裁裁判所(CAS)によって無効と判断された問題を契機に
組織や規定を改正。JADA加盟を検討していた。

http://sports.nikkei.co.jp/index.aspx?n=NN000Y656%2031122008

三陸浜料理を携帯で紹介 県がサイト開設

(岩手日報 1月1日)

県水産振興課は、三陸の海の幸を使った浜料理を紹介する携帯サイト
「三陸いわて浜料理レシピ」(通称・魚メシ)を開設。

三陸で取れるサケやサンマ、イカなどの魚種別に、
239種類のレシピを紹介。
「ドンコなます」といった郷土色あふれる伝統料理から、
「洋風ミルク入り鮭(さけ)汁」などの創作料理まで、
バラエティーに富んだメニューが並ぶ。

県が漁協女性部の協力を得て、1997年にまとめた冊子を基に作った。
スーパーで買い物をする際など、その場で材料を調べられるよう、
パソコンサイトではなく携帯サイトでの開設。

魚の旬や特徴を紹介する携帯サイト「魚カレ」も、同時スタート。
「魚カレ」で季節の魚を調べ、「魚メシ」で調理方法を決めることができる。

サイトを企画した同課の鈴木寛人主任は、
「普通のレシピ本には載っていないメニューも多い。
ぜひ県産の材料でつくってみてほしい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090101_10

2009年1月2日金曜日

日本のネット産業は元気を取り戻すか 開拓者・革命児…経営者が語る

(日経 12月26日)

日本のインターネット業界から明るい話題が減っている。
2008年は、けん引役だったミクシィとディー・エヌ・エーの成長に陰りが見え、
ヤフーや楽天も世界的な景気悪化で経費削減に軸足を移した。
話題となったのは、iPhoneやグーグル・ストリートビューなど
米国発の製品やサービスの上陸ばかり。
2009年に、日本のインターネット企業は元気を取り戻せるのか?

◆好調企業にも減速感

2008年は、「勝ち組」とされたネット企業の成長に減速感が見られた1年。
SNS「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エーは、
10月に2009年3月期の業績見通しを下方修正。
利益率の高いアバターの販売が頭打ちとなり、
「下げ止まったとはいえない」(南波智子社長)。

本業が好調な企業にも、危機感は広がっている。
ヤフーは、広告は好調だが景気後退により求人情報などの
企業向けサービスが失速。
井上雅博社長は、「経費の削減を継続し、経営の効率化を目指す」
楽天は、11月の決算発表時に説明資料を、A3用紙の裏表に
小さめの表示でぎっちりと書き込んだ。
三木谷浩史社長が提唱する「ケチケチ作戦」の一環。
「楽天市場はまだまだ利益率を上げられる」と三木谷社長は話すが、
放っておいても、市場の伸びにあわせて収益が拡大する状況ではなくなった。

米国発の金融危機は世界同時不況へと波及し、市場は混乱が続く。
インターネット企業は、これまで市場規模が拡大基調にあり、
景気との連動性が低いとされたが、株価はさえない。
ディー・エヌ・エーやミクシィの株価は、年初来高値に対して
半分以下の水準に落ち込む。
比較的堅調なヤフーでさえも3割以上安い。
ネットベンチャーが多く上場する新興市場は、株価低迷が続き、
東証マザーズ指数、ヘラクレス指数とも算出来安値圏で推移。

東証一部なども合わせた新規上場は49社と、昨年から6割減少。
上場のハードルが低い新興市場での資金調達をテコに、
高成長を持続するモデルは機能不全に陥ったまま。

◆日本のネット産業は枯れた?

ネット企業の進化が頭打ちなのか、起業家を育てる環境に問題があるのか。
1990年代末に、ネット起業家の交流活動「ビットバレー」を西川潔氏とともに
仕掛け、創業間もないミクシィに出資した小池聡ngiグループ社長は、
「日本のネット産業は枯れてしまった」と苦笑。
「検索エンジンとブラウザーが重要なインターネットの世界では、
だいたいやりつくしてしまった感。
ベンチャー投資をしているが、『おおっ』というようなビジネスプランに
出会うことは減っている」

起業意欲を持つ人材も、ここにきて減ってきた気がする。
「以前は、大手商社で通らなかった思い入れのある企画を、
独立して始めたいという人がいたものだが、最近は見られなくなった。
金融危機で、安定志向が出ているかもしれない」

小池氏は、悲観はしていないともいう。
引き合いに出すのは、12月17日に上場したグリーだ。
市場環境が厳しいなかでの上場だったが、初値は公募価格を5割上回り、
時価総額は1000億円を超えた。
グリーの田中良和社長は、「ゲームなどは低価格のエンターテインメントで
不況に強い。SNSは、まだ伸びしろがある」と上場会見で強気の姿勢。

田中社長は、かつてngiの前身であるネットエイジでアルバイトをしていた。
そのころからの付き合いとなる小池氏は、
「ネットに限らず、起業家は試行錯誤を繰り返して経験を積む。
それで成功する可能性が高まる。
あとは、成功にたどり着くまでに時間がかかるかどうかだ。
確かに深刻な状況だが、この嵐が過ぎれば後は楽になる一方。
ベンチャーにはチャンスになる」

◆かつての「革命児」はどうみるか

ITバブル崩壊、新興市場ブームとその後の低迷、
そしてWeb2.0ブームと金融バブル崩壊。
ネット企業は、これまでも山谷をいくつも経験してきたが、
「100年に1度」といわれる今回の危機も乗り越えて、
成長と進化を続けられるのか。

新興市場低迷の始まりとなった2006年の「ライブドア事件」で、
一審に続き今年7月の二審でも懲役2年6カ月の実刑判決を受け、
上告中の堀江貴文ライブドア元社長
ネット業界にとってはすでの過去の人となったが、上昇と転落を経験した
かつての「革命児」の目に、今の風景はどう映っているのだろう。

◆業界全体がスピードダウンした

12月初旬都内で会った堀江氏は、サブプライムローン問題に端を発した
市場の混乱については、「バブルの崩壊と生成って、何回も繰り返してきたこと。
循環でしょう。バブルって別に悪いことではないし、
『景気がいい』と『バブル』はほぼ同義語といっていいくらい」と、
以前と変わらぬ口ぶり。

ライブドアが、ニッポン放送に敵対的買収を仕掛けた当時、
資金面で力を貸したリーマン・ブラザーズをはじめ、金融バブルを演出した
多くのプレーヤーがすでに市場から姿を消した。
しかし、「資金が余れば、カネは行き先を求める。
投資銀行はいずれ復活するでしょう。
すでに割安な株を買い始めているかもしれない」

では、日本のネット業界は以前と今でどこか変わってきただろうか。
「僕がライブドア社長をやっていた頃は、業界全体がすごく焦っていた。
社内でも、『早くやれ早くやれ』って言っていたし、ものすごい先行投資をしていた。
僕が、ネット業界全体をせかしていたかもしれない。
いなくなって、みんなラクになったんじゃないかな。
ライブドアの事件で、日本のネット業界はスピードダウンしたと思う」

堀江氏は、今年8月に友人である藤田晋氏が社長のサイバーエージェント
ブログを再開した。
社長時代にブログを書いていたライブドアのサービスも使って、気がついた。
「インターフェースが何も変わってないし、機能も追加されていない。
自分が社長だったら、『これじゃダメだ』って言った。
あれから何やってたんだろうなあ」

◆開拓の余地はまだまだある

2008年に海外では、2月にマイクロソフトが米ヤフーに買収を提案。
グーグルは、ヤフーとの提携を検討したほか、
秋にはブラウザーソフトの配布をするなど、着々と
「クラウド・コンピューティング」の世界へと布石を打った。
ブレーキを踏むことが敗北と同義のような米国に比べて、
日本のネット企業はスピードの点でますます引き離されている。

必要なのは、起業家精神とスピード感。
語りつくされた言葉だが、しばらく続いた好況と突然襲いかかった
経済危機のなかで、いま一度、胸に刻む必要がある。

ngiの小池氏は、「枯れた日本」でも開拓の余地はまだある。
「モバイルはまだ、やれることがたくさんある。
パソコンでできて携帯電話でできないことは、たくさんあるでしょう。
シニア層も、まだネットを使いこなせていない」

小池氏自身は、次のネット事業の大きな流れとして「3Dによる仮想世界」に注目
ngiでは関連ビジネスに積極的に資金を投じている。
「インテルは、半導体をたくさん売りたい。
IBMは、たくさんのサーバーを使わせたい。追い風は来るはず」

仮想世界も、セカンドライフにより広がった米国発のサービスだが、
「図書館に行ってパラパラ本をめくったり、マンションのモデルルームに
家具や家電製品を並べて日当たりまで確認したりと、
セカンドライフよりずっと利便性を感じられるものになる」と予想。
ただ、と付け加えた。「普及には時間がかかる

野村総合研究所が12月中旬に発表した中期予測によると、
消費者向けの電子商取引(EC)やネット広告、音楽配信などを含む
国内ネットビジネス市場は、2008年度の約9兆1000億円から、
2013年度には約16兆円へと約2倍近く拡大する。
特に伸びが大きいのが、モバイル向けのEC市場で、
ネット広告も伸び率は鈍化するが成長を続ける。

景気が後退しているとはいえ、米国発のサービスや製品が日本への上陸を
続けるのは、日本のネットユーザーが新しいサービスに対して貪欲で、
潜在的な市場が大きいと見ているため。
世界で勝負できる企業が少ないといわれ続けてきた日本のネット企業。
このまま挑戦し続ける意欲さえも失ってしまえば、世界進出はおろか
海外の企業に残された市場を奪われてしまう。
2009年は、次の成長に向けた種をどれだけまけるかが勝負に。

http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMITzz000026122008&landing=Next

08気仙この1年総集編

(東海新報 12月31日)

米国発金融危機に端を発した世界的な経済不況、燃油の乱高下、
北京五輪、福田首相の辞任と麻生政権誕生など、
国内外とも大きく揺れた平成20年。

気仙地方も合併をめぐる活発な論議、盛況の「海フェスタ」、
大船渡市民待望の文化会館完成、高校・小学校統合、
生活・産業基盤整備の進捗、二億円宝くじ殺人事件の発覚など、
激動の一年を閉じようとしている。
12カ月の主な出来事を拾った。(文中年齢は当時)

■1月
◇陰徳の士に贈る第35回東海社会文化賞を、
大船渡市の和裁講師・佐藤佐知子さん(70)

陸前高田市の米崎職工組合(菊池道男組合長)が受賞。

◇陸前高田市立博物館所蔵「陸前高田の漁撈用具」2045点が、
国の登録有形民俗文化財に登録決定。

◇五葉温泉の源泉を使った浴場が売り物のデイサービスセンター・
JAおおふなと指定通所介護事業所日頃市が、日頃市支所敷地内に開所。

◇大船渡市末崎町地内の難所解消のため、県が改良工事を進めていた
主要地方道・大船渡広田陸前高田線船河原工区が供用開始。

◇気仙の発展と可能性を探究するまちづくり講座「ケセンきらめき大学」が、
民間の有識者を中心に発足し、東海新報社内で入学式が行われた。

◇広田湾の磯焼け対策で、法人や企業などによる気仙産業研究機構が
人工藻礁「栄養素供給ユニット」
を沈設、実用化に大きく踏み出した。

◇大船渡魚市場の年間水揚げ実績が、主力魚種のサンマ、スルメイカが
豊漁で、前年比約7億円増の59億円に。

■2月
◇気仙三市町と県大船渡地方振興局、商工団体などで、
企業立地促進法に基づく「気仙地域産業活性化協議会」が発足。
重点的に企業立地を図るべき十区域を設定。

大船渡港の平成19年貿易実績が、国際コンテナ航路の開設効果で
昭和42年の開港以来最高の262億円を記録。

◇太平洋戦争中、硫黄島で戦死した陸前高田市高田町出身の
及川豊治さん(当時27)の遺品が、62年ぶりに遺族へ。

◇大船渡市への定住や季節移住を希望する人の相談や支援にあたる、
ふる里回帰大船渡支援センターが設立。

◇住田町上有住の滝観洞が、全国第10位の長さの3636メートルで
あることが、東京スペレオクラブなどの調査で分かった。

■3月
◇県立高校再編による統合で、大船渡農、大船渡工、広田水産の三高で
最後の卒業式が行われた。

◇国道283号仙人峠道路・滝観洞インターチェンジ(IC)が開通し、
住田町と釜石、遠野両市間のアクセス時間が短縮。

◇東北地方整備局が、広田湾沖に津波観測も可能なGPS波浪計を設置。

◇第39回全国高校バレーボール選手権大会初出場の大船渡女子が、
3回戦に進出。沖縄代表に0―2で敗れたものの、ベスト16入りの大健闘。

◇太平洋セメント(株)は、大船渡工場の原料石灰石の確保を目的に
上有住の袰下山周辺での新規鉱山の開発計画を発表。

◇世界遺産登録を目指す平泉の黄金文化を支えた、
陸前高田市竹駒町の玉山金山の歴史的価値を再認識し、
観光開発につなげようと遺跡活用推進協議会が発足。

■4月
気仙中・寺本沙也加さんが、気仙で初、県内で2人目の
「野依科学奨励賞」を受賞。広田湾の貝研究が評価。

◇統合された県立大船渡東高と住田町立有住小が開校。
県立高田高も再編で新しい歴史のスタートを切った。

◇県立住田病院が診療所化され、県立大船渡病院附属地域診療センターに。

◇危険業務従事者叙勲で、元大船渡地区消防組合消防監の
大畑信吾さん(71)が消防功労、元海上保安官の平山正昭さん(67)が
海上保安功労で瑞宝双光章、元大船渡地区消防組合消防司令の佐藤立さん(68)
が消防功労で瑞宝単光章を受章。

◇住田町が、情報過疎解消を目指す地域情報通信基盤整備事業の一環として
「住田テレビ」を開局。町内全世帯には光通信網を整備。

◇任期満了に伴う大船渡市議選(定数26)。
現職19人、新人5人、元職2人が当選。

◇春の褒章で、大船渡市の土地家屋調査士・菅原公男さん(78)と
陸前高田の農業・吉田信さん(77)が藍綬褒章を受章。

◇春の叙勲で、陸前高田市竹駒町の元民生・児童委員の中里繁男さん(87)が
社会福祉功労で瑞宝単光章を受章。

■5月
◇陸前高田市農協と合併した新しい大船渡市農協が船出。

◇陸前高田市民有志が、大船渡市との合併協議会設置を直接請求するため、
市内有権者50分の1以上の署名を目指して活動スタート。

県警の警備船、新「さんりく」が就航。
大船渡港の茶屋前岸壁に常駐して、漁業資源や安全確保へ。

◇大船渡市の菓子製造販売業・さいとう製菓(株)が、
「R&I中堅企業格付け」で最高位の「aaa」を取得
。全国でも3社のみという快挙。

◇全国新酒鑑評会で、陸前高田市の酔仙酒造(株)が出品した
純米大吟醸酒が、2年連続金賞を受賞。

◇陸前高田市で、携帯電話で市内の災害や雨量情報、防災無線の放送内容を
確認できる「土砂災害情報相互通報システム」を稼働。

■6月
◇県が「広域振興局体制整備の基本的な考え方」(素案)を公表。
22年に県北、沿岸、県央、県南の広域振興局体制に移行する方向性。

◇北里大学を運営する学校法人・北里研究所と大船渡市が、
人材育成連携や教育・文化・スポーツの振興などに関する連携協力協定書を締結。

◇大船渡市の北日本水産(株)が、ふ化養成した稚ナマコを
大船渡湾内と綾里湾内に初放流。気仙では初の試み。

◇陸前高田市内で、浜辺に打ち上げられた海藻を分解することから
“浜の掃除屋”と呼ばれる昆虫「ハマベゾウムシ」の生息が初確認。

◇千葉県犬吠埼沖で、福島県船籍の巻き網漁船が沈没し乗組員4人が死亡、
13人が行方不明。陸前高田市出身の男性乗組員2人が死亡、1人が不明。

■7月
◇陸前高田市内有志5人が、1400余人の有効署名を添え、
中里長門市長に対し、大船渡市との合併協議会設置を目指し直接請求。

◇気仙ともつながりの深い平泉の世界遺産登録が「延期」。

◇住田町世田米で野菜水耕栽培を手掛ける㈱AFGが業務を停止し、
自己破産の手続きを開始。

◇全国中学通信陸上県大会で、有住中の松田健豊選手が
男子共通800メートル、横田中の泉田比子選手が女子4種競技で優勝。
松田選手は、東北中学校陸上競技大会でも一位、全国大会に出場。

◇陸前高田市は、市内11地区で合併問題をテーマにした市政懇談会を開催。
総じて「当面単独市」を望む意見が目立った。

◇全国規模の海の祭典「海フェスタ」が、大船渡市を中心に沿岸5市町で開催。
記念式典には秋篠宮、同妃両殿下がご臨席。
9日間と協賛事業への入り込み数は約74万人

◇県沿岸北部を震源とする地震が発生し、大船渡市で震度5強の揺れ。
建物破損や店舗内の商品が散乱するなどの被害が出た。

■8月
◇気仙川のアユ漁は、豊富な水量と天候に恵まれたこともあり、
平成12年以来の豊漁。

◇原油価格の高騰により、気仙のガソリンスタンドでは1リットルの現金売り
平均価格が190円台まで上昇。

◇任期満了に伴う岩手海区漁業調整委員会の公選委員選挙(定数9)が
行われ、気仙からは佐々木戝氏(陸前高田市)と中嶋久吉氏(大船渡市)が当選。

◇陸前高田市の高田松原は、今夏の入り込み数は7万4147人。
昭和55年以降最低で、初めて10万人を切った。

◇住田町は、合併問題に関する住民懇談会を開き、
町民からは「当面自立」を望む意見が多く出された。

■9月
◇NHK盛岡放送局と県内民放4局は、大船渡から地上デジタル放送の
試験電波送信を始めた。

◇「全国レクリエーション大会inいわて」の特別協賛事業として、
大船渡市で卓球大会、住田町でクッブ大会が開かれた。

◇県は、20年度地価調査の結果を公表。
気仙の商業地と林地は、14年連続の下落。

◇大船渡市三陸町の大森邦男さん、非常に珍しい蝶「モンキアゲハ」の
写真撮影に県内で初めて成功。

■10月
◇白木沢桂元大船渡市長が77歳で死去。
昭和62年から2期8年間にわたり市政運営を担った。

◇県立大船渡高で、校舎落成と創立60周年記念式典、
県立住田高でも創立60周年記念式典を挙行。

◇二億円宝くじに当選していた女性(一関市出身)の遺体が、
陸前高田市米崎町内で発見、東京在住の新聞配達員の男(住田町出身)が
殺人容疑で逮捕。

◇大船渡市と陸前高田市の合併協議会設置議案が両市議会で審議され、
大船渡市は可決(賛成20、反対5)、陸前高田市議会では否決(賛成9、反対10)。

◇住田町上有住の民俗資料館内に、産金コーナーがオープン。
採金に使われた搗鉱機などを展示。

■11月
◇大震災発生に備え、気仙を含む三陸沿岸で陸上自衛隊東北方面隊が、
初の大規模対処訓練を実施。

◇大船渡市外への顧客流出と市内消費需要拡大に向け、
商工会議所による地域商品券事業がスタート。

◇「玉山金山」の歴史的価値を見直そうと、陸前高田市で初の金山サミットを開催

◇会計検査院の調査で、陸前高田市と住田町は一部不適切支出を公表。

◇大船渡市民待望の文化会館・市立図書館「リアスホール」がオープン。

◇大船渡市との合併協設置をめぐる直接請求手続きで、
陸前高田市長と有権者の住民投票申請がなく終了。

◇県は、県立病院や地域診療センターの減床と無床化を柱とする
「新経営計画案」を公表、住田などでは見直しを求める声。

◇住田町に新誘致企業。青果小売中堅の(株)九州屋と町が立地協定に調印。

■12月
◇「気仙は一つ、三首長会議」が開かれるも、合併スタンスで
“温度差”が改めて浮き彫りに。

◇大船渡市議会は、議員発あ議の気仙再生協議会設置案を賛成多数で可決。
陸前高田市議会も一票差(賛成10、反対9)で可決。

◇気仙三市町の有志議員が「気仙はひとつ議員協議会」を設立。

http://www.tohkaishimpo.com/

2009年1月1日木曜日

ヘルシーリポート:健康インフォメーション カテキンでアレルギー予防

(毎日 12月27日)

緑茶の主成分のカテキンの一種が、アレルギー疾患に関係する
遺伝子の働きを抑制して、アレルギー疾患の予防につながる可能性
示唆する研究結果が、日本薬理学会近畿支部会で発表。
福井裕行・徳島大学大学院教授と伊藤園の共同研究。

アレルギー性鼻炎や花粉症などの症状は、
花粉などの異物が体内に入って、肥満細胞から、かゆみなどを引き起こす
ヒスタミンが分泌されることで生じる。
ヒスタミンの分泌を抑える物質があれば、アレルギー疾患の防止に。

福井教授らは、緑茶に含まれるカテキンの一種
(抗酸化作用の強いエピガロカテキンガレート)が、
ヒスタミン分泌にかかわる遺伝子(ヒスタミン受容体遺伝子)や
アレルギー情報伝達物質の遺伝子の働きを抑えるかどうかを、
特殊な細胞を使って実験。

その結果、カテキンを添加した細胞は添加しない細胞に比べ、
ヒスタミン受容体遺伝子の働きが抑制されることが分かった。

http://mainichi.jp/life/health/news/20081227ddm010100165000c.html

新しい波/288 武道の必修化/6

(毎日 12月27日)

12年度から中学1、2年の授業で武道が必修化され、
柔道、剣道とともに相撲も学校単位で選択が可能となる。
地域によっては、幼いころから道場で相撲に親しむ子どもも多い。
その中で、全国から集まった小学生力士が、
東京・両国国技館で開かれた全日本小学生相撲優勝大会で強さを競い合った。

小学5年の部に出場した三男に付き添い、
国技館を訪れた埼玉県戸田市の主婦、稲員礼子さん(51)は、
「相撲は、何よりも礼儀と我慢強さが身につく」と話し、
「身についた力や技をコントロールする心を養ってもらいたい」と付け加えた。

激しい試合や練習では、相手にけがをさせかねない。
学んだ技や培った力を、むやみに他人に使えば凶器になる場合さえある。
それ故、相撲を学ぶ場合、力と技だけでなく「優しさ」を併せ持つことが大切

相撲を教えて26年になる千葉県富津市立富津中の山崎美佐夫教諭(48)が、
留意するのもこの点。
日体大相撲部に所属していた山崎教諭は、
「相撲は、初心者レベルで(勝敗の)偶然性が少ない」。
特に、成長途上で体格差が大きい中学生は、
戦う前から勝敗が分かる場合もある。
強者と分かれば、「同じ全力を尽くすにも、相手にけがをさせないように勝ちなさい。
弱者への配慮を常に持ちなさい」と指導。

相撲の伝統的な所作を教えることも重要。
例えば、もみ手から腕を開いて手のひらを返す「塵手水(ちりちょうず)」。
もみ手は、屋外で相撲を取った時代に水がなかったため、
雑草をもんで手を清める仕草。
手のひらを返すのは、武器を持たずに正々堂々と素手で戦うことを誓うため。
山崎教諭は、「大相撲の中継を見て生徒が聞いてくる。
それに答えるだけでも、日本の伝統文化としての相撲を教えることができる」

「強いだけでなく、弱い子にいたわりの心を持って
力を発揮しなければならないのが相撲」
山崎教諭は、生徒が相撲を通して弱者へのいたわりを学ぶことを期待。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20081227ddm035050040000c.html

ナイスステップな研究者:10件12人の科学者が選ばれる

(毎日 12月26日)

文部科学省科学技術政策研究所は、科学技術の振興や普及に貢献した
08年の「ナイスステップな研究者」を発表。
鉄を含む新しい高温超電導物質を発見し、材料科学分野で
世界的なフィーバーを起こした細野秀雄・東京工業大教授や、
凍結マウスからクローンを作成した若山照彦・理化学研究所チームリーダーら、
10件12人が選ばれた。

研究所の調査や全国約2000人の科学者の意見を参考に選定。
このほかに選ばれた研究者は次の通り。

新津洋司郎・札幌医科大特任教授(肝硬変など難治性疾患の治療法開発)、
三浦道子・広島大教授(卓越したトランジスタモデルの開発と国際標準化)、
山口茂弘・名古屋大教授(高性能有機エレクトロニクス材料の創出)、
池田裕二郎氏、長谷川和男氏、金正倫計氏=日本原子力研究開発機構
J-PARCセンター(先端的な加速器パルス中性子源の開発)、
嶋田雅曉・長崎大教授(ケニアを拠点とした感染症対策での国際貢献)、
河野典子・日本大教授(男女共同参画、女性研究者支援)、
米田仁紀・電気通信大教授(先進的な工学系大学院教育プログラムの開発)、
新井紀子・国立情報学研究所教授(ウェブを利用した新たな学校教育手法の展開)

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/12/26/20081226ddm012040061000c.html

国有林の原状回復を 国、八幡平観光に請求へ

(岩手日報 12月27日)

特別清算から破産への移行を決めている八幡平観光
(資本金2億9790万円、代表清算人・三船博敏岩手県北自動車社長)は、
期限となっていた八幡平スキー場の国有林使用について、
盛岡森林管理署(二村信三署長)に使用延長を申請しなかった。
同管理署は年明けにも、八幡平観光に対し、国有林の原状回復を求める方針。

八幡平スキー場は、国有林39・6ヘクタールを使用し、
リフト3基、レストハウスとパトロール隊詰め所の建物2棟を設置、
27日から国有林の無権限使用となる。

同管理署は、八幡平観光が特別清算から破産へ移行する判断が示される
来年1月9日の盛岡地裁の審尋の前に、原状回復を請求する方針。
損害賠償請求についても検討する。

二村署長は、「スキー場は無権限使用の状態となり、
管理署として原状回復を求める。
損害賠償請求についても、東北森林管理局や関係機関と協議する」

林野庁国有林野管理室業務課の山内健二課長補佐は、
「契約が切れて、すぐには損害賠償にはならない。
破産の決定、破産管財人の選任を見て対応する」

原状回復は、リフトや建物の撤去、緑化などが必要。
森林管理署との協議で、計画書を作成する。
リフト撤去に多額の経費が見込まれ、「億単位はかかるのでは」(林野庁)。

福島県を除く東北5県を管理する東北森林管理局管内では、
西武グループのプリンスホテルが経営する森吉、千畑スキー場(秋田県)が
廃業を決め、森林管理署と原状回復を協議。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20081227_6

2008年12月31日水曜日

環境税:肯定派が上回る 大企業調査、91年以来初めて

(毎日 12月28日)

大企業を対象にした環境省の調査で、
企業活動などに伴う二酸化炭素(CO2)排出量に応じて課税する
「環境税」導入に肯定的な企業の割合が、否定的な企業の割合を
91年の調査開始以来初めて上回った。
09年度与党税制改正大綱では環境税導入が見送られたが、
同省は、「地球温暖化対策としての環境税への理解が企業の間に広がってきた」

調査は、上場企業と従業員500人以上の非上場企業など
計6484社を対象に実施。2819社から回答があった(回答率43.5%)。

環境税導入については「賛成」が7%、
「内容次第だがどちらかといえば賛成」が33.6%、
肯定的な回答が4割を超えた。
「反対(11.1%)」、「どちらかと言えば反対(25.8%)」の合計は36.9%、
肯定派が初めて上回った。

税収の使い道は、「温暖化防止対策」61%、
「企業の省エネルギーへの投資」17・8%などで、
環境以外の分野にも使う「一般財源」との回答は4%。

企業の環境への取り組みの意義について、
「企業の社会的責任(CSR)」が82.6%を占め、
「ビジネスチャンス」、「業績を左右する戦略」との回答は
いずれも10%に満たなかった。

http://mainichi.jp/select/science/news/20081229k0000m040058000c.html

大学選び(5)選抜法で異なる指標

(読売 12月27日)

大学選びの指標をどう考えればいいのか。

大学の全入時代を迎え、選抜方法も多様化している。
偏差値による大学選びは揺らいでいないのか。
代々木ゼミナール入試情報センター本部長の坂口幸世さん(55)は、
まず「大学選びは一生の買い物。情報はきちんと取った方がいい」

代ゼミでは、過去に模試を受けた受験生約30万人を対象に、
電話や郵便で一般入試で合格した大学を尋ね、合格ラインを出している。

一般入試の枠が減り、調査書や面接、小論文で決める
AO(アドミッション・オフィス)入試や推薦入試が広がっている。
その点で、「データを示しにくくなったのは事実」とした上で、
「旧帝大や私大のトップ15校では、定員の7割前後が一般入試。確度は高い」
と、有力大学での偏差値活用に自信を見せる。

偏差値が通用しないAO・推薦で、私大に入る人が過半数に。
それだけに「大学は、きちんとAO・推薦の選考基準を示してほしい。
わからないもので落とされては、受験生は納得できない」

近年、AO・推薦とセンター試験の両方で合否を決める大学が増えたことに注目。
来春入試で取り入れる大学数は4分の1。
ペーパーテストで測れる学力以外の能力を見ようと始まった仕組みに
不都合があった、と大学が考えているのがわかる。

「偏差値はあてにならない」というのは、
全国高等学校進路指導協議会事務局長(東京都立晴海総合高校教諭)の
千葉吉裕さん(47)。
合格ラインで示される偏差値は、一般入試での数値。
その定員を減らせば、合格ラインが上がる。

進学組と就職組の双方がいる晴海総合高では、
独立行政法人「労働政策研究・研修機構」のホームページに
掲載されている適性診断を活用。
診断結果をもとに、進学か就職か、進学ならば何を学ぶかを考える。

「大学選びでは、教育力を指標にしたい。
入学させた学生を、どれだけ伸ばしているかを見たい」。
大学が行っている卒業生対象の満足度調査は、参考にしていない。
友だちがたくさんできた、程度で点数が上がってしまうからだ。
「大人数授業が多いのか、個別指導が徹底しているか、
ゼミにも入れない学生がどれだけいるのか……。
大学4年間で多額の教育費がかかるからこそ、慎重に選びたい」

いい大学に入れば将来は安泰――そんな幻想を抱いている保護者も
納得できるデータがほしいと付け加えた。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081227-OYT8T00184.htm

総務省が地域活性化プラン発表

(サイエンスポータル 2008年12月22日)

豊かな自然環境を守りながら、活力ある地域社会の形成を目指す
「地域力創造プラン(鳩山プラン)」を総務省が発表。

プランは、「定住自立圏構想の推進」、
地域連携による『自然との共生』の推進」、
条件不利地域の自立・活性化の支援」という3本の柱。

定住自立圏とは、人口5万人程度以上の市を「中心市」とし、
その都市機能と近接する「周辺市町村」の環境、歴史、文化などとが
相互に役割分担し、定住の受け皿を形成することを意味。

地域連携による「自然との共生」では、都市の意欲ある若者たちを、
農産漁村が「地域おこし協力隊員」として受け入れ、
人口減少と高齢化に悩む地方の活性化を図ることを目指す。

都市部の災害防止、水源の涵養、食糧の供給、森林によるCO2の吸収など、
過疎地域を含む農産漁村が都市部を支えている実態を重視し、
都市から地方への移住や都市・地方の交流を促進する取り組みを進める。

定住自立圏構想の実現を目指した取り組みとしては、
既に八戸市など21市19圏域が先行実施団体として選ばれている。
来年度、これら先行実施団体の中心都市と周辺市町村が連携協定を締結し、
同様の取り組みが全国に広がることを目指す。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0812/0812221.html

次代の奥州博士育成 ご当地検定実施のNPO法人

(岩手日報 12月28日)

奥州市水沢区の特定非営利活動法人(NPO法人)
奥州おもしろ学(佐藤秀昭理事長)は、胆江地区出身の人物や
名所をまとめた「奥州おもしろ学ジュニアテキスト」を作った。

同法人が、今年から始めた「ご当地検定」の好評を受け、
小中学生向けに、より易しい内容とした。
来年2月のジュニア検定に向け、出前授業も受け付ける。
関係者は、「子どもたちが地元を学ぶきっかけにしてほしい」と期待。

ジュニアテキストはA4判で、74ページ。
内容は、「一般向けの初級より易しいレベル」(佐藤理事長)で、
世界遺産登録を目指す地元の文化や人物、産業や物産などを幅広く紹介。

同法人は、地域を面白く理解してもらおうと2、10月に検定試験を実施。
市内外から初級、中級部門に延べ約100人が受験。
ジュニア検定の対象は小中学生とし、問題は、テキストを基に出題。
点数に応じて金、銀、銅賞を与え、不合格は設けない。

検定前に佐藤理事長らが、地域の学校や公民館で講義する「出前授業」を予定。
学校や子ども会単位などでの応募を見込むが、
佐藤理事長は「1人、2人でも希望があれば向かいたい」と積極的。

佐藤理事長と佐藤幸男常務理事は、奥州市江刺総合支所と
金ケ崎町役場を訪れ、地域の小中学校にテキスト計120冊を寄贈。
菅原義子市教育長は、「関心と誇りを持ち、
将来的に地元に住むきっかけとなればうれしい」

検定試験は、2月7日午後2時から奥州市水沢区横町のメイプル4階で行う。
申し込みは、1月20日-2月3日の午前10時から正午まで、
メイプル内の奥州寺子屋(0197・34・2100)。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20081228_9

2008年12月30日火曜日

新しい波/287 武道の必修化/5

(毎日 12月20日)

剣道は、「痛い」「臭い」などの理由で、52%の生徒が「やりたくない」と回答。
宇都宮市立雀宮中で行われた全国学校体育研究大会を前に、
研究班が実施した生徒アンケートの結果。
剣道の研究授業で教えた雀宮中の山田博子教諭は、
「負のイメージが強かった」

山田教諭の授業では、面を着ける際に布製のあごあてを使い、
小手の下には軍手をはめることを生徒に認めている。
「前に使った人の汗が気になる」という理由。
一部には、こうした防具の着用に批判の声もあるが、
山田教諭は、「生徒が抱くハードルを取り除きたかった」

剣道は、他の武道と比べても厳しい礼法を指導。
全日本剣道連盟は、試合で勝った後のガッツポーズや、
特定選手を応援する横断幕の掲示などを禁じている。
全剣連の福本修二専務理事は、
「負けた相手にガッツポーズされた時の思い、横断幕のない選手の気持ち。
その寂しさを『察しろ』ということだ」と話し、
相手に対する思いやりの心が大切であると強調する。

試合後は、両手を床について互いに礼をする。
山田教諭は、「勝者は『自分の力を引き出してくれた』、
敗者は『弱点を教えてくれた』という相手の選手に対する感謝の気持ちを表す。
相手があって分かることだ」と説く。
あごあてや軍手を認めたのも、剣道の心を感じてもらいたかったから。
素直にありがとう、と言えるようになった生徒の心の変化も肌で感じてきた。

剣道の授業に詳しい千葉県袖ケ浦市教委総合教育センターの
軽米満世・教育相談員
は、「剣道を通じて問題の多かった中学が
良い方向へ向かった例もある」と指摘。
全剣連は、75年に「剣道は剣の理法の修練による人間形成の道である」
とした「剣道の理念」をまとめた。
昨年も、「剣道指導の心構え」として礼法を重んずる指導を呼びかけた。
思いやりや感謝の気持ちを大事にする剣道。
12年度から中学1、2年の授業に武道が必修化されるのに伴い、
教育現場では剣道に期待する声もある。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20081220ddm035050007000c.html

求められるノーベル賞の受賞報道とは

(サイエンスポータル 2008年12月26日)

日本人4人のノーベル賞受賞にわいた年だったが、
ノーベル化学賞受賞者の白川英樹氏が、雑誌「科学」1月号の巻頭言で、
ノーベル賞の報道について苦言を呈している。

直接批判されているのは、氏を含め3年連続でノーベル賞受章者が
出たときのメディアの取り上げ方だ。
「とてもまともな報道とは思えなかった」、「興味本位の報道」と指摘。
今年の報道について直接の批判はないが、
「どうしてノーベル賞だけが大騒ぎになるのだろうか」
という疑問を呈している。

「メディアの取材と、研究内容や受賞の本質を突いていない
報道に対する違和感」。
自身の受賞時について、このような感想を述べている。

科学(技術)部を持つ新聞・通信社側からは、
「受賞対象になった業績についても、相応の記事は出している」
という反論も聞かれそうだ。

「なぜノーベル賞だけが大騒ぎになるのか」という指摘と併せて、
アカデミズムとジャーナリズムの間で、大いに議論を交わしてみても
よいのではないだろうか。

白川氏の言うメディアを新聞、通信、放送、雑誌と考えると、
確かにこれらの媒体にとって、ノーベル賞が大きな報道対象になるのは
日本人が受賞したときにほぼ限られる。

外国人が受賞したときは、特別の場合でもなければ、
受賞理由もそれほど詳しくは報じられないだろう。
どういう研究業績に対して賞が授与されたかより、
だれに対して授与されたかが、普通の人のより大きな関心事。

氏は、次のような疑問も投げかけている。
日本学士院賞や恩賜賞の受賞者を伝える報道の扱いが、
日本人のノーベル賞受賞時に比べ、小さいのはなぜか。

これに対しても、メディア側の言い分はありそう。
毎年日本人がもらうことが分かっていて、それも人数も結構多い賞の報道と、
いつ日本人がもらうか予想が難しいノーベル賞のニュース価値が
大きく異なるのは、当然ではないか、と。

ただし、「メディアにはノーベル賞関係だけでなく、
科学・技術関係のより充実した報道をお願いしたい」という
白川氏の要請に、科学ジャーナリズムは何の異論もない。

白川氏も、メディア側にばかり注文を付けているわけではない。
科学者・技術者にも、研究成果を専門外の人たちにも分かりやすく、
研究の意義と成果を語りかける努力を求めている。

例えば、日本学士院賞がどのように決まるのか、といったことは
メディアにきちんと説明されているのだろうか。
賞を出す側も、「これは立派な賞だ」と言うだけでなく、
メディアにも一般の人々にもそう思わせる努力がもっとあってもよいと思う。

http://www.scienceportal.jp/news/review/0812/0812261.html

大学選び(4)学生から生の体験談

(読売 12月26日)

高校生と大学生が、気軽に進路を語り合える場ができた。

近隣の高校生のたまり場になっている横浜市青少年交流センター。
その隅に、一際にぎやかな十数人の集団があった。
「大学って楽しい?」、「代返って何?替え玉ってこと?」、「彼女できましたか?」

制服姿の高校生が、スナック菓子をつまみながら矢継ぎ早に質問。
「楽しいよ」、「友だちは出来た」。
「毎週40枚、手書きのリポートを課されて徹夜ばかり。
覚悟と目的がないと、大学はきついよ」と助言する学生も。
「大学以外の進路は考えたこともないけれど、何のために行くのだろう」と
高校生たちが次第に物思いにふけり始めた。

そばでやりとりを聞いていた横浜国立大学の望月由起准教授(39)に
笑顔が浮かぶ。
この日は、望月さんが同大で担当する授業「高大連携」の一環で行う実習。
本来は、「入試直前期の過ごし方」で語り合うはずだったのだが……。

高校生が抱く将来への不安の緩和に、大学生の体験を生かせないか。
昨年始まった「高大連携」には、そんな望月さんの思いが込められている。
大学院で臨床心理や教育を学び、約10年間、大手予備校講師をした後、
4年前に同大に着任した。
入試突破に血眼の高校や予備校と、学生集めに躍起の大学を目の当たりに。

授業では、そんな現状の根底にある社会的背景や歴史を説明し、
高校と大学はどのように連携すべきかを、
高校生と向き合いながら考えさせることに重きを置く。

実習の現場として、高校生の利用率が高い交流センターに協力を要請。
教師や親の勧め、偏差値で、何となく選んだ大学になじめず、
退学した学生を数多く見てきた同センターの遠藤夢沙さん(28)も、
「学生が語る様々な大学の姿や将来像を通して、
高校生に色々な選択肢があることを知ってほしい」と期待。

実習は、大学生自身にも進学の意味や目的を振り返らせる好機となっている。
経済的事情で、進学を断念した高校生と出会った工学部3年生(21)は、
「そんな人の存在を考えたこともなかった」と打ち明ける。
対人折衝が苦手で、システムエンジニアを目指していたが、
「人と接するのは面白い」と考え直した。
ふまじめな学生の多さにうんざりしていた工学部2年生(20)は、
受験生時代を思い出し、「まず自分の夢をしっかり見つめよう」と思い直している。

進路指導には、目的地を定めてそこに向かわせる山登りタイプと、
夢を探しながら一緒に筏に乗って川を下るタイプとがある。
「価値観が多様な今の子にふさわしいのは、筏下りではないか」
様々な夢に寄り添える力量が、大学選びにかかわる大人に求められている。

◆ブランドも重視の傾向

今春入学の大学生約6万人へのベネッセコーポレーションの調査では、
進学先を決めた理由は「学びたい授業がある」(57.9%)が1位だったが、
4年前に比べ3.3ポイント減。
2位の「入学の難易度」も数字を下げた。
「知名度」が23.2%で8.5ポイント上がるなど、
ブランド重視の傾向もうかがえた。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081226-OYT8T00171.htm

「海山街」三位一体で 知事が沿岸広域6氏と懇談

(東海新報 12月27日)

県政懇談会「岩手フロンティア懇談会」が開かれ、
達増拓也知事と沿岸広域振興圏の6市町の各界代表が、
地域課題や振興策をめぐり活発に意見交換。

出席者は、大船渡市の民宿海楽荘代表・志田豊繁さん、
陸前高田市生出コミュニティ推進協議会事務局長の菅野征一郎さん、
釜石医師会会長の小泉嘉明さん、
釜石市の(株)福島屋代表取締役専務・遊佐俊一さん、
山田町の漁業・菊地和三さん、宮古市の齋徳林業代表・齋藤眞琴さん。
菅原一敏、小野寺有一の両県議、大船渡、釜石、宮古の各地方振興局長が同席。

志田さんは、未利用だったカジキマグロの頭を食材に活用
「頭が捨てられるのはもったいない」と、煮込んで民宿客に出し名物料理に。
温泉も掘り当て、事業拡大中のフロンティア精神について述べた。

菅野さんは、山の荒廃の現状や「間伐材が活用されていないのが残念でならない」
と、山主の業が成り立つように活用を呼びかけた。
医師の小泉さんは、医師不足について
「悪循環の中にあり、コストが問題ならば民間なりとタイアップを考えては」と提言。
遊佐さんは、「カヌーで海から見る三陸の景観は宝
高山植物も生える半島は豊かさを保つものであり、ヤマセも生かすべき」と宝を列挙。

菊地さんは、津波注意報時の出漁中の漁業者の避難誘導で、
県のアドバイスを求めたほか、土壌改良剤となるカキ殻の活用促進を提案。
齋藤さんは、「これからの林業は、環境を売る時代。
炭素取引を、森林にうまく取り入れるシステムを県にお願いしたい」と要望し、
未利用の間伐材を燃料とする薪ストーブの利点を強調し利用促進を提案。

達増知事は、医師不足の問題について
「医療崩壊に拍車をかけないために、県民の医療リテラシーを高め、
お医者さんへのかかり方、救急診療について日本で一番、岩手県民が
それを分かっているというようになれば良く、
県民が地域の医療を支え作るという形に持っていきたい」

知事は、「海と山と街が、三位一体で栄える三陸のいろんなイメージが
広がっていく。県としても、宝を発掘してみんなのものにしていきたい」

http://www.tohkaishimpo.com/

2008年12月29日月曜日

5年で2兆トンの氷が融解、温暖化でペース加速 NASA

(CNN 12月17日)

地球温暖化の影響で、南極とグリーンランド、アラスカの氷が溶けるペースが
早まり、2003年以来、1兆5000億トンから2兆トンもの氷が溶けたとする
観測データを、米航空宇宙局(NASA)が発表。

NASAの科学者スコット・ラスケ氏は、衛星2基を使った新技術で、
氷河と氷床の経年変化を測定。
同僚の科学者ジェイ・ズワリー氏も、別の衛星技術を使って
グリーンランドと北極、南極の氷の量の変化を調べ、
グリーンランドでは世界で年間約0.5ミリの海面上昇を引き起こすペースで
氷が溶けていると指摘。

海面上昇のペースは、15年前に比べて約50%速まっており、
今世紀の終わりまでに、海面は約45―90センチ上昇すると予想。

ズワリー氏は、現在の変化のペースを考えると、
地球環境の変化はますます予測がつかなくなっていて、
「地球温暖化の影響は、農業などわれわれの日常生活の多くの分野に及んでいる」
と警鐘を鳴らしている。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200812170035.html

大学選び(3)教育・研究内容で評価

(読売 12月25日)

出会いの場づくりで、行きたい大学をつかませる。

教室に集まった高校3年生約80人が、真剣な表情で読売新聞社が作った
「大学の実力」調査の冊子の一覧表に見入る。
予備校「早稲田塾」の出願校決定説明会。
講師が、表に記された大学別の学習支援策の見方を説明しながら、
「勉強をサポートできる大学かどうか、必ずチェックを」と呼びかけると、
高校生の目は一層、険しくなった。

早稲田塾は10年以上前から、教育・研究内容による大学選びを提唱。
一昨年から、「高校生と大学の出会いの場の提供」(相川秀希代表)を目的に、
大学と連携し、最先端の研究を体感できる授業も展開。
連携先は、立命館アジア太平洋大など9校に増えた。

「大学の実力」は、新聞を読んだ同塾総合研究所の主任研究員、
倉部史記さん(30)の発案で取り寄せ、東京、神奈川で展開する
15校全校の受講生に配布。

冊子には、倉部さんの「読み解き方」のメモを添えた。
標準修業年限卒業率7割、4年間の退学率1割強と回答した都内の私大には、
「厳しく学生を育てることで、社会から高い評価を得ている大学だということが、
数値からも読み取れる」と説明。
数字だけに頼らず、大学に直接問い合わせるなど、
自分で調べて慎重に志望校を決めるよう勧めている。

倉部さんは2年前まで、「偏差値が低い」とされた都内の私大の職員。
教職員まで劣等感を持つ姿に疑問を持ち、「大学は教育と研究で勝負」と、
自分のブログで意見を発信し続けてきた。
同塾への転職も、高校生に大学の中身を知ってもらいたいと考えた。
「大学選びは、自分の一生を決めることだとわかってほしい」

文京学院大学女子高校は、3年生約360人を対象に、
専修や大妻女子など12大学の教員14人を一堂に集めて模擬授業を行った。
最新の経済理論を解説する政治経済学部の授業や、
中国映画から日中関係の変化を考えるコミュニケーション文化学科の授業など、
大学のふだんの授業が展開、居眠りや私語はない。
「高校と違って難しい。でももっと聞きたい」と、生徒は目を輝かせていた。

これも、教育の内容を実体験してからの大学・学部選びで、
昨年から始めた試み。
講師集めには、都内の広告代理店も協力。
「名称だけでは、中身がわからない学部・学科名が増え、
指導教員が苦労している」と、棚橋信雄教頭(55)が事情を打ち明ける。

棚橋教頭は今、現役の学生の声も必要だと考えている。
オープンキャンパス(大学見学会)に出かけた生徒たちが時折拾ってくる
「うちの大学に来ることは勧めないよ」という言葉が忘れられない。

大学の本当の実力を高校生に伝えるにはどうしたらいいか。
現場の悩みは尽きない。

◆多様化に対応した学習支援策

「大学の実力」調査では、高校での学習内容の補習や到達度試験など
学習支援策9項目の実施状況を尋ねた。
最も多かったのは到達度試験で、回答した499校の8割近い378校が実施。
次いで習熟度別クラス編成が多かった。
国公私立の別なく、学生の多様化へ対応した取り組みが浮き彫りに。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081225-OYT8T00231.htm

余暇の運動は非アルコール性脂肪肝炎を予防する

(Medscape 12月12日)

『Hepatology』に報告された一般集団ベースの横断的研究によれば、
余暇の定期的な運動、特に無酸素運動は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)
の予防に役立つ可能性がある。

Tel Aviv Sourasky Medical Center(イスラエル)のShira Zelber-Sagiらは、
「運動は、一般にNAFLD患者に推奨されている。
NAFLDにおいて、運動が単独でどのような役割を果たすかについては
十分なエビデンスが得られていない。
目的は、運動とNAFLDの相関性を検討すること」

研究対象母集団は、Israeli National Health and Nutrition Surveyに
登録された参加者の一部(375例)。
肝疾患の原因が判明している患者は、研究対象から除外。

腹部超音波検査、レプチン、アディポネクチン、レジスチンなどの生化学的検査、
肝脂肪症のバイオマーカーの非侵襲的測定SteatoTest
(BioPredictive、パリ、フランス)、身体計測、
半定量的な食事頻度質問票および詳細な運動質問票で、測定評価。

参加者349例のうち、52.7%は男性、30.9%は原発性NAFLDに罹患。
NAFLD患者が報告した有酸素運動量、レジスタンス運動量、
その他の種類の運動量は、残りの参加者と比較して少なかった。
何らかの運動またはレジスタンス運動を週1回以上行っている参加者では、
SteatoTest値が有意に低かった。

何らかの運動を週1回以上行っている参加者では、
腹部肥満のリスクが相対的に低い。
性別を補正した条件では、何らかのスポーツおよびレジスタンス運動への参加は、
それぞれNAFLDと負の相関性を示した。
ホメオスタシスモデルに関して補正した条件では、
ほとんどの栄養因子、アディポネクチン、レジスチンは相関性を変化させない。

BMIを、さらに補正した条件でも有意性が保たれたのは、
レジスタンス運動とNAFLDの相関性のみで、
レプチンまたはウエスト周囲径をモデルに追加すると、統計的有意性が消失。

「運動習慣、特に無酸素運動は、NAFLDに予防的役割を果たしている可能性。
この相関性は、腹部肥満率の低下を介するもの」

この研究の限界は、横断的デザインを用いたため、因果関係を推定できなかったこと。
「NAFLD患者のライフスタイル改善に、運動量の全般的増加を含めるべき。
NAFLDに対し、レジスタンス運動が有酸素運動より有用であるか否かは、
さらなる研究が必要である」

Hepatology. 2008;48:1791-1798.

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=85617

iPS細胞研究「日本は1勝10敗」…山中・京大教授

(読売 12月25日)

様々な細胞に変化できる「新型万能細胞(iPS細胞)」を作製した
京都大の山中伸弥教授は、2008年の国内と海外のiPS細胞研究の
進み具合を振り返り、「1勝10敗くらいで負けた」。
その上で、「日本の研究者ネットワークの推進が急務」と強調。

科学技術振興機構によると、主な科学誌に08年に掲載された
国別のiPS細胞関連の論文数は、日本の1本、米国が8本、ドイツが1本。

米科学誌サイエンスは、今年の科学研究成果の1位にiPS細胞関係を
選んだが、山中教授は「評価されたのは、米国のハーバード大が
病気の患者の皮膚などからiPS細胞を作製した成果。
政府の素早い研究費の支援を受けたのに、日本の研究者はふがいない」
今年iPS細胞関連に、同省から45億円の研究費が投じられた。

これに対し、「5年後、10年後に革新的な研究が出ればいいのでは。
焦燥感にかられ、競争意識で研究をするのはどうか」と
疑問を投げかける研究者もいた。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20081225-OYT1T00621.htm?from=nwla

2008年12月28日日曜日

黄砂・すす…大陸からの越境汚染、共同観測へ 日韓

(朝日 2008年12月23日)

中国などアジア大陸からの黄砂や黒いすすなどの越境汚染に
関心が高まるなか、日韓が共同で来春、飛行機を使った大気観測をする。
アジア大陸と日韓の間の海上を広域に飛んで、上空の大気とともに
流される物質を測り、温暖化への影響も探る国際的な取り組みが実現。

日本は、東京大、国立環境研究所、茨城大、北海道大、
韓国は光州科学技術院、国立環境研究所が参加。

アジア大陸からの西風が強くなる3月下旬から4月半ば、
長崎県から西に向かったあと、ソウルまで北上する空路約1500キロを
高度2千メートルで3往復するほか、いくつかの地点では海上付近から
上空7千メートルまでの鉛直方向も調べる。

搭載する日本の観測機器は、米航空宇宙局(NASA)と共同で、
北極観測にも使った世界最新鋭の機器で、大気中の浮遊粒子の
分布や量、大きさをとらえる。
韓国の観測機器では化学組成を調べて、
どのような物質がどのように運ばれるかを探る。

中国の砂漠で巻き上げられた砂ぼこりが、偏西風に乗って飛来する
黄砂は春先、韓国や日本で問題に。
工場や車の排煙を起源とする硫黄化合物は酸性雨の原因となり、
炭素粒子である黒いすすは太陽の光を吸収するため、
温暖化へ拍車をかける要因とも考えられている。

http://www.asahi.com/science/update/1223/TKY200812230239.html

盛岡農高が最優秀賞 日本の環境守る育成塾

(岩手日報 12月22日)

八幡平市の旧松尾鉱山跡地の緑と水の再生研究を重ねてきた、
盛岡農高森林科学科3年の林業研究班は、
日本の環境を守る若武者育成塾(アサヒビール主催)の最終発表会で、
最優秀賞に輝いた。

発表会は、同校をはじめとする北海道、東北、関東甲信越地区の高校から
選抜された7チーム27人の生徒が参加、
環境問題をテーマにした研究成果を披露した。

同校からは、畑山拓也君、因幡雄太君、佐藤朋也君、佐藤信生君が出場。
旧松尾鉱山跡地に自生するダケカンバ(落葉広葉樹)の酸性中和能力を立証、
量産し、植生活動を行ったことを披露し、市民らの意識調査結果などを発表。

同研究班は、6月に論文形式で同発表会に応募。
書類通過した7チームが、8月に北海道で行われた合宿で、
森林の環境問題に触れ、課題解決能力を高める大切さを学んだ。
佐藤信生君は、「高校生活の集大成を発表し、最高賞をもらうことができうれしい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/kako_kiji.cgi

大学選び(2)退学率公開 刺激に

(読売 12月24日)

教師と生徒は、大学の退学率から何を学び取るのか。

「なんで退学するのかな」
私立武南高校の3年H組の39人が、黒板に張り出された模造紙に
首をかしげていた。「行きたい大学ベスト10」。
青山学院や明治、立教など生徒たちの人気投票で選んだ大学名の下に、
読売新聞の「大学の実力」調査に掲載された退学率が書かれている。

願書提出を控えた12月3日。
「総合的な学習の時間」は、大学進学の意味を見つめ直すことを目的に、
大学中退の問題を取り上げていた。

「大学の名前だけで選んだから?」、「学費がなくなったのかも」、
「勉強が難しい」、「学ぶ意味が見つけられなかった」……。
次々に意見を口にする生徒の姿に、
同校の葛西紘一ガイダンスセンター長(64)は手応えを感じていた。

葛西さんの提案を受け、同校が進路相談を一括する窓口として
同センターを設けたのは20年前。
難関の県立や私立高の“滑り止め”で入学し、負け犬意識を抱えた生徒が
大半を占める現実に、葛西さんは、単なる進学指導ではなく、
入学時からの一貫した支援が必要だと実感。

葛西さん自身、長年夢見ていた新聞記者の職を病気のため1年で失い、
1967年に同校に着任。
「道はどこからでも開ける」と生徒に伝えたかったのだ。

同センターは、さまざまな悩みを抱えた生徒の居場所として定着。
6年前に始まった「総合的な学習の時間」を使って、3年間で計72時間、
進路を考える授業も担当。
生徒に、自分の長所や夢を何度も書かせ、自信を持たせることが軸に。

葛西さんは、進学希望者に、志望校のオープンキャンパス(大学見学会)と
学園祭、普段の大学の様子をのぞくよう指導。
保護者に対しては、入学が決まったら、100万円前後となる
初年度納付金を、現金で子供に見せてほしいと求めている。
進学への覚悟を固め、責任を感じてもらいたいから。

この数年、生徒が変わってきたと感じる。
「なんでこの大学なの」と尋ねると、何度も大学に足を運んで調べた
教育の内容や雰囲気を説明できる生徒が増えている。
進学の重みを学ぶ生徒に、門外不出だった退学率の数字は刺激に。

授業の終盤には、「目的意識を持って進学することが大切」、
「イメージで選んではいけない」と、大半の生徒がまとめていたが、
「退学は必ずしも悪ではない。新たな人生のチャンス」と、
前向きに受けとめる声も。
志望校が退学率を無回答だったことに対し、
「何か隠しているのかも」と不安を訴える生徒も。

葛西さんは、退学率の公開を待っていた。
高校も大学も、入れることだけを考えすぎていないか。
退学者の背景を知りたい。大学と話し合う場がほしい」と訴える。

生徒一人ひとりの人生を見つめた進路指導への模索が続く。

◆欧米では珍しくない退学率公表

読売新聞社の「大学の実力」調査では、
入学から1年間と4年間(医学部などは6年間)の退学率を質問、
499校のうち約9割が数値を答えた。
昨年4月入学者の1年間の退学率は0~13%。
日本では、これまで大学ごとの退学率がまとめて公表されたことは
なかったが、欧米では珍しくない。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081224-OYT8T00195.htm

ツムラ ライフサイエンスが入浴法を検証ストレス・疲労の回復には、ぬるめで長めの入浴が効果的

(日経ヘルス 12月25日)

ツムラ ライフサイエンスは、第45回日本臨床生理学会総会において、
入浴で発現する熱ショックタンパク(以下HSP 70)の増加に関する検証と、
健康的な入浴法についての研究結果を発表。

これまでの研究で、マイルドな加温により、人の体内には様々なストレスに
対する生体防御効果、免疫増強効果、疲労の回復効果が得られる物質、
HSP 70が発現することがわかっていた。

今回、入浴とHSP 70の発現との関係性を調べるため、
平均年齢43.8歳の男性11人に対し試験を実施。
42℃ 5分の「熱めで短時間」、40℃ 20分の「ぬるめで長め」の2パターンに分けて
入浴してもらい、HSP 70値や体温の測定、生化学検査を行った。

その結果、「熱めで短時間」の入浴より、「ぬるめで長め」の入浴のほうに、
HSP 70の優位な増加、及び免疫力の指標であるNK活性の有意な増加が確認、
筋肉疲労時に発生する物質クレアチンの低下が見られた。
体温の上昇や入浴後の保温に優れていることがわかった。

「ぬるめで長め」の入浴のほうが、ストレス、疲労回復、免疫増強に
効果的であると報告。

http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20081225/102989/